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静馬の話②

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5年前ー

幼馴染みの俊太は、ここ三年彼女がいなかった。

いつも、僕は俊太の隣にいた。

そして、休みの日は晩御飯を食べに来て泊まるというコースを続けていた。

いっか、このままでも…。

僕の手料理を俊太が食べてくれて、僕のベッドで俊太が眠ってくれて、酔って間違って抱き締めてくれて、それでいいんだ!そう思っていたのに、今日中学の時に付き合っていた笹部紅葉(ささべもみじ)と再会したと話してきた。

「へー。ずっと会いたかった笹部さんに会ったんだ」

「そうなんだよ!ほら、高校が別になって遠距離になって別れちゃっただろ?そっからも、会いたかったから…。めちゃくちゃ嬉しかった」

「よかったね」

「だろう?来週デートしてくるわ」

「うん」

僕は、ナポリタンを俊太に差し出した。

運命的な出会いを結婚するような時期にするなんて思ってもいなかった。

「いただきます」

「どうぞ」

「やっぱり、静馬の飯はうまいわ」

この場所さえあるなら、気にしなくてもいいよね。

僕もナポリタンを食べる。

「静馬、ケチャップついてる」

「えっ、どこ?」

「そっちじゃなくて、ここ」

躊躇いもなく唇の左端を俊太は、拭った。

「あっ!ありがとう」

下半身が反応するのをバレないようにしなきゃ…。

「馬鹿だな!急いで食べるなよ」

そう言って、俊太は自分の唇もその手で拭った。

間接キスだ…。

ちょっと、喜んでた。

「ごちそうさまでした。あー食った食った」

「甘いの食べる?」

「いいね!ワインと食おうぜ」

「うん」

僕は、ワインとチョコレートケーキを持っていく。

「これって、ガトーショコラだよな?」

「そう、俊太が好きだって言ってたから」

「マジで、静馬は俺の母さんだよな」

母さん?お母さん?

「何だよ、それ。ハハハ受ける」

全然、笑えないよ。

「いただきます」

「うん」

「うまいわー、何で、こんなうまいかな」

「チョコレートついてるよ」

「マジ!とって」

「ここ」

左唇の端のチョコレートを右人差し指でとった。

「あっ、もったいない」

そう言って、何故か僕の人差し指を突然食べた。

「ごめん、静馬」

えへへって顔して笑ってた。

「意味わかんないから」

僕は、立ち上がって手を洗いに行く。

「病気ないから、気にすんな」

フリをして、その指を口に入れた。

身体中を俊太に食べられてしまいたい。

「静馬!何してんの?」

「手洗ってんの」

「食わなきゃ食べるぞ」

「待って、待って」

楽しくて、幸せで、堪らなかった。

「食わしてやろうか?」

「えー、いいよ」

「いいだろ」

そう言って、俊太はチョコレートケーキを食べさせてくれた。

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