60 / 64
第60話 リリー
しおりを挟む
その少し低くて聞き取りやすい声に、前世の記憶がよみがえってくる。
……間違いない、香澄だ。
聞こえて来た声でわかる。
香澄が社内やカフェで話す時の声と同じ、女性にしては低いけれどはっきりとしたものだ。
……日本と繋がれたんだ。
『……あの、もしもーし』
安堵を覚えると同時に、なんて返事をしようか迷った。
一番聞きたいのはリリーの安否だけど、死んだ私から電話が来たらホラー現象もいいとこだろう。
けど、異世界に転生したって言えば香澄なら信じてくれるかもしれない。……信じるか?
香澄はよく社内の化粧室やランチタイムに外のカフェで、私によく異世界転生する乙女ゲームの話をしていた。
主人公が王太子や宰相子息、公爵家嫡男と恋愛をして、悪役令嬢からのいじめを振り切り攻略対象の誰かと結婚するというものだ。
その王太子がかっこいいとか、私も死んだら異世界に転生してかっこいい男の人と恋愛したい、とか私に喜々として語ってくれていたのを覚えている。
香澄は異世界転生する乙女ゲームを何本もやっていて、攻略が終わるたびに私に話してきてくれた。
おばあちゃんになって最期を迎えたら、異世界に転生しないかなぁ、とか言っていたし、それが現実で起きたと考えてくれれば大丈夫なはず。
それとも、誰かになりすましていろいろと話す方がいいだろうか。
「……」
ううん、やめよう。
今は三城奏芽として、香澄と話したい……。
「……香澄?」
『え……? え、その声……』
「久しぶり」
『え……えええええ!?』
脳内に直接香澄の叫び声が響いてくる。
『え、そんな、だって奏芽はもう……え、これは、夢? 夢だよね、夢じゃないとおかしいよね……』
「お、落ち着いて、香澄」
震える声を出す香澄に、私はなんとか事情を説明した。
自分は確かに死んでしまっているということ。
でも、死んだら別世界に転生して、別の人生を送っていること。
香澄に聞きたいことがあって、魔術師から日本とこの世界を繋ぐ魔道具を作って貰い、今その魔道具で香澄と繋がっていること。
そこまで話すと、最初は驚いていた香澄も『へぇ~』と納得していた。
乙女ゲームの世界が存在する、と言う風に解釈したようだ。
『まさか乙女ゲームみたいなことが本当に起きるとはね……。私も、死んだら奏芽の世界に行けるのかなぁ』
「まだ死んじゃダメだよ?」
『うん……死なない……でも、奏芽がいないのが、すごく寂しくて……。今話ができて、ほんとに嬉しい……』
香澄が鼻をすする音が聞こえる。
『そっちの世界で、元気にやってるの……?』
「うん、すごい元気だよ」
『楽しい?』
「うん」
『良かった……』
まるで娘の一人暮らしを心配するお母さんみたいなことを言ってきて、私が死んでしまってどれだけ寂しかったのかが伝わってきた。
私と香澄は同期でお互いお喋りが多く、一緒によくランチしたり飲みに行ったりしていた。
香澄は人見知りだったし、私が部署の中で彼女と一番仲が良かったように思う。
その私が死んでしまったのだから、辛くて仕方なかったのだろう。
「ありがとうね、香澄」
『うん』
そのとき、ズキッと頭痛がして光が弱まるのが感じた。
光がぼわんぼわんと点滅している。
リュザは言ってなかったけど、もしかしたら日本とこの世界を繋ぐことができる時間は思っていたより少ないのかもしれない。
急いで話を切り出す。
「それで、香澄、聞きたいことなんだけど……」
『あ、うん。どうしたの?』
唾をごくりと飲んで、質問した。
「リリーは、元気?」
『リリー? ふふ』
香澄が少しだけ笑った。
ガタッと受話器を棚かどこかに置く音が聞こえて、しばらくした後再び香澄が受話器を取る。
そのとき、『にゃぁ~』と鳴く声がした。
『私が保護してるよ。都内に奏芽の身よりがいなかったから、リリーちゃんは私が育ててる。心配しないで。ちゃんとごはんも水もあげてるよ』
再び『にゃ、にゃ』と猫の鳴き声が聞こえた。
大丈夫だよ、と言っているようで、私は大きくため息を吐いてへなへなと全身の力を緩ませた。
「……良かった。良かった……」
今までずっと胸の内に引っかかっていた懸念が、すっとなくなっていく。
元気な鳴き声に私は無事で良かったことの安堵と懐かしさで目尻に涙が浮かんだ。
『リリーちゃん可愛いねぇ。奏芽がよくリリーが可愛いって私に話してたでしょ。もうその通りだよ、いるだけで癒されるし、可愛い』
