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アフトクラトル家の令嬢として
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斬りつけ事件から翌日。私は普通に登校していた。お金のかかる腕のいい治療師が学園に居た事と傷が浅かった事が重なりそこまで重症では無かった。
クラスに入ると皆が驚いた顔をして私を見る。ちょっと目立ち過ぎるのは好ましくない。
「お嬢様。本当にお体は大丈夫ですよね?」
「大丈夫です。それに………学園にいれるのも数ヵ月でしょう」
辛い思い出が多い学園でも。去るとなるとさびしいものだ。私を見つけて驚いた顔で3人が近寄って来る。リリーさん、スナイさん、リナイさん。心配して私の元へ来てくれる。
友達でも距離を取ろうと思っていたが。嬉しくてそんな事を忘れてしまう。もう………難しいことは考えない事にした。
「アメリアさん!!」
「お怪我は大丈夫ですか!?」
「アメリアさん………心配してました」
「えっと………ありがとうございます。大丈夫ですよ」
「…………アメリアさん。私を庇ったばっかりに痛い思いをさせてしまいました。本当にありがとうございます」
近寄って来た3人。頭を下げる。
「私たちが煽ったばかりに事件が起きました。申し訳ないです」
「はい………すいませんでした」
「うん…………私たちが彼女を苛めたから」
「………………謝る人が違いませんか?」
「はい?」
私は彼女らを睨む。慌て出す彼女ら。私の言葉を待つ。
「謝る相手はリトスさんです。確かに彼女は悪いことをしましたが………あそこまで根を詰めるほど罰を受けました。許してあげてください」
「アメリアさん………お優しいですね」
「………傷が浅かったですし。私は別に気にしてません。昼頃早退して行こうと思います。リトラトス家に」
「お、お嬢様!?」
「トラストさんの助言なんです。どうします? 皆さん? 一緒にお茶会でもしに学園抜け出しません?」
昔は本を読んでいるだけだった私はいつしか人を誘うまでになっていた。何故か自然体で接する事が出来る。斬られるより、あの痛みよりは簡単だからとも思える。
「わ、私たちも御一緒してもいいのですか?」
「うん………いきましょう」
「「「はい!!」」」
初めてのお誘いは上手く行くのだった。
§
私はボーっと窓の外を眺める。昨日もまた父親にぶたれ。母親に怒られた。家の面汚し。おまえは何でそんなことをしたんだっと毎日毎日怒られた。
落ちる所まで落ちた気がする。誰も私をもう褒めることも感心を寄せることもない。
何が切っ掛けだったのだろうか?
「…………」
思い返した時、ヴィス家のアメリアに関わってからだと知る。
婚約破棄後の彼女をバカにした。
新しい婚約者に嫉妬し、色々な事をしようとした。
彼女の嘘をばら蒔いた。
結果は全て…………私に返ってくる。
昨日、斬りつけた瞬間…………アメリアの目と合った。
「…………」
透き通る瞳に強い何かを見たのだ。だから庇えたのだろう。だから誰もできないことが出来たのだろう。だからこそ……選ばれたのだろう。
「…………くぅ………」
悔しいっと思うより。辛い。
アメリアはこんなにも辛いのを耐えきったのだ。強くて当たり前。だから…………
「お嬢様。ご友人の方々がお見舞いに来られました。どうぞお入り下さい」
目の前に笑顔で手を振る彼女に完全な敗けを認めた。もう…………どうして私を追い詰めるのと神を呪う。恐ろしく感じるのだった。
§
弱りきっている。一目で私はそれがわかった。濁った目。苦しそうな表情。私は自分の事のように、昔の自分を思い出しながら胸を掴み手を置く。
私たちはリトラトス家にお邪魔したとき。彼女が部屋から出れないことを知っている。謹慎処分。事件は学園が揉み消したが罰は受けている。
「あ、アメリア」
「えっと………昨日ぶりですね? 体調は大丈夫ですか?」
「あ、あなた!? 斬られたのはあなたなのに!? どうして!?」
「所詮果物ナイフ。殺すつもりなら………こーんなに大きな大きな盾のような剣を持ってきてください」
目の前に私は両手で大きい剣を表現をする。トラストさんの獲物をイメージして。
「ですから………気になさらなくていいです。それよりも……………大丈夫じゃないですね」
「うぅ………あなたが………全てを奪ったのよ。笑えば………あなたをバカにしてた。結果はあなたが出なくてもこの通りよ」
「………」
私は近付く。笑みを浮かべて。
「ぐぅ!? ち、近寄らないで」
「………嫌」
「は、離れて!!」
彼女は果物ナイフを突きつける。震える手で………叫びながら。
「また、斬りつけられますね。ですが引きません」
「お、おそろしくないの!?」
「………今、近寄らないと私はトラストさんに顔向けできません。彼はこんな小さなナイフよりもっと恐ろしい物の前に立ってます」
「うぅ………」
私は近付き震える手で掴むナイフの上から優しく撫でる。
カラン!!
