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ヴィルヘルムと二人で
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ヴィルヘルムはよく話を聞いてくれる。
気さくで明るく、噂とは全く違う。
「それにしても、ジョージは酷い男だ。私はディアナを信じるぞ」
ヴィルヘルムがジョージの浮気を信じてくれるようだ。
「それに、ゼンケ子爵令嬢も礼儀正しい上に笑顔も可愛い。そういう奴にこそ裏があるんだよ」
やはり、良い人ほど裏があるものだ。
「ナルシストと二重人格女の組み合わせか。二人共羽目を外してしまったんだな」
ヴィルヘルムはセスを撫でている。
「んで。その男は何を飼っているんだ?」
「何か……猟犬みたいな犬です」
「そうか。犬、中でも猟犬や闘犬と言われる獰猛な犬を飼っている奴はヤバい男が多いからな。いや、偏見でなくてね」
「確かにそう思います。そういう犬を手懐けられる自分カッコいいみたいな感じでした」
「だろだろだろ。純粋な愛犬家には悪い人はいない。でも、猟犬とか闘犬を飼っている奴は違う。犬は忠実的だ。飼い主には絶対服従だからな。そんな犬を見て自分をカッコいいと思うのだからある意味犬も哀れだな」
ジョージの犬はディアナに懐かなかった。
猟犬とか闘犬と呼ばれる犬は基本飼い主以外の人間には懐かない。
しかし、パトシリアだけはなぜか手懐けることができたのだ。
「その犬はきみに懐いたかい?」
「懐きませんでした。私にだけは吠えてかかってきました」
「だろ~。そういう犬はなかなか懐かないんだよ」
ヴィルヘルムは続けた。
「私は犬は小型犬と大型犬の友好的な性格の犬を飼ったことがあるけれど、やはり猟犬とか闘犬とかいった犬は飼おうとは思わなかったな」
小型犬はディアナも飼ったことがある。
が、やはり、猟犬とか闘犬とかいう犬は飼ったことがない。
「私も小型犬飼ったことあります」
「小型犬はかわいいよな。愛嬌あって。でも、私はやっぱり猫が一番良いよ。猫はマイペースだけど、そのマイペースさがまた良かったりするんだ」
ディアナもそれは思っていた。
愛猫家は基本猫の下僕だと。
「猫は飼い主に忠実的ではありませんが、でもそういうところが良かったりするんですよね」
「しかし、獰猛な犬を飼う男なんだから、やっぱりナルシスト確定だな」
確かに……と思った。
ジョージがナルシストだという心当たりはあった。
頻繁に鏡を見ては髪を弄り、ウインクをしていた。
よほど自分に自信を持っていたのだろう。
しかも、自慢もよくしていた。
ジョージの自慢とは職人が拵えた高価な壺や、有名な画家が描いた絵画、有名な演奏家が使っていた楽器などだ。
「それに、ジョージは占いをしているんだよな?」
「はい」
「占ってもらったことはあるか?」
「はい。『俺とディアナの相性はバッチリ。これから家庭を持つとなると、ディアナは良妻賢母になるだろう』なんて言っていましたわ」
「うわーっはっはっはっはっ」
ヴィルヘルムは大声で笑い始めた。
「な~んじゃそりゃ。自分から良い妻だのなんだの言っておいて浮気かいね。よっくわからない男だな~。矛盾も良いところだね~」
「本当ですわ」
コンコン
再びサリサが部屋にやってきた。
「ほいよー、サリサ!!」
「紅茶のおかわりとお菓子をお召し上がりになりませんか?」
「気~が利くな~サリサ。ありがとうな」
「ヴィルヘルム様が彼女をとてもお気に召したようで」
「あー。私はディアナを気に入ってしまったよ。なぁ、サリサ。私とディアナはお似合いか?」
「はい。とてもそう思いますわ」
サリサはやはり笑顔だ。
「サリサ。ありがとう!!」
「では!!」
サリサは踵を返した。
「実は……」
ディアナは重い口を開いた。
ヴィルヘルムについての世間の悪評と全く異なる人格で驚いたからだ。
「ヴィルヘルム様。申し上げにくいのですが」
「うん。何が言いたいのか私にはわかるよ。だって、顔に書いてあるもん!!」
「えっ!?」
「私が世間様の噂と全然違う……って話でしょ?」
「よくおわかりで……」
「うふふん。なんとなくわかるのよ」
対になる人物がやはりジョージだ。
評判の良いジョージと評判の悪いヴィルヘルム。
「そうさ。世間様が私がなかなか結婚しないからそんな悪評流したんだろうね。まーったく迷惑千万」
結婚適齢期を逃した?
