13 / 18
家族と手紙
しおりを挟む
竹君が帰った後、俺と母と父で酒を飲んでいた。
「僕、知らんかった。あんな家族やって」
「ゆっくんは、何も言わんかったもんな。でも、たっくんは知ってたんやな」
母は、そう言いながらビールを飲んだ。
「親やのにな。酷い人もいるんやな」
父は、そう言いながらビールを飲んでる。
「おかん、おとん、兄ちゃんの一生のお願い叶えたってくれてありがとうな」
「全然、お母ちゃんとお父ちゃんは、あの手紙見てから竹君をこの家の子にしようって決めてたから。なあ?お父ちゃん」
「せやな。竹君は、4歳の頃から知っとる。たつの双子みたいに思っとったな。三(さん)もやけどな!」
「そうやな。竹君と三(さん)ちゃんだけは、4歳から知ってるもんなぁー。ホンマに、双子みたいな感覚やったわ」
そう言って、母と父は懐かしそうに笑っていた。
「竹君のお母さん亡くなって、再婚したん聞いた時、お母ちゃん大丈夫かなあ?ってずっと心配してたんや。」
「そうなんやな」
「早う聞いたげたらよかったわ。ほんなら、あんな辛い思いせんでよかったのにな。」
「僕は、竹君があんな父親に1ミリも似てへんくてホッとしたわ」
「わかるわ。お母ちゃんも思ったわ。あの綺麗な顔はお母さん譲りやったんやな」
「父親は、半魚人みたいな顔やったんか?」
父が、ぐたらないボケを言った。
「なんでやねん。まあ、意地の悪そうな顔やったわ」
「そやな。九你臣(くにおみ)のゆうとおりやわ」
「僕、明日家の片付けしたいから寝るわ」
「引っ越し賃渡すから、引っ越しやさん頼みなさい。週末にでも」
「わかった。」
「後、これ九你臣(くにおみ)にたっちゃんから手紙預かってたから。読んだって。お母ちゃん、中身知らんで」
「わかった、おやすみ」
「おやすみ」
僕は、二階の部屋に上がる。
もう、隣の部屋に兄ちゃんはいない。
それが、何とも言えないぐらい空しかった。
部屋に入って、兄ちゃんからの手紙を開いた。
【九你臣(くにおみ)へ】
この手紙を読んでも、三(さん)や竹から話してくるまで黙っていて欲しいです。
九(きゅう)、一生のお願いです。
「また、一生のお願いやんけ、何回使うねん。」
僕は、手紙に突っ込んだ。
そして、また読み出す。
九你臣(くにおみ)は、もう美(めい)から日記を受けとりましたか?
受け取っていないとしても…。
白状します。
俺の日記の黒塗りの名前は、竹です。バレんように平仮名二文字で書いて美(めい)に渡す時に塗りつぶしました。
なぜ、そうしたかと言うと、決して竹は男が好きな人間ではないからです。
竹に、男の味を教えたのは俺です。
日記を読めばわかりますが、俺は、酷いことをたくさんさせた。
まあ、他の黒塗りは竹の事を考えてネタバレはしません。
一枚目が、終わった。
竹君だったとは、驚いた。
後で、日記の他のページも読んでみるか…
九你臣(くにおみ)には、内緒にしてましたが、俺は、三(さん)と付き合っていました。
三(さん)は、俺の最後の恋人です。
「三(さん)、兄ちゃん好きやったん!」
僕は、驚いてその文章を何度も呼んだ。
頭にきちんといれられたから、次に進む。
三(さん)に、俺を覚えておいてもらうために、俺は、色んな事をした。
最低なやつだと思います。
そして、死ぬ間際になると三(さん)を他所の人間に渡したくなくなった。
それなら、竹にと思って三(さん)に竹を託しました。
嫌、逆かな?
