上 下
79 / 96
結末なら知っている

麗奈の話⑤

しおりを挟む
従姉妹は、こう続けた。【何もないから、生きやすいの!麗奈、そんな人に出会えたなら、離しちゃ駄目だよ!別々の事をして、別々のものを欲しがって、夫婦としては間違ってるって言われるの。お宅に赤ちゃんが産まれたら可哀想ねって言われたの。だけど、赤ちゃんより大事でしょ?こんな感覚の人といれるなんてないよ。だから、私は赤ちゃんより正人を大切にしたいの】

従姉妹は、そう言って笑っていた。結婚して、13年目に従姉妹は子供が一人できた。二人とも、子供の周りをユラユラ漂ってるようだった。必要な時は、くっついて、いらない時は、離れてをしていた。


私にとっての和人は、まさにそうだ。

離しちゃいけない相手なんだ!

2年後の8月9日が、やってくるのが遅かった。

私は、気持ちに気づいてしまってからは誰ともそうならずに過ごした。

約束の場所にやってきた。

「遅いんですけどー」

キャラメルマキアートを飲みながら、和人が立っていた。

「まだ、朝の七時半だよ」

「関係ないでしょ?」

「そうなの?」

「そうだよ」

「朝から、そんなの飲んでるの?」

「そう、欲しいの?」

「いらない」

「欲しくてもあげないよ」

「はいはい」

「危ない」

和人は、私を引寄せた。

「何?」

「おばさんが、麗奈ちゃんにぶつかりそうになったから」

「ありがとう」

「いえ、これ預かってたの」

「ありがとう」

「素直だね」

「いつもだけど」

「そう?」

和人は、そう言って掌にネックレスを置いてくれた。

「お腹すかない?」

「すきすぎてる」

「それ、飲んでるのに?」

「甘いものは、別腹です」

「何、それ?行こっか」

「うん」

触れるか触れないかの距離で、手が当たってる。

今、繋ぎたいかなー。

ギュッ。

ほら、近づいてきた。

私も握り返した。

「定食屋さんにしようか?」

「食べたいの違うから、助かる」

「だね」

同じものを好きじゃない。

同じ方向を見てはいない。

同じことを考えてはいない。

足並みが揃っていないように思われる私と和人。

だけど、本当は誰よりも互いをわかっているのだと思う。

期待しない、押しつけ合わない。

だから、息が出来る。

「ついた。飲んでしまうから待って」

「うん」

よくそんなの飲み干してから、ご飯を食べれるわ!

定食屋さんのゴミ箱にキャラメルマキアートのゴミが捨てられた。

一緒にはいる。

「何食べようかな?」

「私、鮭定食にしよう」

「俺は、アジフライ定食」

「朝から、揚げ物」

「若いでしょう?」

そう言って、食券を出してる。

私は、この関係を続けてくよ。

ずっと、一緒にいてよ!和人
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

狂った姉、バイバイ。私の婚約者と浮気した姉を追い出しました。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:20

後悔しても手遅れです。愚妹とどうぞ破滅してください。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:36

転生した貴族令嬢は、辺境の森で魔女となる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:1,292

私の婚約者には、それはそれは大切な幼馴染がいる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:134pt お気に入り:94

聡明令嬢は知識で王子に復讐する

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:7

処理中です...