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不誠実な男たち 4
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何という間の悪さ!
いつもよりめかし込んだ二人のその姿は、間違いなく、葵の横にいる鳳条を意識している。盛んに「こっちこっち」と手招きをするその顔は、期待に溢れた笑顔だ。
葵が例の婚約者と一緒に来るかもしれないーーそう両親が思っても不思議ではない。
……ここしばらくは、色んな事がありすぎてそんな単純なことにさえ考えが及ばなかった。
葵とて、いつもならば久々の家族との再会を、嬉しく思っただろうけど。
「あちらで……呼ばれているようだよ?」
連れは婚約者どころか、この鳳条だ。
「あの、えっと、用事を思い出しましたっ」
突然、後退り気味に逃げ腰になった葵の腕をーー。
「ん? どこへ行くんだい」
怪訝そうな目をした鳳条が掴んだ。見かけはスラリとしているのに、葵の力ではびくともしない。慌てて反対方向に首を向けたら……
「姉さん! 久しぶりーー」
行手にはなんと弟の良樹が立ちはだかっていた。
「良樹⁉︎ 何であなたまで……」
(うわあ、どうしよう!)
逃げ場がなくなり固まってしまった葵に、良樹は「どうしたんだよ」と首を傾げている。そしてあろうことか鳳条に向かって、姿勢を正した。丁寧に頭を下げてくる。
「はじめまして。姉がお世話になっております。弟の植松良樹と申します」
マズイ……。絶対に鳳条を葵の婚約者だと勘違いしている。
だけど、とっさにどう説明をすればいいか分からない葵は、言葉に詰まった。婚約を破棄したことは、家族にまだ告げていないのだ。
一方、良樹の突然の自己紹介に、鳳条は目をわずかに見開いた。が、落ち着き払ったまま微笑みを浮かべる。
「ーー鳳条伊織です。はじめまして、どうぞよろしく」
(……伊織? 鳳条さんてば、そんな名前だったの?)
いまさらだが、初めて知った事実に、この人って名前までイケメンじゃないかと変に気が取られボウとしたまま突っ立っていると、続いて後ろからも声が聞こえてくる……
「あれ? 石田って名前じゃあ……イテッ」
みれば疑問をあげた父のその脇腹を、母が容赦なく肘でつついていた。
「あなた! 失礼なことを言うんじゃないの。葵を行き遅れにする気?」
そしてニッコリ笑って挨拶をしてくる。
「葵の母親のみつえと申します。どうぞよろしく」
母に目線で促された父は慌てて言葉を続けた。
「はじめまして。葵の父親の利樹です」
「はじめまして。ご丁寧な挨拶痛み入ります。鳳条伊織と申します。葵さんにはいつも大変お世話になっております。こちらこそ、どうぞよろしく」
鳳条もにこやかに挨拶を返している。まさか葵の元婚約者の石田と間違われているとは思ってもいないのだろう。どう説明すべき?と迷っていると、弟の良樹は目を大きく見開いて鳳条を見ている。
……なんだか様子がおかしい。それだけでなく、恐る恐るといった感じで聞いてくる。
「あの、人違いだったらすみません。鳳条さんって……もしかして、グローバルワークス・キャピタルの鳳条伊織さん、ですかーー?」
「ーー弊社をご存知でしたか」
まんまる目の良樹の反応に、驚いたのは両親だけではない。葵もえ?と思った。鳳条の仕事など葵は知らなかったし、良樹が口にした英単語が並んだ会社は何の会社かさえ見当もつかない。
「もちろんですよ! この業界で御社を知らない人などーー、あ、失礼しました。僕、東島銀行に務めていまして。まさかこんな形で鳳条さんにお会いできるとは、思っても見ませんでした」
弟の良樹はどちらかというと性格が堅めで、そのまんまの中堅銀行に勤めている。その良樹が目をキラキラさせて、鳳条を尊敬の目で見ているではないか……
そんな視線にも慣れているのか、鳳条は穏やかに笑った。
「こちらこそ、お会いできて嬉しいです。葵さんには、いつもビジネス上で的確なアドバイスをいただいています」
「えっ! 姉さんがーー?」
心底驚いたといった感じの良樹に、父がこほんと咳をした。
「あー、何だ。良樹、ちょっと話が見えんのだが……」
「ああもう、パン屋だけを何十年もやってるから、父さんたちは知らないだろうけど。鳳条さんの運営するベンチャーキャピタルは、ほんと凄いんだよ。今まで手掛けた企業はどれも急成長してるんだ」
もどかしそうな良樹に、利樹はそうなのかといった感じで隣の妻のみつえをうかがい見た。だがこちらも、そうなの?といった感じで、葵の方を見てくる。
「ち、ちょっと待って。私だってそんなこと……」
ベンチャーキャピタルって、確かーードラマで見たことがある。高い成長が予想される未上場企業に対して、出資を行う投資会社だったような……?
