嘘つきの怪人は記憶泥棒(初恋)の始まり

書くこと大好きな水銀党員

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嘘つきは初恋の始まり①

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 学校で俺は空虚感に苛まれていた。入学式後、全く何か面倒で呼び出しも聞くが事件等々を適当に解決していた。学校後に俺の力は成長し、異常に鋭く酷く。残酷なほどの物を手に入れていた。怪人の体は映画エイリアンのように腹をぶち撒けて死ぬ。テロリストは手足を縫い付ける。そんな残酷な俺は恐れられていたが、何故かやりがいを感じずにずっと生活していた。

「あー面倒」

 何人かの女友達、男友達がいる。何故か勝手に入っていた連絡先を知っておりそいつがどういった奴かも知っていた。俺だけが誰よりも「トク」している環境。違和感は続く。

「またサボって屋上に来てるのかいヒーロー」

「お前も同じだろピアニスト」

 彼はタカナシミキ。妹にタカナシヒメと言う美少女が居る。兄弟揃って顔面偏差値が高くムカツク彼らだが性格もよくてよけいに反吐が出る。

「ピアニストなんて……大層な褒め言葉だね。先生には言ってある。『英雄病』だってね。『PTSD』と言えばいいのかな? 治療受けてるんだろ?」

「聞いても見たけど。そうに違いないと言われてるだけだ」

 スラッとした友人が俺の隣に座る。病的な白い肌に日焼けクリームを塗っていた。

「皆、そう言う。中には戦ってる方が気楽で歪んで海外の紛争、戦争に行ってしまう人もいる。有名な事件は多い。先生は本当に悩んでるよ。難しい歳頃に。俺の話を聞いて顔を暗くする」

「そうだな。ああーあ。オレやっぱ病気だな。なんか、全く身が入らない」

「それでも僕のピアノは聞いてくれる」

「好きなんだよ。ピアノ」

「だけど、泣くのは症状出てるよ」

 そう、俺は何故か勝手に涙が溢れる時がある。それがあってから精神病院への通院を課せられていた。

「無感情じゃないんだ。君は僕が知っている。だけど、戦ってる時は無感情でやはり問題があると思う」

「トラウマ、あるんかな?」

「それを調べるのが大人たちの仕事だろ。ヒーローの鬱は恐ろしい被害出るからね。『怪人』と変わらない」

 特権のような、それでいて監視されている状況に溜息を吐く。友人の彼は音ゲーを始めて俺は空を見上げた。そのまま、唐突にスマホに手を伸ばして連絡をしようと手を動かしたが、止まる。

「俺は誰に連絡しようとした?」

 連絡先を探すが探す相手がわからない。

「気にしないほうがいいよ」

「あ、ああ。わかってる。症状でてるよなぁ」

 唐突に居ない誰かを俺は求める。





 診査日、俺はそこそこ有名な私立病院に通う。何故か診断書を書いて貰っての紹介であり。俺のような患者ばかり通っているのか、世間的に「危ない病院」呼びされていた。レッテル貼りは酷いが事実は非常に綺麗な病院である。外壁は白いタイル目地に見える複合素材の外壁で太陽を反射し眩しい。入院患者は居るには居るが、どういった患者かわからない。公園も併設されており庭師が丁寧に管理しているので見栄えは本当にいい。その公園では看護師の保育園児がはしゃいで遊んでいた。

 そんな病院でいつものように医者と面談。薬は処方されず、経過報告のみになる。ベンチに座り青い空を眺めた。いい天気だクソ野郎。

「あーあ、ここも藪医者かぁ」

「ははは、手厳しいね。こんにちは」

「ん、こんにちは……すいません。病院前で」

 俺の前に中年の医者が苦笑いを浮かべて俺を見ている。ここの病院の医者らしい。俺は悔いる。

「いや、君の悩んでる症状を治療出来てないんだ。どんなに怒られようと治すか、症状を軽くしてはじめて医者といえる。医学にはまだまだ発展する世界がある。病はゼロにはならないのだから」

