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出会いは唐突、一方的に
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私は今日も学園を登校せず家にいようと思う。学園とは令嬢の集まりで横の繋がりを持たせ社交界で生きていくための勉強を行うところだ。婚約者として普遍的な教育を行う機関となっている。
卒業後は結婚する。それまで学園に通う事はは自由な期間とも言え、そのため遊ぶために入る子もいる。
貴族様もよくいらして婚約者を見たり、選んだりもする場所だ。私はそこで………2度元婚約者に出会った。格好いい方だったが。
「あ、さ……………」
天井を見上げながら動きが悪い体を起こす。いつも見慣れた部屋だ。使用人がノックする。
「はい………」
「おはようございます。朝食はお食べになりますか?」
女性の使用人さんだ。綺麗な方で髪を後ろに縫ってある。名前をワルダと言う。
「…………いらないかな。戻すし」
「そうですか………朝食食べれませんか」
心配そうに私の頭を撫でてくれた。お姉さんのよう私を大切にしてくれる。同じ祖父の元で育った仲で、育て親のような別の使用人は祖父の死後、すぐに母によって解雇され彼女が代わりに来た。心配していると言う優しい理由で。
「では、失礼します。昼食は食べてくださいね」
「………はい」
ワルダは部屋を去ろうとする。私に対して無理を言わない。学園へ行けとは言わない。母親と違う。母親は………別宅だが。
「そうそう、御嬢様。一昨日、舞踏会でお会いになったご友人様がお昼に伺うそうです」
「ご友人?」
私にはそんな人はいない。婚約破棄から全員縁が切れたのだ。薄情だが………学園では罵る相手を毎日探している。それの対象になるのを嫌がって私を売ったのだ。
「誰ですか?」
「トラストっと言う方です。アフトクラトル家の次男ですね」
「えっ?」
私は口を押さえる。
「どうして?」
「いえ、私に言われましても………ご主人様もご存知なかったですし」
「………どうしよ。怖い」
「お嬢様。しかし………相手はあのアフトクラトル家。無下には出来ません」
「………そうだよね。逃げる事できないよね」
私は嫌な気持ちのまま。時間を過ごす。
恐怖や、何を言われるのか不安になりながら薬で落ち着かせて。
§
昼になってしまった。今日は天気が良くお庭にてお昼にしようと言うことで手入れの行き届いた庭のテーブルに私は歩く。すでにお客さんは来ているらしい。
ふらつく足。嫌だと心は叫ぶ。だけど………逃げられない。
「こんにちは、いきなりのご訪問、すいません。アメリアさん。お名前覚えていますか?」
「え、えっとトラストさん……こんにちは」
テーブル席にお昼の料理が用意される。家庭料理でポトフとパンだ。謝らないといけない。こんな料理でしかおもてなし出来ないのだから。
「美味しそうですね。すいません………急に来てご飯までいただけるなんて」
「えっ……あっ………その………謝るのは私の家で」
「謝るとは?」
「その………しっかりした物が用意出来ず」
「そうですか。気にしなくてよろしいです。私が食べたいとお願いしたものですから」
「そ、そうだったんですか。ごめんなさい………確認不足でした」
「いえいえ、いただきます」(確認不足の前に言ってませんがね)
黙々と彼は食べる。私は初めて彼をしっかりと見たと思う。金髪の短髪に静観な顔だち。大きい盾のような剣を柱に立て掛けている。私の意見で格好いいと思う。
「食べないのですか?」
「えっと………食欲が無くて」
緊張によって胃が寄せ付けない。
