6 / 7
情報強者への道は拓けない
しおりを挟む
あー疲れた。
「タンダー。出ておいで。」
「キュッキャッ!お水さま!」
『まま!すごいっ!まま!』
「よしよし、2人とも無事だね?」
ふたりを撫でる。嬉しそうに飛び跳ねるふたりを落ち着けて、イーを体内に入れ直す。
さてタンダを群れに帰したら帰るかな…。疲れただけでなんも収穫ないなあ。
『イー?他の子供達はどうしてる?』
『んーと、……みんなまってるって。』
『そう。いい子にしてるんだね。タンダを送ったら帰ろうか』
『うん!』
「タンダ」
「うっき!」
タンダを抱き上げる。うんうんいい子だなあ。
「群れまで送ろう。君の仲間はどちらかな?」
「それには及びませぬ」
オラウータンを引連れた小猿が現れた。もしかしてアンタらさっきから見てた??私が頑張って戦っている間??お前も撃ち抜くぞ
タンダ嬉しそうに腕の中で飛び跳ねてから私にキュッと抱きついて、群れに戻っていった。…………タンダに免じて許してあげよう。
小猿に続いて他の猿たちも続々と頭を下げ始める。小猿は雰囲気が本当に重いだけで見た目は可愛いんだよね。
「水の主よ。あの悪辣なる魔獣を討伐して頂き感謝申し上げます。」
それなんだけどさ、なんとなく押し付けられた感あるんだよね、あの状況。この猿がアレを私にあの場でけしかけたように見えたっていうか。まあ、証拠はないけどさ。とりあえず敬語はなしだな。
「…まあ、成り行きだからね。それで?何か用かな?」
「その御力と慈悲深きその御心を見込んでお頼み申しあげたい」
慈悲深き心って、あれは成り行きだから。詳しい話を聞く前に襲われたせいだからね。まるで私が自ら君たちのために戦いに行ったみたいに言ってるけど違うからね!
「先程、貴方が倒されたその魔獣、ただ迷い込んでこの森をさまよっていたわけではございません。…あの魔物は外なる者からの刺客なのです。」
「誰がなんでそんなことを?」
「それはわかりません。この森は島となっていて周囲は海になっています。唯一小さな人間の島から橋を通ってこれますが、その島から別の島へと行くためにはさらに船に乗らねばならないのです。このことから他の土地からこの森に迷い込むということは不可能でしょう。…ではどうやってこの島に来たのか。可能性が高いのは何者かがこの森に直接召喚したのでしょう。」
「直接召喚?」
「はい。生物の召喚は高度の魔法ですが可能です。」
生物の召喚できるんなら私ももしかして?なんて思ったけど、良く考えれば私は召喚されただけでなく人間も辞めてるから違うね。……自分で言っててやばいな。人間を辞めてるって
というかここ島だったのね。しかも近くにあるのは小さな人間の島だけなのかー。
「それで?私に何を願いたいのかな?」
「今回、送られた魔獣が倒されたとなればまた別の刺客が送られてくることでしょう。そこで貴方の力をこの森をお守りください」
「はあ?」
え?え?さっきみたいな魔獣が襲ってきたらまた戦わないといけないの?私が?なんで?
そりゃ、私の子供たちが危険にさらされる可能性は高いし、その場合それもやらなきゃいけないと思うけど、進んであんな危ないことをやろうとは思えないんですけど?
「…………」
「もし、もしも、その御力をこの森のために使っていただけるならば、我らが差し出せる全て差し出す覚悟でございます。」
「差し出すって、君たちで?」
「はい。我ら全員です。」
「なんでも?」
「我らが持てるもの全て」
全てって。お、重いなあ。というかこの図はまるで私がいたいけな猿を脅してるように見えるのでは?
「何故そこまでするのかな?君のその言葉にはただ住処を守って欲しい、命を守って欲しいとはまた別のものを感じる」
「…………。ここは神の地。何者にも汚されてはならないのです。私は、我等は、この地を守らねばなりません」
「神の地?」
覚悟を目に秘めてこちらを見る小猿。周りを見渡せばその周りにいるその他猿たちも同じような覚悟がその目に見える。よっぽど大切な土地らしいね。
とは言っても確約は出来ないよなあ。彼らのために全ての責任とその覚悟を背負うことは難しい。
「私は私の湖を守るつもりだ。だから私が認識する限り対応しよう。それでいいですか?」
「はい。ありがとうございます」
小猿含め猿全員で頭を下げていく。
んー、大変なことになってしまった。ま、まあご近所付き合いって大切だし。もしあの魔物みたいなのがまた来て子供たちに危険があったら大変だし。お猿の中にはタンダだっているしね。
あ~…。
また後日詳しい話はタンベンダル(小猿の名前)に聞くとして、今日はもう帰るよ。だって疲れたもの。さっさと帰って私の子供たちに慰めてもらお…。
なんて思ってたのに
「うわあああっ!!兄ちゃん!!」
バシャバシャバシャバシャ
「ゴボッニッグゴボボッ来ちゃボホッダメ、だ!」
「アマジ!そっち追い込め!」
「おー!」
「リューゴ!先を越されるぞ!」
「おう、まかせろ!リュータ」
なんで湖に帰ったら、うちの子が人間の兄弟襲ってるわけなんですかねえ!?
