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プロローグ
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平安時代、陰陽師と呼ばれるもの達の影にかくれて、この三日月家は、ひっそりと誕生したのだった。
それから、いくとしの歳月が流れ…。
そして今から、159年前のある日ー
「はぁー。この家は、商売には、向いてねー」
辺鄙な田舎に、あやかし退治馬鹿げた小さな看板をぶら下げる店の下にいる。
おっとうのイカれた頭を見つめながら、千川一条(せんかわいちじょう)は呟いた。
のちの、千川二条(せんかわにじょう)である。
「三日月さんとこに、世話になってる身分で何を屁理屈いってるんだ。オメーはよ」
千川家と三日月家は、能力使いだった。
ただ、世の中に広くしれわたることはなかった。
「まあ、まあ、万条(まんじょう)さん。お気になさらずに」
この人は、三日月兆珠(みかづきちょうじゅ)。
のちの、三日月万珠(みかづきまんじゅ)だ。
「すまねぇな。せがれには、ビシッと言っとくでな」
「いえいえ、いいんですよ。黒き痣もちは大事にしなければなりませぬよ。万条さん」
「ああ、そうだったな」
「くっだらねーな。」
一条は、怒りで飛び出した。
「おっと、一条さん。危ないですよ」
「すみません」
今のは、三日月櫁(みかづきしきみ)さんだ。
のちの、宝珠の母親(三日月美琴)になる人物だ。
お腹の大きな櫁さんは、もうすぐ赤子を産むのだ。
「一条さん、暗くならないうちにお帰りなさいよ」
「わかっとる」
今のは、三日月伊村(みかづきいむら)さん。
のちの、三日月糸埜(いとの)である。
わしは、イライラしていた。
櫁さんに赤子が産まれ痣もちだったら、わいは用なしではないのか?
そしたら、おっとうが可哀想ではないか。
おっかぁに先立たれ、痣もちのわいが見初められたから、ここに住んでる。
なのに、能力者が産まれたら…
そんな悩む気持ちとは、裏腹に、その日の夜。
赤子は、産まれた。
「オギャー、オギャー」
「おお、櫁。妹よ。有り難き幸せ。」
兆珠さんは、大喜びした。
この日、黒き爪もちの赤子が、誕生したのだった。
名前は、三日月宝亀(みかづきほうずき)
のちの、三日月宝珠(みかづきほうじゅ)である。
「もう、わいは必要ないの」
「そんなわけないよ。一条は、十(とう)だろ?宝亀より役に立つんだよ」
そう言って兆珠さんは、頭を撫でてくれた。
よかった。安心した。
三日月家に置いてもらわなければ、わい達は行く場所がない。
退治でもなんでもしてやる。
幽霊なんか怖かない
「一条さん、ちょっと」
わいは、綺麗な人に名前を呼ばれた。
「なんだ?」
「これでも、怖くないのかな」
「うゎぁぁぁぅぁぁぁあ」
黒き痣もつものは、ビジョンを見る。
「どないしたら、こないことになるんやろか?」
おっとうは、わいの髪の毛を触(さわ)ってる。
「いっきに、白髪になりましたね」
「どないしてた?」
「何か、映像がブワーって流れて。こわかこわか」
わいは、ブルブルと震えていた。
痣もちの恐ろしさを初めてこの日知ったのだった。
「どんどん強くなっていこう。一条。わかったね」
「はい」
わかりたくなどなかった。
これを、宝亀も味わう
ならば、守ってやらねば。
わいが、宝亀を守らねば。
この人達は、何もわかっちゃいない。
「一条、12歳になったら。婚約をするんだ。」
「婚約?」
「人ならざるものと初夜を迎えるんだ」
その言葉に、ゾッとした。
しかし、それが三日月家のしきたりだと言われれば頷くしか出来なかった。
12歳の春。
わいは、人ならざるものと初夜を終えた。
わいの味方は、宝亀だけだった。
「あっ、あー。お前は何をしておる」
まだ、器が空っぽな宝亀は、憑依をされていた。
「はいはい」
「お前はこわくないのか?」
「全然」
「あー、あっ、あっ」
「よしよし、わいが守ったるからな。」
「あー」
宝亀を必ず、守ってやるから
それから、いくとしの歳月が流れ…。
そして今から、159年前のある日ー
「はぁー。この家は、商売には、向いてねー」
辺鄙な田舎に、あやかし退治馬鹿げた小さな看板をぶら下げる店の下にいる。
おっとうのイカれた頭を見つめながら、千川一条(せんかわいちじょう)は呟いた。
のちの、千川二条(せんかわにじょう)である。
「三日月さんとこに、世話になってる身分で何を屁理屈いってるんだ。オメーはよ」
千川家と三日月家は、能力使いだった。
ただ、世の中に広くしれわたることはなかった。
「まあ、まあ、万条(まんじょう)さん。お気になさらずに」
この人は、三日月兆珠(みかづきちょうじゅ)。
のちの、三日月万珠(みかづきまんじゅ)だ。
「すまねぇな。せがれには、ビシッと言っとくでな」
「いえいえ、いいんですよ。黒き痣もちは大事にしなければなりませぬよ。万条さん」
「ああ、そうだったな」
「くっだらねーな。」
一条は、怒りで飛び出した。
「おっと、一条さん。危ないですよ」
「すみません」
今のは、三日月櫁(みかづきしきみ)さんだ。
のちの、宝珠の母親(三日月美琴)になる人物だ。
お腹の大きな櫁さんは、もうすぐ赤子を産むのだ。
「一条さん、暗くならないうちにお帰りなさいよ」
「わかっとる」
今のは、三日月伊村(みかづきいむら)さん。
のちの、三日月糸埜(いとの)である。
わしは、イライラしていた。
櫁さんに赤子が産まれ痣もちだったら、わいは用なしではないのか?
そしたら、おっとうが可哀想ではないか。
おっかぁに先立たれ、痣もちのわいが見初められたから、ここに住んでる。
なのに、能力者が産まれたら…
そんな悩む気持ちとは、裏腹に、その日の夜。
赤子は、産まれた。
「オギャー、オギャー」
「おお、櫁。妹よ。有り難き幸せ。」
兆珠さんは、大喜びした。
この日、黒き爪もちの赤子が、誕生したのだった。
名前は、三日月宝亀(みかづきほうずき)
のちの、三日月宝珠(みかづきほうじゅ)である。
「もう、わいは必要ないの」
「そんなわけないよ。一条は、十(とう)だろ?宝亀より役に立つんだよ」
そう言って兆珠さんは、頭を撫でてくれた。
よかった。安心した。
三日月家に置いてもらわなければ、わい達は行く場所がない。
退治でもなんでもしてやる。
幽霊なんか怖かない
「一条さん、ちょっと」
わいは、綺麗な人に名前を呼ばれた。
「なんだ?」
「これでも、怖くないのかな」
「うゎぁぁぁぅぁぁぁあ」
黒き痣もつものは、ビジョンを見る。
「どないしたら、こないことになるんやろか?」
おっとうは、わいの髪の毛を触(さわ)ってる。
「いっきに、白髪になりましたね」
「どないしてた?」
「何か、映像がブワーって流れて。こわかこわか」
わいは、ブルブルと震えていた。
痣もちの恐ろしさを初めてこの日知ったのだった。
「どんどん強くなっていこう。一条。わかったね」
「はい」
わかりたくなどなかった。
これを、宝亀も味わう
ならば、守ってやらねば。
わいが、宝亀を守らねば。
この人達は、何もわかっちゃいない。
「一条、12歳になったら。婚約をするんだ。」
「婚約?」
「人ならざるものと初夜を迎えるんだ」
その言葉に、ゾッとした。
しかし、それが三日月家のしきたりだと言われれば頷くしか出来なかった。
12歳の春。
わいは、人ならざるものと初夜を終えた。
わいの味方は、宝亀だけだった。
「あっ、あー。お前は何をしておる」
まだ、器が空っぽな宝亀は、憑依をされていた。
「はいはい」
「お前はこわくないのか?」
「全然」
「あー、あっ、あっ」
「よしよし、わいが守ったるからな。」
「あー」
宝亀を必ず、守ってやるから
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