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正直者は英雄(失恋)の始まり②
しおりを挟む俺の青春は実は恵まれている。何故なら目の前に二人も異性がおり、その異性は普通に可愛い子と美人な子、一人は銀髪のカンバラヒム。もう一人は彼女の幼馴染みのタカナシヒメと言う。亜麻色の長髪を靡かせる綺麗なお嬢様だ。
ヒムの親友だから、タカナシさんは自分とも関わりがあり。そして、俺はクラスで恨みの対象となっている。ヒムとタカナシは違うクラスだからこそ、大変である。
「おうおう、ヒーロー。今日も美少女と登校かぁ~」
「一人ぐらい分けてくれよぉ」
「いいよなぁ~幼馴染みが居て。リアルでそんな奴が居るとは思わなかった」
そう、彼女達に関する話題をよく振られるのだ。特に3人、リーダーのシモズル、サブのタカハシ、カバーのキノシタと名前でなくニックネームで呼び合う仲のいいクラスメイト兼、同僚である。個人的には自慢する話でもないので困るのだが、それでも聞きたいクラスメイトは多い。ヒムの助言では「自慢はしない事、私の情報は知っている事は『全部開示』すること」を教えられている。しかし、さすがに俺にも分別はある。
「お前ら……ヒムとタカナシさんのご厚意で聞けてるんだからある程度自重しろ!!」
「ブラジャーみたいな」
「百貨店、ネットで見ろ」
「見てる。お前、見てるんじゃないんか? カンバラちゃんの」
「……見てない」
俺が答えると同時に数人のクラスメイトが俺を縛る。「何処から出したその紐!!」と叫ぶ。そして手際のいい公安同僚に詰められる。
「反応は何秒かかった? サブ」
「0.5秒です、リーダー」
「君、嘘をついたね。見たんだね。カンバラのブラジャー」
「待ってくれ!! 言い訳を!! 洗濯物に入ってたんだ!! 冤罪だ!!」
「リーダー!! こいつ余罪がありますよ!!」
「判決、主文後回し」
俺は極刑を宣言される主文後回しは死刑、無期懲役など重い場合ある。
「弁護士を!!」
「よし、カバーやれ」
「死刑が妥当かと」
「弁護しろよ!!」
ツッコミが追い付かないほど、攻め立ててくる。そのままホームルームのお時間になり、担任の先生が顔を出す。整えられた長髪の先生が縛られてる俺を見て、目線をそらしそのままホームルームを始めた。
「先生!?」
「さぁ、点呼をとるぞ。遊んでないで座りなさい」
「これ、いじめですよ!?」
「君のような強者がいじめられるわけがないだろう」
俺は毎回のことだが、先生はどこか抜けているんじゃないか思うのだった。
*
「いっつも最悪だ」
「それで毎回、マサキが私を呼ぶのは油に火炎放射だよ」
昼休憩、ヒムとタカナシさんを呼び一緒に弁当を食べる。ヒムお手製の時もあれば売店の時もある。だが、毎回毎回この二人である。そして、3人の同級生も一緒だったりする。
「いやぁ、いつもいつもすまねぇなぁ」
「俺は呼んでないけどな」
「いや、親友じゃんか。マサキ」
「リダ、極刑言い渡した奴が親友と言えるか?」
「一緒の空気を吸わせてくれ。ずおおおおおお」
「いや、キモいって。ヒム、タカナシさんごめんな」
「いいよ、別に。ヒメちゃんも楽しんでるし、ヒメちゃんはこういう所に突き出さないと引きこもる」
「そうですね。私も、何故かいつも背中を押されてるような気がするんです」
満面の笑みで二人は談笑し、その空気をリダは吸う。それに対してサブとカバーも同じようにする。
「ああ、これが青春の香り」
「公安員になればモテると思ったんだけどなぁ……」
「イケメン公安員ばっか、モテるよなぁ」
愚痴愚痴と言い合う3人。おれも加わり「わかる」と言うと睨まれて中指を全員に向けられる。なぜその行為なのかは納得できるが納得できない。
「俺にだけ、当たり強くない?」
「心に聞いて見ろよ。おれは言ってるぞ、モテる奴はシネと」
「モテている自覚はない」
「私が睨み付けてるからね……ごめんね」
俺はヒムの瞳を覗く。ヒムは箸の先を口につけながら「何か変だった?」と表現するように首を傾げる。それを見ていた3人は唇を噛み。怒りで震える。
「ヒムちゃんが牽制してるだけでモテてるじゃないか!!」
「冤罪だろ!!」
「まぁ、ヒカリがモテるのは仕方ない。魅力的だからね。仕方ないこと。そう、魅力的」
「ヒム!? お前が謙虚になんたらこうたらと……」
「それは自分自身を評価するのは『甘さ』がある。他人からの評価は謙遜しながらも素直に受けとるのがいいよ。だから、そこの3人は『モテる、だから自分たちが狙っている女性に関わられたら困るから、君は敵、死んで欲しい』と言ってるんだよ。最低だね」
「え、ヒムちゃん。この3人……」
タカナシさんがヒムとコソコソと話をし、3人が慌てる。
「ヒムちゃん!! そこまで言ってないよ」
「そうだよ!! 仲いいもんね」
「なっ!!」
「………手のひらクルクルだなぁ」
呆れるほどに青春を謳歌している3人にそれを楽しんでいるタカナシさんもそれを見ながら笑うヒムに俺も自然と笑って居られた。そんな中でタカナシさんがヒムにお願いする。
「音楽室行こう」
「ヒメちゃん、わかった。行こう」
タカナシさんはよくヒムと一緒な理由に幼馴染みと同じようにピアノの練習仲間だ。音楽室に向かうのを邪魔せずに背中を送り出す。
「タカナシさん綺麗だよなぁ」
「おう、ぶっ飛ばすぞ囚人」
「仮釈放だと言うことを忘れてるな」
「よし、二人が行ったな」
「帰ってきてくれヒム、タカナシさん!?」
俺に猛獣3人を相手にしないといけない俺はメッセージで助けを求めるのだった。
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