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第225話 爆乳圧殺事件
しおりを挟む美味しい夕食を食べ終わり、ボクは意気揚々と宴会会場へ向かおうとしたところで雪乃ママに呼び止められました。あれ、ボクのイケメンパワーでフローラさんをメロメロにするのでは?
「ユウタくん待って、まだ約束の時間まであるから一旦お部屋に戻りましょう」
「えっと、分かりましたー」
こういう時は大人しく従っておくのが吉です。従順なワンちゃんのように賢いボクは雪乃ママの手をしっかりと握って歩きます。雪乃ママの手もスベスベしてて柔らかいですね。きっとボクと同じようにスキンケアに余念がないのでしょう。お風呂上がりに化粧水とかパシャパシャするのにも慣れました。化粧水を使うのと使わないのでは、翌朝のお肌のプルンプルン具合が違う気がするのです。
雪乃ママのお部屋にでも行くのかと思ったらそのままボクのお部屋に到着です。ふふ、雪乃ママも我慢出来なくてボクとイチャイチャですか? そんな事を思ったら洗面台で歯ブラシを渡されました。
「はいユウタくん、しっかりと歯を磨いてね~」
「はーい!」
お食事の後は歯磨きですね。そんなの知ってましたよ? べ、別にイチャイチャなんて期待してなかったんだからねっ!
内心ガッカリしながらシャカシャカしてみると、お口の中に甘いイチゴの味が広がりました。どうやらこの歯磨き粉はイチゴ味だったらしい。まるで子供扱いされているような感じだけど、ちょっと嬉しいボクなのでした。イチゴ味の歯磨き粉なんていつ以来だろう?
シャカシャカと一生懸命動かして歯を磨きます。そう言えばこの世界に来てから歯医者さんに行った記憶が無いですね。まあ虫歯なんてある訳が無いので心配無用ですけどね。フラグじゃないですよ?
そしてお水でペッとお口を濯いで終了かと思いきや、何やら紫色をした怪しい液体を渡されました。
「次はこれよ。しっかりとうがいをしてお口の中をキレイにしてね」
「はーい! ……お゛えっ、ごほっごほっ。何ですかこの苦いのはー!?」
まるで口の中の細菌を全て死滅させるような強力な薬臭さでした。さっきまでのイチゴ味が一瞬で無くなりましたよ? ヒリヒリと口内を刺激するヤバイお薬です。でもお隣では雪乃ママが顔色一つ変えずにうがいをしていたのだ。
あれ、ボクのだけ違うやつだったのかな? でも雪乃ママの手にも同じうがい薬がある……。
「ダメじゃないユウタくん、しっかりとうがいして頂戴。ほら、もう一回よ」
「う、うん……」
ボクは必死に耐えた。きっとこれには意味があるに違いない。お゛えっ。
「うん、良く出来ました。これはリステーリーンっていううがい薬なの。これで口臭対策もバッチリよ。相手はお友達だけどエチケットは大事だからね。次はこれを飲んでね」
「はぃ……」
そう言えばアメリカとか外国の人は口臭とかに凄く気を遣っているって聞いた事があります。どんなイケメンでもお口がクチャかったら幻滅しちゃうよね。よし、今日からはいつも以上にしっかり対策しましょう。
ちなみに、今までキスした女性はみんな口臭対策バッチリでしたよ。まあお酒臭いときはありますけどね!
雪乃ママから渡されたピンク色の錠剤を3粒、お水でゴックンしました。しばらくすると、何やら自分のお口からピーチな香りが漂って来ました。
「何か良い匂いがします!」
「どれどれ……うふふ、食べちゃいたくなる良い香りね。チュっ……」
「うへへ、雪乃ママも美味しそうな香りがします。んっ……」
雪乃ママとキスを交わすと、爽やかでほんのりと甘いレモンの味がしました。そうか、さっき飲んだお薬はお腹の中から息リフレッシュなアレですね。さっきステーキ食べたはずなのにスッキリですよ。これは買いですね。
自分のお口に手を当ててハーハーして息を確認していると、雪乃ママからお願い事をされました。
「これからお友達のフローラとお酒を飲むんだけど、ユウタくんにおねだりして欲しいのよ」
「おねだり……ですか?」
お金持ちのお姉さんにおねだりですか。車欲しいニャーンとかそんな感じですか?
「彼女ね、アメリカのカジノオーナーなの。ラスベガスとか有名でしょ?」
「カジノですか。ボク知ってますよ! スロットマシーンとかルーレット、カードゲームがあるやつですね」
実はボク、こう見えてカジノは得意なのです。スロットマシーンで『7』をいっぱい揃えて景品を全部ゲットしましたからね。まあテレビゲームのやつですけどね……。ハグレたメタルの装備をゲットしましたよ?
「まあ大体合ってるわね。それでね、ニューヨークに新しくカジノを作るらしいんだけど、隣接するホテルにウチを使って欲しいのよね~」
「はは~ん。ボクの色香でフローラさんをメロメロにして『ウチのホテルを入れてくれたら、い~っぱい気持ち良い事してあげる♡♡』って感じですね? うへへ、そういう事なら任せて下さいー!」
「え、あ、うん……? まあそんな感じ……かしら?」
なるほどね、今日のボクはキャバレーなクラブで働くお姉さんを参考におねだりしようと思います。キャバクラなんて行った事ないけど、シャッチョサンに有名ブランドのアイテムをおねだりする感じでしょ? ヤクザなゲームで勉強したボクには余裕な気がして来ました。
イケメンなボクが良い感じに酔っ払ったフローラさんにおねだりしたら、もう勝ったも同然でしょ!
作戦会議も終わり、後はフローラさんを堕とすだけですね。ボクもコッソリと何かおねだりしちゃおうかと考えたけど、特に欲しいものが無かった。お嫁さん達が色々とプレゼントしてくれるからおねだりするまでも無かったのだ。
そして決戦会場へ向かう途中、とあるお部屋の前で立ち止まった。ここはプライベートフロアにあるお部屋の中でも団体向けとされている大きなお部屋です。雪乃ママの話では既にエチエチ動画の収録がスタートしていると言っていた。もしかして今この中では千代ちゃんと美奈子さんのエチエチバトルが勃発中なのか……?
「うふふ、中が気になる? ソフィアさんが言っていたけど、リアリティを重視するためにアドリブ任せでぶっ通しで撮影するらしいわよ」
「ご、ゴクリ……」
処女の千代ちゃんが美奈子さんに責められてアンアン鳴いているのか! くぅ、どうしてボクは中に居ないのだろうか。ソフィアさんには内緒だったけど、ボクも女装して千代ちゃんをアンアンさせる予定だったのです。サプライズ出演ってやつですね。
でも今から接待があるし、ここでお部屋に突入したらソフィアさんに本気で怒られるかもしれない。悔しい……!
そんなボクの表情を見たからか、雪乃ママが提案をしてくれた。
「この鍵穴のところに耳を当てたら中の声が聞こえるかも。ちょっと聞いてみる?」
「……っ!!」
ボクは無言で首を縦に振りまくった。ドSな美奈子さんがどんな責めをしているのか分かりませんが、もしかしたら全然ダメダメで声なんて全然聞こえないかもしれませんね。ボクの方が千代ちゃんをアンアン鳴かせる自信ありますよ?
心の中で美奈子さんにマウントを取りながら鍵穴にそっと耳を当ててみました。むふふ……。
『あ゛あ゛っ♡♡ らめっ♡♡ らめっ♡♡ 死んじゃうっ♡♡ もうむりっ♡♡ イグーーっ♡♡♡♡』
「……っ!?」
今まで聞いたことの無い女性の喘ぎ声を聞いてしまった。これは本当に千代ちゃんなのだろうか? 思わず鍵穴から耳を離して覗き込んでしまった。残念ながら何も見えません……。
「どうしたのユウタくん、声は聞こえた?」
「は、はい。でもでも、ボクの知らない千代ちゃんの声がするんです。この中で一体何が起こっているんでしょうか?」
「千代ちゃんってあの小さい子でしょう? ちょっと私にも聞かせて頂戴」
ボクは場所を雪乃ママへ譲った。雪乃ママが鍵穴に耳を当てて嬉しそうに微笑んでいる。
「あらあら、美奈子ったら容赦ないわね。千代ちゃん壊れちゃうんじゃないかしら? うふふ、絶頂地獄ってやつね~」
「ぜ、絶頂地獄……ゴクリ」
ボクの書いた台本に絶頂地獄なんてあっただろうか。お姫様コスプレをした千代ちゃんがなんやかんや理由を付けられて美奈子さん扮するメイドさんに調教されちゃうのです。さっきのエチエチな声を思い出すだけで愛棒がビクンと震えた。
これはちょっと期待出来そうだ。さすが百合プリズンを手掛けたソフィア監督ですねぇ。
もう一度聞いてみようかと思ったら雪乃ママに手を握られた。
「フローラが待ってるから早く行きましょう?」
「わ、わかりましたー」
千代ちゃんのエッチな声をもっと聞いていたいけど、ボクは接待でおねだりしないといけないからね。後ろ髪を引かれる思いでその場を後にしました。
エレベーターで一つ下の階に来ました。ここのフロアに来るのは初めてです。窓から見える夜景が綺麗なオシャレなBARですね。
カウンター席には誰も座っていないけど、背の高いお姉さんがグラスをキュキュキュっと磨いているのが見えた。高そうなお酒が綺麗に並んでいるし、ここはVIP御用達のエリアな気がします。
何個もある座卓には誰も座っておらず、どうやらフロアごと貸切なようですね。ヤクザなゲームで見た高級キャバクラを更に高級にしたような空間を進んで行くと、革張りのソファーに座ってワイングラスをお上品に傾ける青髪の美女がいました。
「お待たせフローラ!」
「ユキ! もう、遅いわヨ~」
雪乃ママとギュッとハグする青いストレートヘアが似合う綺麗な女性です。雪乃ママよりも身長が高いです。しかも黒いドレスからはみ出そうな爆乳が凄い。あれはボクの頭より大きいんじゃないかな? あれがアメリカンサイズなのか……。
ハグの終わったフローラさんはボクに気付き、同じように手を広げて近づいて来た。ここは受け身じゃなくて攻めの姿勢で行きましょう。海外はコミュニケーションが大事って言いますからね。
「な、ないすとぅーみーちゅー。あいむユータ!」
「ワ~オ! ユータ、とてもキュートですネ!! ハジメマシテ、フローラです」
ボクのネイティブっぽい英語が通じました。外国の人が拙い日本語で一生懸命に挨拶してくれると嬉しくなるのと同じです。きっとボクの英語でも喜んでくれたに違いない。
そしてボクはギュッとハグされて爆乳に顔が埋まってしまったのでした。うん、身長差があるからしょうがないよね。アメリカの女性は力も凄く強いです。
そんなハグがずっと続き、なかなか放してくれないのです。あれ、ボクはこのまま窒息しちゃうのだろうか?
だんだんと意識が朦朧として来ました……。ユウタの大冒険も今日が最終回です。今までおつか……。
※お知らせ※
ユウタ君が圧殺されてしまいましたので今回の更新はここまでになります。
急な出張でキリの良いところまで書けませんでした……。
出来るだけ早く更新したいと思いますので、少々お待ち下さいー!
あと、何やらエール機能が追加されたらしいですね。
もし応援して頂ける方が居ましたらポチって下さいー!
(作者側の投稿管理ページで各話にエール数が表示されるようになったのですが、全部0で寂しいのです)
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