俺は、九你臣(くにおみ)の知ってる優しい兄でも立派な兄でもありません。
自分勝手に竹を傷つけ、竹にだけ重い荷物を預けた。
そして、三(さん)の事も振り回した。
でもね、俺には竹と三(さん)が必要やった。
癌の痛みや辛さに耐えるために、二人が必要やった。
特に、竹は親友であり家族やった。
だから、最後まで竹が俺には必要やった。
この事を知っても二人に対する態度はかえんとって欲しい。
俺は、生まれ変わっても九你臣(くにおみ)の兄になります。
【たつ】
「ホンマにアホやな。わざわざゆわんくてもええのに」
俺は、そう呟いて日記帳を取り出した。
「僕、知らんかった。あんな家族やって」
「ゆっくんは、何も言わんかったもんな。でも、たっくんは知ってたんやな」
母は、そう言いながらビールを飲んだ。
「親やのにな。酷い人もいるんやな」
父は、そう言いながらビールを飲んでる。
「おかん、おとん、兄ちゃんの一生のお願い叶えたってくれてありがとうな」
「全然、お母ちゃんとお父ちゃんは、あの手紙見てから竹君をこの家の子にしようって決めてたから。なあ?お父ちゃん」
「せやな。竹君は、4歳の頃から知っとる。たつの双子みたいに思っとったな。三(さん)もやけどな!」
「そうやな。竹君と三(さん)ちゃんだけは、4歳から知ってるもんなぁー。ホンマに、双子みたいな感覚やったわ」
そう言って、母と父は懐かしそうに笑っていた。
「竹君のお母さん亡くなって、再婚したん聞いた時、お母ちゃん大丈夫かなあ?ってずっと心配してたんや。」
「そうなんやな」
「早う聞いたげたらよかったわ。ほんなら、あんな辛い思いせんでよかったのにな。」
「僕は、竹君があんな父親に1ミリも似てへんくてホッとしたわ」
「わかるわ。お母ちゃんも思ったわ。あの綺麗な顔はお母さん譲りやったんやな」
「父親は、半魚人みたいな顔やったんか?」
父が、ぐたらないボケを言った。
「なんでやねん。まあ、意地の悪そうな顔やったわ」
「そやな。九你臣(くにおみ)のゆうとおりやわ」
「僕、明日家の片付けしたいから寝るわ」
「引っ越し賃渡すから、引っ越しやさん頼みなさい。週末にでも」
「わかった。」
「後、これ九你臣(くにおみ)にたっちゃんから手紙預かってたから。読んだって。お母ちゃん、中身知らんで」
「わかった、おやすみ」
「おやすみ」
僕は、二階の部屋に上がる。
もう、隣の部屋に兄ちゃんはいない。
それが、何とも言えないぐらい空しかった。
部屋に入って、兄ちゃんからの手紙を開いた。
【九你臣(くにおみ)へ】
この手紙を読んでも、三(さん)や竹から話してくるまで黙っていて欲しいです。
九(きゅう)、一生のお願いです。
「また、一生のお願いやんけ、何回使うねん。」
僕は、手紙に突っ込んだ。
そして、また読み出す。
九你臣(くにおみ)は、もう美(めい)から日記を受けとりましたか?
受け取っていないとしても…。
白状します。
俺の日記の黒塗りの名前は、竹です。バレんように平仮名二文字で書いて美(めい)に渡す時に塗りつぶしました。
なぜ、そうしたかと言うと、決して竹は男が好きな人間ではないからです。
竹に、男の味を教えたのは俺です。
日記を読めばわかりますが、俺は、酷いことをたくさんさせた。
まあ、他の黒塗りは竹の事を考えてネタバレはしません。
一枚目が、終わった。
竹君だったとは、驚いた。
後で、日記の他のページも読んでみるか…
九你臣(くにおみ)には、内緒にしてましたが、俺は、三(さん)と付き合っていました。
三(さん)は、俺の最後の恋人です。
「三(さん)、兄ちゃん好きやったん!」
僕は、驚いてその文章を何度も呼んだ。
頭にきちんといれられたから、次に進む。
三(さん)に、俺を覚えておいてもらうために、俺は、色んな事をした。
最低なやつだと思います。
そして、死ぬ間際になると三(さん)を他所の人間に渡したくなくなった。
それなら、竹にと思って三(さん)に竹を託しました。
嫌、逆かな?
俺は、九你臣(くにおみ)の知ってる優しい兄でも立派な兄でもありません。
自分勝手に竹を傷つけ、竹にだけ重い荷物を預けた。
そして、三(さん)の事も振り回した。
でもね、俺には竹と三(さん)が必要やった。
癌の痛みや辛さに耐えるために、二人が必要やった。
特に、竹は親友であり家族やった。
だから、最後まで竹が俺には必要やった。
この事を知っても二人に対する態度はかえんとって欲しい。
俺は、生まれ変わっても九你臣(くにおみ)の兄になります。
【たつ】
「ホンマにアホやな。わざわざゆわんくてもええのに」
俺は、そう呟いて日記帳を取り出した。
0
あなたにおすすめの小説
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【完結】毎日きみに恋してる
藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました!
応援ありがとうございました!
*******************
その日、澤下壱月は王子様に恋をした――
高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。
見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。
けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。
けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど――
このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
青龍将軍の新婚生活
蒼井あざらし
BL
犬猿の仲だった青辰国と涼白国は長年の争いに終止符を打ち、友好を結ぶこととなった。その友好の証として、それぞれの国を代表する二人の将軍――青龍将軍と白虎将軍の婚姻話が持ち上がる。
武勇名高い二人の将軍の婚姻は政略結婚であることが火を見るより明らかで、国民の誰もが「国境沿いで睨み合いをしていた将軍同士の結婚など上手くいくはずがない」と心の中では思っていた。
そんな国民たちの心配と期待を背負い、青辰の青龍将軍・星燐は家族に高らかに宣言し母国を旅立った。
「私は……良き伴侶となり幸せな家庭を築いて参ります!」
幼少期から伴侶となる人に尽くしたいという願望を持っていた星燐の願いは叶うのか。
中華風政略結婚ラブコメ。
※他のサイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる