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全力疾走で行うマラソンは異常に疲れる
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いいやあああああ!!帰る!もう帰る!!帰って子どもたちと仲良く暮らす!もうあそこから出ないからなああ!!
ただいま裸足で片腕を全力で振って全力疾走中です!!靴?とっくに脱ぎ去ったよ!!もう片腕?初見で吹き飛ばされたわ!!!痛くはないけど飛び散らせられたせいで元には戻りません!!ほんとふざけんなよアイツ!!
『まま!まま!うで!どうしよう!』
『大丈夫だから、絶対に出てこないでね!ママが守ってあげるからね』
どうにかしてな!マジで帰りたいけど、あそこには子供たちがいる。このまま帰る訳には行かない。かと言ってこのままだとほんとに死んじゃう!私じゃなくてイーがね!私はやられても最悪湖があるけど、この子はこんな水もない場所で水がいなきゃ死んでしまう!ちくしょう!連れてくるんじゃなかった!
とにかくも、
「水!!みずーーー!!」
水がなきゃ始まらない!かといって湖に帰る訳にはいかない!どこか別の水場を探さなきゃ!
「グルル、クックック!逃ゲロ逃ゲロ」
くっそがあのネコ科動物があ!猫の親戚のくせに全然可愛くねーんだよ!!
ってなにやってんのあの猿!!!
全力疾走の私の前で震える小さなお猿。逃げたんじゃないのかよ!ついでに抱き上げる。
「きみ!どうして、ここに、いるのかなあ!」
「うきゅっ、、」
涙目で震えるばかりの子猿。この子はあの圧が強い小猿とは違って本当に子供猿のようだ。あの猿共、ちゃんと仲間全員で逃げろ!
「………きみ!名前は!?」
「きゅっ、……タンダ」
「では、タンダ!ここら辺に水がある場所はないかな!?」
「お、お水さまの湖」
「それ私のとこだよね!?そこ以外であるかな?君たちは今までどこで水を飲んでいた!?」
「あっちの方に川があるよ!」
「よしっ!案内を頼むよタンダ!」
子猿のタンダの案内に沿って走る。後ろのあいつは依然ニヤニヤとしたままだ。アイツは本当にいたぶるのが好きみたいで、一瞬でこちらまで来れるくせに時折スレスレに鋭い爪を振りかぶるのみなのがその証拠だ。遊んできやがって腹立つ~。まあ今は逆にありがたい、そのせいで反撃の手立てが打てるってもんだからね。今に見てろよ猫野郎。
「お水さま!もうすぐ!」
「ああ!わかるよ!水の匂いだ!」
進めば進むほど水と強く共鳴する感覚になる。心のどこかで水は湖しか反応しなかったらどうしようって思ってたから安心する。これなら多分腕も治せるはず。もう少し…!着いた!
「ソロソロ追イカケッコ八終ワリダア」
グオオオオという、雄叫びのあと爪を振り上げて猛スピードで飛んでくると、ザッパァンッという大きな水しぶきが上がる。その大きさからもその攻撃の重さがうかがえるかな。
でも、残念だったね。それは悪手だよ。
水だってねとんでもない速さでぶつければ銃にも劣らない衝撃になるんだよ。
パパパンッパパパンッ
弾き飛ばされた水玉をあいつ目掛けて飛ばす。頭を狙うつもりで打つが避けられて前足にあたる。先程まで追いかけていた弱者からの思わぬ反撃に不愉快な笑みを浮かべていた魔物は警戒するようにこちらを睨みつける。ざまあみろ。
「オマエ魔術師カ!忌々シイ」
魔術師?魔法がある世界なのか。まあこれは物理法則無視の物理攻撃だけど。
さて、水がある場所なら戦えることも証明されたしどうやって倒してやろうか。
と、その前にイーを水で包んで周りだけ固めてーっと
「タンダ、ちょっとこの子持って隠れてくれるかな?」
「うきゅっ!」
『まま!』
「いい子にしててね。頼むよタンダ」
「グアアアッ」
雄叫びと共に向かってくる魔物を避けつつタンダを逃がす。足を水で打ったとはいえまだまだそのスピードは速い。
というか最初からこうやってイーだけでも安全な場所に隠れさせればよかったな。けど、不思議なことに今、こうやってアイツを倒そうと色々画策することで自分の出来ることが分かるようになってるんだよね。
水を逆噴射してあいつの後ろに高速で回る。もう1発今度は後ろ足に──
スパァンッ
「ぐっ!?」
「クハハハッ」
後ろに回る私を予想してたのか長い尾で私をはらう。とんでもない衝撃に腹が裂ける感覚がするけど痛くはない。ニヤリとこちらを睨めるそいつだったが次の瞬間には驚いたように目を見開いて私と距離をとる。
「キサマっ!ナゼ、身体ガ半分ナクナッテイルノニ生キテイル!!?」
「さあ?何故だろう?…ただね、もう君が私に勝てる道理は無くなった」
「グ、グルルルルルル!?」
挑発しながら身体を治していく。案の定アイツはさらに混乱していき、ヤケになったように大きな口を開けてこちらに飛んでくる。よし、これで最後だ。
アイツによって巻き上げられた水を集約させる。そしてアイツの顔を覆う。
「溺れてしまえ!」
「グアぐぼぼぼぼキサ、マぐばぼぼぼ」
苦しそうに腕やらしっぽやらを振り回すそいつは周囲の木々や土を抉っていく。でもダメだよ絶対に逃がさないからね。
しばらく暴れていたそいつは次第に抗う力が抜けていき最期には動かなくなった。
ガッツリ戦った…。というか、私着々と人外だなあ。
まあ、とにかく子供たちに危害が加えられる前に倒せてよかったよかった。
ただいま裸足で片腕を全力で振って全力疾走中です!!靴?とっくに脱ぎ去ったよ!!もう片腕?初見で吹き飛ばされたわ!!!痛くはないけど飛び散らせられたせいで元には戻りません!!ほんとふざけんなよアイツ!!
『まま!まま!うで!どうしよう!』
『大丈夫だから、絶対に出てこないでね!ママが守ってあげるからね』
どうにかしてな!マジで帰りたいけど、あそこには子供たちがいる。このまま帰る訳には行かない。かと言ってこのままだとほんとに死んじゃう!私じゃなくてイーがね!私はやられても最悪湖があるけど、この子はこんな水もない場所で水がいなきゃ死んでしまう!ちくしょう!連れてくるんじゃなかった!
とにかくも、
「水!!みずーーー!!」
水がなきゃ始まらない!かといって湖に帰る訳にはいかない!どこか別の水場を探さなきゃ!
「グルル、クックック!逃ゲロ逃ゲロ」
くっそがあのネコ科動物があ!猫の親戚のくせに全然可愛くねーんだよ!!
ってなにやってんのあの猿!!!
全力疾走の私の前で震える小さなお猿。逃げたんじゃないのかよ!ついでに抱き上げる。
「きみ!どうして、ここに、いるのかなあ!」
「うきゅっ、、」
涙目で震えるばかりの子猿。この子はあの圧が強い小猿とは違って本当に子供猿のようだ。あの猿共、ちゃんと仲間全員で逃げろ!
「………きみ!名前は!?」
「きゅっ、……タンダ」
「では、タンダ!ここら辺に水がある場所はないかな!?」
「お、お水さまの湖」
「それ私のとこだよね!?そこ以外であるかな?君たちは今までどこで水を飲んでいた!?」
「あっちの方に川があるよ!」
「よしっ!案内を頼むよタンダ!」
子猿のタンダの案内に沿って走る。後ろのあいつは依然ニヤニヤとしたままだ。アイツは本当にいたぶるのが好きみたいで、一瞬でこちらまで来れるくせに時折スレスレに鋭い爪を振りかぶるのみなのがその証拠だ。遊んできやがって腹立つ~。まあ今は逆にありがたい、そのせいで反撃の手立てが打てるってもんだからね。今に見てろよ猫野郎。
「お水さま!もうすぐ!」
「ああ!わかるよ!水の匂いだ!」
進めば進むほど水と強く共鳴する感覚になる。心のどこかで水は湖しか反応しなかったらどうしようって思ってたから安心する。これなら多分腕も治せるはず。もう少し…!着いた!
「ソロソロ追イカケッコ八終ワリダア」
グオオオオという、雄叫びのあと爪を振り上げて猛スピードで飛んでくると、ザッパァンッという大きな水しぶきが上がる。その大きさからもその攻撃の重さがうかがえるかな。
でも、残念だったね。それは悪手だよ。
水だってねとんでもない速さでぶつければ銃にも劣らない衝撃になるんだよ。
パパパンッパパパンッ
弾き飛ばされた水玉をあいつ目掛けて飛ばす。頭を狙うつもりで打つが避けられて前足にあたる。先程まで追いかけていた弱者からの思わぬ反撃に不愉快な笑みを浮かべていた魔物は警戒するようにこちらを睨みつける。ざまあみろ。
「オマエ魔術師カ!忌々シイ」
魔術師?魔法がある世界なのか。まあこれは物理法則無視の物理攻撃だけど。
さて、水がある場所なら戦えることも証明されたしどうやって倒してやろうか。
と、その前にイーを水で包んで周りだけ固めてーっと
「タンダ、ちょっとこの子持って隠れてくれるかな?」
「うきゅっ!」
『まま!』
「いい子にしててね。頼むよタンダ」
「グアアアッ」
雄叫びと共に向かってくる魔物を避けつつタンダを逃がす。足を水で打ったとはいえまだまだそのスピードは速い。
というか最初からこうやってイーだけでも安全な場所に隠れさせればよかったな。けど、不思議なことに今、こうやってアイツを倒そうと色々画策することで自分の出来ることが分かるようになってるんだよね。
水を逆噴射してあいつの後ろに高速で回る。もう1発今度は後ろ足に──
スパァンッ
「ぐっ!?」
「クハハハッ」
後ろに回る私を予想してたのか長い尾で私をはらう。とんでもない衝撃に腹が裂ける感覚がするけど痛くはない。ニヤリとこちらを睨めるそいつだったが次の瞬間には驚いたように目を見開いて私と距離をとる。
「キサマっ!ナゼ、身体ガ半分ナクナッテイルノニ生キテイル!!?」
「さあ?何故だろう?…ただね、もう君が私に勝てる道理は無くなった」
「グ、グルルルルルル!?」
挑発しながら身体を治していく。案の定アイツはさらに混乱していき、ヤケになったように大きな口を開けてこちらに飛んでくる。よし、これで最後だ。
アイツによって巻き上げられた水を集約させる。そしてアイツの顔を覆う。
「溺れてしまえ!」
「グアぐぼぼぼぼキサ、マぐばぼぼぼ」
苦しそうに腕やらしっぽやらを振り回すそいつは周囲の木々や土を抉っていく。でもダメだよ絶対に逃がさないからね。
しばらく暴れていたそいつは次第に抗う力が抜けていき最期には動かなくなった。
ガッツリ戦った…。というか、私着々と人外だなあ。
まあ、とにかく子供たちに危害が加えられる前に倒せてよかったよかった。
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