【完結】婚約破棄したら、辺境伯に溺愛されました。

hikari

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ニセ占い師 ※ジョージ視点

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ジョージはいつも通り、占い屋に行く。

占い屋には中央に水晶玉が、四方はツボと石に囲まれている。


最初はツボや石は売らない。

ある程度常連になってきてからツボや石を売るのだ。


ツボや石は至って普通のツボだ。

何のご利益も無い。

しかし、この何のご利益もない代物をご利益があると謳えば売れるのだから笑ってしまう。


ツボはきちんとしたツボ職人が作っているものだ。

しかし、量産物だから破格で買える。

石も同じだ。

石もただの石だ。

本当は硝子を石と偽って売ろうとも考えたが、それをしてしまうと疑われる。

きちんとした石を売ることにした。

勿論、準宝石なのでそこそこ高い。


安いものをなるだけ安く買う。

そして、なるだけ高く売る。

だから、厖大な利益が出るのだ。



占い屋というのは実に儲かる。

占いなど適当に言っていれば良い。

相手の話を聞いて、かも当たったかのように言えば、相手はついてくる。

そこで、「幸せになりたければ」と言って、石やツボを売りつけるのだ。

実に簡単な商売だ。


しかも、座ってラクラク作業。

こんな簡単な仕事は無い。


もっとも、本物の占い師というのはさらに大変な仕事なのだろうけども。


なぜ人は簡単に騙されてしまうのだろう。

ジョージはそこが愉快でたまらなかった。


幸いな事に、ジョージの評判は上々。

当たる占い師というよりは話をよく聞いてくれるカウンセラーのような占い師として名を馳せている。

そうだ。

相手の話をよく聞くのだ。


そして、カウンセリングをして占いをして商品を売りつける。

これが主な流れだ。


とはいえ、商品を売りつけるというのは占い界隈往々にしてある事だ。

それをなんぼで売るのかが焦点と言われている。


なぜ高く売るか?

それは「それだけの価値がある」と思わせるからだ。

そうすると、客はいとも簡単に購入に至ってしまう。


こんな仕事を貴族が、しかも侯爵令息がしていても良いのだろうか?

時折考える事もあるが、構わない。

儲かればそれで良いのだ。

手っ取り早く金持ちになれるのは占い師か高利貸し業者しかない。


自分には残念ながら、医師や弁護士になれるだけの学力が無い。

それ以前に王宮の騎士団に応募したが、試験に落ちてしまった。


だったら、肉体労働をすれば良いが、貴族令息がするものではないし、肉体労働は仕事がきつい割にはお金が付いてこない。


そして、ジョージは占い師という道を選んだ。


占い師は本来は師匠について学ぶものだが、全てが独学だ。


というより、占いなど適当にやっていれば良いのだ。


メインは当たり外れでは無い。

物を売ることだ。



そして、カウンセラーを装うのだ。

「よく話を聞いてくれる占い師」になれば、客はつく。


愚痴でも何でも聞くのだ。

それでお金が入ってくるのだから、こんな楽な商売は無い。


おまけに、予約も入らないとなれば、人気も沸騰するだろう。



しかし、この予約が入らないというのも実はカラクリがある。


予約が入らないように見せつけるのだ。

だから、「予約がいっぱいで」と予約の時に言うのだ。

そうなると、予約の取れない占い師になるのは自明だ。



そして、さらに客がつくようにするために、人を紹介したら、1回分の鑑定料金を半額にするのだ。

これで、ねずみ算式に客が増える。

さらに、リピート率を上げるために、「他にも伝えたい事があるけれど、今日はもう時間で。次のお客さんが待っていますので」と言う。

そして、次の予約を入れるのだ。


とにかく占い中毒にさせる。


話を聞いてくれるというだけで人は集まってくる。

それは皆愚痴を聞いて欲しいからだ。

愚痴を聞いて、適当に相槌を打っておけば相手は満足する。


だから、人気を得る事ができた。


客は貴族から平民まで様々だ。

ま、もっともジョージの占いを受けられるのは富裕層に限られるが。


それでも絶大な支持を集めてはいる。


この日もまた予約が立て込んでいた。


「今日は嫁姑問題に悩むカリーナという女性だな」

カリーナの情報を漁っていた。



カリーナは男爵夫人。

やはり、貴族社会では嫁姑問題に悩む人が多い。


この嫁姑問題の根底にあるのは、「嫁が息子をとった」という概念だ。

その概念ゆえ、姑が嫁につらく当たるのだ。

嫁姑も仲が悪いが、嫁と小姑というのもまた仲がこじれる。


王侯貴族として生まれてしまったからには嫁姑問題は避けては通れない道だ。


何分、この国の王妃と王太子妃も仲が悪いと専らの有名。


お互いにいがみあっているという噂も流れてきた。


王室でさえもそうなのだ。


貴族の各家庭も嫁姑問題はついて回る。


カリーナの年齢は24歳だ。

ジョージの1つ下。


カリーナは姑から嫌がらせを受けているようだ。

何でも、傘を買ってくるといつも姑に壊されるらしい。

これが本当ならば、姑は実に大人気ない。


もっとも、カリーナも被害妄想が強そうな面もある。

そうだ。被害妄想だ。

中には被害妄想の強いクライアントもいて、全てを姑に責任転嫁する人間もいる。


物を隠されるだの捨てられただのにわかには信じがたい。


いつも決まって物を捨てられたり、隠されたりするそうだ。

そのクライアントはうっかり屋で財布を置いてきてしまったり……という事が度々あった。

そんなうっかり屋の人間だ。

物をどこかに置き忘れたというケースもある。


人によっては物の無くしグセを何かに罪をなすりつけたいがために、霊のせいにしたり、地底人のせいにしたりするのだ。


しかし、それを物の無くし癖という事を隠し、素直に姑の責任だというように話を聞く。


そうしなければ、商売は成り立たないのだ。


とはいえ、こんなヤバい商売をしているというのが発覚するのも時間の問題だ。


いい加減この生業から足を洗いたいが、何の才能もスキルも無い自分はそうもいかない。


せいぜい発覚しないよう、工作することだった。
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