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第182話 バーガーキングちゃん
しおりを挟む「…………んぁ?」
窓から入る日差しを受けて目が覚めました。おはようございます、イケメンのユウタです。壁に掛けられた時計を見ると11時を回っていました。ヤバい、寝過ごした!!
アワアワしながら部屋を見渡したけどボク一人でした。昨日はスミレさんと千代ちゃんの面接をしてお酒飲んでウェーイって感じで盛り上がったんだよね。う゛っ、その後の記憶が無いぞ?
「こ、これは!?」
ゴソゴソとタオルケットから抜け出すと、枕元にエッチな黒いスケスケのパンツが置かれているのを発見しました。小さめのサイズなので恵美さんか千代ちゃんあたりでしょうか?
名探偵ユウタの出番ですね。まずは匂いから犯人を割り出してみましょう。クンカクンカ。
「……むむーっ!?」
この芳醇でかぐわしいフルーティな香りは恵美さんじゃありませんね。つまりこれは……千代ちゃんですね!! このパンツは記念に持ち帰りましょう。でも何でここに千代ちゃんのパンツが……?
リビングに行くと、エチエチなメイド服から秋物の私服に着替えた桜さんが優雅にオシャレなティーカップで何かを飲んでいました。そうか、もう秋になるのか。カーディガンにロングスカートが大人の女性っぽさを引き立てていますねぇ。
パッと見たところ他に誰も居ませんでした。
「おはようございますー!」
「おはようございます、ユウタさん」
ニッコリと笑顔を向けてくれます。かなりご機嫌な様子ですよ。
「あれ、桜さんだけですか? 他の皆さんはお出掛けですか?」
「メグちゃん以外は昨晩帰られました。メグちゃんもお仕事が入ってしまったらしく、朝早くから出掛けてしまいましたよ。なので私とユウタさんだけです」
「……ほほう?」
どうやらボクが寝坊していたから恵美さんに挨拶出来なかったようです。まあしょうがないよね。
「ユウタさんの朝ごはんがまだですが、もうすぐお昼です。先生がお家で待っていますから何か買って帰りましょうか」
「了解しましたー!」
急いでシャワーを浴びてからお化粧して貰い、お昼ご飯を買って夏子さんの待つお家へ帰りましょう!!
恵美さんのお家の近くにあるスーパーマーケットに寄って、夕飯の食材も一緒に買って帰ろうという事になりました。
桜さんの運転する車が駐車場に入る時、チラッと『M』のマークがある大きな看板が見えました。駐車場に車を止めて歩いていると、何とも言えないジャンクフードっぽい香りがホワワワ~ンと漂ってきました。もしや、アレですか!?
「桜さん、桜さん。ボク、マッキュが食べたいですっ!!」
母親におねだりする子供のような感じになっちゃいましたが、ボクにはスタンプカードを埋めるという崇高なミッションがあるのです。
「ふふ……しょうがないですね。お夕飯の食材を買ってからですよ?」
「わーい! ありがとうございますー!!」
ふふ、おねだり作戦が成功しました。これでポイントゲットだぜー!!
夕飯は野菜がたっぷりと摂れるお鍋になりました。最近はちょっとだけ肌寒くなってきたので良いかもしれませんね。
そしてついに初マッキュデビューです。バーガーキングちゃんを模った大きな看板が可愛いですね。写真を撮って千代ちゃんに送ってあげましょう。ふふ、実は連絡先を交換していたのでした。
店内はポテトの良い香りが漂い食欲をそそります。長い行列が出来ていますが店員さんがキビキビと動いているのですぐに買えそうな予感がします。
「おお、かなり混んでますねー」
「休日ですからいつもより混んでますね。並んでメニューを選びましょう」
カウンター上のパネルにデカデカと表示されているのは『月見マッキュ』ですね。お月見の時期なので季節限定なイベントメニューなのでしょう。よし、これにしましょう。
「ボクは月見マッキュにしようかなー。あっ、ポテトはLサイズにしましょう。あとあと、マッキュシェイクのバニラかなー?」
「じゃあ私と先生もそれにして、追加でナゲットとサラダを買いましょう」
「良いですね!」
色々なメニューを見ながら二人で意見を交換していたらすぐにボク達の番になりました。ああ、早く食べたいですね。
そしてレジのお姉さんからスタンプカードをゲットしました。今月のポイント交換を見ると、10ポイントで月見バーガーキングちゃんのキーホルダー、20ポイントで月見バーガーキングちゃんの特大ポスター、そして30ポイントで月見バーガーキングちゃんの特大ぬいぐるみでした。
「ふーむ、30ポイント集めるのは大変そうですねぇ……」
「今月は限定の月見バーガーキングちゃんシリーズですね。千代ちゃんにはどれを狙うって言ってあるんですか?」
「えっと、30ポイントのプレゼントしますって言ったら凄く喜んでいたので……」
「あら、また随分と無茶をしましたね」
スタンプカードに書いてある注意書きを見ると、セットメニューならポイントが2個ゲット出来るようです。頑張って30ポイントゲット出来るように通うしかないです。
景品の写真を見ると、子供が両手でギュッと抱き締められるビッグサイズのぬいぐるみです。これを抱き締める千代ちゃんを想像したらやる気が出てきた。
『ユウタ様、嬉しいっす! 今日はいっぱいエッチな事して良いっすよ♡』
きっとこんな感じでしょう。ふふ……千代ちゃんを淫乱なドスケベJKに調教してあげましょう。JK卒業したばっかりだけどJKで良いよね♪
◇
「ただいまですー!」
「ただいま帰りました」
「おかえりユウタ君、桜ちゃん」
夏子さんにお出迎えされるのはレアな感じがしますね。お出迎えのキスをする前に手洗いうがいをしっかりとしましょう。夏子さんは妊娠中なので病気になったら大変な事になりますからね。
チュッチュして愛を確かめ合った後にテキパキと食材を冷蔵庫に仕舞ってお昼ご飯を食べましょう。さて、千代ちゃんが絶賛するマッキュの実力を見せて貰おうか!!
「あらあら? 今日のお昼はマッキュなのね~」
「えっと、スタンプカードのプレゼントキャンペーンに応募しようと思ってるんです。……ダメでしたか?」
「うーん、そうねぇ。マッキュの食べ過ぎには注意が必要よ? 塩分とか多いから健康にも良くないし、あと……」
あれ、もしかしてボクは地雷を踏んでしまったのだろうか? 夏子さんが色々とダメ出しをしてきましたよ。でも良く考えたら夏子さんは妊娠中なのです。つまり子供のためを思っての発言なんですね。
ボクがウンウンと頷いて話を聞いていると桜さんが助け船を出してくれました。
「先生にはサラダも用意していますのでこちらをどうぞ。それに偶に食べるくらいなら全然問題ありませんよ」
「……そうね、ごめんねユウタ君。ちょっと神経質になっちゃったわ」
「いえいえ、全然大丈夫ですよ。でも夏子さんの考えも良く分かるので気を付けますね!」
「ありがとね。うふふ、冷めないうちに頂きましょう」
紙袋から取り出した月見マッキュの写真を撮影してからガブリと頂きます。後で写真を投稿しておこうかな。
ふんわりとしたバンズは香ばしく、厚切りベーコンとタマゴ、ジューシーなパティにオーロラソースが合わさりお口の中に幸せが広がります。くぅー、このジャンクな味が堪りませんね!!
「う、ウマー! なにこれ美味しいのー!!」
「あらあら、大袈裟ね。私の分のポテトも食べて良いわよ~」
「ふふ……可愛いです」
もう食べる勢いが止まらずにモグモグしちゃいます。こりゃヤバイものを見つけてしまいました。JKな千代ちゃんが絶賛するだけの事はありますね。ボクと千代ちゃんは味覚が同じって事ですから、つまり相思相愛ですね! あとで最寄りのマッキュを探しましょう。
ちょっとフニャフニャになったポテトもしょっぱくて美味しいです。もう手が止まらないぞー、モグモグー!
「このマッキュシェイクも甘くて美味しいですー!」
久しぶりに味わったジャンクフードに感激を覚えたユウタなのでした。
でも夏子さんも桜さんもそんなに美味しいかなって感じの視線を向けて来るのでした。解せぬ……。
いつも通りの日常に戻り、主夫としての家事をやり遂げたボクですが、夕飯を食べている時に夏子さんから配信についてお話がありました。
「ユウタ君、最近普通の配信とかしてないわよね?」
「そ、そうかもしれません……」
夕飯のお鍋を仲良くモグモグしていたところ、神妙な顔をした夏子さんから言われました。
エッチな配信じゃない雑談配信の事を思い出してみれば、双子ちゃんとサンダーブレイクで遊んだ後に配信したのが最後ですね。そうか、裸-ジャンのせいでボクは握手会をする事になったんだった。
「そんな心配そうな顔しないで大丈夫よ。ユウタ君のエッチな動画も好評だけど、雑談配信だって大事だと思うのよね。ほら、プレミアム会員になりたくてもなれない子とか多そうじゃない?」
「なるほど……」
つまり千代ちゃんみたいな人ですね。年齢が若すぎたり親の教育でNGとなっている子猫ちゃんがボクを待っているのか。ネットアイドルユウタも大忙しです。
「でもでも、最近はネタが無くてどんな事をしたら良いのか分からなくなってきてしまって……」
そう、これはスランプというやつです。常に新しいネタを提供しないと視聴者を喜ばせる事が出来ないと考えるボクが陥ってしまった罠です。エンターテイナーとは辛く孤独なお仕事なのです。
「うふふ、じゃあ今回は私達も一緒に参加するわね。そうすればユウタ君がネタに困ったとこにフォロー出来るわよ?」
そんなボクの手を優しく包んでくれた夏子さんが女神様に見えました。そうか、ボク一人じゃなくて良いのか!!
「ぜ、是非それでお願いしますー!」
「分かったわ。じゃあアリスちゃんにも連絡して見るわね~」
「はいっ!」
おお、つまりボクと夏子さん、桜さん、アリスさんですね。ミウちゃんは京都に戻ってしまったので残念ながら不参加ですが、きっと楽しい雑談配信になるに違いない。
そうしてボクは、急遽雑談配信をする事になったのでした。
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