慌てた葵への助け舟のつもりなのか、鳳条が会話を引き取った。
「私はただのパートナーの一人で、私一人で運営しているわけではないのですよ」
「ですが、鳳条さんは立ち上げからの中心メンバーですよね。国内最大規模の独立系にまで会社を成長させた。ーー単に出資するだけでなくグローバル視野の支援や、提携企業へのコネクションにも強いとうかがっています」
「ーー運が良かったんですよ。たまたま、人脈に恵まれましてね」
艶のあるイケメンがにこやかに笑う。
どうやら、このカフェのオーナーの正体は、金融界では名の知れた会社の設立者らしい。意外ではあったが、同時に納得もした。女性遍歴を抜きにすれば信頼感抜群なのは、だからか。
うっかり目が合ったその黒い瞳が悪戯っぽく、葵に笑いかけてくる。その甘い笑顔につい葵まで見惚れそうになりーー。
危ない、危ない。危うく彼のペースに引き込まれるところだった……と思い至った途端、ハッと家族の方を振り返った。……案の定、植松家全員の頬がぽうと桜色に染まっている。
(あぁっ、なんてことーー)
そして測ったようなタイミングで開演ベルが響き渡った。
「……ベルが鳴っていますね。さあ、入りましょう」
至高の笑顔で話しかけられ、見惚れて身動きもしなかった植松家はその言葉に導かれるようにゾロゾロと動き出した。ーーが、葵はクイクイと仕立てのいいジャケットの袖を引っ張る。
「うちの家族を、誘惑しないでください!」
「誘惑……? そんなつもりは、ないけど」
いぶかしげなこの人は、なんと、無自覚だ!
一番たちが悪いと言うか……数々の女性があの笑顔に惑わされたに違いない。
ここに来て初めて、葵は鳳条の毒牙にかかった女性たちへの同情を覚えた。
あんな笑顔を見せられたら、そりゃあひとたまりもないだろう。
「なんか困ってるみたいだから、話を合わせたのに。ーーなんで怒られるんだろう……割りに合わないなあ」
鳳条はそう文句を言いつつも、いかにもおかしそうに、ククっと笑った。機嫌がよさそうなその隣で葵は当初の焦りなどすっかり忘れて、手に負えないこの人を家族の前でどう扱うべき? と頭を悩ませる。
チケットに示された指定席に座ると、鳳条の隣の席には少し嬉しそうな良樹がちゃっかり座ってきた。
「……良樹は婿入り前なんですからねっ、たらし込まないでください」
「そんな趣味はないよ。まいったなあ。ほら、始まるよ」
とりあえず鳳条に釘を刺すと、葵はふうと座席にもたれかかった。これはどうも、思ってもいない事態になってしまった。
会場の入口で渡されたプログラムを彼に見せてもらいながら、漂ってくる爽やかな香りにも困惑してう~んと眉を寄せる。葵の言葉で座席のこちら側にもたれ直した彼と、肩がくっつきそうなくらい距離が近い。
だが、しんと静まり返ったホールで演奏が始まると、聞こえてくる優雅な音色に肩から力が抜け自然と耳を傾けた。ああやっぱり生演奏はいい~と席に深々と腰掛け直す。
(やっぱりこういうのって、生で聞くと迫力が全然違うーー)
動機はどうあれ、来てよかった。
隣の鳳条と目が合うと、彼も機嫌よく微笑み返してくる。どうやら、プログラムを楽しんでくれているらしい。あれだけ見事にピアノが弾けるのだから、こういう演奏会はきっとお好みなのだろう。
見れば良樹も父も母も家族全員が舞台を熱心に見ていた。普段は野球中継などが好きな父だが、時折、店を早く閉めてクラッシックが好きな母に付き添いコンサートに出かけたりする。そんな両親にいずれは婚約破棄のことを告げなくてはならない。そうと思うと心が痛むがーー今はなんとか乗り切った気がする。
(まあこれは、鳳条さんのおかげ……なのかな)
隣で優雅に演奏に聞き入っている姿をチラリと眺め、ため息をついた葵だった。
ーーと思いきや、一難去ってまた一難。コンサートが終わると植松家にせっかくだからお茶をと誘われた。ところが、絶対断ると思っていた鳳条があっさり承知してしまい、内心でびっくりだ。
付き合ってる女性と土曜を過ごすのはめんどくさいくせに、葵の家族とのお茶は気にならないらしい……
その上、ならばと高級ホテルのラウンジにまでわざわざ案内をしてくれて、まったく読めないこの紳士の言動に葵はどうしたら良いか分からず差し当たっては流れにまかせることにしたのだがーー。
「鳳条さんは、最近帰国されたのですか?」
まだ石田と混乱しているらしい父の発言に、手に持った紅茶カップごとぶっと吹き出しそうになる。
「ええ、三ヶ月ほど前にルクセンブルクから戻ってきたばかりです」
「あ、じゃあやっぱり葵との結婚はーー」