おとしたナイフが金属音を部屋に響かせる。そして……私はあのときのように。いただいた時のように。無力で無意味だったあの日を奪い去った彼のように。
彼女を抱き締める。
「あ、アメリア!?」
「大丈夫です。辛かったでしょう。私もわかるんです。当事者でしたから…………リトスお姉さま。全部許すから」
彼女のすすり泣く声が聞こえる。
「うぅうう………ごめん………ごめんなさい………今までごめん………」
「はい。リトスお姉さま………私は裏切りませんよ」
「うわぁあああああああああああ!!」
強く爪を立てるほど強く彼女は私にしがみつく。その抱き付きはナイフより心が痛かった。
§
なんとかなった。トラストさんは弱っている者に手を差しのべると生涯の友と言うものが手に入ると言っていたが本当だった。
暗い笑みのトラストさんを思い出す。弱味に漬け込むことは常套手段だと。心境は複雑です。
「リトスさんごめんなさい」
「ごめんなさい」
「………その………ごめん」
3人がリトスさんに謝り。リトスは驚いて私を見る。
「言わせてる?」
「違うと思いたい。でも………これで水に流せるね」
「…………アメリア。あなたは本当は優しい人だったんですね」
「それを教えてくれたのは婚約者です」
「羨ましいなぁ………」
「………大丈夫です。私よりずっと素晴らしいですから」
「嫌みかしら?」
「嫌みに聞こえるなら元気になりましたね」
「…………うん。ありがとう。なんか救われた」
リトスさんは弱っているが綺麗な笑みを見せる。大人な雰囲気の。私より年上のお姉さんを感じさせる笑み。
「ねぇ………どうして私の家に?」
「リトス………アメリアさんは優しい」
「うん。やさしい」
「だから当ててみたら? 簡単だよ?」
「……………もしかして。仕返し?」
「お嬢様………リトスさんを友達にするの反対です」
「ごめんなさい!!………その…………なってやってもいいわ。友達」
「やった!! これで4人ですよ!! ワルダ!!」
「…………ふふ。変なの」
私はニコニコ笑いながらリトスの手を取る。
「リトスさん。アメリアさんっと呼んでくださいね?」
「わ、わかった………アメリアさん」
「はい!!」
照れる彼女の手を撫でなから私はヌチェル家の言葉を思い出す。
信用は大事だと。だから………私が信用できるようにならなくちゃいけない。
トラストさんのためにもアフトクラトル家の令嬢として。
§
夜、寝室で彼と今日あった事を話をする。
「ありがとうございます。トラスト」
「成功して良かった。当主からも感謝された………また恩を売れたよ」
「噂を流し、私に行かせて恩を売るなんて酷いですよね?」
「まぁ………常套手段さ」
「…………かっこよく言ってますが本心は?」
「嘘かなって思う。自分が君から捨てたものをやっぱりいると言って拾われている気分だよ」
「本当です。私はやっと友達出来たんです」
「良かったけど寂しくなるね。お腹は大丈夫かい?」
「はい。まだまだですが………大きくなってると思います」
トラストさんがお腹を触る。愛おしいしく。宝物を撫でるように。
「君は強くなった。一人で出来るほど。歩けるほどに」
「トラストさん。私の手を引いて踊りを歩き方を教えてくださったからですよ」
「そうだね。そうなって欲しかった。だけど………いざ………ね?」
「独占欲強いです」
「ああ。友達に嫉妬するくらいに」
「大丈夫ですよ。私はあなたの婚約者です」
「………そうだね。もう結婚しているようなもんだけど」
「はい。結婚したいです。私はそうですね………」
トラストさんに抱き付く。
「婚約破棄で見棄てられた。母親にも見棄てられた。でも………私には…………あなたがいる。あなただけを愛してます。一生で償ってでも足りないほど幸せをありがとう。私の王子さま………んぐぅ!?」
深く深く心からの言葉が溢れてくる。だけど私は彼に栓をされた。深く深く舌を絡めながら。
「アメリア………元気な子を頼むよ」
「はい。旦那様………アメリア、がんばります」
お腹を撫でながら私は彼の腕の中へと身を落とす。
クラスに入ると皆が驚いた顔をして私を見る。ちょっと目立ち過ぎるのは好ましくない。
「お嬢様。本当にお体は大丈夫ですよね?」
「大丈夫です。それに………学園にいれるのも数ヵ月でしょう」
