君の傷つけ方なら知っている

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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結末なら知っている

麗奈の話④

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私は、キーケースを鞄にしまった。

「おはよう、麗奈」

「おはよう、和人」

あれ、どっちのかずとを呼んだのかな?

「ありがとう、今日一日」

「ううん」

「俺、本当に麗奈と結婚して子供欲しかった。わかってくれる?」

「うん」

「また、会えないよな」

「ごめんなさい」

「いいんだ。俺、麗奈を忘れないから」

「私も和利を忘れないよ」

さよならのかわりに、愛してるをあげて別れた。

さよなら、和利

私は、小さくなるまで見ていた。

さっきね、嘘ついた。

もうね、私の中に和利はいらない。

だって、差し出されるどら焼きは苦手なの。

いなくなったのを見届けてから、私はくるりと回転して帰っていく。

歳月は、とても残酷だった。

私と和利には、知らなかった事がありすぎる。

これが、一ヶ月だけしか付き合ってない相手だったら、引き離された恋だったら、私は和利を忘れずにいようとしただろうし…。

きっと、手を取って歩いて行く事もしていた。

でも、私と和利はもっと濃い時間を過ごした。

互いの気持ちもぶつけ合った。

だからこそ、ぶつけられない関係になったのを感じた。

今の、剥き出しの感情を今の和利に渡したところで、ズレが酷くなるのを感じていた。

だから、この15年間の話しをしなかった。

ズレが酷くなって、あの頃の和利を嫌いになりたくなかったから…。

私は、カフェに寄った。

「キャラメルマキアート、お待たせしました」

私は、キャラメルマキアートを飲む。

「甘っ!!」

和人が好きなメニューだった。

【美味しいの?それ】

【美味しいよ】

【へー】

【あげないからね!絶対にあげないから】

【いや、いらないし】

【嘘だー。欲しいって顔してるよ】

【甘いの嫌いだから】

【じゃあ、あげない】

そう言って、飲んでいた。

何も、強要しない。

何も、押しつけない。

私を認めて、ユラユラ周りを漂ってて!

必要な時は、くっついて、いらない時は、離れてくれて。

あー、めっちゃ良かったんだ。

和利君に再会したお陰で、私は和人への気持ちを初めてわかった気がする。

和人は、すごく楽なんだ。

ただ、息をしているだけでいれるの。

見栄を張ることも虚勢を張ることも好きなフリをすることも我慢することもないの。

別々の事をしていても、許されるの。

そんな人は、二度と現れない。

従姉妹が言ってた。

【ただ、傍で、息をしてるだけでいい人なの。そんな人いないよ。ドキドキとかはないよ。両親にだって、少なからず気を遣うじゃない。正人はね、何もないの】

旦那さんと結婚した理由を聞いたら、そう言っていた。
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