桜髪の乙女は元兄上様、魔女で絶対な悪役令嬢へと堕落す。弟を奪うために

書くこと大好きな水銀党員

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極悪令嬢に堕ちる

面傷の令嬢

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 私は身辺調査から、メグルちゃんを知ることになる。深い所は調べず。学園の中での彼女を調べた。友達は居らず、皆が距離を置いているのは下校中で既にわかっていた。チラチラと少し前から……目に映っていたが。気になり出したのは最近である。

 鋭い顔をつきの女の子。顔の傷で影でバカにされ、言葉使いなどで恐がられ、学園で孤立していた。令嬢同士での喧嘩で手も出してしまった結果でもあり。粗暴な印象を受ける。よく言われる育ちの悪い子。逆に言うと学園でしっかりと勉強が必要な子だろう。

 そして……やっぱり……気になる。

「おはよう、メグルちゃん」

 そう、堂々と他人の椅子を借りて彼女の前へ現れた。

「あん、おめぇ昨日の」

「エルヴィスです。おはよう言ってほしいなぁ」

「ああん?」

 眉を歪めて。敵意を剥き出す彼女に私はある感情が湧く。かわいいと……私を知る令嬢はどこか最近距離を取り怖がるのだ。それが全くない所を見ると私の事を知らないのかもしれない。

 噂に左右されない人である。

「なんだよ、おめぇ。ここはお前のクラスでもないだろう?」

「特権です。先生でもあるのでね。まぁ今日はお休みをしている所ですよ」

 基本は教え込み。後はゆっくりと修練するだけである。私はいらず。バーディスとルビアちゃんだけでなんとかなる。あとは己の魔法を目指すため目を離しても大事にはなりにくい。

「……私になんのようか? あれか仲間になれって言うのか? はん……お断りだね」

「仲間になって欲しいは確かにある。だけど……それ以上に……触れてもいい?」

「何を!?」

 両手で彼女の顔を掴み、目を見つめる。傷ついた顔だが非常に整っており二重に睫毛が長くクリっとした瞳で美少女と言われても間違いではない。そのお陰か、傷ついた顔にどこか妖艶な魅力を感じていた。

「綺麗な顔……私の商品モデルになりませんか? スタイルもよく、似合う服がございます」

「綺麗な顔!? おま!! 手を離せ!!」

 手を振りどかされ、私は笑みを溢す。照れているのか顔を背ける彼女にかわいい反応を引き出せた事を喜んだ。

「かわいい」

「ばっか……くそ。どっか行ってくれ」

「嫌、照れてる所を見ると満更でもないのでしょう?」

「そんなことはない!! うっさいな!! 殴るぞ!!」

「どうぞ。ボコボコにしてあげます」

「おっやるか?」

「やらない。かわいいかわいい女の子を殴るにはちょっと怒りも理由も足りないわ」

「くっ……」

 褒めると彼女は悶える。慣れていないようでいい攻めが出来ていると私は実感出来た。

「まぁ今日はこれだけにしとくね。メグルちゃん」

「気安く私の名前を呼ぶな……」

「呼ぶ。絶対に仲間にするから」

「……」

「覚悟しときなさいね。一回決めたら折れるのは事情があるときだけだから」

 私は立ち上がり。そう、念を押してその場を去った。彼女には才と体のスタイル、顔など。必要だと感じたのだった。






 早朝から、変な令嬢に絡まれた。机に肘を置き熱い頭を置いて悩む。目をつけられたのは綺麗な令嬢だった。名のある令嬢だろう。

「よっこらしょっと」

 私は立ち上がり、クラスのこそこそと噂話をしている令嬢に近付いた。怯える表情に苦悩しながらも……問いかけようと近付いたのだ。

「おい、少しいいか?」

「あ、はい」

 怯えるクラスメイトたちに私は聞く。

「あの令嬢、エルヴィス・ヴェニスと言う令嬢について教えて欲しい」

 その問いにクラスメイトは目を丸くし、口々に噂話を聞かせてくれた。非常に噂が出回っている令嬢であり……まるで人が変わったように恐ろしい令嬢になったのだと言う。

 聞けば聞くほどにやっかいな人に目をつかえられたと思い頭をかきまわした。

「ああ、ありがとう。面倒だなぁ……令嬢同士喧嘩してるのかよ……」

 目の前の令嬢も何処かのグループに入っているだろう。入っているからこそ……怖がる。そう敵なのだ。

「畜生、なんで私なんだよ」

 口が悪いのは知っている。丁寧に喋ればいいだろうがそれは嫌だった。私は……この顔に傷をつけた令嬢みたいになる気はさらさらない。

「……」

 だからこそ、少し変わった令嬢が気になったのだろう。

「ああ、ああ、面倒だなぁおい」

 頭に『顔がかわいい』と言われた事が残り続けるのだった。





「……あら、お帰り?」

「げっ」

 帰る前にあの令嬢が一人で待っていた。満面で待っていた彼女に私は背筋が冷えた。噂話で聞いていた事が過る。

「一緒に帰りませんか?」

「……そうやって懐柔しようとしてるんだろう」

「もちろん、仲間になってもらおうとするならですけどね。まぁ、もう一つは気になって気になってしょうがないんです。恋ですか?」

「ば、ばっか!? 何を言ってるんだ」

「ウブな反応もいいですね。昔に捨ててきた感じです。初々しくて新鮮ね」

「近づくな!!」

 目の前に整った。そして大きい瞳が私を見つめる。優しい瞳であり、噂通りの人なのかと疑ってしまう。だから……聞いてしまう。

「あんた……魔女って言うんだろ」

「魔法使いの女の子ならそうです」

「噂、聞いたぜ。学園私物化してるんだってな」

「力ある令嬢なら皆さんしておりますよ。クラス変え多いでしょう?」

「令嬢同士で喧嘩して何する気なんだよ……あんたら」

「私はそうね……弟を取り戻したい」

「弟?」

 エルヴィスの目に寂しい雰囲気が漂う。弟と言う単語に噂を思い出す。エルヴィス嬢は……クライン・エーデンベルグに恋をしていると。それは弟であったと。

「詳しく聞きたいなら喫茶店行きましょう。お話しましょう」

「あっ……いや……」

 しまったと思う。そして……私の手はエルヴィス嬢の腕に掴まれていた。痛みを発するほど力強さを感じて頬に冷や汗が流れる。そう、握られてわかる。強者だと。従うしかないと……

「わかった。離せ……痛い」

「ごめんなさい。初めて……女性を誘うものですから」

「令嬢のグループがあるだろう」

「そうです。ただ……心の思うままに誘うのは初めてですよ」

「はぁ……」

 エルヴィス嬢は照れた表情が可愛く。私の警戒を解くには十分すぎるほどだった。







 









 
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