「………すいません。病気療養中でしたね」
「えっ……は、はい」
「心の病気っと伺っています」
「………はい」
実は婚約破棄後、婚約者探しを父親は行ったらしいが病気持ちっと敬遠されて今に至る。腫れ物のように私は扱われているのを知っていた。
「…………大変ですね」
「………」
「安心してくださいと言ってもあれですが。自分は何もしません。そうですね………小説の話をしに来ました。あの王子と姫の物語。好きなんです」
「………わ、わたしも好きです」
王子が優しそうで、婚約破棄されず姫様と仲良くて。
「何処が好きですか? 自分は告白のシーンがいいですね」
「………えっと。私は………」
婚約破棄されない所なんて言えない。姫が自分として読んでるなんて………痛くて言えない。
「恥ずかしいですか? 自分は王子として読んでます。小説のような王子に憧れて」(スゴく恥ずかしいですが………心を開いて貰わないと)
「えっと………その、私も」
「同じですね‼」
トラストが私に笑みを向ける。あまりの明るさに何故か………祖父を思い出した。
「…………うぅ」
そして、ポロポロと涙が浮かんでしまう。お客の前で泣いてはいけないと思う。だけど………抑える事は無理だった。
「ご、ごめんなさい………ちょっと………悲しいことが立て続けに起こってて………」
「大丈夫です。そういう病でしょう。泣いてもいいと思います」
初対面な筈なのに引かずに泣き止むのを待ってくれる。手で顔を隠して泣きだしてしまう。
辛い。痛い。胸が。
「ああ、これを」
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
布のハンカチを手渡され……私はそれで涙を拭う。落ち着いて来る頃には本当に申し訳ない気持ちで一杯になる。
「ごめんなさい………情緒不安定で」
「お気にせず………ご馳走さまでした。では、お話をしませんか?」
「お、お話ですか………殿方が楽しくなるお話は出来ないと思います。申し訳ありません」
「では、自分から。実は小説が好きで好きで小説家になりたかった程。好きですね」
「………」
「一番好きなのは恋愛小説です。この前読んでいた本も好きですね」
「…………」
「変な話、男なんですがね」
「………………えっと。私も好きです」
トラストがパッと明るい表情になる。
「ああ、良かったです。気持ち悪いっと思われるかと思いました」
「そんなこと…………今の私の方が………」
「それこそ変ですね。私には可愛い女の子に見えますよ」
「はうぅあ!?」
唐突に誉めだして私は手を胸に置き驚いたっと言う表情で彼を見つめた。
「ああ、嘘は言ってませんから。今年で幾つでしょうか?」
「じゅ………14です」
「自分よりも10ぐらい下ですかぁ……」
「24ですか?」
「はい、結婚適齢期です。少し年下過ぎてちょっと驚いてます」
「えっ………その………」
「18から20代っと思っておりました」
「そ、そうだったんですか………」
たどたどしく返事をする。早く帰ってっと思っていたが。何故か緊張が解れつつある。だからだろうか、私から質問した。柔らかい気持ちで。
「えっと………お仕事は?」
「黒騎士団所属」
「黒騎士団!?」
「ええ。驚かれてますが、まぁ誰でも入れます」
誰でもっと言うが黒騎士団に入ろうとする貴族はあまりいない。四方騎士団や黒騎士団は実戦があり、あまり好まれて入りはしないのだ。
治安維持の白騎士団は貴族様が多く安全な後方勤務先が好まれているため人気。それでも貴族が騎士を名乗るのは少なくなっている。政職者ばかりが重要視されているために肉体労働は美しくないと言う風潮で。たとえ父親が騎士だとしてもだ。