「タンダー。出ておいで。」
「キュッキャッ!お水さま!」
『まま!すごいっ!まま!』
「よしよし、2人とも無事だね?」
ふたりを撫でる。嬉しそうに飛び跳ねるふたりを落ち着けて、イーを体内に入れ直す。
さてタンダを群れに帰したら帰るかな…。疲れただけでなんも収穫ないなあ。
『イー?他の子供達はどうしてる?』
『んーと、……みんなまってるって。』
『そう。いい子にしてるんだね。タンダを送ったら帰ろうか』
『うん!』
「タンダ」
「うっき!」
タンダを抱き上げる。うんうんいい子だなあ。
「群れまで送ろう。君の仲間はどちらかな?」
「それには及びませぬ」
オラウータンを引連れた小猿が現れた。もしかしてアンタらさっきから見てた??私が頑張って戦っている間??お前も撃ち抜くぞ
タンダ嬉しそうに腕の中で飛び跳ねてから私にキュッと抱きついて、群れに戻っていった。…………タンダに免じて許してあげよう。
小猿に続いて他の猿たちも続々と頭を下げ始める。小猿は雰囲気が本当に重いだけで見た目は可愛いんだよね。
「水の主よ。あの悪辣なる魔獣を討伐して頂き感謝申し上げます。」
それなんだけどさ、なんとなく押し付けられた感あるんだよね、あの状況。この猿がアレを私にあの場でけしかけたように見えたっていうか。まあ、証拠はないけどさ。とりあえず敬語はなしだな。
「…まあ、成り行きだからね。それで?何か用かな?」
「その御力と慈悲深きその御心を見込んでお頼み申しあげたい」
慈悲深き心って、あれは成り行きだから。詳しい話を聞く前に襲われたせいだからね。まるで私が自ら君たちのために戦いに行ったみたいに言ってるけど違うからね!
「先程、貴方が倒されたその魔獣、ただ迷い込んでこの森をさまよっていたわけではございません。…あの魔物は外なる者からの刺客なのです。」
「誰がなんでそんなことを?」
「それはわかりません。この森は島となっていて周囲は海になっています。唯一小さな人間の島から橋を通ってこれますが、その島から別の島へと行くためにはさらに船に乗らねばならないのです。このことから他の土地からこの森に迷い込むということは不可能でしょう。…ではどうやってこの島に来たのか。可能性が高いのは何者かがこの森に直接召喚したのでしょう。」
「直接召喚?」
「はい。生物の召喚は高度の魔法ですが可能です。」
生物の召喚できるんなら私ももしかして?なんて思ったけど、良く考えれば私は召喚されただけでなく人間も辞めてるから違うね。……自分で言っててやばいな。人間を辞めてるって
というかここ島だったのね。しかも近くにあるのは小さな人間の島だけなのかー。
「それで?私に何を願いたいのかな?」
「今回、送られた魔獣が倒されたとなればまた別の刺客が送られてくることでしょう。そこで貴方の力をこの森をお守りください」
「はあ?」
え?え?さっきみたいな魔獣が襲ってきたらまた戦わないといけないの?私が?なんで?
そりゃ、私の子供たちが危険にさらされる可能性は高いし、その場合それもやらなきゃいけないと思うけど、進んであんな危ないことをやろうとは思えないんですけど?
「…………」
「もし、もしも、その御力をこの森のために使っていただけるならば、我らが差し出せる全て差し出す覚悟でございます。」
「差し出すって、君たちで?」
「はい。我ら全員です。」
「なんでも?」
「我らが持てるもの全て」
全てって。お、重いなあ。というかこの図はまるで私がいたいけな猿を脅してるように見えるのでは?
「何故そこまでするのかな?君のその言葉にはただ住処を守って欲しい、命を守って欲しいとはまた別のものを感じる」
「…………。ここは神の地。何者にも汚されてはならないのです。私は、我等は、この地を守らねばなりません」
「神の地?」
覚悟を目に秘めてこちらを見る小猿。周りを見渡せばその周りにいるその他猿たちも同じような覚悟がその目に見える。よっぽど大切な土地らしいね。
とは言っても確約は出来ないよなあ。彼らのために全ての責任とその覚悟を背負うことは難しい。
「私は私の湖を守るつもりだ。だから私が認識する限り対応しよう。それでいいですか?」
「はい。ありがとうございます」
小猿含め猿全員で頭を下げていく。
んー、大変なことになってしまった。ま、まあご近所付き合いって大切だし。もしあの魔物みたいなのがまた来て子供たちに危険があったら大変だし。お猿の中にはタンダだっているしね。
あ~…。
また後日詳しい話はタンベンダル(小猿の名前)に聞くとして、今日はもう帰るよ。だって疲れたもの。さっさと帰って私の子供たちに慰めてもらお…。
なんて思ってたのに
「うわあああっ!!兄ちゃん!!」
バシャバシャバシャバシャ
「ゴボッニッグゴボボッ来ちゃボホッダメ、だ!」
「アマジ!そっち追い込め!」
「おー!」
「リューゴ!先を越されるぞ!」
「おう、まかせろ!リュータ」
なんで湖に帰ったら、うちの子が人間の兄弟襲ってるわけなんですかねえ!?
0
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる