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第二十七話 空いてしまった距離
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初めて繋がったことで夕食もとらずにそのまま寝てしまった。
カーテンの隙間から覗く朝日の眩しさに目が覚めると、自分の身体が軽いことに気づいた。
……そうだ。俺、服を着てない。
裸のまま起き上がったら、セーレに何事かと思われるんじゃないか!? 何事かっていうより、俺たちのことがバレてしまうよな。
掛け布団を自分の身体に寄せながら起き上がると、なんとなくお尻がすっきりしている気がした。
触ってみると、精液が零れていたはずなのに、もうなくなっている。
それに全身汗をかいていたのに、べたべたした感じもない。
……殿下が拭いてくれたのだろうか。
ベッドの隅には俺の服が畳まれていた。
セーレがやったわけないし、殿下が……?
というか、セーレが俺を起こしにこない。
陽の昇りからするに、もう起こしに来る時間のはずなんだけど……。
しばらく待ってみたけど、セーレは寝室にやってこなかった。
「あ、セーレ。おはよう」
「……あ」
寝室から殿下の部屋のリビングに来たとき、ちょうどセーレがソファに座っていたから声をかけた。
「……おはようございます」
そう言って、……あからさまに目を逸らした。
セーレは自分の角を弄っていて、気まずそうな雰囲気を醸し出している。
これは、もしかして……。
「あの、さ」
「なんですか?」
「昨日、なんか聞こえたりした? 寝室から」
「……なにも」
再び視線を逸らして、角を弄り始めた。
むすっとしているし、かなり不機嫌だ……。
完全に、昨日の夜のことがバレている……。
昨日セーレは寝室には来なかったけど、お風呂から上がったら俺と殿下の情事の音が聞こえてきたのだろう。
「カトレア、朝食を終えたら仕事に行きますよ」
「あ、うん、わかった」
ドアの傍には既にワゴンの上に朝食が置かれていた。
畑で取れる眠気を覚ますハーブと野菜のサラダに、カボチャの冷製スープ、クロワッサンやベーグルなどの数種類のパン。
仕事に間に合うように早めに平らげた後、着替えて仕事に向かった。
その日は、セーレは普通に俺の仕事のサポートをしてくれた。
昨日の夜のことは一つも聞いてこなかった。殿下の話も出なかった。
だけど、俺に一歩線を引いているような感覚があった。
仕事の話はするけど、殿下の話も夜の話もしないでください、というような線引き。
その夜のことは忘れます、とでもいうくらい昨日のことを話さない。
今まで大事な友人で、大事な家族のような存在だったセーレが、俺に距離を置いている。そんな現実が悲しかった。
次の日も、セーレは一歩線を引いた態度で接してきた。
朝も起こしにこない。殿下と夜を過ごすつもりだと思っているのかもしれないけど、その殿下は忙しいのか深夜に帰ってきていた。
その次の日も、そのまた次の日も。
セーレとギクシャクした関係を続けていって、お互いにそのことをさらりと話せばいいだけなのに、話せずにいた。
でもセーレは俺と殿下がセックスしたことを、誰にも言っていないようだった。
何故ならこの数日間、警ら隊が押しかけてくることもないし、王宮の誰かが噂していることもないからだ。
そういうこともあって、あのときのことをセーレがどう思ってるのかわからないから、俺は翌日セーレに思い切って聞いてみた。
黙っている理由も聞きたいし、もうセーレと楽しく話すことができないのが嫌だからだ。
「……聞いてましたよ。わかってました、カトレアたちが何をしているのかも」
仕事の休憩時間に聞いたら、ぽつりとそう言ってくれた。
「……ごめん。セーレに嫌なもの聞かせちゃったよね」
「いえ、別に、嫌とかそういうのじゃなくて。ただ……」
セーレがごくりと唾を飲んだ。
でも待っていても口を開閉させるだけで、話してくれない。
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