「ふふ」
香澄がリリーを撫でているような気がした。
目尻の涙をこすっていると、再びズキッと頭が痛くなる。
白い光も最初より十分弱まり、周りの景色がうっすらと見えてくるようになった。
香澄の声もだんだん遠のいてくる。
頭痛もひどくなってきて、香澄がいる世界から離されていくような感覚だ。
「香澄、そろそろ時間みたい」
『あ……』
「ありがとう、いろいろ話してくれて」
『……うん、こちらこそありがとう。このことは誰にも言わないからね』
「お願いね。……日本で、元気に過ごしてね」
『そっちこそ。風邪とか引かないようにね』
「大丈夫だよ。ありがとう」
『ありがとうね』
光が薄くなっていき、香澄の声も聞こえなくなる。
次第にこっちでの私の家が見えてきた。
庭に咲く色とりどりの花々、白いテーブルと椅子、待っててくれたリュザがはっきりと見えてくる。
光は完全になくなり、頭痛もしなくなった。
「あっ」
「……っと」
ふらついて倒れそうになった私をリュザがすぐに受け止めてくれた。
日にあたって煌めく海よりも深い青色の双眸が、私を心配そうに見る。
「大丈夫?」
「大丈夫です、すみません」
リュザに支えられながら立ち上がる。
さっきまで聞いていた、もうこれから先聞けないであろう香澄とリリーの声を思い出し、鼻の奥がつんと刺激される。
まるで夢みたいな感覚だった。
その感覚を味わわせてくれたのは、リュザだ。
「ありがとうございます、リュザ。リリーの安否もわかって、友人とも話せて……幸せでした」
「……」
笑顔で私がそう言うと、リュザは顎に手をあてくすりと笑んだ。
「そんな笑顔を見せられると、また作りたくなっちゃうな」
「え……」
「それ、返してもらっていい?」
リュザがブレスレットを指さす。
使えるのは一度だけだと言っていたから、もう魔力はないのだろう。
素直にそれを渡すと、リュザはロングブーツを鳴らして庭を出、門前まで歩いて行った。
「また何か用があれば、来るから。じゃあね」
「……本当に、ありがとうございました」
リュザが門を開けて去っていく。
見送っていると、そっと振り向いて手を振ってくれた。
……間違いない、香澄だ。
聞こえて来た声でわかる。
香澄が社内やカフェで話す時の声と同じ、女性にしては低いけれどはっきりとしたものだ。
……日本と繋がれたんだ。
『……あの、もしもーし』
安堵を覚えると同時に、なんて返事をしようか迷った。
一番聞きたいのはリリーの安否だけど、死んだ私から電話が来たらホラー現象もいいとこだろう。
けど、異世界に転生したって言えば香澄なら信じてくれるかもしれない。……信じるか?
香澄はよく社内の化粧室やランチタイムに外のカフェで、私によく異世界転生する乙女ゲームの話をしていた。
主人公が王太子や宰相子息、公爵家嫡男と恋愛をして、悪役令嬢からのいじめを振り切り攻略対象の誰かと結婚するというものだ。
その王太子がかっこいいとか、私も死んだら異世界に転生してかっこいい男の人と恋愛したい、とか私に喜々として語ってくれていたのを覚えている。
香澄は異世界転生する乙女ゲームを何本もやっていて、攻略が終わるたびに私に話してきてくれた。
おばあちゃんになって最期を迎えたら、異世界に転生しないかなぁ、とか言っていたし、それが現実で起きたと考えてくれれば大丈夫なはず。
それとも、誰かになりすましていろいろと話す方がいいだろうか。
「……」
ううん、やめよう。
今は三城奏芽として、香澄と話したい……。
「……香澄?」
『え……? え、その声……』
「久しぶり」
『え……えええええ!?』
脳内に直接香澄の叫び声が響いてくる。
『え、そんな、だって奏芽はもう……え、これは、夢? 夢だよね、夢じゃないとおかしいよね……』
「お、落ち着いて、香澄」
震える声を出す香澄に、私はなんとか事情を説明した。
自分は確かに死んでしまっているということ。
でも、死んだら別世界に転生して、別の人生を送っていること。
香澄に聞きたいことがあって、魔術師から日本とこの世界を繋ぐ魔道具を作って貰い、今その魔道具で香澄と繋がっていること。
そこまで話すと、最初は驚いていた香澄も『へぇ~』と納得していた。
乙女ゲームの世界が存在する、と言う風に解釈したようだ。
『まさか乙女ゲームみたいなことが本当に起きるとはね……。私も、死んだら奏芽の世界に行けるのかなぁ』
「まだ死んじゃダメだよ?」
『うん……死なない……でも、奏芽がいないのが、すごく寂しくて……。今話ができて、ほんとに嬉しい……』
香澄が鼻をすする音が聞こえる。
『そっちの世界で、元気にやってるの……?』
「うん、すごい元気だよ」
『楽しい?』
「うん」
『良かった……』
まるで娘の一人暮らしを心配するお母さんみたいなことを言ってきて、私が死んでしまってどれだけ寂しかったのかが伝わってきた。
私と香澄は同期でお互いお喋りが多く、一緒によくランチしたり飲みに行ったりしていた。
香澄は人見知りだったし、私が部署の中で彼女と一番仲が良かったように思う。
その私が死んでしまったのだから、辛くて仕方なかったのだろう。
「ありがとうね、香澄」
『うん』
そのとき、ズキッと頭痛がして光が弱まるのが感じた。
光がぼわんぼわんと点滅している。
リュザは言ってなかったけど、もしかしたら日本とこの世界を繋ぐことができる時間は思っていたより少ないのかもしれない。
急いで話を切り出す。
「それで、香澄、聞きたいことなんだけど……」
『あ、うん。どうしたの?』
唾をごくりと飲んで、質問した。
「リリーは、元気?」
『リリー? ふふ』
香澄が少しだけ笑った。
ガタッと受話器を棚かどこかに置く音が聞こえて、しばらくした後再び香澄が受話器を取る。
そのとき、『にゃぁ~』と鳴く声がした。
『私が保護してるよ。都内に奏芽の身よりがいなかったから、リリーちゃんは私が育ててる。心配しないで。ちゃんとごはんも水もあげてるよ』
再び『にゃ、にゃ』と猫の鳴き声が聞こえた。
大丈夫だよ、と言っているようで、私は大きくため息を吐いてへなへなと全身の力を緩ませた。
「……良かった。良かった……」
今までずっと胸の内に引っかかっていた懸念が、すっとなくなっていく。
元気な鳴き声に私は無事で良かったことの安堵と懐かしさで目尻に涙が浮かんだ。
『リリーちゃん可愛いねぇ。奏芽がよくリリーが可愛いって私に話してたでしょ。もうその通りだよ、いるだけで癒されるし、可愛い』
「ふふ」
香澄がリリーを撫でているような気がした。
目尻の涙をこすっていると、再びズキッと頭が痛くなる。
白い光も最初より十分弱まり、周りの景色がうっすらと見えてくるようになった。
香澄の声もだんだん遠のいてくる。
頭痛もひどくなってきて、香澄がいる世界から離されていくような感覚だ。
「香澄、そろそろ時間みたい」
『あ……』
「ありがとう、いろいろ話してくれて」
『……うん、こちらこそありがとう。このことは誰にも言わないからね』
「お願いね。……日本で、元気に過ごしてね」
『そっちこそ。風邪とか引かないようにね』
「大丈夫だよ。ありがとう」
『ありがとうね』
光が薄くなっていき、香澄の声も聞こえなくなる。
次第にこっちでの私の家が見えてきた。
庭に咲く色とりどりの花々、白いテーブルと椅子、待っててくれたリュザがはっきりと見えてくる。
光は完全になくなり、頭痛もしなくなった。
「あっ」
「……っと」
ふらついて倒れそうになった私をリュザがすぐに受け止めてくれた。
日にあたって煌めく海よりも深い青色の双眸が、私を心配そうに見る。
「大丈夫?」
「大丈夫です、すみません」
リュザに支えられながら立ち上がる。
さっきまで聞いていた、もうこれから先聞けないであろう香澄とリリーの声を思い出し、鼻の奥がつんと刺激される。
まるで夢みたいな感覚だった。
その感覚を味わわせてくれたのは、リュザだ。
「ありがとうございます、リュザ。リリーの安否もわかって、友人とも話せて……幸せでした」
「……」
笑顔で私がそう言うと、リュザは顎に手をあてくすりと笑んだ。
「そんな笑顔を見せられると、また作りたくなっちゃうな」
「え……」
「それ、返してもらっていい?」
リュザがブレスレットを指さす。
使えるのは一度だけだと言っていたから、もう魔力はないのだろう。
素直にそれを渡すと、リュザはロングブーツを鳴らして庭を出、門前まで歩いて行った。
「また何か用があれば、来るから。じゃあね」
「……本当に、ありがとうございました」
リュザが門を開けて去っていく。
見送っていると、そっと振り向いて手を振ってくれた。
1
あなたにおすすめの小説
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
婚約破棄されたので聖獣育てて田舎に帰ったら、なぜか世界の中心になっていました
かしおり
恋愛
「アメリア・ヴァルディア。君との婚約は、ここで破棄する」
王太子ロウェルの冷酷な言葉と共に、彼は“平民出身の聖女”ノエルの手を取った。
だが侯爵令嬢アメリアは、悲しむどころか——
「では、実家に帰らせていただきますね」
そう言い残し、静かにその場を後にした。
向かった先は、聖獣たちが棲まう辺境の地。
かつて彼女が命を救った聖獣“ヴィル”が待つ、誰も知らぬ聖域だった。
魔物の侵攻、暴走する偽聖女、崩壊寸前の王都——
そして頼る者すらいなくなった王太子が頭を垂れたとき、
アメリアは静かに告げる。
「もう遅いわ。今さら後悔しても……ヴィルが許してくれないもの」
聖獣たちと共に、新たな居場所で幸せに生きようとする彼女に、
世界の運命すら引き寄せられていく——
ざまぁもふもふ癒し満載!
婚約破棄から始まる、爽快&優しい異世界スローライフファンタジー!
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました
チャビューヘ
恋愛
三度目の婚約破棄で、ようやく自由を手に入れた。
王太子から「冷酷で心がない」と糾弾され、大広間で婚約を破棄されたエリナ。しかし彼女は泣かない。なぜなら、これは三度目のループだから。前世は過労死した41歳の経営コンサル。一周目は泣き崩れ、二周目は慌てふためいた。でも三周目の今回は違う。「ありがとうございます、殿下。これで自由になれます」──優雅に微笑み、誰も予想しない行動に出る。
エリナが選んだのは、誰も欲しがらない辺境の荒れ地。人口わずか4500人、干ばつで荒廃した最悪の土地を、金貨100枚で買い取った。貴族たちは嘲笑う。「追放された令嬢が、荒れ地で野垂れ死にするだけだ」と。
だが、彼らは知らない。エリナが前世で培った、経営コンサルタントとしての圧倒的な知識を。三圃式農業、ブランド戦略、人材採用術、物流システム──現代日本の経営ノウハウを、中世ファンタジー世界で全力展開。わずか半年で領地は緑に変わり、住民たちは希望を取り戻す。一年後には人口は倍増、財政は奇跡の黒字化。「辺境の奇跡」として王国中で噂になり始めた。
そして現れたのが、王国一の冷徹さで知られる財務大臣、カイル・ヴェルナー。氷のような視線、容赦ない数字の追及。貴族たちが震え上がる彼が、なぜか月に一度の「定期視察」を提案してくる。そして月一が週一になり、やがて──「経済政策の話がしたいだけです」という言い訳とともに、毎日のように訪ねてくるようになった。
夜遅くまで経済理論を語り合い、気づけば星空の下で二人きり。「あなたは、何者なんだ」と問う彼の瞳には、もはや氷の冷たさはない。部下たちは囁く。「閣下、またフェルゼン領ですか」。本人は「重要案件だ」と言い張るが、その頬は微かに赤い。
一方、エリナを捨てた元婚約者の王太子リオンは、彼女の成功を知って後悔に苛まれる。「俺は…取り返しのつかないことを」。かつてエリナを馬鹿にした貴族たちも掌を返し、継母は「戻ってきて」と懇願する。だがエリナは冷静に微笑むだけ。「もう、過去のことです」。ざまあみろ、ではなく──もっと前を向いている。
知的で戦略的な領地経営。冷徹な財務大臣の不器用な溺愛。そして、自分を捨てた者たちへの圧倒的な「ざまぁ」。三周目だからこそ完璧に描ける、逆転と成功の物語。
経済政策で国を変え、本物の愛を見つける──これは、消去法で選ばれただけの婚約者が、自らの知恵と努力で勝ち取った、最高の人生逆転ストーリー。
聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~
夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力!
絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。
最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り!
追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる