(完結)見捨てられた令嬢は王子と出会う。[アルファ、scraiv専用]

書くこと大好きな水銀党員

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授業参観2度目 後編

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 私は一人、教室でトラストさんを待つ。教室の中心で焚かれる暖房器具。部屋は暖かいのに胸の内が冷たい。

「…………」

 落ち着かない。きっと………今。リトス姉様と面談しているだろう。

 リトス姉様は綺麗で私より格が上なのだ。だから不安になる。教室には私以外はいない。そうだろう………皆婚約者を探しに行っているのだ。

 自分は………皆と違って動けなかった。

「アメリアさん。遅くなり…………」
「トラストさん……?」
「ああ、また泣いてるんですか………」
「う、うん………」

 頭を撫でてくれるその優しさは嬉しい。そして………泣いたら構ってくれると思う心が怖い。情に訴える私は醜い。

「……ごめんなさい。私……私………」
「またですか?」
「……………」
「はぁ……いつもの塞ぎ込みですね。今日は体調もよろしくないようです。帰りましょう。帰ってもいいのでしょう?」

 私は席から立ち上がり彼の胸に飛び込む。

「………」
「はぁ、帰ってもいいですね。アメリア帰りましょう」
「うん………」

 私は甘える事しか出来ない。


§


 帰宅後、私は彼の寝室で冷えた部屋を暖めるために魔力炉に魔石入れ呪文を言い放つ。魔石が溶け出して熱を産み出す。

「まだ、寒いでしょう。膝の上へどうぞ」
「………」

 私は言葉にまた甘える。膝の上に座り後ろから抱き締めて貰える。暖房用のかける布をかぶりながら。

「冷たいですねアメリア」
「暖かいですねトラスト」

 本当に暖かいです。

「では、逃がしません。今日何があったか全部話す」
「………もしかしてお膝に呼んだのは?」
「逃げられないでしょ?」

 強く抱き締められる。

「トラストさん…………」
「今は呼び捨て強要はしません。何があったかを話すこと。私も今日、リトスお嬢に出会いました」
「…………どうなったのです?」

 恐る恐る聞く。

「どうなったとは?」
「…………婚約者」
「ああ。もちろん丁重にお断りをしました」(全力で敵意むき出しのお断りをしました)
「そ、そうですか………」
「嬉しいですか?」
「………」
「黙ってもわかりますよ。耳が赤いです。沈黙は肯定です。ええ、肯定です」

 私の体は正直だ。そしてワルダにその言葉を教えたのはトラストさんだったんですね。

「私はリトスお姉さまより劣っております。ですから………」
「捨てられると思いました?」
「………はい。思いました」
「信じてないですね」
「信じてないです。だって………トラストさんは格好いいし…………優しいし………私以外の女性なんてすぐに用意できます………家柄だっていいから………」
「ふーん」

ギュウウウウウ

「んぐ………痛いです」

 強く強く抱き締められる。

「怒ってます。信じてくれて無いことに………あげた指輪をお忘れですか?」
「うぐ………忘れてないです」

カリ

「ひゃう!? い、いたい………ごめんなさい、ごごめんなさい」

 耳を軽くかじられた。

「怒ってます」(落ち着け俺)
「ううぅ………ごめんなさいごめんなさい」

 私はまた泣いてしまう。

「…………すいません。少しキツく言いすぎました。こっちを向いてください。そうですね抱けるように足をこっちに向けて座り直してください」
「うぅ……うん………」

 言われたまま。一度降りて彼の方を向きながら座る。精神的に情緒が不安定で何でも言われた通りにする。

 気づいた。この姿勢…………彼の顔も見れる。優しく微笑む顔が。

「今度からこの姿勢の方が話しかけやすいかも知れませんね?」
「…………ぐすん」

 指で涙を拭われる。そして…………強引に抱きとめ。唇を奪われる。

「ん!?」

 口のなか潜り込む。 彼の大きな舌が。

「んんんん!!」

 抵抗できず。口の中を蹂躙された。泣くよりも頭が熱い。深く深く。快楽が体を襲う。

「んは………はぁ………はぁ」
「これで信じれますか?」
「んぐ………はぁ………」
「大丈夫ですか? でも涙も止まって……はないですね」
「…………うん」

 私はたまらず彼の首に手を回して体を寄せて頬に顔をつけるぐらい接触させた。何かのたかが外れ。私は大きく泣き出してしまう。

「アメリア?」
「……トラストさん……うぅうう。捨てないで」
「………」
 優しく腰を撫でてくれる。

「私………なにも出来ない。そんなに綺麗でもない……でも………トラストさんの事大好きなんです………誰にも取られたくないって!! 勝手に自分の物のように考えちゃって!!」

 言葉は止めどなく溢れでる。

「そんなこと言える立場でもないのに‼………おこがましくて…………でも、私以外婚約者とか絶対やだし……そんなことがグルグル回って………ごめんなさいごめんなさい………トラストさん好きです。好きです………うぅうう………好きだから………何処かいかないで」

 私利死滅な言葉を彼の耳元で発する。好きだから不安が募る。

「………ふぅ。姫様はあなた一人ですよ」
「うぅ……ぐすん………私はどうしたら………あなたを満足させられますか? どうしたら釣り合いとれるんですか?」
「…………そうですね。婚約者なのだから結婚しあなたの一生で償ってくださればいいですね」(俺は……酷いな)
「つ、つぐないですか?」
「そうです。一生、私を愛し。私の妻であるのが私が犠牲にしてきたものやこれからの事の償いとしましょう」

 彼が提案するのは甘い物。一生愛するなんて簡単に出来る気がする。何も他は考えられずいい条件な気がする。

「どうしますか?」(首輪っと言い方は悪いですが。依存させられればいい)
「一生………愛する事を誓います。だからお願いします。捨てないで。何処へも行かないで」
「契約成立ですね。アメリア。あなたは私に尽くしてくださいね」
「………はい」
「ははは」(ヘドが出る。自分の悪行に………でも。笑顔は護られるだろう)

 私は落ち着く。嘘のように激情が引いていく。残ったのは恥ずかしさ。

「…………ごめんなさい。取り乱しました。すいませんでした。ごめんなさいです」
「まだ、取り乱してますよ」
「………キスありがとうございました」
「はい………」(素直に言われると逆に恥ずかしいですね)
「えっと………ありがとうございます。落ち着きました」
「そうですか。でも少し熱くなりましたね?」
「………トラストさん。このままがいいです」

 抱き締めていただいている。この状態が好き。

「そうですか。では少しだけですよ」
「うん!!」

 大好きです。私だけの…………


§


「すぅ………すぅ………」

 自分の寝室で彼女が寝息をたて始める。腕の中で少女が健やかに寝ていた。幸せそうに。綺麗な黒髪を撫でて楽しんだあと。抱き止めて起こさないよう四苦八苦しながらなんとか姫様抱っこまで体勢を変える。

「ふぅ………起こさずに持ち上げるのは苦労しますね」

 重たいっと言うより動作がゆっくりになり。気を使う事で大変なのだ。運ぶのも時間もあるので自分のベットに運ぶ。服はそのままだが………夕ご飯には起きるだろう。

 微かな寝息を聞きながら彼女は眠る。髪をかき分けた。

「なんとか、納得してくれたようだが」

 不安になればまた彼女はまた。塞ぎ込みそうだ。だからといって………

「弱っている所に交渉を持ちかけ。悪くない条件を提示し認めさせる」

 人間が弱っている時に優しさを見せれば好意は手に入る。

 これで良かったんだろうか?

「紅茶でも淹れて本でも読もうかな」

 彼女から離れようとする。

 ギュ

 服を掴まれ。自分は振り返った。

「トラストさま………いかいないで」
 起きた彼女が自分の服を掴む。強く。わがままに。

「わかりました」

 良かったんだろう。これで…………彼女の笑顔にそう思うことにした。
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