(わあぁ、ちょっと待ったーー)
慌てて父を遮った。
「違うの、それは鳳条さんじゃなくて……」
どう説明すれば、と一瞬言い淀んだ隙に、なんでもないといった感じで鳳条がさらりと告げた。
「葵さんの元婚約者の方ですね。なんでも、任期が5年ほど伸びて……話を白紙に戻したとか」
「「っ⁉︎」」
父もだが、葵も鳳条のしれっとした答えに内心でええっ?と叫んだ後、急いでフォローした。
「あの、そうなのっ、ごめんなさい。言いそびれてて」
とんでもない嘘ではある。ーーが、婚約者に二股かけられた事実よりかは、よっぽどマトモな婚約破棄の理由でもある。ノラない手は無い。
そしてどことなく沈んだ葵がスマなさそうに謝ると、父だけでなく母や弟までが慌てて早口で心配ないとダメージコントロールに取り掛かってきた。
「謝らなくて良いのよっ。きっと、その方とはご縁がなかったのよ……」
「そうだよ、姉さんっ。そんな気にすることないよ」
「あの、その~、なんですな。ーー鳳条さんは、今日はどうしてこちらへ?」
冷や汗をかいた父はあろうことか困った時の頼みとばかり、落ち着き払った姿に話を振ってくる。
「今日はですね、週末を一人寂しく過ごしていた僕を見かねた葵さんが、親切にも誘ってくださったのです」
「そ、そうだったんですか……」
穏やかな瞳をこちらに向けた紳士を、どこの誰が一人寂しくだと葵は軽く睨んだ。するとからかうような黒い瞳がキラリと輝く。
週末は朝寝坊をしなきゃと言っていた口で、よくもまあ、ここまでいけしゃあしゃあとーー内心で呆れた。
「そういえば、パン屋を経営なさっているとか。葵さんのしっかりした食の知識には、いつも感心するばかりです。きっとそのような環境で育ったおかげなんですね」
「そ、そうなんですよ! いやあ、小さな時から、この子は食いしん坊でしてねえ」
鳳条の言葉に父は勢いよく頷いている。これで一応、褒めているつもりらしい。
「葵の提案でハーブパンとか、 野菜とスパイスをミックスしたパンなんかを売り出してみて、店の照明とかも変えてみたんです。そうしたら、常連にも評判よくって」
「姉さんの言う通りにレイアウトを変更したら、売り上げも増えたんだよね」
皆して、葵を気遣ってくれる。
そんな植松家の会話に鳳条は相槌を打ち、穏やかな空気のまま時間は流れた。やがて、植松家全員が鳳条と打ち解けていき、最後には「今度は家に遊びに来て下さい」と父が言い出すと、良樹は顔を輝かせ、母までが我が家のパンを味わってほしいと頷いた。こうして、植松家の招待に「そのうちに」と軽く礼を述べお辞儀をした姿に、皆が笑顔で手を振って家路についた。
にこやかに去っていく家族の後ろ姿を見た葵の心に、安堵がどっと広がる。
(よかったー……)
思ったよりずっと平穏に、婚約破棄のことを告げることができた。
「植松さんの実家って、都内なんだね」
「はい。八王子の方なんです」
「ご家族って、皆気さくな人たちだね」
「え、そうですか? ごく普通だと思いますけど。あ、でも、良樹は本当に良い子なんですよ」
「……もしかして、弟離れしてない?」
送ってもらった低層マンションの前で呆れたようなため息をつかれた。
「両親とも店のことで忙しくって、私が面倒を見てたものですから」
念のため玄関前までついてきてくれる彼と一緒に、エレベーターに乗る。
「ーーなんとなく、元カレの傾向が分かってきたよ。君は甘やかすタイプなんだな」
「確かに……、言われてみればそうかも知れない……」
石田もその前の彼も、一見しっかりしていそうだが実は頼りない。そんなギャップにキュンとしてあれこれ世話を焼いていた気がする……
「気持ちはわかるけど、過度の甘やかしはどちらにとってもよくないんじゃないかな。そうだ、今度は逆に、甘えられるタイプにも目を向けてみたら?」
「甘えられるタイプ、ですか……」
(う~ん、鳳条さんの指摘は、確かに当たっているのかも)
今まで相手に「自分で動いてよ」と思うことがあっても、結局はしょうがないと手伝ってあげたり、代わりにやってあげたりで済ましてきた。しかしこう言っては何だが、この残念なイケメンにまともな恋愛を語られるとは……
彼の言葉は一理あるのかも?だが。 ーーでもでも、まだ今は。
「当分の間、恋愛はこりごりです。そんなエネルギーがないというか」
「……何を枯れたこと、言ってるんだか」
しんみりと告げたのに、ククっと忍び笑いを漏らす姿に思わず拗ねたような口調になる。
「失礼しちゃいますね。誰もが鳳条さんほど、精神的にも体力的にもタフなわけではないんですよ!」
(あ、言いすぎた……?)
けど彼は、気にするでもなくーーまだ笑っている。ほっとすると同時にますます本音が……
「1から始めなければならないプロセスは、先が長すぎて、気も遠くなるんですよーー」
「それじゃあ、10をゴールとするなら、僕みたいに途中をスキップしてしまえば良いのに」
やっぱり違った。この人、全然まともじゃなかった。
「いやいや、それはゲスですからね。鳳条さんは真ん中の美味しいところだけを切り取って、後を捨てるんですから。それは恋愛じゃありません」
「ふうん。じゃあそれだと、1から始めて10までたどり着けば……恋愛として認めると?」
「ちなみに、その10は結婚後の円満な日々ですよ。戸籍をいじる覚悟なんて、鳳条さんにあります?」
結婚はしたくないと以前言っていた紳士に、それを逆手に取って言い返してみる。葵が婚約者に裏切られたと打ち明けた時も、むしろそんな男と結婚なんてしなくてよかったじゃないかと慰められたのだ。
「……一本取られたね」
なのにぜんぜん悔しそうでもなく、むしろ面白そうにこちらを眺めてくるから、ムキになった身体から力が抜けた。
「……今日はありがとうございました。鳳条さんのおかげで、元カレと破談したことをようやく家族に報告できました」
「植松さんはご家族と仲が良い。けど。だからこそ、言い出しにくかったのだろう? そんなことってあるからね」
またまた、まともなことを言ってくる。玄関前で「待っててあげるから、中に異常がないか見ておいで」と言われた葵は逆らう気も起こらず、素直に部屋をチェックしに入った。出た時と何も様子が変わっていないことにホッとする。
「大丈夫でした。わざわざ来てもらってありがとうございます」
「近所だし、大したことないよ。でもそうだな、なるべく早く鍵は変えたほうがいいだろうな。もし何かあったら、カフェに来るか電話しておいで」
そう言って、サラサラと番号を書いた名刺を差し出された。代表番号の上にペンで書かれたプライベートらしき番号。裏返すと英語でいろんな国の提携会社の連絡先も書いてある。
ーー週末の朝、ゆっくりしたいのも、恋愛にかまける時間が惜しいと言っていたのも、本当に忙しくてなのかもしれない。
(だとしたら、貴重な休みを潰してしまって……悪かったな)
「あの、婚約破棄を両親に告げることができて、本当に助かりました。素敵な服までいただいちゃって、とても嬉しかったです。それでですね、お礼と言ってはなんですが……もし私で手伝えることがあれば、何でも言ってください。カフェの人手が足りない時とか、給仕でも皿洗いでも手伝います」
葵の言葉に目を細めた鳳条は、「考えておくよ。じゃあね」と手を振った。
夜になって、ベッドで横になると、葵は今日の出来事を振り返ってみる。
思いがけない1日だったが、決して悪い日ではなかった。今朝石田と話した時は最悪な気分だったが、鳳条のおかげでそれ以降は気分よく過ごせた。
……なんだかんだ言って、お昼も奢ってもらって、服までプレゼントされてしまった。
クリーニングに出すためにハンガーに掛けたワンピースは、長い間欲しいと思っていたハイブランドだ。
鳳条は女性に服などプレゼントしたことはないと言っていたが。……きっと、試着した時の高揚した気分が葵の顔に出てしまっていたに違いない。
(ホント、優しい人なんだよね。恋愛観は問題だらけでも……)
一番いいなと感じた服を選んでくれた彼のセンスに感謝しつつ、優しいピンクと花柄の明るい色のワンピースを見ていると微笑みが漏れる。葵の目はそのまま、自然と閉じていった。
いつもよりめかし込んだ二人のその姿は、間違いなく、葵の横にいる鳳条を意識している。盛んに「こっちこっち」と手招きをするその顔は、期待に溢れた笑顔だ。
葵が例の婚約者と一緒に来るかもしれないーーそう両親が思っても不思議ではない。
……ここしばらくは、色んな事がありすぎてそんな単純なことにさえ考えが及ばなかった。
葵とて、いつもならば久々の家族との再会を、嬉しく思っただろうけど。
「あちらで……呼ばれているようだよ?」
連れは婚約者どころか、この鳳条だ。
「あの、えっと、用事を思い出しましたっ」
突然、後退り気味に逃げ腰になった葵の腕をーー。
「ん? どこへ行くんだい」
怪訝そうな目をした鳳条が掴んだ。見かけはスラリとしているのに、葵の力ではびくともしない。慌てて反対方向に首を向けたら……
「姉さん! 久しぶりーー」
行手にはなんと弟の良樹が立ちはだかっていた。
「良樹⁉︎ 何であなたまで……」
(うわあ、どうしよう!)
逃げ場がなくなり固まってしまった葵に、良樹は「どうしたんだよ」と首を傾げている。そしてあろうことか鳳条に向かって、姿勢を正した。丁寧に頭を下げてくる。
「はじめまして。姉がお世話になっております。弟の植松良樹と申します」
マズイ……。絶対に鳳条を葵の婚約者だと勘違いしている。
だけど、とっさにどう説明をすればいいか分からない葵は、言葉に詰まった。婚約を破棄したことは、家族にまだ告げていないのだ。
一方、良樹の突然の自己紹介に、鳳条は目をわずかに見開いた。が、落ち着き払ったまま微笑みを浮かべる。
「ーー鳳条伊織です。はじめまして、どうぞよろしく」
(……伊織? 鳳条さんてば、そんな名前だったの?)
いまさらだが、初めて知った事実に、この人って名前までイケメンじゃないかと変に気が取られボウとしたまま突っ立っていると、続いて後ろからも声が聞こえてくる……
「あれ? 石田って名前じゃあ……イテッ」
みれば疑問をあげた父のその脇腹を、母が容赦なく肘でつついていた。
「あなた! 失礼なことを言うんじゃないの。葵を行き遅れにする気?」
そしてニッコリ笑って挨拶をしてくる。
「葵の母親のみつえと申します。どうぞよろしく」
母に目線で促された父は慌てて言葉を続けた。
「はじめまして。葵の父親の利樹です」
「はじめまして。ご丁寧な挨拶痛み入ります。鳳条伊織と申します。葵さんにはいつも大変お世話になっております。こちらこそ、どうぞよろしく」
鳳条もにこやかに挨拶を返している。まさか葵の元婚約者の石田と間違われているとは思ってもいないのだろう。どう説明すべき?と迷っていると、弟の良樹は目を大きく見開いて鳳条を見ている。
……なんだか様子がおかしい。それだけでなく、恐る恐るといった感じで聞いてくる。
「あの、人違いだったらすみません。鳳条さんって……もしかして、グローバルワークス・キャピタルの鳳条伊織さん、ですかーー?」
「ーー弊社をご存知でしたか」
まんまる目の良樹の反応に、驚いたのは両親だけではない。葵もえ?と思った。鳳条の仕事など葵は知らなかったし、良樹が口にした英単語が並んだ会社は何の会社かさえ見当もつかない。
「もちろんですよ! この業界で御社を知らない人などーー、あ、失礼しました。僕、東島銀行に務めていまして。まさかこんな形で鳳条さんにお会いできるとは、思っても見ませんでした」
弟の良樹はどちらかというと性格が堅めで、そのまんまの中堅銀行に勤めている。その良樹が目をキラキラさせて、鳳条を尊敬の目で見ているではないか……
そんな視線にも慣れているのか、鳳条は穏やかに笑った。
「こちらこそ、お会いできて嬉しいです。葵さんには、いつもビジネス上で的確なアドバイスをいただいています」
「えっ! 姉さんがーー?」
心底驚いたといった感じの良樹に、父がこほんと咳をした。
「あー、何だ。良樹、ちょっと話が見えんのだが……」
「ああもう、パン屋だけを何十年もやってるから、父さんたちは知らないだろうけど。鳳条さんの運営するベンチャーキャピタルは、ほんと凄いんだよ。今まで手掛けた企業はどれも急成長してるんだ」
もどかしそうな良樹に、利樹はそうなのかといった感じで隣の妻のみつえをうかがい見た。だがこちらも、そうなの?といった感じで、葵の方を見てくる。
「ち、ちょっと待って。私だってそんなこと……」
ベンチャーキャピタルって、確かーードラマで見たことがある。高い成長が予想される未上場企業に対して、出資を行う投資会社だったような……?
慌てた葵への助け舟のつもりなのか、鳳条が会話を引き取った。
「私はただのパートナーの一人で、私一人で運営しているわけではないのですよ」
「ですが、鳳条さんは立ち上げからの中心メンバーですよね。国内最大規模の独立系にまで会社を成長させた。ーー単に出資するだけでなくグローバル視野の支援や、提携企業へのコネクションにも強いとうかがっています」
「ーー運が良かったんですよ。たまたま、人脈に恵まれましてね」
艶のあるイケメンがにこやかに笑う。
どうやら、このカフェのオーナーの正体は、金融界では名の知れた会社の設立者らしい。意外ではあったが、同時に納得もした。女性遍歴を抜きにすれば信頼感抜群なのは、だからか。
うっかり目が合ったその黒い瞳が悪戯っぽく、葵に笑いかけてくる。その甘い笑顔につい葵まで見惚れそうになりーー。
危ない、危ない。危うく彼のペースに引き込まれるところだった……と思い至った途端、ハッと家族の方を振り返った。……案の定、植松家全員の頬がぽうと桜色に染まっている。
(あぁっ、なんてことーー)
そして測ったようなタイミングで開演ベルが響き渡った。
「……ベルが鳴っていますね。さあ、入りましょう」
至高の笑顔で話しかけられ、見惚れて身動きもしなかった植松家はその言葉に導かれるようにゾロゾロと動き出した。ーーが、葵はクイクイと仕立てのいいジャケットの袖を引っ張る。
「うちの家族を、誘惑しないでください!」
「誘惑……? そんなつもりは、ないけど」
いぶかしげなこの人は、なんと、無自覚だ!
一番たちが悪いと言うか……数々の女性があの笑顔に惑わされたに違いない。
ここに来て初めて、葵は鳳条の毒牙にかかった女性たちへの同情を覚えた。
あんな笑顔を見せられたら、そりゃあひとたまりもないだろう。
「なんか困ってるみたいだから、話を合わせたのに。ーーなんで怒られるんだろう……割りに合わないなあ」
鳳条はそう文句を言いつつも、いかにもおかしそうに、ククっと笑った。機嫌がよさそうなその隣で葵は当初の焦りなどすっかり忘れて、手に負えないこの人を家族の前でどう扱うべき? と頭を悩ませる。
チケットに示された指定席に座ると、鳳条の隣の席には少し嬉しそうな良樹がちゃっかり座ってきた。
「……良樹は婿入り前なんですからねっ、たらし込まないでください」
「そんな趣味はないよ。まいったなあ。ほら、始まるよ」
とりあえず鳳条に釘を刺すと、葵はふうと座席にもたれかかった。これはどうも、思ってもいない事態になってしまった。
会場の入口で渡されたプログラムを彼に見せてもらいながら、漂ってくる爽やかな香りにも困惑してう~んと眉を寄せる。葵の言葉で座席のこちら側にもたれ直した彼と、肩がくっつきそうなくらい距離が近い。
だが、しんと静まり返ったホールで演奏が始まると、聞こえてくる優雅な音色に肩から力が抜け自然と耳を傾けた。ああやっぱり生演奏はいい~と席に深々と腰掛け直す。
(やっぱりこういうのって、生で聞くと迫力が全然違うーー)
動機はどうあれ、来てよかった。
隣の鳳条と目が合うと、彼も機嫌よく微笑み返してくる。どうやら、プログラムを楽しんでくれているらしい。あれだけ見事にピアノが弾けるのだから、こういう演奏会はきっとお好みなのだろう。
見れば良樹も父も母も家族全員が舞台を熱心に見ていた。普段は野球中継などが好きな父だが、時折、店を早く閉めてクラッシックが好きな母に付き添いコンサートに出かけたりする。そんな両親にいずれは婚約破棄のことを告げなくてはならない。そうと思うと心が痛むがーー今はなんとか乗り切った気がする。
(まあこれは、鳳条さんのおかげ……なのかな)
隣で優雅に演奏に聞き入っている姿をチラリと眺め、ため息をついた葵だった。
ーーと思いきや、一難去ってまた一難。コンサートが終わると植松家にせっかくだからお茶をと誘われた。ところが、絶対断ると思っていた鳳条があっさり承知してしまい、内心でびっくりだ。
付き合ってる女性と土曜を過ごすのはめんどくさいくせに、葵の家族とのお茶は気にならないらしい……
その上、ならばと高級ホテルのラウンジにまでわざわざ案内をしてくれて、まったく読めないこの紳士の言動に葵はどうしたら良いか分からず差し当たっては流れにまかせることにしたのだがーー。
「鳳条さんは、最近帰国されたのですか?」
まだ石田と混乱しているらしい父の発言に、手に持った紅茶カップごとぶっと吹き出しそうになる。
「ええ、三ヶ月ほど前にルクセンブルクから戻ってきたばかりです」
「あ、じゃあやっぱり葵との結婚はーー」
(わあぁ、ちょっと待ったーー)
慌てて父を遮った。
「違うの、それは鳳条さんじゃなくて……」
どう説明すれば、と一瞬言い淀んだ隙に、なんでもないといった感じで鳳条がさらりと告げた。
「葵さんの元婚約者の方ですね。なんでも、任期が5年ほど伸びて……話を白紙に戻したとか」
「「っ⁉︎」」
父もだが、葵も鳳条のしれっとした答えに内心でええっ?と叫んだ後、急いでフォローした。
「あの、そうなのっ、ごめんなさい。言いそびれてて」
とんでもない嘘ではある。ーーが、婚約者に二股かけられた事実よりかは、よっぽどマトモな婚約破棄の理由でもある。ノラない手は無い。
そしてどことなく沈んだ葵がスマなさそうに謝ると、父だけでなく母や弟までが慌てて早口で心配ないとダメージコントロールに取り掛かってきた。
「謝らなくて良いのよっ。きっと、その方とはご縁がなかったのよ……」
「そうだよ、姉さんっ。そんな気にすることないよ」
「あの、その~、なんですな。ーー鳳条さんは、今日はどうしてこちらへ?」
冷や汗をかいた父はあろうことか困った時の頼みとばかり、落ち着き払った姿に話を振ってくる。
「今日はですね、週末を一人寂しく過ごしていた僕を見かねた葵さんが、親切にも誘ってくださったのです」
「そ、そうだったんですか……」
穏やかな瞳をこちらに向けた紳士を、どこの誰が一人寂しくだと葵は軽く睨んだ。するとからかうような黒い瞳がキラリと輝く。
週末は朝寝坊をしなきゃと言っていた口で、よくもまあ、ここまでいけしゃあしゃあとーー内心で呆れた。
「そういえば、パン屋を経営なさっているとか。葵さんのしっかりした食の知識には、いつも感心するばかりです。きっとそのような環境で育ったおかげなんですね」
「そ、そうなんですよ! いやあ、小さな時から、この子は食いしん坊でしてねえ」
鳳条の言葉に父は勢いよく頷いている。これで一応、褒めているつもりらしい。
「葵の提案でハーブパンとか、 野菜とスパイスをミックスしたパンなんかを売り出してみて、店の照明とかも変えてみたんです。そうしたら、常連にも評判よくって」
「姉さんの言う通りにレイアウトを変更したら、売り上げも増えたんだよね」
皆して、葵を気遣ってくれる。
そんな植松家の会話に鳳条は相槌を打ち、穏やかな空気のまま時間は流れた。やがて、植松家全員が鳳条と打ち解けていき、最後には「今度は家に遊びに来て下さい」と父が言い出すと、良樹は顔を輝かせ、母までが我が家のパンを味わってほしいと頷いた。こうして、植松家の招待に「そのうちに」と軽く礼を述べお辞儀をした姿に、皆が笑顔で手を振って家路についた。
にこやかに去っていく家族の後ろ姿を見た葵の心に、安堵がどっと広がる。
(よかったー……)
思ったよりずっと平穏に、婚約破棄のことを告げることができた。
「植松さんの実家って、都内なんだね」
「はい。八王子の方なんです」
「ご家族って、皆気さくな人たちだね」
「え、そうですか? ごく普通だと思いますけど。あ、でも、良樹は本当に良い子なんですよ」
「……もしかして、弟離れしてない?」
送ってもらった低層マンションの前で呆れたようなため息をつかれた。
「両親とも店のことで忙しくって、私が面倒を見てたものですから」
念のため玄関前までついてきてくれる彼と一緒に、エレベーターに乗る。
「ーーなんとなく、元カレの傾向が分かってきたよ。君は甘やかすタイプなんだな」
「確かに……、言われてみればそうかも知れない……」
石田もその前の彼も、一見しっかりしていそうだが実は頼りない。そんなギャップにキュンとしてあれこれ世話を焼いていた気がする……
「気持ちはわかるけど、過度の甘やかしはどちらにとってもよくないんじゃないかな。そうだ、今度は逆に、甘えられるタイプにも目を向けてみたら?」
「甘えられるタイプ、ですか……」
(う~ん、鳳条さんの指摘は、確かに当たっているのかも)
今まで相手に「自分で動いてよ」と思うことがあっても、結局はしょうがないと手伝ってあげたり、代わりにやってあげたりで済ましてきた。しかしこう言っては何だが、この残念なイケメンにまともな恋愛を語られるとは……
彼の言葉は一理あるのかも?だが。 ーーでもでも、まだ今は。
「当分の間、恋愛はこりごりです。そんなエネルギーがないというか」
「……何を枯れたこと、言ってるんだか」
しんみりと告げたのに、ククっと忍び笑いを漏らす姿に思わず拗ねたような口調になる。
「失礼しちゃいますね。誰もが鳳条さんほど、精神的にも体力的にもタフなわけではないんですよ!」
(あ、言いすぎた……?)
