【完結】復讐に燃える帝国の悪役令嬢とそれに育てられた3人の王子と姫におまけ姫たちの恋愛物語<キャラ文芸筆休め自分用>

書くこと大好きな水銀党員

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兄姉・ガブリエル

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 皆が昼食を済ませ、午後の休日を楽しもうと動き出す。全員が全員……一緒にとはいかない。何故なら……


「ウリエル、稽古」


「ラファエル。わかった……約束でしたね」


「魔法は無し」


「ハンデかな?」


「……ウリエル。その優顔をボロスさんと母親以外で歪ませてやる」


「……………」(うん。確かに歪んでしまうよね。その二人に対して)


 ウリエルはボロスには苦言を母には呆れる事とどうも頬が緩んでしまう事を思い出しながらソファーから立ち上がる。


「ラファエル……そこまで言うんだ。幻滅させないでほしい」


「……はい」


 ピリピリした二人を4人は見送り。今度はミェースチを姫様抱っこされて皇帝のロイドが立ち上がる。


「あら? 何処へ?」


「稽古を見ようじゃないか」


「わかりました。けども……姫様抱っこの年ではないです」


「姫様だ。ワシにとって」


「家族で一番弱いのに?」


「……………素直になれよ」


「……恥ずかしいじゃない」


 力はあるが剣はダメな皇帝はそのまま黙って部屋を出る。メイドも家事を行うために去り。残ったのはミカエルとガブリエルだけになる。


「………全員。いっちゃったね。ガブ姉」


「………」


「稽古か~昔はよくガブ姉さんとやったなぁー」


「………」


「………ガブ姉?」


 ガブリエルは二人分の距離を保ったまま。手を合わせて鼻と口を塞ぎ目線を左にずらし……少し耳が紅くなる。


「ガブ兄さん。二人っきりだね」


「……そうだな」


 兄さんと言われて昔の口調に戻ってやっと声を出すことが出来た。手は両膝に置き、スカートを掴むガブリエル。肩をきゅっと縮めた。


「…………はぁ。皆が居るときはスッゴいかまって来るのに。調子狂う」


「………」


 ガブリエルとミカエルの二人分の間は縮まらない。


「兄さんそっち行ってもいい?」


「……いいよ」


 スッ


 ミカエルはガブリエルの隣に座り半目でガブリエルを見る。真っ赤になるガブリエルに大きく溜め息を吐く。


「乙女かよ」


「……くっ……仕方ないじゃないか。皆が居るときは兄弟のじゃれあいのように出来るけど。二人きりは我に帰って……恥ずかしくなるの」


「やめればいいじゃんか!?」


「やめたら!! やめたら………ミカエルが皆に取られちゃう………ミカエルは末っ子で皆に愛されてるから……」


 ミカエルにガブリエルは怒鳴ったと思ったらドンドン声が小さくなり……そっぽ向く。


「はぁああああああ? きっも」


「な、何を!!」


 ペンッ!!


「いたっ!?」


 ミカエルが振り向いたガブリエルのおでこにデコピンをし、ガブリエルが半べそでおでこを撫でる。


「はい。油断した。昔からそうやって油断するから捕まって犯される」


「犯されてない!! 健全!!」


「知ってる冗談だよ、ガブ兄。ちょっとなんか意識し過ぎでさぁ~疲れない? ウリエル兄さんはラファエル兄さんと一緒だし。母さんは父さんと一緒。今のような状態が続くわけだし。昔みたいには戻れないと思うけど……もう少し……大人になろう」


「………ミカエル」


 ガブリエルは胸に暖かいものを感じ、胸に手を当て拳を作り笑みを溢した。


「ミカエルはスゴい。変わらない……昔も今も」


「変わるわけないじゃないか……女だって知ってたし……これでも変わったから。逆に姉さんは泣き虫になったね」


「ごめんな……兄さん。変わりすぎちゃったよ」


 ガブリエルは照れながら昔のような苦笑いをミカエルに向ける。


「俺もいっぱい変わったよ……あんまり触れなくなった。ガブ兄に」


「確かにね。ミカエル? 意識する?」


「意識する。姉さんは綺麗になりすぎた。触れるのも躊躇するよ……婚姻前の姫だし」


「………あら」


「………まぁ~なんともね」


 見つめ合う。気まづいような空気ではなく。何処か姉と弟の間になり、ミェースチは口を押さえて震える。


「ミカエル。耳掃除してあげよう」


「マジで? お願い」


 ガブリエルは机の耳かき道具セットを手にし、ポンポンとももを叩く。ミカエルはなんの躊躇もなく頭を預ける。


「すんなり来たけど。ミカエルは恥ずかしくないの?」


「姉さん。何年も同じようにやってくれたでしょ? 女だと気付いた理由に当たるものがないのもあったし」


「…………」


「姉さんこそ。顔が真っ赤だよ」


「うるさい」


 ガブリエルはミカエルの耳を引っ張る。ミカエルは痛がり、耳を押さえた。


「つぅ~容赦ねぇ~」


「おちょくらない。ミカエル……危ないから……動いちゃダメよ」


「はーい」


 大人しくなったミカエルにガブリエルは丁寧に耳を掃除する。無音の空気が流れたのだった。







(ウリエル。見えない)


(ラファエル……スゴいぞ)


(何が?)


(ガブリエルが恥ずかしがってるのにミカエルはいつも通りだ。優しく安心させるようにゆっくりと言葉を出し、心を落ち着かせて……今は耳かきをねだって普通に耳かきをしている)


(ぐっ……末っ子恐るべし。どこでそんな女性の対応を……ウリエルか?)


(ああ……ラファエルと僕たちを見ていたのかもしれないな)


(ウリエル、ラフェエル。どうして私の子はああもいい子に育ってしまうの?)


(それはだな……ミェースチ)


(((反面教師)))


(納得した……あっ)


(ミェースチ!! ワシにも見せろ)


(ラファエル交代だ)


(ウリエル?)


(ラファエル。僕はもう……あの甘さに耐えられい。見届けてくれ)


(ウリエルううううううううううう!!)


 真っ正面の扉の隙間から二人を伺っていた4人はそのまま監視を続行する。


 何も言葉を発しない。ただの空間だが……ガブリエルは皆の知らない女神のような微笑みで耳掃除をし、ミカエルは力を抜いて目を閉じていた。長い睫毛にミカエルの精巧な顔がよく見える。


 そんな中で……ミカエルはどうやら寝息を立て初める。ガブリエルはそんな彼を優しく頭を撫でた。


 そして………仰向けにミカエルがなると………







 ミカエルが寝てしまった。お腹一杯からなのかすぐに寝息を立て……仰向けになる。赤い髪に男の子なのに綺麗な二重と睫毛にガブリエルは耳かきを落としてしまう。


 起こさないように取ることも出来ず困っていると。ガブリエルはつい、ミカエルの唇を見てしまう。


 誰もいない……誰も見ていない。ガブリエルは……悩んだ。兄とも姉とも慕う弟のを奪うのは……ミカエルの誠実な想いを汚す事になると。だが……いつか誰かに奪われてしまうというのを考え。頭がぐるぐるとする。だが………でも……と巡る。


「………姉さん……」


 しかし、ガブリエルはミカエルのかすかな寝言に……どうしようもなくなる。髪を耳にかけ、ゆっくりと体を無理な体制にして曲げて………唇を近付ける。


「……ごめん……ミカエル……私は最低な兄です」


 唇を重ねようとしたその瞬間。


 ドタッ!! ギィギィ……


「あっ……ん? ごめん姉さん。寝てた……方耳終わってないの……あれ? 母さんたち?」


「………ミカエル。少し待っててね」


「ガ、ガブ姉さん!? ひえっ!? ガチ怒りじゃん!! 何が!?」


「ミカエル……」


「はい。何も聞きません」


 扉でウリエル、ラファエル、ミェースチ、ロイドが倒れていたのを慌てて立ち上がる。ミェースチが悪気もなく笑みを向けた。


「残念……あとちょっと。残念だったわねー」


「う……うわあああああああああああああああ」


「まぁ……認めてあげないけどね」


 悪い笑みで二人の仲を裂こうと、苛めようとするミェースチ。そして………


 がっしゃああああん!!


「「母上!?」」「ミェースチいいいいい!!」


 一瞬のうちに移動したガブリエルの昏倒させられる。ミカエルはまたかよと母を呆れながら介抱する。3人は全速力で逃げ出し、ガブリエルはそのまま追いかけた。


「ラファエル!! 父上!! 殿をします!!」


「兄さん!?」「ウリエル!!」


「逃げ延びてくだ……」


 がっしゃああああん!!


「「ウリエルううううううううう」」


 屋敷に悲痛な声が響きわたるのだった。







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