「なんか、ヒーローみたいっすね」

「ある意味で君と同じだね。人を助ける『仕事』だよ」

「俺の事を知ってるんですか?」

「うむ。君の上司から。『有望な人材を廃人にしたくない』と言われてね。隣いいかな?」

「はい」

 名医なのだろう。そんな匂いがする。

「私の名前はゴンドウヤブオ。藪医者と言われてもしょうがない名前をしている。医大でくっそ馬鹿にされたなぁ。だが、父は藪医者は名医であるからつけたらしい。捻くれたお父様だった」

「そうなんですね」

 この医者はめちゃくちゃ世間話をする。それはフレンドリーでそして巧みに話題を誘導しようとする。だが、俺はあまりいい反応を示さない。

「うむ、君は賢い。警戒しているね。まどろっこしいのはダメそうだ。君が苦しんでいる症状を聞こう。いや、私の症状も教えよ。『ある日からぽっかりと胸の何処か穴が空いたような空虚を感じている』と言う症状だ」

「!?」

「同じ症状だね。私も今、すごく苦しんでいる。愛すべき養子が3人ほど居るんだが。その子達も同じ症状に苦しんでいる。唐突に虚空に声をかけたり、私に至っては弾けないピアノを購入してしまった。病院外でね。弾けないピアノを見ながら私は待っている。なんで待っているかわからない」

「……ピアノ好きなんですか?」

「わからない。昔は音楽はそこまで気にしなかったが、病気に効果があるようで依頼するぐらい程度だった。しかし、今は悩んでいる。聞こえない事に」

「同じですね。なんでか、俺も聴くとさみしい気持ちになるんです。なんででしょうか?」

「そうだな。予想するなら私には養子の子にピアノが好きな子がいたんだと思う。で、何かの事情で消えてしまった。私もおかしいと感じる断片が多いんだ。仕事でね。昔は出来ていた事が出来なくなっている。君、私が怪人と言ったら信じるかい?」

 俺は唐突なカミングアウト共に「ヒーロー」としての何かを失った事を知る。

「信じましょう。自分の目の前に出るからには相当お強いですよね? なら、ここでやり合いたくはない」

「賢いね。私もだよ。私の能力は『父性』だ。故にこの能力がうずく。娘の幸せを願うのだが『相手』を見失っている。そう、消えてしまった。しかし、本当に消えたのかね? 私も君も体は覚えてそうだがな。深く深く体は覚えている。手を組まないかヒーロー。『誰か救ってみせる気があるなら』」

「その誰かを知らないのにどうやって探すんだ」

「わからないから探すんだ。君にこれを渡そう」

 俺はスマホを受け取る。高価で高性能な物に怪人としての連絡ツールだとわかった。

「なんでここまで!? もしも俺が裏切ってチクったら終わるのに」

「病院を潰すのかな? 他にも手広くやっていてね。経済もグチャグチャになるだろう。まぁ、病院の者には人質になってもらう」

「汚い大人だ。だけど、ありがとう。やっと立てる気がする。何を探せばいい?」

「体の反応を一つ一つ書き記すんだ。スマホにな。それは私たち全員に行き届く。私達も同じように『かけら』を拾っていく。すると必ず。どういった人なのか思い出せる分岐点が訪れると思う。過去の私が残した方法で」

「過去の?」

「消える事が予想されてたんだろう。厳重な金庫に残っていたよ。3人の間に『怪しい空間』がある写真をな」

「それ貰えますか?」

「ああ、無くすなよ。ヒーロー。私の宝物だ」

「ヒーローじゃないです。ああ、そうか。俺はヒーローになれなかったから。空虚だったのか」

 写真を受け取ると何処か見た事のある3人が立っており。笑顔でカメラに目線を寄越していた。しかし、その中心がぽっかり何もなくなっている。怪しい構造に違和感がある。

「先生、ありがとう。藪医者ですね。治療されそうだ」

「頑張りたまえ」

「はい」

 俺はベンチから立ち上がり、友人に連絡をするのだった。






 友人宅は珍しい豪邸様だ。芝生の庭にピアノ。それもグランドピアノが置いてある。ただ家族は働き詰めで兄妹だけが生活している場所である。そんな家におれはお邪魔する。

「なんだい? 話って」

「病院の帰り、ちょっとピアノが聞きたくて」

「そういう事なら。飲み物はペプシコーラでいいね」

「妹は?」

「部活。吹奏楽」

「そうか、そうだった」

「経過は?」

「上々、重いものが取れた感じだよ」

「よかった。わざわざ顔を出してくれたんだ。一曲どうだろう?」

「ああ」

 彼が移動しピアノの鍵盤を叩き始める。プロと言えるほどに滑らかに的確に音を部屋に溢れさせる。だが、彼には決定があった。完全に弾けるが感情に乏しいと思ってしまう。

「99点、100点だろうけど」

「5点は感情かい? 音に感情は乗らないよ。だけど……確かに君のために弾いていない。贅沢だよね。そこでその1点をしったんだい? それに異常にまで君は耳がいい。音楽しなよ」

「……聞くのが好きなんだ。そうだなぁ、放課後の音楽室で聞くのが好きだった。うまい癖に……確か……そう。プロになる気がなくて……」

「何の話だい?」

「いや。思い出そうとしてるんだ。俺は……ずっと誰か。いたんだここに」

「ここに? 僕と妹だけじゃなく?」

 ガチャと音がし、彼の妹が顔を出す。口に◯ッキーをくわえた姿で現れて驚いた声をあげた。

「お兄ちゃん!! 友達来てるなら言ってよ!! それも……彼なんて」

 短パンTシャツで非常に健康的な彼女は慌てた。

「こんにちはタカナシ」

「お兄ちゃんもタカナシですよ」

「そうだな。ピアニストって俺は呼んでるからなぁ」

「僕は君をヒーローと呼んでるね。妹は君の事を好ましいと思ってるよ」

「お兄ちゃんヤメてよ。それにね、彼女居るんだよ」

「「?」」

「彼女が……聞いたら………」

 俺達は沈黙する。タカナシは口を押さえてワナワナと震えた。頭を押さえて考える。

「俺の彼女?」

「えっと、わからない。誰だろう」

「特徴は覚えているか? 居たから。可愛いのが」

 嘘をつく。嘘をつき、タカナシは目を強く閉じて言葉を零す。

「凄く美人で……垢抜けた。ごめんなさいわからない」

「わかった。わかった。わかったよ。ありがとう。ピアニスト……1%の相手はきっと忘れている誰かだ。俺は実は探している。『忘れてしまった人』を」

「忘れている誰か。君はその人を思い出せない。僕も知らない人かな?」

「……なんだろうな。たぶん俺とタカナシは会ってるけど。お前は会ってないと思う」

「いや、僕も思い出せない人が居る。二人ともに秘密を話をすると僕は『怪人』だ。しかし、能力もないし思想も全くない」

 唐突な暴露に俺とタカナシは彼に近付いた。

「後発!? 俺に言うとどうなるか分かって言ってるのか!!」

「ああ、でも僕も君の探している人を知りたい。たぶん、僕を助けてくれた人だ。元々僕は『病死』する筈だったんだよ。妹も覚えているだろう? 体が本当に弱かった」

「うん。お兄ちゃんは成人出来ないって言われてて……でも、でも」

「僕を救ってくれた人は怪人だ。しかも、僕が死ぬ運命を消した能力。それが怪人にさせられたわけじゃない。僕の死ぬ以外の運命は怪人化しかなかったんだきっと」

「お兄ちゃん!! なんで黙っていられなかったの!! バレたら死んじゃう」

「いや、死なないよ。見過ごされる。怪人だと思うんだけど。わからない部分もある。元々弱いから普通になっただけで人間でもあるよ」

「そうだな。疑わしきは罰せず。でも、お前を救った怪人がなんで俺達の忘れている誰かに繋がるんだ?」

「その怪人、消える前に『妹を泣かせないで』と言っていた。妹の前に『居た筈』なんだよ。そして、ここ3人はその『怪人』を知っているのに忘れている。声は凛として、少し。可愛くも愛おしい声だった」

 忘れている彼女は怪人で綺麗な女性。声もいい。メモに記すと少しづつ。ピースが揃っていく。

「ピアニストありがとう。ちょっと用事が出来たわ。ごめんな」

「ああ、もしも見つけたらお礼を言わせてほしいな」

 俺は頷いたあとに慌てて、携帯を取り出して呼び出す。きっと今はトレーニング中だろう。俺は数人に声をかけたのだった。






 

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