辛い思い出が多い学園でも。去るとなるとさびしいものだ。私を見つけて驚いた顔で3人が近寄って来る。リリーさん、スナイさん、リナイさん。心配して私の元へ来てくれる。
友達でも距離を取ろうと思っていたが。嬉しくてそんな事を忘れてしまう。もう………難しいことは考えない事にした。
「アメリアさん!!」
「お怪我は大丈夫ですか!?」
「アメリアさん………心配してました」
「えっと………ありがとうございます。大丈夫ですよ」
「…………アメリアさん。私を庇ったばっかりに痛い思いをさせてしまいました。本当にありがとうございます」
近寄って来た3人。頭を下げる。
「私たちが煽ったばかりに事件が起きました。申し訳ないです」
「はい………すいませんでした」
「うん…………私たちが彼女を苛めたから」
「………………謝る人が違いませんか?」
「はい?」
私は彼女らを睨む。慌て出す彼女ら。私の言葉を待つ。
「謝る相手はリトスさんです。確かに彼女は悪いことをしましたが………あそこまで根を詰めるほど罰を受けました。許してあげてください」
「アメリアさん………お優しいですね」
「………傷が浅かったですし。私は別に気にしてません。昼頃早退して行こうと思います。リトラトス家に」
「お、お嬢様!?」
「トラストさんの助言なんです。どうします? 皆さん? 一緒にお茶会でもしに学園抜け出しません?」
昔は本を読んでいるだけだった私はいつしか人を誘うまでになっていた。何故か自然体で接する事が出来る。斬られるより、あの痛みよりは簡単だからとも思える。
「わ、私たちも御一緒してもいいのですか?」
「うん………いきましょう」
「「「はい!!」」」
初めてのお誘いは上手く行くのだった。
§
私はボーっと窓の外を眺める。昨日もまた父親にぶたれ。母親に怒られた。家の面汚し。おまえは何でそんなことをしたんだっと毎日毎日怒られた。
落ちる所まで落ちた気がする。誰も私をもう褒めることも感心を寄せることもない。
何が切っ掛けだったのだろうか?
「…………」
思い返した時、ヴィス家のアメリアに関わってからだと知る。
婚約破棄後の彼女をバカにした。
新しい婚約者に嫉妬し、色々な事をしようとした。
彼女の嘘をばら蒔いた。
結果は全て…………私に返ってくる。
昨日、斬りつけた瞬間…………アメリアの目と合った。
「…………」
透き通る瞳に強い何かを見たのだ。だから庇えたのだろう。だから誰もできないことが出来たのだろう。だからこそ……選ばれたのだろう。
「…………くぅ………」
悔しいっと思うより。辛い。
アメリアはこんなにも辛いのを耐えきったのだ。強くて当たり前。だから…………
「お嬢様。ご友人の方々がお見舞いに来られました。どうぞお入り下さい」
目の前に笑顔で手を振る彼女に完全な敗けを認めた。もう…………どうして私を追い詰めるのと神を呪う。恐ろしく感じるのだった。
§
弱りきっている。一目で私はそれがわかった。濁った目。苦しそうな表情。私は自分の事のように、昔の自分を思い出しながら胸を掴み手を置く。
私たちはリトラトス家にお邪魔したとき。彼女が部屋から出れないことを知っている。謹慎処分。事件は学園が揉み消したが罰は受けている。
「あ、アメリア」
「えっと………昨日ぶりですね? 体調は大丈夫ですか?」
「あ、あなた!? 斬られたのはあなたなのに!? どうして!?」
「所詮果物ナイフ。殺すつもりなら………こーんなに大きな大きな盾のような剣を持ってきてください」
目の前に私は両手で大きい剣を表現をする。トラストさんの獲物をイメージして。
「ですから………気になさらなくていいです。それよりも……………大丈夫じゃないですね」
「うぅ………あなたが………全てを奪ったのよ。笑えば………あなたをバカにしてた。結果はあなたが出なくてもこの通りよ」
「………」
私は近付く。笑みを浮かべて。
「ぐぅ!? ち、近寄らないで」
「………嫌」
「は、離れて!!」
彼女は果物ナイフを突きつける。震える手で………叫びながら。
「また、斬りつけられますね。ですが引きません」
「お、おそろしくないの!?」
「………今、近寄らないと私はトラストさんに顔向けできません。彼はこんな小さなナイフよりもっと恐ろしい物の前に立ってます」
「うぅ………」
私は近付き震える手で掴むナイフの上から優しく撫でる。
カラン!!
おとしたナイフが金属音を部屋に響かせる。そして……私はあのときのように。いただいた時のように。無力で無意味だったあの日を奪い去った彼のように。
彼女を抱き締める。
「あ、アメリア!?」
「大丈夫です。辛かったでしょう。私もわかるんです。当事者でしたから…………リトスお姉さま。全部許すから」
彼女のすすり泣く声が聞こえる。
「うぅうう………ごめん………ごめんなさい………今までごめん………」
「はい。リトスお姉さま………私は裏切りませんよ」
「うわぁあああああああああああ!!」
強く爪を立てるほど強く彼女は私にしがみつく。その抱き付きはナイフより心が痛かった。
§
なんとかなった。トラストさんは弱っている者に手を差しのべると生涯の友と言うものが手に入ると言っていたが本当だった。
暗い笑みのトラストさんを思い出す。弱味に漬け込むことは常套手段だと。心境は複雑です。
「リトスさんごめんなさい」
「ごめんなさい」
「………その………ごめん」
3人がリトスさんに謝り。リトスは驚いて私を見る。
「言わせてる?」
「違うと思いたい。でも………これで水に流せるね」
「…………アメリア。あなたは本当は優しい人だったんですね」
「それを教えてくれたのは婚約者です」
「羨ましいなぁ………」
「………大丈夫です。私よりずっと素晴らしいですから」
「嫌みかしら?」
「嫌みに聞こえるなら元気になりましたね」
「…………うん。ありがとう。なんか救われた」
リトスさんは弱っているが綺麗な笑みを見せる。大人な雰囲気の。私より年上のお姉さんを感じさせる笑み。
「ねぇ………どうして私の家に?」
「リトス………アメリアさんは優しい」
「うん。やさしい」
「だから当ててみたら? 簡単だよ?」
「……………もしかして。仕返し?」
「お嬢様………リトスさんを友達にするの反対です」
「ごめんなさい!!………その…………なってやってもいいわ。友達」
「やった!! これで4人ですよ!! ワルダ!!」
「…………ふふ。変なの」
私はニコニコ笑いながらリトスの手を取る。
「リトスさん。アメリアさんっと呼んでくださいね?」
「わ、わかった………アメリアさん」
「はい!!」
照れる彼女の手を撫でなから私はヌチェル家の言葉を思い出す。
信用は大事だと。だから………私が信用できるようにならなくちゃいけない。
トラストさんのためにもアフトクラトル家の令嬢として。
§
夜、寝室で彼と今日あった事を話をする。
「ありがとうございます。トラスト」
「成功して良かった。当主からも感謝された………また恩を売れたよ」
「噂を流し、私に行かせて恩を売るなんて酷いですよね?」
「まぁ………常套手段さ」
「…………かっこよく言ってますが本心は?」
「嘘かなって思う。自分が君から捨てたものをやっぱりいると言って拾われている気分だよ」
「本当です。私はやっと友達出来たんです」
「良かったけど寂しくなるね。お腹は大丈夫かい?」
「はい。まだまだですが………大きくなってると思います」
トラストさんがお腹を触る。愛おしいしく。宝物を撫でるように。
「君は強くなった。一人で出来るほど。歩けるほどに」
「トラストさん。私の手を引いて踊りを歩き方を教えてくださったからですよ」
「そうだね。そうなって欲しかった。だけど………いざ………ね?」
「独占欲強いです」
「ああ。友達に嫉妬するくらいに」
「大丈夫ですよ。私はあなたの婚約者です」
「………そうだね。もう結婚しているようなもんだけど」
「はい。結婚したいです。私はそうですね………」
トラストさんに抱き付く。
「婚約破棄で見棄てられた。母親にも見棄てられた。でも………私には…………あなたがいる。あなただけを愛してます。一生で償ってでも足りないほど幸せをありがとう。私の王子さま………んぐぅ!?」
深く深く心からの言葉が溢れてくる。だけど私は彼に栓をされた。深く深く舌を絡めながら。
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