「それでは………実戦も」
「ええ、経験しております。ですから、あまり良いものは食べてきてませんよ……ははは………軍食は不味い」
「そ、そうだったんですか」
残虐非道の黒騎士っと言われている筈なのに。彼はスゴく優しい方だ。
「黒騎士って言うと怖がるんですが………怖がりませんね?」
「えっと………その。黒騎士の方だとは思っておらず。ですね………」
「そうですか。ありがとうございます!! それでですね~騎士団のお話なんですが」
少し、驚いたが彼は饒舌に話始めた。私は頷くだけだったが騎士さまは終始笑顔で私にお話をする。楽しいお話になった。黒騎士の裏側を教えて貰い以外な事に気が付く。
私たちと変わらないって事に。
「クスッ」
「あっ………やっと笑ってくれましたね!!」
「えっ……あっはい。騎士様の話はまるで小説のようなお話なのでつい………」
「ええ、だって。小説の主人公に憧れて黒騎士入団しました」
「えっええ……」
「引かないでください。若かったんです」
「いえ、何故黒騎士に? 貴族であるならば白騎士団でよろしいのでは?」
「鎧が格好いいからですね。それに父上も騎士ですが白のイメージが悪くて……」
「………くすっそんな簡単に決めていいんですか?」
「申し訳ないですが。自分ちょっと変なんです」
「わかります。変なんですね」
いつの間にか………彼と談笑し、時間がすぐに過ぎていく。
気付けば日も暮れる。スゴく紳士で優しい人だった。
§
「今日は楽しい時間をありがとうございます」
「いいえ、私こそ………」
「話し相手をしていただきました。十分です」
本当にいい人だ。何故、私の家に来たのか聞けばよかった。
「では、失礼します。また今度お休みに伺います」
「は、はい」
次にでも聞けるかな?
「何か面白い小説があれば教えてくださいね」
「はい」
トラストさんは次回の休みの日を私に伝え帰っていく。見送りし、踵を返して私は屋敷に入った。
「お嬢様。晩御飯のお時間です」
「もう、そんな時間?」
「はい。今日はお召し上がりになりますか?」
「うん………お腹空いたから」
「お嬢様、久しぶりの笑顔ですね」
「えっ?」
「お嬢様、笑ってらっしゃいます」
私は頬に触れる。笑っている気はしてなかったが口元は緩んでいた。
§
俺は自分の屋敷に戻ってきた。すっかり夜になってしまった。自分の屋敷は豪邸っと言えば豪邸だ。庶民の感覚を養い、見たとき………いい家だと自分は思いながらも………広く不便な家だとも思う。
無駄に広いのは無駄だ。
「ただいま帰った。何か変わったことは?」
「トラスト様、父上がお待ちです」
「父上が?………また婚約者選びか?」
「はい」
父上は南方騎士団の団員だ。それも5番隊のうちの1番隊長。南方騎士団の実力者だ。騎士団長の座に近いと言われているが………本人は1番隊で生涯を終えたいと言っている。
そんな父上が自室で自分を待っている。調度品や勲章が飾られているだろう部屋にノック後入った。
高級な家具や剣や鎧などを飾り。帝国の皇帝………お爺さまの姿の肖像が飾られている。中心に執務机となっており、父上がアゴヒゲを擦りながらニヤリっと笑った。
「よく来た!! 我が子よ!! さっそく学園の令嬢のリストを用意した」
「私は自分で探すと何度言えば理解してくれるのですか?」
「何度言えば自分で探し当てたと胸を張って言ってくれるのかな?」
「………はぁ。自分で探すと決めましたら曲げません」
「お前は本当に親不孝ものだ。西方騎士団へ入団を断り、黒騎士団へ入団するなぞ………」
父が椅子から立ち上がって俺の顔を覗く。真っ直ぐ睨み返す。やるならやってやるぞ番隊長!!
「くく!! すばらしい!! あの精鋭黒騎士団へ入団!! なおかつその闘志!! 我が家、アフトクラトル家に相応しい男になったな!!」
「………兄上や弟君に言ってください」
自分には白騎士の弟と政職者の兄がいる。だが二人ともは屋敷に帰ってこず。一人一人、別々に暮らしている。もちろん二人は既婚者だ。
「あんな二人よりお前の方が見所はある。西方に来ぬか?」
「ああ、父上。明後日には西方に赴きます。悪さがないように」
「ぐぅ………」
「露骨に嫌な顔をしないでください」
「黒騎士で来るな」
黒騎士の任務は他騎士団への監視もある。向かうと言うことは視察である。悪さをしていないかを。処罰もする。
「父上、悪さをしないでくださいね。家族を斬りたくはございません」
「………やはり黒騎士団へ入団は恐ろしくなるのだな」
「それが黒騎士ですから」
帝国のために悪魔になる騎士団。小説家になることへの父上の反発で入った騎士団だが。すこぶる馴染む。
「全く、あとは婚約者でも見つければ………」
「婚約者探しで参加している舞踏会で気になる人が出来ました」
「ほう………聞かせてみろ」
「ええ、まぁまだ友達ですがね」
父上に話ながら違うことを考えている。自分は気になる理由は一つ………可哀想という感情と小説が好きっと言う趣味で気になった。話してみれば普通の女の子。皆が噂する子でもなんでもなかった。悪評は所詮他人事。自分の目で見るべきだ。
婚約者探しの一貫で最後にしようと決めていた舞踏会。最後の最後に本当に気になる人が出来てしまう。人生とはわからないものだとつくづく感じるのだった。
卒業後は結婚する。それまで学園に通う事はは自由な期間とも言え、そのため遊ぶために入る子もいる。
貴族様もよくいらして婚約者を見たり、選んだりもする場所だ。私はそこで………2度元婚約者に出会った。格好いい方だったが。
「あ、さ……………」
天井を見上げながら動きが悪い体を起こす。いつも見慣れた部屋だ。使用人がノックする。
「はい………」
「おはようございます。朝食はお食べになりますか?」
女性の使用人さんだ。綺麗な方で髪を後ろに縫ってある。名前をワルダと言う。
「…………いらないかな。戻すし」
「そうですか………朝食食べれませんか」
心配そうに私の頭を撫でてくれた。お姉さんのよう私を大切にしてくれる。同じ祖父の元で育った仲で、育て親のような別の使用人は祖父の死後、すぐに母によって解雇され彼女が代わりに来た。心配していると言う優しい理由で。
「では、失礼します。昼食は食べてくださいね」
「………はい」
ワルダは部屋を去ろうとする。私に対して無理を言わない。学園へ行けとは言わない。母親と違う。母親は………別宅だが。
「そうそう、御嬢様。一昨日、舞踏会でお会いになったご友人様がお昼に伺うそうです」
「ご友人?」
私にはそんな人はいない。婚約破棄から全員縁が切れたのだ。薄情だが………学園では罵る相手を毎日探している。それの対象になるのを嫌がって私を売ったのだ。
「誰ですか?」
「トラストっと言う方です。アフトクラトル家の次男ですね」
「えっ?」
私は口を押さえる。
「どうして?」
「いえ、私に言われましても………ご主人様もご存知なかったですし」
「………どうしよ。怖い」
「お嬢様。しかし………相手はあのアフトクラトル家。無下には出来ません」
「………そうだよね。逃げる事できないよね」
私は嫌な気持ちのまま。時間を過ごす。
恐怖や、何を言われるのか不安になりながら薬で落ち着かせて。
§
昼になってしまった。今日は天気が良くお庭にてお昼にしようと言うことで手入れの行き届いた庭のテーブルに私は歩く。すでにお客さんは来ているらしい。
ふらつく足。嫌だと心は叫ぶ。だけど………逃げられない。
「こんにちは、いきなりのご訪問、すいません。アメリアさん。お名前覚えていますか?」
「え、えっとトラストさん……こんにちは」
テーブル席にお昼の料理が用意される。家庭料理でポトフとパンだ。謝らないといけない。こんな料理でしかおもてなし出来ないのだから。
「美味しそうですね。すいません………急に来てご飯までいただけるなんて」
「えっ……あっ………その………謝るのは私の家で」
「謝るとは?」
「その………しっかりした物が用意出来ず」
「そうですか。気にしなくてよろしいです。私が食べたいとお願いしたものですから」
「そ、そうだったんですか。ごめんなさい………確認不足でした」
「いえいえ、いただきます」(確認不足の前に言ってませんがね)
黙々と彼は食べる。私は初めて彼をしっかりと見たと思う。金髪の短髪に静観な顔だち。大きい盾のような剣を柱に立て掛けている。私の意見で格好いいと思う。
「食べないのですか?」
「えっと………食欲が無くて」
緊張によって胃が寄せ付けない。
「………すいません。病気療養中でしたね」
「えっ……は、はい」
「心の病気っと伺っています」
「………はい」
実は婚約破棄後、婚約者探しを父親は行ったらしいが病気持ちっと敬遠されて今に至る。腫れ物のように私は扱われているのを知っていた。
「…………大変ですね」
「………」
「安心してくださいと言ってもあれですが。自分は何もしません。そうですね………小説の話をしに来ました。あの王子と姫の物語。好きなんです」
「………わ、わたしも好きです」
王子が優しそうで、婚約破棄されず姫様と仲良くて。
「何処が好きですか? 自分は告白のシーンがいいですね」
「………えっと。私は………」
婚約破棄されない所なんて言えない。姫が自分として読んでるなんて………痛くて言えない。
「恥ずかしいですか? 自分は王子として読んでます。小説のような王子に憧れて」(スゴく恥ずかしいですが………心を開いて貰わないと)
「えっと………その、私も」
「同じですね‼」
トラストが私に笑みを向ける。あまりの明るさに何故か………祖父を思い出した。
「…………うぅ」
そして、ポロポロと涙が浮かんでしまう。お客の前で泣いてはいけないと思う。だけど………抑える事は無理だった。
「ご、ごめんなさい………ちょっと………悲しいことが立て続けに起こってて………」
「大丈夫です。そういう病でしょう。泣いてもいいと思います」
初対面な筈なのに引かずに泣き止むのを待ってくれる。手で顔を隠して泣きだしてしまう。
辛い。痛い。胸が。
「ああ、これを」
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
布のハンカチを手渡され……私はそれで涙を拭う。落ち着いて来る頃には本当に申し訳ない気持ちで一杯になる。
「ごめんなさい………情緒不安定で」
「お気にせず………ご馳走さまでした。では、お話をしませんか?」
「お、お話ですか………殿方が楽しくなるお話は出来ないと思います。申し訳ありません」
「では、自分から。実は小説が好きで好きで小説家になりたかった程。好きですね」
「………」
「一番好きなのは恋愛小説です。この前読んでいた本も好きですね」
「…………」
「変な話、男なんですがね」
「………………えっと。私も好きです」
トラストがパッと明るい表情になる。
「ああ、良かったです。気持ち悪いっと思われるかと思いました」
「そんなこと…………今の私の方が………」
「それこそ変ですね。私には可愛い女の子に見えますよ」
「はうぅあ!?」
唐突に誉めだして私は手を胸に置き驚いたっと言う表情で彼を見つめた。
「ああ、嘘は言ってませんから。今年で幾つでしょうか?」
「じゅ………14です」
「自分よりも10ぐらい下ですかぁ……」
「24ですか?」
「はい、結婚適齢期です。少し年下過ぎてちょっと驚いてます」
「えっ………その………」
「18から20代っと思っておりました」
「そ、そうだったんですか………」
たどたどしく返事をする。早く帰ってっと思っていたが。何故か緊張が解れつつある。だからだろうか、私から質問した。柔らかい気持ちで。
「えっと………お仕事は?」
「黒騎士団所属」
「黒騎士団!?」
「ええ。驚かれてますが、まぁ誰でも入れます」
誰でもっと言うが黒騎士団に入ろうとする貴族はあまりいない。四方騎士団や黒騎士団は実戦があり、あまり好まれて入りはしないのだ。
治安維持の白騎士団は貴族様が多く安全な後方勤務先が好まれているため人気。それでも貴族が騎士を名乗るのは少なくなっている。政職者ばかりが重要視されているために肉体労働は美しくないと言う風潮で。たとえ父親が騎士だとしてもだ。
「それでは………実戦も」
「ええ、経験しております。ですから、あまり良いものは食べてきてませんよ……ははは………軍食は不味い」
「そ、そうだったんですか」
残虐非道の黒騎士っと言われている筈なのに。彼はスゴく優しい方だ。
「黒騎士って言うと怖がるんですが………怖がりませんね?」
「えっと………その。黒騎士の方だとは思っておらず。ですね………」
「そうですか。ありがとうございます!! それでですね~騎士団のお話なんですが」
少し、驚いたが彼は饒舌に話始めた。私は頷くだけだったが騎士さまは終始笑顔で私にお話をする。楽しいお話になった。黒騎士の裏側を教えて貰い以外な事に気が付く。
私たちと変わらないって事に。
「クスッ」
「あっ………やっと笑ってくれましたね!!」
「えっ……あっはい。騎士様の話はまるで小説のようなお話なのでつい………」
「ええ、だって。小説の主人公に憧れて黒騎士入団しました」
「えっええ……」
「引かないでください。若かったんです」
「いえ、何故黒騎士に? 貴族であるならば白騎士団でよろしいのでは?」
「鎧が格好いいからですね。それに父上も騎士ですが白のイメージが悪くて……」
「………くすっそんな簡単に決めていいんですか?」
「申し訳ないですが。自分ちょっと変なんです」
「わかります。変なんですね」
いつの間にか………彼と談笑し、時間がすぐに過ぎていく。
気付けば日も暮れる。スゴく紳士で優しい人だった。
§
「今日は楽しい時間をありがとうございます」
「いいえ、私こそ………」
「話し相手をしていただきました。十分です」
本当にいい人だ。何故、私の家に来たのか聞けばよかった。
「では、失礼します。また今度お休みに伺います」
「は、はい」
次にでも聞けるかな?
「何か面白い小説があれば教えてくださいね」
「はい」
トラストさんは次回の休みの日を私に伝え帰っていく。見送りし、踵を返して私は屋敷に入った。
「お嬢様。晩御飯のお時間です」
「もう、そんな時間?」
「はい。今日はお召し上がりになりますか?」
「うん………お腹空いたから」
「お嬢様、久しぶりの笑顔ですね」
「えっ?」
「お嬢様、笑ってらっしゃいます」
私は頬に触れる。笑っている気はしてなかったが口元は緩んでいた。
§
俺は自分の屋敷に戻ってきた。すっかり夜になってしまった。自分の屋敷は豪邸っと言えば豪邸だ。庶民の感覚を養い、見たとき………いい家だと自分は思いながらも………広く不便な家だとも思う。
無駄に広いのは無駄だ。
「ただいま帰った。何か変わったことは?」
「トラスト様、父上がお待ちです」
「父上が?………また婚約者選びか?」
「はい」
父上は南方騎士団の団員だ。それも5番隊のうちの1番隊長。南方騎士団の実力者だ。騎士団長の座に近いと言われているが………本人は1番隊で生涯を終えたいと言っている。
そんな父上が自室で自分を待っている。調度品や勲章が飾られているだろう部屋にノック後入った。
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「何度言えば自分で探し当てたと胸を張って言ってくれるのかな?」
「………はぁ。自分で探すと決めましたら曲げません」
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「それが黒騎士ですから」
帝国のために悪魔になる騎士団。小説家になることへの父上の反発で入った騎士団だが。すこぶる馴染む。
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父上に話ながら違うことを考えている。自分は気になる理由は一つ………可哀想という感情と小説が好きっと言う趣味で気になった。話してみれば普通の女の子。皆が噂する子でもなんでもなかった。悪評は所詮他人事。自分の目で見るべきだ。
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