けど彼は、気にするでもなくーーまだ笑っている。ほっとすると同時にますます本音が……
「1から始めなければならないプロセスは、先が長すぎて、気も遠くなるんですよーー」
「それじゃあ、10をゴールとするなら、僕みたいに途中をスキップしてしまえば良いのに」
やっぱり違った。この人、全然まともじゃなかった。
「いやいや、それはゲスですからね。鳳条さんは真ん中の美味しいところだけを切り取って、後を捨てるんですから。それは恋愛じゃありません」
「ふうん。じゃあそれだと、1から始めて10までたどり着けば……恋愛として認めると?」
「ちなみに、その10は結婚後の円満な日々ですよ。戸籍をいじる覚悟なんて、鳳条さんにあります?」
結婚はしたくないと以前言っていた紳士に、それを逆手に取って言い返してみる。葵が婚約者に裏切られたと打ち明けた時も、むしろそんな男と結婚なんてしなくてよかったじゃないかと慰められたのだ。
「……一本取られたね」
なのにぜんぜん悔しそうでもなく、むしろ面白そうにこちらを眺めてくるから、ムキになった身体から力が抜けた。
「……今日はありがとうございました。鳳条さんのおかげで、元カレと破談したことをようやく家族に報告できました」
「植松さんはご家族と仲が良い。けど。だからこそ、言い出しにくかったのだろう? そんなことってあるからね」
またまた、まともなことを言ってくる。玄関前で「待っててあげるから、中に異常がないか見ておいで」と言われた葵は逆らう気も起こらず、素直に部屋をチェックしに入った。出た時と何も様子が変わっていないことにホッとする。
「大丈夫でした。わざわざ来てもらってありがとうございます」
「近所だし、大したことないよ。でもそうだな、なるべく早く鍵は変えたほうがいいだろうな。もし何かあったら、カフェに来るか電話しておいで」
そう言って、サラサラと番号を書いた名刺を差し出された。代表番号の上にペンで書かれたプライベートらしき番号。裏返すと英語でいろんな国の提携会社の連絡先も書いてある。
ーー週末の朝、ゆっくりしたいのも、恋愛にかまける時間が惜しいと言っていたのも、本当に忙しくてなのかもしれない。
(だとしたら、貴重な休みを潰してしまって……悪かったな)
「あの、婚約破棄を両親に告げることができて、本当に助かりました。素敵な服までいただいちゃって、とても嬉しかったです。それでですね、お礼と言ってはなんですが……もし私で手伝えることがあれば、何でも言ってください。カフェの人手が足りない時とか、給仕でも皿洗いでも手伝います」
葵の言葉に目を細めた鳳条は、「考えておくよ。じゃあね」と手を振った。
夜になって、ベッドで横になると、葵は今日の出来事を振り返ってみる。
思いがけない1日だったが、決して悪い日ではなかった。今朝石田と話した時は最悪な気分だったが、鳳条のおかげでそれ以降は気分よく過ごせた。
……なんだかんだ言って、お昼も奢ってもらって、服までプレゼントされてしまった。
クリーニングに出すためにハンガーに掛けたワンピースは、長い間欲しいと思っていたハイブランドだ。
鳳条は女性に服などプレゼントしたことはないと言っていたが。……きっと、試着した時の高揚した気分が葵の顔に出てしまっていたに違いない。
(ホント、優しい人なんだよね。恋愛観は問題だらけでも……)
一番いいなと感じた服を選んでくれた彼のセンスに感謝しつつ、優しいピンクと花柄の明るい色のワンピースを見ていると微笑みが漏れる。葵の目はそのまま、自然と閉じていった。
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