18 / 18
〜番外編〜 不実な紳士の作り方(レシピ)
しおりを挟む
女性の泣き顔は苦手だ。
これは多分、母が静かに泣いていた印象が今も頭に根強く残るからかも知れない。
ーーそんなことを考える鳳条伊織は、男盛りの33歳である。
今日もヨーロッパ出張から帰ってくるなり、一息ついた途端『会いたい』のメッセージが伊織を追いかけてきた。スマホを確かめた顔が面倒だな、と眉をしかめる。
人と人との繋がりは大切だとは思う。だから、目に見えて邪険にはしないが……
会ってもいいけど……仕事がひと段落した後、それも夕食を食べてからだと優先順位はあからさま。見事に最下位である。
女性との交際は……そう、時間が空いた時の片手間。その程度でいい。
それでなくともいちいち断るのも煩わしいほど、次々と誘われるので……見た目は似たような彼女たちと一度はデートをする。似たり寄ったりの会話にも付き合う。そして、割り切り過ぎと非難されようが、デートは試しと告げたら泣き出す女性とは、早々に別れることにしている。面倒はとにかくごめんだ。
まずは仕事が第一。ーーこれが伊織のスタンスだ。
何しろ、リスクの高い事業に賛同して支えてくれる友人たちと立ち上げた会社だから、ぜったいに気は抜けない。
おかげさまで業績はすこぶる好調。だからこそ、やりがいもある。
おまけに、年を追うごと伸び続ける業績に反比例するよう貧しくなった食生活を向上させよう……そう思いついて始めたカフェだが。家事代行サービスで作ってもらうより、効率的でビジネスとしても面白い。さいわい経営もうまくいっている。
ーー家族がいない伊織は、一人がずっと当たり前だ。そして寮暮らしの経験上、円滑なコミュニケーションや健康は資本だと思っている。カフェ経営は寮で育った伊織の、忙しい中でも人々の日常を感じつつ食事ができる一石二鳥のアイデアだった。仕事も食生活も充実して、今は何も不自由を感じない。
だが、そんな伊織が気乗りしない『会いたい』のメッセージを受け取ったその夜。
夕食を取りに寄ったカフェは、いつもと様子がちょっと違った。この時間は店じまいに取りかかっている店長の榊の姿が見えない。いつもなら、「お帰りなさいませ」と丁寧に挨拶をしてくれるのだけど。
まあいいか、と伊織は気にせずまっすぐ地下の階段へと向かった。自分の指定席に座っていれば、いずれ監視カメラで気づいて榊は挨拶に来る。
ゆったり階段を下りていると、白い気品ある輪郭が視界に入りはじめ、自然と笑顔が浮かんだ。そこに置いてあるピアノは、楽器店で一目見て気に入ったものだ。
(気晴らしにーー、一曲弾くかな……)
ピアノの前に座ると指が勝手に動いて、突然弾きたくなった曲をポロンとかなで始めた。
響き渡る音に心のおもむくままメロディーを繰り出し楽しんでいた伊織だが……しばらくすると、榊の珍しく焦った「お待ちを」という声をかすかに聞いたような気がして、演奏を止めた。
間をおかず階段を降りてきた女性の姿に、内心でうんざりする。
「……ここへは、こないで欲しいと言ったはずだけどな」
ピアノを弾いてせっかくいい気分だったのに。ーー食事ぐらいは、気兼ねせずゆっくり楽しみたかった……
婉然と誘うように微笑まれても、着飾ったその姿を見ると一気にテンションが下がっていく。キスを仕掛けてくる女性に身体は応えるが、心は伴わない。
ところがそこへ、いきなり降って湧いたように、こともあろうにテーブルの下から見知らぬ女性が現れた。型破りな登場もさることながら、慌てて姿勢を正したその姿が謝罪の言葉を口にした途端、印象がガラッと変わったことに伊織はひどく驚いた。
(へえ、面白いな)
見覚えのない女性は……目尻を赤くしながらも泣くまいとこらえた顔をしていた。丁寧にこちらに向かって頭を深く下げ、言葉を発する。ーーと、身にまとう雰囲気が芯のある人へと変貌した。
つかのま見たその顔は、特別目を引くものではない。ーーあまつさえ、清潔そうな明るいグレーのスーツを着込んだ女性の目元メイクは、涙を流したせいなのだろう。ものの見事に崩れていた……
けれども、伊織の心にはなぜか葵が印象深く焼きついた。階段を駆け上がっていく後ろ姿をついつい目で追ってしまうほど。
「何あれ……誰? 鳳条さんの知り合い?」
声を聞くまでその腰に手をかけていた真横の存在など、すっかり忘れていた。
名前を呼ばれてようやく、自分にしなだれかかってくる女性に意識が戻る。
目にぼんやり映るその整った顔を見て、別れ時だな、伊織はそう思った。
「先ほどーー植松さんが飛び出していかれましたけど……。何かあったのですか?」
カフェを任せている榊が食事を給仕しながら、心配そうに問いかけてきた。
伊織はというと、今しがたキスを交わしていた女性にキッパリ別れを告げ、やれやれといった様子でテーブルに着いたところだ。明日のスケジュールを確認しようとしていたその手を、ふと止める。
「へえ、榊さん。さっきの女性の名前なんて、知っているのか?」
「開店当時からのお客様ですから。もちろん存じております」
榊は珍しく口の端を上げて、笑った。
「店のものである私にも、随分と礼儀正しい方で。それに……朝比奈さんの作る新作は、必ず試食なさりに来店されます」
「なるほど、店の常連さんなのか……」
意外にも趣味が合う、榊の人を見る目は確かだ。なぜだか妙に心に残る先ほどの女性は、明らかに泣いていた様子だったが、謝罪する態度から理由は伊織とは無関係と思われた。客はおろか、自分たち以外は誰も近寄らないこの地下に置いてある予備のテーブルが彼女の指定席だとはとても変わっている。だがそう言えば……先ほどの謝罪も、なぜか伊織のピアノ演奏にまで触れていた。
彼女のアンケート回答は、知り合いのホテルから引き抜いたシェフの朝比奈をも唸らせ、感心させるほどの内容らしい。ならばきっとーー次の日曜にも店を訪れるだろう。
伊織はふと、楽しみにしている新作の感想を彼女から直接聞いてみたいと思った。
(……そうだ。ついでに、客の視線から見たカフェなんかも……)
伊織の週末は、仕事以外では完全プライベートの時間だ。煩わしいデートもなしで一人のんびり過ごすと決めている。だから、週末プランなど滅多に立てないのだがーー
普段は泣いている女性を見るとトラブルしか感じない、そんな伊織がならばもう一度会ってみたいと、珍しく心の中でスケジュールを組んだ。
✦ ✧ ✦
葵はやはり、話してみると、とても面白い。
カフェで食事を共にする姿に、今夜も伊織の顔に自然と笑みが浮かんだ。
植松葵と名乗った目の前の女性は、見た目はこれといって特徴もない。普通の女性だ。だのに、話せば話すほど可愛く思え、その姿が綺麗に見えてくる。
何気なく話を振っても、きちんと聞いていると分かる態度。食事を出されると「いただきます」と丁寧に軽く手を合わせる仕草。そう言ったちょっとした事が自分の好みと重なって、珍しく積極的に会う機会を増やした伊織は、だんだん葵と会うのが楽しみになってきた。
そうして会話を通し葵を知るにつれ、保護欲のような構いたい気持ちが強くなる。……けれど葵は、他人に甘えることには慣れていないようで、その案外不器用なところも伊織には魅力的に思えた。
ーー葵のカフェメニューについて話す時の、生き生きとした話し方が好きだ。会社であったことや元カレのことを語る時の落ち込んだ表情も微笑ましい。何より、一般的にはつまらないと思われる伊織の仕事の話や、素っ気ないと取られる女性との付き合い方でさえ、そのありようを熱心な態度で聞いてくる。
伊織が話したことはすべて覚えていて、女性に対する伊織の態度は気に入らないとハッキリ示すが、それでもそのまま丸ごと受け止めている。これが伊織という人だと。
それはまるで……素行の悪い兄弟の話を、しょうがないなとため息を吐きつつ聞いている家族のような態度だった。
伊織には家族と呼べる人がいない。
両親は幼い頃に離婚して、母は伊織が小学生の頃、交通事故で亡くなった。優しかった母を家のために捨てた父親は、伊織にとって他人同然だ。
寂しいと思うことは度々あったが、学生寮で知り合った友達や先生は伊織に同情的で、比較的安穏な学校生活を送れた自分はラッキーだったと思う。
✦ ✧ ✦
幼い頃の伊織は、今まで顔を合わせてきた家族や親戚が突然いなくなったのがとにかく不思議で、母になぜなのと無邪気に質問したことがある。すると涙ぐんだ顔がため息をついて答えてくれた。
「離婚して東京に引っ越すって言ったら、縁を切られちゃったわ」
「じゃあ、お父さんはどこに行ったの?」
「私よりもっと、家のためになる女性と結婚するんだって」
優しい母に涙目で「ーー結婚っていったい、何のためにするのかしらね」と問われても、幼い伊織はもちろん答えを持ち合わせてはいなかった。けれど母はいつも伊織のことを褒めてくれたし、「伊織はいい子ね」とたくさん抱き上げて頬ずりもしてくれた。ピアノがとても上手で、素晴らしい名曲をいくつも弾いて聞かせてくれもした。
だから伊織は、買い物などで家族連れを見かけると自分より母の目が曇るのを心配して、わざと気を引く明るい声を出した。いくら他人を羨ましく思っても、自分たちの境遇は変わらない。それより母に笑って欲しかった。気にかけて守ってあげられるのは自分しかいないと、幼いなりに思っていた。
当時は知らなかったが、母は父親と離婚協議の際、理由が理由だけに二度と会わないと言う条件をつけていた。だから、皮肉にもまさにそのとおりだったのだが。
「ーー私自身は何も変わらないのに、世間の目はどんどん変わるの。……大海家から離縁されたバツイチの女だってね」
独り言のように呟くその手はだんだん細くなっていき、いくつかの春を迎えると優しく美しかった母はある日突然、事故で亡くなった。伊織は正真正銘一人ぼっちになってしまったのだ。
すると今度は、伊織の父親の代理だと言う弁護士が訪ねてきた。
「私の名前は鬼頭と申します。君の父親ではないけれど、君が大人になるまで世話をすることになりました」
言われた言葉の意味がよく分からなくて、首を傾げた伊織に鬼頭は噛み砕いて説明してくれた。
「私が君の面倒を見るということです。君は全寮制の学校に行くことになるから、生活は心配しなくていいよ」
「僕の面倒を見るって、どうして……?」
親でもない人に突然そんな事を言われて、戸惑うばかりだった。
「君の父上が私を指名したからだよ。何か困ったことがあれば相談してください」
大人の事情はよく分からなかったが、弁護士だと名乗った男は色々と親切にしてくれた。鬼頭は伊織の生活費はすべて母が周到に用意したものだから、堂々と頼っていいのだ説明して、転校して寮で暮らし始めた伊織に中学はこのままでもよいが、高校は別の学校に受験するようにと進言してきた。
「どうして? また学校を変わらなきゃならないの?」
「知力というのはそれだけで力になります。君はとても頭がいい。幸い財力にも恵まれている。知力と財力はそれぞれ別の力ですが、二つ合わせるとさらに大きな力になります」
「……大きな力って、何?」
幼い頃から、”なぜ何”少年だった伊織は、疑問を口にする。
「自分の幸せを切り開ける力でしょうかね。幸せはお金で買えないと言いますが、ある程度の幸せは知力と財力で手に入りますよ」
「ある程度……どうして全部じゃないの?」
「幸せには定義がありません。ですから、全部を手に入れるのは困難です」
分かったような分からないような顔をした伊織に、鬼頭は真剣に向き合って答える。
「例えば……人脈、君たちの言葉で言うと友情ですかね? 本物の友情は残念ながら、知力と財力だけでは手に入りません。人と人とのつながりで感じる幸せは、何者にも代えがたいものです」
「友情……他には?」
「そうですねえ、例えば趣味……好きなものがあると幸せを感じる人もいます。君の趣味は何ですか?」
「勉強……かなあ?」
「それはどちらかと言うと君の得意なモノでしょう。君が心から楽しいと思えることってありませんか?」
「……ピアノを弾くのは、楽しい」
「ならば君の趣味はピアノですね。趣味だけでは、幸せになれないかもしれませんが、知力と財力、人脈に趣味。これだけ揃えば、君はかなり幸せになれると思いますよ」
鬼頭の言葉に伊織は素直に頷いた。彼との会話は面白かったからだ。
「私はすべてのことに答えられるわけではありません。ですが、君が大人になれば、欠けているものが自ずと見えてくるでしょう」
そして大きくなるにつれ、伊織は自分の姿が人から好かれるものだと気づく。けど同時に、見かけがすべてでないとも思いはじめた。
例えば。寮の食堂のおばさんは、顔や手はシミそばかすとシワだらけ。だけど子供を早くに亡くしたとかで、いつも伊織の好物を大盛りでよそってくれる。学校の事務員さんはすごい強面だが、手先が器用でこっそり隠れて捨てられた犬や猫の世話をしている。彼らと話すのは同級生と話すより楽しいときがあった。
「そうか、坊も一人か……。家族がいないのは寂しいよなあ。けどよ、しがらみがなくって自由だとも言えるさあ」
「しがらみ?」
ある時、事務員のおじさんと犬に餌をやりながら話していて、家族の話題になった。
「そうさあ。何も持ってねえってのはな、何も失うものがねえってこった。だから強みにもなる。そうさなーー思い切って挑戦したり、新しいものを生み出すチャンスに恵まれたとでも思えばいい」
「思い切ってって、何に挑戦するの……?」
「何でもいいさあ。そんな夢ばっかでバカげてるって、叱ったり顔をしかめる者もいねえからなあ」
自分の力で何かを作り出し、築いていく。
ーーこうしなきゃいけないとか、失敗したらどうするとか、心配して引き留める家族もいない。
挑戦という言葉に惹かれた伊織は、カッコいいかもと思った。伊織少年の頭に本や漫画で読んだ冒険物語ーー大海を船で航海するイメージが浮かんでくる。
(そうだ。将来はーー……あんな冒険生活ができたら、楽しいな……)
新世界の発見は難しいかもしれないが、世界にはまだどこかに未知だってあるはず。
伊織の少年時代の夢はこうして膨れ上がり……新しいアイデアや、長い研究で培われた成果から生まれたベンチャー企業を世に出す、その資金を提供する会社を立ち上げることにつながった。
大学を卒業後、何年か社会経験を積んで仲間と共に会社の基盤を築き上げ、軌道に乗せ、少し余裕ができた頃に自分のイメージを建築家に伝えて、伊織の城ーーカフェと自宅が完成した。
船のセイルのような大きな白いカーテン、大航海時代の帆船を思い出させるナチュラルウッドの家具。海原を航海する船を意識した洗練されたインテリアデザインの家ーーカフェも波止場街をイメージした内装で、伊織は初めて自分の家を手に入れて大満足だ。
そんな思い入れのある伊織のカフェを、葵はいたく気に入っている。
『ーーだからさっき、レストランに入る前に言った言葉は、僕にとっては真実なんだ。植松さんは、とても綺麗だ』
予期せずホテルで一泊することになった時、葵に言ったこの言葉は真実だ。
だが正確には、言わずにいた続きがあった。
「……君に会うまで、そう思える人に出会えなかったけど」
本当はこう言いたかった。……こんな風に感じたことがないから、珍しくためらいを覚えてハショってしまったが。
これが愛かと聞かれたら、正直分からない。
だけど葵は、他の誰とも違う。
自分の恋人に仕立てるなら彼女がいいと思ったし、ホテルのレストランで元婚約者とか言う男を目の当たりにして、こんな男に葵の良さなど分かるわけがないとも思った。
葵には、自分がどう思っているかをありのまま知って欲しい。ーーそう思い、自分なりの言葉で誠実に伝えたつもりだ。
成り行きで二人そろってホテル宿泊。その上、週末まで付き合うことになったというのに、葵とならまったく気にならなかった。むしろ砕けた雰囲気で感じた親愛に、ますます心の中で温かい感情が呼び覚まされる。一夜明けても変わらぬどころか、さらに強く惹かれる自分がいる。
(うん、悪くない……)
どころか、彼女の隣で目覚めるのはとてもいい。
すやすや眠る葵の寝顔を見つめていると、早く起きておはようって言ってくれないかなと、ついついその髪にそっと触れていた。
そして自分から言い出したこととは言え、ストーカー紛いの行動を取る女性とのいざこざに巻き込んでしまったことを、大いに反省もした。
(失敗した。植松さんをこんな下らないことに深入りさせて……完全に巻き添えだよな)
恋人として続けることを断られても仕方がない。そう覚悟して恐る恐る話を切り出すとーー
自身の元カレの問題もあるのに、葵は瞳もそらさずキッパリ断言してくれた。引き受けたからには最後まで続けると。
……人を信じる、そしてまた超がつくお人好しーーそれが葵の本質らしい。
そんな葵が可愛く思えて……どうしても顔が見たくて、様子を見る口実でマンションに寄ってみた。
すると思っても見なかった彼女の弱さを目の当たりにしたが、伊織の気持ちは萎えるどころかますます強くなる。ーー葵と離れてはいけない。
(なんだろう……はじめてだーーこんな気持ちは)
胸は暖かくなるのに、同時に甘い痛みを伴う。
そして唇へのキスなど自分からは滅多にしないのに、ついつい同意も求めず触れた。
ーー伊織が自分からキスやその先へと女性を誘うことはほぼない。ねだられば応えるーーその程度だ。大して意味があるわけではなく、ただの社交辞令。前戯の一つ。伊織にとってはその程度だった。
だけど葵がそばにいると、衝動的にその身体にどうしても触れたくなる。
抱き寄せたい。髪に触れたい。キスをしてもいいかな……こんな想いが先走る。理屈も理由も抜きで手放したくない。
いつもそばにいて、名前で呼んで欲しいーーなど、もろもろの欲求に駆られはじめた伊織は、葵への深い思い入れをはっきり自覚した。
だから池杉の問題が再び浮上すると、仕事もだが、葵をこれ以上巻き込まないため社交倶楽部から戻るなり、ただちに古い知り合いでもある弁護士の鬼頭に連絡を取った。
✦ ✧ ✦
「くっ、また……」
うねるように襲ってくる熱に頭が飛びそうになる。こんなことは初めてだった。こんな己に余裕がないのは。
身体が、ただひたすら葵を求めている。
……過去に女性たちを前にした時は、自分はひどく冷めていると考えるばかりで。それでも相手を導くのは何でもなかったから手早くずっとそうしてきた。
なのに今はーー組み敷いた柔らかい身体を味わい尽くし、深く深く奥深くまで刻み込んでこの甘く痺れる感覚をいつまでも追っていたい。
葵と溶けあって一つになる。葵は自分だけのものだ。
強い想いしか頭にない。
本当に余裕など一ミリもなかったのだ。
女性の泣き顔は苦手だ……けど、葵は自分の腕の中で泣かせたい。
快楽で濡れ光る瞳を見ていると、腰の奥はもちろん身体中がさらに熱くなる。その心の奥まで深く繋がって、決して消えないくさびを打ち込みつつ己で葵を埋め尽くしたい。
(もっと、僕に溺れてーー)
甘えてねだって、欲しがっていい。
そんな熱い衝動に駆られ自分でも呆れるほどねちっこく攻めた。
あっさり解放するなど、ぜったいにないーー……
初めて葵と抱き合って伊織は理解した。
葵こそ、長い間待ちわびていた人だ。
一緒に極まった瞬間に、紛れもない独占欲と焦がれるほどの愛欲が満たされ、心身ともに充実して世界までもが違って見えた。
それだけでなく、上手く愛せただろうか?と珍しく気にして、まるで答えを探すように抱いたままのその穏やかな寝顔を眺めてしまう。
自分本意に振る舞っていなかったか……葵はとても幸せそうで満足げに寝ているが。
ピンクに染まった頬に浮かんでいるかすかな微笑みを見ているだけで、愛おしさが溢れてくる。
(もう一度ーー……抱きたいな)
その愛くるしい姿が目を覚ました途端、そんな欲求が弾けた。
「葵。起きたばかりで悪いけど、今すぐ抱きたい」
葵の満足度が気になったくせに、一度味わった葵との一体感の誘惑に逆らえずまだ柔らかい身体に強引に押し入った。恥じらう姿が感じている証拠の愛液が溢れ出ると、伊織の心にも歓喜が溢れ、おさまるどころかさらに葵が欲しくなる。
ぜんぜん足りない。まだまだこんなものじゃあない。ーー終わりなき欲求はますます強くなる。
なんて……満ち足りた気持ちに浸れるのだろう。愛を交わすという行為はーー…………
これがセックスだというのなら、今までの営みはすべてただの自慰行為だ。そう言い切れるほど、心も身体も満たされて、なのにまだ葵が欲しい。
結局、はじめて自宅に招いた記念すべき女性である葵をもてなすどころか片時も離さず、しかも信じられないほど何度も貪欲に抱きまくった。その上、あらゆる手で帰さないと引き留めたその週末。葵を生涯のパートナーにすると伊織は腹を決めた。
恋人を作れば、仕事も生活も何もかも縛られると面倒しか感じなかった過去ーー何不自由ない生活ではあったが、元の生活には戻らない。ましてや、葵と想いあう絆を結んだ今、こちらから絆を断つなど考えられなかった。心の葛藤も抵抗も、息苦しささえ感じない固い意思での決意だ。
だが……婚約破棄を経験したばかりの葵が、伊織を受け入れるには時間がかかるだろう。そう思うと葵には同じ気持ちを急かすつもりもなかった。
大海の家に仕事で呼び出され……葵との時間が削られたのは気に入らなかったが、ちょうど良い機会だとビジネス取引きを終えると今後一切見合い話は聞かない旨を、キッパリ伝えた。
そしてまた、この上なく葵が大事だと感じたからこそ、直接鬼頭に池杉への対応を詳しく依頼した後、ふと思いついて以前作成した遺言を変更することにした。
週末中あれだけ葵を抱きまくったのだ。当然、これからも葵を抱くし、葵しか抱かない。
心を伴う愛欲は葵だけにしか生まれないのだから、今後は他の誰も一切いらない。
だが……こんな調子で葵を抱き続ければ、いずれ避妊に失敗する日が来るかもしれない。
まあ、葵との子供ならありかなーーあっさりそう思えた。
それこそ、結婚は絶対しないと思っているのに……だ。
ならば、万が一のためーーすべてを葵へと託す。
何の前触れもなく、電撃的な依頼をした伊織を、鬼頭は信じられないという目で見たきたが、さすが長年大海家の弁護士を務めるだけあって余計な詮索はしてこなかった。
こうして、この出張から帰ったらできれば生活を共にーーと思っていた伊織だが、現実はそこまで甘くなかった。
突然聞かされた、異動を示唆する話。そしてやはりーー
(海外赴任……か。まあ、当たり前だよな。僕だってしょっ中、出張だ)
葵はその実力を買われ昇進するのだ。パートナーとしてこれほど誇らしいことはない。
けれどもそれとは別に、葵とは絶対に離れたくない。
瞑想がわりにピアノを奏で始めた伊織の決断は、またまた信じられないほど早かった。
あまりにも時間がない。躊躇している余裕などない。婚姻はありえないと思っていた過去の自分など、くそくらえだ。
葵の恋人として赴任先へ一緒について行く……それだけでは、不都合が出る可能性がある。
葵と引き離される要素は、すべてあらかじめ排除だ。
何より誰より葵が欲しい。そのすべてを手に入れ、独占できる手段が結婚だというのならーー
(いいだろう。これも挑戦なんだ。やってやる)
葵の家族も仕事も何もかも丸ごと、喜んで責任を持つ。伊織にとって葵はもうすでに家族なのだから。
辿り着いた結論に向かって、伊織はすぐ行動に移った。
どうせ二人で暮らすことに慣れさせるつもりで、懐柔しはじめていたのだ。
まず手始めに。ずっと身につけて欲しい気持ちで贈る昇進祝いの指輪を、葵の薬指に嵌める。そこからは慎重にタイミングを見極め、葵に婚姻を納得かつ承諾させ、そして葵の夫として堂々とシンガポールへと同行する。
ーーこの案を実行するには、ビジネス面でも相当な覚悟が必要だ。
(がぜん、奮い立つな……うすうすこうなるかも知れないと思って、模索はしていたけど。やっぱり葵は、僕に欠けていた大切な宝物だ)
「ーー今日の議題だけど、今後の我が社のグローバル展開について皆と話し合いたい」
ビジネスパートナー達との会議で、自社発展のロードマップと自分の未来でもある抱負を打ち出した。
「グローバルワークス・キャピタルも、世界へもう一歩深く踏み出してもいい時期に来ていると思っている。手始めに、以前にも意見が出たアジア・オセアニア視野でのビジネス拡張についてだけど……」
乗り出すように伊織の言葉に聞きいる同僚たちに、よし、手応えはありと内心でさらに気合を入れる。
「……ここからじょじょに手を広げて、今展開しているアメリカ、カナダやヨーロッパなどのパイプを多角的に判断するのはどうだろう。そしてそれらを太く長く繋げていく。いずれは世界中に堅固な地盤を持つネットワークの構築を提案したい。ついては、皆の意見をぜひ聞きたい」
葵が世界のどこに赴任しても、必ず同行する。そんな体制を整えていく。どんなに重いと思われようが、これが伊織の愛し方だ。
(長い間、僕が探し求めていた大事な愛しい人ーー。一度捉まえたからには、決して離しはしない)
そう。今、伊織は新しい挑戦へと向かって航路を定め動き出した。
ー終ー
これは多分、母が静かに泣いていた印象が今も頭に根強く残るからかも知れない。
ーーそんなことを考える鳳条伊織は、男盛りの33歳である。
今日もヨーロッパ出張から帰ってくるなり、一息ついた途端『会いたい』のメッセージが伊織を追いかけてきた。スマホを確かめた顔が面倒だな、と眉をしかめる。
人と人との繋がりは大切だとは思う。だから、目に見えて邪険にはしないが……
会ってもいいけど……仕事がひと段落した後、それも夕食を食べてからだと優先順位はあからさま。見事に最下位である。
女性との交際は……そう、時間が空いた時の片手間。その程度でいい。
それでなくともいちいち断るのも煩わしいほど、次々と誘われるので……見た目は似たような彼女たちと一度はデートをする。似たり寄ったりの会話にも付き合う。そして、割り切り過ぎと非難されようが、デートは試しと告げたら泣き出す女性とは、早々に別れることにしている。面倒はとにかくごめんだ。
まずは仕事が第一。ーーこれが伊織のスタンスだ。
何しろ、リスクの高い事業に賛同して支えてくれる友人たちと立ち上げた会社だから、ぜったいに気は抜けない。
おかげさまで業績はすこぶる好調。だからこそ、やりがいもある。
おまけに、年を追うごと伸び続ける業績に反比例するよう貧しくなった食生活を向上させよう……そう思いついて始めたカフェだが。家事代行サービスで作ってもらうより、効率的でビジネスとしても面白い。さいわい経営もうまくいっている。
ーー家族がいない伊織は、一人がずっと当たり前だ。そして寮暮らしの経験上、円滑なコミュニケーションや健康は資本だと思っている。カフェ経営は寮で育った伊織の、忙しい中でも人々の日常を感じつつ食事ができる一石二鳥のアイデアだった。仕事も食生活も充実して、今は何も不自由を感じない。
だが、そんな伊織が気乗りしない『会いたい』のメッセージを受け取ったその夜。
夕食を取りに寄ったカフェは、いつもと様子がちょっと違った。この時間は店じまいに取りかかっている店長の榊の姿が見えない。いつもなら、「お帰りなさいませ」と丁寧に挨拶をしてくれるのだけど。
まあいいか、と伊織は気にせずまっすぐ地下の階段へと向かった。自分の指定席に座っていれば、いずれ監視カメラで気づいて榊は挨拶に来る。
ゆったり階段を下りていると、白い気品ある輪郭が視界に入りはじめ、自然と笑顔が浮かんだ。そこに置いてあるピアノは、楽器店で一目見て気に入ったものだ。
(気晴らしにーー、一曲弾くかな……)
ピアノの前に座ると指が勝手に動いて、突然弾きたくなった曲をポロンとかなで始めた。
響き渡る音に心のおもむくままメロディーを繰り出し楽しんでいた伊織だが……しばらくすると、榊の珍しく焦った「お待ちを」という声をかすかに聞いたような気がして、演奏を止めた。
間をおかず階段を降りてきた女性の姿に、内心でうんざりする。
「……ここへは、こないで欲しいと言ったはずだけどな」
ピアノを弾いてせっかくいい気分だったのに。ーー食事ぐらいは、気兼ねせずゆっくり楽しみたかった……
婉然と誘うように微笑まれても、着飾ったその姿を見ると一気にテンションが下がっていく。キスを仕掛けてくる女性に身体は応えるが、心は伴わない。
ところがそこへ、いきなり降って湧いたように、こともあろうにテーブルの下から見知らぬ女性が現れた。型破りな登場もさることながら、慌てて姿勢を正したその姿が謝罪の言葉を口にした途端、印象がガラッと変わったことに伊織はひどく驚いた。
(へえ、面白いな)
見覚えのない女性は……目尻を赤くしながらも泣くまいとこらえた顔をしていた。丁寧にこちらに向かって頭を深く下げ、言葉を発する。ーーと、身にまとう雰囲気が芯のある人へと変貌した。
つかのま見たその顔は、特別目を引くものではない。ーーあまつさえ、清潔そうな明るいグレーのスーツを着込んだ女性の目元メイクは、涙を流したせいなのだろう。ものの見事に崩れていた……
けれども、伊織の心にはなぜか葵が印象深く焼きついた。階段を駆け上がっていく後ろ姿をついつい目で追ってしまうほど。
「何あれ……誰? 鳳条さんの知り合い?」
声を聞くまでその腰に手をかけていた真横の存在など、すっかり忘れていた。
名前を呼ばれてようやく、自分にしなだれかかってくる女性に意識が戻る。
目にぼんやり映るその整った顔を見て、別れ時だな、伊織はそう思った。
「先ほどーー植松さんが飛び出していかれましたけど……。何かあったのですか?」
カフェを任せている榊が食事を給仕しながら、心配そうに問いかけてきた。
伊織はというと、今しがたキスを交わしていた女性にキッパリ別れを告げ、やれやれといった様子でテーブルに着いたところだ。明日のスケジュールを確認しようとしていたその手を、ふと止める。
「へえ、榊さん。さっきの女性の名前なんて、知っているのか?」
「開店当時からのお客様ですから。もちろん存じております」
榊は珍しく口の端を上げて、笑った。
「店のものである私にも、随分と礼儀正しい方で。それに……朝比奈さんの作る新作は、必ず試食なさりに来店されます」
「なるほど、店の常連さんなのか……」
意外にも趣味が合う、榊の人を見る目は確かだ。なぜだか妙に心に残る先ほどの女性は、明らかに泣いていた様子だったが、謝罪する態度から理由は伊織とは無関係と思われた。客はおろか、自分たち以外は誰も近寄らないこの地下に置いてある予備のテーブルが彼女の指定席だとはとても変わっている。だがそう言えば……先ほどの謝罪も、なぜか伊織のピアノ演奏にまで触れていた。
彼女のアンケート回答は、知り合いのホテルから引き抜いたシェフの朝比奈をも唸らせ、感心させるほどの内容らしい。ならばきっとーー次の日曜にも店を訪れるだろう。
伊織はふと、楽しみにしている新作の感想を彼女から直接聞いてみたいと思った。
(……そうだ。ついでに、客の視線から見たカフェなんかも……)
伊織の週末は、仕事以外では完全プライベートの時間だ。煩わしいデートもなしで一人のんびり過ごすと決めている。だから、週末プランなど滅多に立てないのだがーー
普段は泣いている女性を見るとトラブルしか感じない、そんな伊織がならばもう一度会ってみたいと、珍しく心の中でスケジュールを組んだ。
✦ ✧ ✦
葵はやはり、話してみると、とても面白い。
カフェで食事を共にする姿に、今夜も伊織の顔に自然と笑みが浮かんだ。
植松葵と名乗った目の前の女性は、見た目はこれといって特徴もない。普通の女性だ。だのに、話せば話すほど可愛く思え、その姿が綺麗に見えてくる。
何気なく話を振っても、きちんと聞いていると分かる態度。食事を出されると「いただきます」と丁寧に軽く手を合わせる仕草。そう言ったちょっとした事が自分の好みと重なって、珍しく積極的に会う機会を増やした伊織は、だんだん葵と会うのが楽しみになってきた。
そうして会話を通し葵を知るにつれ、保護欲のような構いたい気持ちが強くなる。……けれど葵は、他人に甘えることには慣れていないようで、その案外不器用なところも伊織には魅力的に思えた。
ーー葵のカフェメニューについて話す時の、生き生きとした話し方が好きだ。会社であったことや元カレのことを語る時の落ち込んだ表情も微笑ましい。何より、一般的にはつまらないと思われる伊織の仕事の話や、素っ気ないと取られる女性との付き合い方でさえ、そのありようを熱心な態度で聞いてくる。
伊織が話したことはすべて覚えていて、女性に対する伊織の態度は気に入らないとハッキリ示すが、それでもそのまま丸ごと受け止めている。これが伊織という人だと。
それはまるで……素行の悪い兄弟の話を、しょうがないなとため息を吐きつつ聞いている家族のような態度だった。
伊織には家族と呼べる人がいない。
両親は幼い頃に離婚して、母は伊織が小学生の頃、交通事故で亡くなった。優しかった母を家のために捨てた父親は、伊織にとって他人同然だ。
寂しいと思うことは度々あったが、学生寮で知り合った友達や先生は伊織に同情的で、比較的安穏な学校生活を送れた自分はラッキーだったと思う。
✦ ✧ ✦
幼い頃の伊織は、今まで顔を合わせてきた家族や親戚が突然いなくなったのがとにかく不思議で、母になぜなのと無邪気に質問したことがある。すると涙ぐんだ顔がため息をついて答えてくれた。
「離婚して東京に引っ越すって言ったら、縁を切られちゃったわ」
「じゃあ、お父さんはどこに行ったの?」
「私よりもっと、家のためになる女性と結婚するんだって」
優しい母に涙目で「ーー結婚っていったい、何のためにするのかしらね」と問われても、幼い伊織はもちろん答えを持ち合わせてはいなかった。けれど母はいつも伊織のことを褒めてくれたし、「伊織はいい子ね」とたくさん抱き上げて頬ずりもしてくれた。ピアノがとても上手で、素晴らしい名曲をいくつも弾いて聞かせてくれもした。
だから伊織は、買い物などで家族連れを見かけると自分より母の目が曇るのを心配して、わざと気を引く明るい声を出した。いくら他人を羨ましく思っても、自分たちの境遇は変わらない。それより母に笑って欲しかった。気にかけて守ってあげられるのは自分しかいないと、幼いなりに思っていた。
当時は知らなかったが、母は父親と離婚協議の際、理由が理由だけに二度と会わないと言う条件をつけていた。だから、皮肉にもまさにそのとおりだったのだが。
「ーー私自身は何も変わらないのに、世間の目はどんどん変わるの。……大海家から離縁されたバツイチの女だってね」
独り言のように呟くその手はだんだん細くなっていき、いくつかの春を迎えると優しく美しかった母はある日突然、事故で亡くなった。伊織は正真正銘一人ぼっちになってしまったのだ。
すると今度は、伊織の父親の代理だと言う弁護士が訪ねてきた。
「私の名前は鬼頭と申します。君の父親ではないけれど、君が大人になるまで世話をすることになりました」
言われた言葉の意味がよく分からなくて、首を傾げた伊織に鬼頭は噛み砕いて説明してくれた。
「私が君の面倒を見るということです。君は全寮制の学校に行くことになるから、生活は心配しなくていいよ」
「僕の面倒を見るって、どうして……?」
親でもない人に突然そんな事を言われて、戸惑うばかりだった。
「君の父上が私を指名したからだよ。何か困ったことがあれば相談してください」
大人の事情はよく分からなかったが、弁護士だと名乗った男は色々と親切にしてくれた。鬼頭は伊織の生活費はすべて母が周到に用意したものだから、堂々と頼っていいのだ説明して、転校して寮で暮らし始めた伊織に中学はこのままでもよいが、高校は別の学校に受験するようにと進言してきた。
「どうして? また学校を変わらなきゃならないの?」
「知力というのはそれだけで力になります。君はとても頭がいい。幸い財力にも恵まれている。知力と財力はそれぞれ別の力ですが、二つ合わせるとさらに大きな力になります」
「……大きな力って、何?」
幼い頃から、”なぜ何”少年だった伊織は、疑問を口にする。
「自分の幸せを切り開ける力でしょうかね。幸せはお金で買えないと言いますが、ある程度の幸せは知力と財力で手に入りますよ」
「ある程度……どうして全部じゃないの?」
「幸せには定義がありません。ですから、全部を手に入れるのは困難です」
分かったような分からないような顔をした伊織に、鬼頭は真剣に向き合って答える。
「例えば……人脈、君たちの言葉で言うと友情ですかね? 本物の友情は残念ながら、知力と財力だけでは手に入りません。人と人とのつながりで感じる幸せは、何者にも代えがたいものです」
「友情……他には?」
「そうですねえ、例えば趣味……好きなものがあると幸せを感じる人もいます。君の趣味は何ですか?」
「勉強……かなあ?」
「それはどちらかと言うと君の得意なモノでしょう。君が心から楽しいと思えることってありませんか?」
「……ピアノを弾くのは、楽しい」
「ならば君の趣味はピアノですね。趣味だけでは、幸せになれないかもしれませんが、知力と財力、人脈に趣味。これだけ揃えば、君はかなり幸せになれると思いますよ」
鬼頭の言葉に伊織は素直に頷いた。彼との会話は面白かったからだ。
「私はすべてのことに答えられるわけではありません。ですが、君が大人になれば、欠けているものが自ずと見えてくるでしょう」
そして大きくなるにつれ、伊織は自分の姿が人から好かれるものだと気づく。けど同時に、見かけがすべてでないとも思いはじめた。
例えば。寮の食堂のおばさんは、顔や手はシミそばかすとシワだらけ。だけど子供を早くに亡くしたとかで、いつも伊織の好物を大盛りでよそってくれる。学校の事務員さんはすごい強面だが、手先が器用でこっそり隠れて捨てられた犬や猫の世話をしている。彼らと話すのは同級生と話すより楽しいときがあった。
「そうか、坊も一人か……。家族がいないのは寂しいよなあ。けどよ、しがらみがなくって自由だとも言えるさあ」
「しがらみ?」
ある時、事務員のおじさんと犬に餌をやりながら話していて、家族の話題になった。
「そうさあ。何も持ってねえってのはな、何も失うものがねえってこった。だから強みにもなる。そうさなーー思い切って挑戦したり、新しいものを生み出すチャンスに恵まれたとでも思えばいい」
「思い切ってって、何に挑戦するの……?」
「何でもいいさあ。そんな夢ばっかでバカげてるって、叱ったり顔をしかめる者もいねえからなあ」
自分の力で何かを作り出し、築いていく。
ーーこうしなきゃいけないとか、失敗したらどうするとか、心配して引き留める家族もいない。
挑戦という言葉に惹かれた伊織は、カッコいいかもと思った。伊織少年の頭に本や漫画で読んだ冒険物語ーー大海を船で航海するイメージが浮かんでくる。
(そうだ。将来はーー……あんな冒険生活ができたら、楽しいな……)
新世界の発見は難しいかもしれないが、世界にはまだどこかに未知だってあるはず。
伊織の少年時代の夢はこうして膨れ上がり……新しいアイデアや、長い研究で培われた成果から生まれたベンチャー企業を世に出す、その資金を提供する会社を立ち上げることにつながった。
大学を卒業後、何年か社会経験を積んで仲間と共に会社の基盤を築き上げ、軌道に乗せ、少し余裕ができた頃に自分のイメージを建築家に伝えて、伊織の城ーーカフェと自宅が完成した。
船のセイルのような大きな白いカーテン、大航海時代の帆船を思い出させるナチュラルウッドの家具。海原を航海する船を意識した洗練されたインテリアデザインの家ーーカフェも波止場街をイメージした内装で、伊織は初めて自分の家を手に入れて大満足だ。
そんな思い入れのある伊織のカフェを、葵はいたく気に入っている。
『ーーだからさっき、レストランに入る前に言った言葉は、僕にとっては真実なんだ。植松さんは、とても綺麗だ』
予期せずホテルで一泊することになった時、葵に言ったこの言葉は真実だ。
だが正確には、言わずにいた続きがあった。
「……君に会うまで、そう思える人に出会えなかったけど」
本当はこう言いたかった。……こんな風に感じたことがないから、珍しくためらいを覚えてハショってしまったが。
これが愛かと聞かれたら、正直分からない。
だけど葵は、他の誰とも違う。
自分の恋人に仕立てるなら彼女がいいと思ったし、ホテルのレストランで元婚約者とか言う男を目の当たりにして、こんな男に葵の良さなど分かるわけがないとも思った。
葵には、自分がどう思っているかをありのまま知って欲しい。ーーそう思い、自分なりの言葉で誠実に伝えたつもりだ。
成り行きで二人そろってホテル宿泊。その上、週末まで付き合うことになったというのに、葵とならまったく気にならなかった。むしろ砕けた雰囲気で感じた親愛に、ますます心の中で温かい感情が呼び覚まされる。一夜明けても変わらぬどころか、さらに強く惹かれる自分がいる。
(うん、悪くない……)
どころか、彼女の隣で目覚めるのはとてもいい。
すやすや眠る葵の寝顔を見つめていると、早く起きておはようって言ってくれないかなと、ついついその髪にそっと触れていた。
そして自分から言い出したこととは言え、ストーカー紛いの行動を取る女性とのいざこざに巻き込んでしまったことを、大いに反省もした。
(失敗した。植松さんをこんな下らないことに深入りさせて……完全に巻き添えだよな)
恋人として続けることを断られても仕方がない。そう覚悟して恐る恐る話を切り出すとーー
自身の元カレの問題もあるのに、葵は瞳もそらさずキッパリ断言してくれた。引き受けたからには最後まで続けると。
……人を信じる、そしてまた超がつくお人好しーーそれが葵の本質らしい。
そんな葵が可愛く思えて……どうしても顔が見たくて、様子を見る口実でマンションに寄ってみた。
すると思っても見なかった彼女の弱さを目の当たりにしたが、伊織の気持ちは萎えるどころかますます強くなる。ーー葵と離れてはいけない。
(なんだろう……はじめてだーーこんな気持ちは)
胸は暖かくなるのに、同時に甘い痛みを伴う。
そして唇へのキスなど自分からは滅多にしないのに、ついつい同意も求めず触れた。
ーー伊織が自分からキスやその先へと女性を誘うことはほぼない。ねだられば応えるーーその程度だ。大して意味があるわけではなく、ただの社交辞令。前戯の一つ。伊織にとってはその程度だった。
だけど葵がそばにいると、衝動的にその身体にどうしても触れたくなる。
抱き寄せたい。髪に触れたい。キスをしてもいいかな……こんな想いが先走る。理屈も理由も抜きで手放したくない。
いつもそばにいて、名前で呼んで欲しいーーなど、もろもろの欲求に駆られはじめた伊織は、葵への深い思い入れをはっきり自覚した。
だから池杉の問題が再び浮上すると、仕事もだが、葵をこれ以上巻き込まないため社交倶楽部から戻るなり、ただちに古い知り合いでもある弁護士の鬼頭に連絡を取った。
✦ ✧ ✦
「くっ、また……」
うねるように襲ってくる熱に頭が飛びそうになる。こんなことは初めてだった。こんな己に余裕がないのは。
身体が、ただひたすら葵を求めている。
……過去に女性たちを前にした時は、自分はひどく冷めていると考えるばかりで。それでも相手を導くのは何でもなかったから手早くずっとそうしてきた。
なのに今はーー組み敷いた柔らかい身体を味わい尽くし、深く深く奥深くまで刻み込んでこの甘く痺れる感覚をいつまでも追っていたい。
葵と溶けあって一つになる。葵は自分だけのものだ。
強い想いしか頭にない。
本当に余裕など一ミリもなかったのだ。
女性の泣き顔は苦手だ……けど、葵は自分の腕の中で泣かせたい。
快楽で濡れ光る瞳を見ていると、腰の奥はもちろん身体中がさらに熱くなる。その心の奥まで深く繋がって、決して消えないくさびを打ち込みつつ己で葵を埋め尽くしたい。
(もっと、僕に溺れてーー)
甘えてねだって、欲しがっていい。
そんな熱い衝動に駆られ自分でも呆れるほどねちっこく攻めた。
あっさり解放するなど、ぜったいにないーー……
初めて葵と抱き合って伊織は理解した。
葵こそ、長い間待ちわびていた人だ。
一緒に極まった瞬間に、紛れもない独占欲と焦がれるほどの愛欲が満たされ、心身ともに充実して世界までもが違って見えた。
それだけでなく、上手く愛せただろうか?と珍しく気にして、まるで答えを探すように抱いたままのその穏やかな寝顔を眺めてしまう。
自分本意に振る舞っていなかったか……葵はとても幸せそうで満足げに寝ているが。
ピンクに染まった頬に浮かんでいるかすかな微笑みを見ているだけで、愛おしさが溢れてくる。
(もう一度ーー……抱きたいな)
その愛くるしい姿が目を覚ました途端、そんな欲求が弾けた。
「葵。起きたばかりで悪いけど、今すぐ抱きたい」
葵の満足度が気になったくせに、一度味わった葵との一体感の誘惑に逆らえずまだ柔らかい身体に強引に押し入った。恥じらう姿が感じている証拠の愛液が溢れ出ると、伊織の心にも歓喜が溢れ、おさまるどころかさらに葵が欲しくなる。
ぜんぜん足りない。まだまだこんなものじゃあない。ーー終わりなき欲求はますます強くなる。
なんて……満ち足りた気持ちに浸れるのだろう。愛を交わすという行為はーー…………
これがセックスだというのなら、今までの営みはすべてただの自慰行為だ。そう言い切れるほど、心も身体も満たされて、なのにまだ葵が欲しい。
結局、はじめて自宅に招いた記念すべき女性である葵をもてなすどころか片時も離さず、しかも信じられないほど何度も貪欲に抱きまくった。その上、あらゆる手で帰さないと引き留めたその週末。葵を生涯のパートナーにすると伊織は腹を決めた。
恋人を作れば、仕事も生活も何もかも縛られると面倒しか感じなかった過去ーー何不自由ない生活ではあったが、元の生活には戻らない。ましてや、葵と想いあう絆を結んだ今、こちらから絆を断つなど考えられなかった。心の葛藤も抵抗も、息苦しささえ感じない固い意思での決意だ。
だが……婚約破棄を経験したばかりの葵が、伊織を受け入れるには時間がかかるだろう。そう思うと葵には同じ気持ちを急かすつもりもなかった。
大海の家に仕事で呼び出され……葵との時間が削られたのは気に入らなかったが、ちょうど良い機会だとビジネス取引きを終えると今後一切見合い話は聞かない旨を、キッパリ伝えた。
そしてまた、この上なく葵が大事だと感じたからこそ、直接鬼頭に池杉への対応を詳しく依頼した後、ふと思いついて以前作成した遺言を変更することにした。
週末中あれだけ葵を抱きまくったのだ。当然、これからも葵を抱くし、葵しか抱かない。
心を伴う愛欲は葵だけにしか生まれないのだから、今後は他の誰も一切いらない。
だが……こんな調子で葵を抱き続ければ、いずれ避妊に失敗する日が来るかもしれない。
まあ、葵との子供ならありかなーーあっさりそう思えた。
それこそ、結婚は絶対しないと思っているのに……だ。
ならば、万が一のためーーすべてを葵へと託す。
何の前触れもなく、電撃的な依頼をした伊織を、鬼頭は信じられないという目で見たきたが、さすが長年大海家の弁護士を務めるだけあって余計な詮索はしてこなかった。
こうして、この出張から帰ったらできれば生活を共にーーと思っていた伊織だが、現実はそこまで甘くなかった。
突然聞かされた、異動を示唆する話。そしてやはりーー
(海外赴任……か。まあ、当たり前だよな。僕だってしょっ中、出張だ)
葵はその実力を買われ昇進するのだ。パートナーとしてこれほど誇らしいことはない。
けれどもそれとは別に、葵とは絶対に離れたくない。
瞑想がわりにピアノを奏で始めた伊織の決断は、またまた信じられないほど早かった。
あまりにも時間がない。躊躇している余裕などない。婚姻はありえないと思っていた過去の自分など、くそくらえだ。
葵の恋人として赴任先へ一緒について行く……それだけでは、不都合が出る可能性がある。
葵と引き離される要素は、すべてあらかじめ排除だ。
何より誰より葵が欲しい。そのすべてを手に入れ、独占できる手段が結婚だというのならーー
(いいだろう。これも挑戦なんだ。やってやる)
葵の家族も仕事も何もかも丸ごと、喜んで責任を持つ。伊織にとって葵はもうすでに家族なのだから。
辿り着いた結論に向かって、伊織はすぐ行動に移った。
どうせ二人で暮らすことに慣れさせるつもりで、懐柔しはじめていたのだ。
まず手始めに。ずっと身につけて欲しい気持ちで贈る昇進祝いの指輪を、葵の薬指に嵌める。そこからは慎重にタイミングを見極め、葵に婚姻を納得かつ承諾させ、そして葵の夫として堂々とシンガポールへと同行する。
ーーこの案を実行するには、ビジネス面でも相当な覚悟が必要だ。
(がぜん、奮い立つな……うすうすこうなるかも知れないと思って、模索はしていたけど。やっぱり葵は、僕に欠けていた大切な宝物だ)
「ーー今日の議題だけど、今後の我が社のグローバル展開について皆と話し合いたい」
ビジネスパートナー達との会議で、自社発展のロードマップと自分の未来でもある抱負を打ち出した。
「グローバルワークス・キャピタルも、世界へもう一歩深く踏み出してもいい時期に来ていると思っている。手始めに、以前にも意見が出たアジア・オセアニア視野でのビジネス拡張についてだけど……」
乗り出すように伊織の言葉に聞きいる同僚たちに、よし、手応えはありと内心でさらに気合を入れる。
「……ここからじょじょに手を広げて、今展開しているアメリカ、カナダやヨーロッパなどのパイプを多角的に判断するのはどうだろう。そしてそれらを太く長く繋げていく。いずれは世界中に堅固な地盤を持つネットワークの構築を提案したい。ついては、皆の意見をぜひ聞きたい」
葵が世界のどこに赴任しても、必ず同行する。そんな体制を整えていく。どんなに重いと思われようが、これが伊織の愛し方だ。
(長い間、僕が探し求めていた大事な愛しい人ーー。一度捉まえたからには、決して離しはしない)
そう。今、伊織は新しい挑戦へと向かって航路を定め動き出した。
ー終ー
13
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(7件)
あなたにおすすめの小説
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
結婚式に結婚相手の不貞が発覚した花嫁は、義父になるはずだった公爵当主と結ばれる
狭山雪菜
恋愛
アリス・マーフィーは、社交界デビューの時にベネット公爵家から結婚の打診を受けた。
しかし、結婚相手は女にだらしないと有名な次期当主で………
こちらの作品は、「小説家になろう」にも掲載してます。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
【完結】 契約が終わったら静かにお引き取りくださいと言ったのはあなたなのに執着しないでください
紬あおい
恋愛
「あなたとは二年間の契約婚です。満了の際は静かにお引き取りください。」
そう言ったのはあなたです。
お言葉通り、今日私はここを出て行きます。
なのに、どうして離してくれないのですか!?
すったもんだアリアリのクライスとファニア。
見守る義両親、騎士、山羊。
くすっと笑えるお話の…筈…?
山羊のポトちゃんが活躍する場面もお楽しみいただけますと幸いです。
【完結】妹が旦那様とキスしていたのを見たのが十日前
地鶏
恋愛
私、アリシア・ブルームは順風満帆な人生を送っていた。
あの日、私の婚約者であるライア様と私の妹が濃厚なキスを交わすあの場面をみるまでは……。
私の気持ちを裏切り、弄んだ二人を、私は許さない。
アリシア・ブルームの復讐が始まる。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
親しくもない知り合いでもなんでもない輩にノコノコ呼び出されて何の警戒も無くアルコールを摂取する御曹司がバカすぎて一気に萎えた。
ストーカー被害にもあってるのに頭お花畑すぎんだろ。
葵ちゃん、伊織さんおめでとうございます(*´ω`*) 葵ちゃんの心に寄り添うだけではなく、伊織さんの心も暖かい愛しい気持ちで満たされていく関係…一気に読みました。すごい良かった♡ 楽しかったです。
感想ありがとうございます。
一気に読んでいただけたなんてほんと嬉しいです。恋愛モノにしてはゆっくり展開なので、どうかなと思っていたのですが、冒険してよかったです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
ふぅ、完徹で読破してしまいました!!
紹介文を読んでためらっていて、何度かスルーしたのですが読んで良かった〜😊
もうすっごく面白くて引きこまれまくりでした。
葵と伊織の会話が最初から面白いし、お互いに惹かれていっての溺愛。
海外赴任に着いていく伊織さんのハンターっぷりにニヤニヤがとまらないし、
鬼頭さんの登場も素敵でした。
まさにタイトル通りで最高でした💕
感想ありがとうござます。
完徹をしてまで最後まで読んでいただいて、とても嬉しいです。
書いてよかった〜と感激です。