それにしては見た目は若い。
「あのー。失礼ですがヴィルヘルム様はおいくつで」
「私は27歳。確かに売れ残りだよね」
「どうして結婚しなかったのです?」
「それは……なかなか愛猫家に出会えなくてね。出会う人出会う人みんな犬派でね」
「やはり、その位猫が好きだったんですね?」
「そうなんだ。だから思ったんだ。私が27年間生涯独身でいたのはディアナ、君と出会うためだった……と。これは運命的な出会い!!」
そこまで言われてしまうと……。
「待っていたよ、愛猫家。きみと一緒になれば猫の多頭飼いもできる!!」
余程猫が好きなのだろう。
「だからきみも、その変な占い師と婚約破棄して良かったんだよ。あー。あんな占い師。出鱈目占っているに決まっている。水晶玉で見えるだなんていくらだって言えるもんな。私は一途にきみを愛するよ」
初対面なのに、なぜか気に入られてしまったディアナ。
「あー。そうそう。ディアナ。きみは今日はお腹すいているだろうね。もし良かったら、グラント家の夕食を食べるといいよ。と~っても美味しいから」
「あ……はい」
気さくで明るく、噂とは全く違う。
「それにしても、ジョージは酷い男だ。私はディアナを信じるぞ」
ヴィルヘルムがジョージの浮気を信じてくれるようだ。
「それに、ゼンケ子爵令嬢も礼儀正しい上に笑顔も可愛い。そういう奴にこそ裏があるんだよ」
やはり、良い人ほど裏があるものだ。
「ナルシストと二重人格女の組み合わせか。二人共羽目を外してしまったんだな」
ヴィルヘルムはセスを撫でている。
「んで。その男は何を飼っているんだ?」
「何か……猟犬みたいな犬です」
「そうか。犬、中でも猟犬や闘犬と言われる獰猛な犬を飼っている奴はヤバい男が多いからな。いや、偏見でなくてね」
「確かにそう思います。そういう犬を手懐けられる自分カッコいいみたいな感じでした」
「だろだろだろ。純粋な愛犬家には悪い人はいない。でも、猟犬とか闘犬を飼っている奴は違う。犬は忠実的だ。飼い主には絶対服従だからな。そんな犬を見て自分をカッコいいと思うのだからある意味犬も哀れだな」
ジョージの犬はディアナに懐かなかった。
猟犬とか闘犬と呼ばれる犬は基本飼い主以外の人間には懐かない。
しかし、パトシリアだけはなぜか手懐けることができたのだ。
「その犬はきみに懐いたかい?」
「懐きませんでした。私にだけは吠えてかかってきました」
「だろ~。そういう犬はなかなか懐かないんだよ」
ヴィルヘルムは続けた。
「私は犬は小型犬と大型犬の友好的な性格の犬を飼ったことがあるけれど、やはり猟犬とか闘犬とかいった犬は飼おうとは思わなかったな」
小型犬はディアナも飼ったことがある。
が、やはり、猟犬とか闘犬とかいう犬は飼ったことがない。
「私も小型犬飼ったことあります」
「小型犬はかわいいよな。愛嬌あって。でも、私はやっぱり猫が一番良いよ。猫はマイペースだけど、そのマイペースさがまた良かったりするんだ」
ディアナもそれは思っていた。
愛猫家は基本猫の下僕だと。
「猫は飼い主に忠実的ではありませんが、でもそういうところが良かったりするんですよね」
「しかし、獰猛な犬を飼う男なんだから、やっぱりナルシスト確定だな」
確かに……と思った。
ジョージがナルシストだという心当たりはあった。
頻繁に鏡を見ては髪を弄り、ウインクをしていた。
よほど自分に自信を持っていたのだろう。
しかも、自慢もよくしていた。
ジョージの自慢とは職人が拵えた高価な壺や、有名な画家が描いた絵画、有名な演奏家が使っていた楽器などだ。
「それに、ジョージは占いをしているんだよな?」
「はい」
「占ってもらったことはあるか?」
「はい。『俺とディアナの相性はバッチリ。これから家庭を持つとなると、ディアナは良妻賢母になるだろう』なんて言っていましたわ」
「うわーっはっはっはっはっ」
ヴィルヘルムは大声で笑い始めた。
「な~んじゃそりゃ。自分から良い妻だのなんだの言っておいて浮気かいね。よっくわからない男だな~。矛盾も良いところだね~」
「本当ですわ」
コンコン
再びサリサが部屋にやってきた。
「ほいよー、サリサ!!」
「紅茶のおかわりとお菓子をお召し上がりになりませんか?」
「気~が利くな~サリサ。ありがとうな」
「ヴィルヘルム様が彼女をとてもお気に召したようで」
「あー。私はディアナを気に入ってしまったよ。なぁ、サリサ。私とディアナはお似合いか?」
「はい。とてもそう思いますわ」
サリサはやはり笑顔だ。
「サリサ。ありがとう!!」
「では!!」
サリサは踵を返した。
「実は……」
ディアナは重い口を開いた。
ヴィルヘルムについての世間の悪評と全く異なる人格で驚いたからだ。
「ヴィルヘルム様。申し上げにくいのですが」
「うん。何が言いたいのか私にはわかるよ。だって、顔に書いてあるもん!!」
「えっ!?」
「私が世間様の噂と全然違う……って話でしょ?」
「よくおわかりで……」
「うふふん。なんとなくわかるのよ」
対になる人物がやはりジョージだ。
評判の良いジョージと評判の悪いヴィルヘルム。
「そうさ。世間様が私がなかなか結婚しないからそんな悪評流したんだろうね。まーったく迷惑千万」
結婚適齢期を逃した?
それにしては見た目は若い。
「あのー。失礼ですがヴィルヘルム様はおいくつで」
「私は27歳。確かに売れ残りだよね」
「どうして結婚しなかったのです?」
「それは……なかなか愛猫家に出会えなくてね。出会う人出会う人みんな犬派でね」
「やはり、その位猫が好きだったんですね?」
「そうなんだ。だから思ったんだ。私が27年間生涯独身でいたのはディアナ、君と出会うためだった……と。これは運命的な出会い!!」
そこまで言われてしまうと……。
「待っていたよ、愛猫家。きみと一緒になれば猫の多頭飼いもできる!!」
余程猫が好きなのだろう。
「だからきみも、その変な占い師と婚約破棄して良かったんだよ。あー。あんな占い師。出鱈目占っているに決まっている。水晶玉で見えるだなんていくらだって言えるもんな。私は一途にきみを愛するよ」
初対面なのに、なぜか気に入られてしまったディアナ。
「あー。そうそう。ディアナ。きみは今日はお腹すいているだろうね。もし良かったら、グラント家の夕食を食べるといいよ。と~っても美味しいから」
「あ……はい」
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