11 / 12
求愛
しおりを挟む
カタリーナ王女が無事に保護され、以来、パウルがドヴォルザーク邸に来る事が増えた。
この日もまたパウルが邸を訪ねてきた。
なぜ、そこまでもしてパウルは来るのか?
エレオノーレは疑問に思った。
しかし、すぐに氷解する事になる。
「エレオノーレ様。サウル王子殿下がやって参りました」
メイドのアリス。
「ありがとう。今、行くわ」
エレオノーレはいつも通り、応接間に迎え入れた。
サウルの笑顔がいつもより光って見えた。
一体何が始まろうというのか?
「サウル王子殿下。今日はどのようなご要件ですか?」
サウルはにこやかに言った。
「今日はね、兄上の話と……ちょっとしたご報告」
ハッサンに何かあったのか?
それにご報告?
サウルは結婚が決まったというのか?
だとしても、結婚の報告をわざわざドヴォルザーク邸に来て言うものなのだろうか?
「王太子殿下に何かあったのですか?」
「あったよ。やっぱり因果応報という言葉通りだ」
一体何が起きたのだろう?
「兄上は実は怪しい商売をしていたんだ」
「怪しい商売……ですか?」
「王太子たる身分の者がやるものではないね」
「で、どうなったのですか?」
「実は姉上が保護された後の話」
「はい」エレオノーレは耳をそばだてた。
サウルは続けた。
「逮捕されたザキソン伯爵の自供通り、ザキソン伯爵を始め、多くの貴族たちに怪しい投資話を持ちかけていたんだ」
「そっ……そうなんですか?」
「そして、裁判にかけられて、兄上は流罪にあったんだ」
流罪……。
それは死刑の次に重いものとされている。
「勿論、王位剥奪」
(そうでしょうね)
「それで……次期王太子になるのはこの僕なんだ」
「そうだったんですね」
(な~んだ。ご報告ってサウル王子殿下が王太子になるだけの話だったのね)
「で、ご報告なんだけど」
「えっ!? ご報告ってサウル王子殿下が王太子になる今の話ではなかったんですか?」
「違うよ」
何なのだろう。
「もしかして……誰かと結婚が決まったのですか?」
「そう。その通り。よくわかったね。感が鋭いね」
「おめでとうございます。そう言う話なんですね。でも、お相手は誰なんですか?」
「それは……キミだよ」
サウルはエレオノーレを指さした。
「えっ!? わたくしですか? 何かの御冗談では?」
「冗談ではない。本気だ」
サウルの顔つきが真剣になった。
「兄上はエレオノーレを幸せにできなかった。いや、僕はね実は……兄上が羨ましかった。エレオノーレのような美人と結婚できる事を」
「は……はい」
「受け取ってもらいたいものがある」
サウルは小さな小箱を取り出した。
そして、中を開けた。
中には宝石が嵌め込まれた指輪が入っていた。
「腕を出して」
「は……はい」
サウルは指輪を装着させた。
宝石はまばゆいばかりに光を放っていた。
この日もまたパウルが邸を訪ねてきた。
なぜ、そこまでもしてパウルは来るのか?
エレオノーレは疑問に思った。
しかし、すぐに氷解する事になる。
「エレオノーレ様。サウル王子殿下がやって参りました」
メイドのアリス。
「ありがとう。今、行くわ」
エレオノーレはいつも通り、応接間に迎え入れた。
サウルの笑顔がいつもより光って見えた。
一体何が始まろうというのか?
「サウル王子殿下。今日はどのようなご要件ですか?」
サウルはにこやかに言った。
「今日はね、兄上の話と……ちょっとしたご報告」
ハッサンに何かあったのか?
それにご報告?
サウルは結婚が決まったというのか?
だとしても、結婚の報告をわざわざドヴォルザーク邸に来て言うものなのだろうか?
「王太子殿下に何かあったのですか?」
「あったよ。やっぱり因果応報という言葉通りだ」
一体何が起きたのだろう?
「兄上は実は怪しい商売をしていたんだ」
「怪しい商売……ですか?」
「王太子たる身分の者がやるものではないね」
「で、どうなったのですか?」
「実は姉上が保護された後の話」
「はい」エレオノーレは耳をそばだてた。
サウルは続けた。
「逮捕されたザキソン伯爵の自供通り、ザキソン伯爵を始め、多くの貴族たちに怪しい投資話を持ちかけていたんだ」
「そっ……そうなんですか?」
「そして、裁判にかけられて、兄上は流罪にあったんだ」
流罪……。
それは死刑の次に重いものとされている。
「勿論、王位剥奪」
(そうでしょうね)
「それで……次期王太子になるのはこの僕なんだ」
「そうだったんですね」
(な~んだ。ご報告ってサウル王子殿下が王太子になるだけの話だったのね)
「で、ご報告なんだけど」
「えっ!? ご報告ってサウル王子殿下が王太子になる今の話ではなかったんですか?」
「違うよ」
何なのだろう。
「もしかして……誰かと結婚が決まったのですか?」
「そう。その通り。よくわかったね。感が鋭いね」
「おめでとうございます。そう言う話なんですね。でも、お相手は誰なんですか?」
「それは……キミだよ」
サウルはエレオノーレを指さした。
「えっ!? わたくしですか? 何かの御冗談では?」
「冗談ではない。本気だ」
サウルの顔つきが真剣になった。
「兄上はエレオノーレを幸せにできなかった。いや、僕はね実は……兄上が羨ましかった。エレオノーレのような美人と結婚できる事を」
「は……はい」
「受け取ってもらいたいものがある」
サウルは小さな小箱を取り出した。
そして、中を開けた。
中には宝石が嵌め込まれた指輪が入っていた。
「腕を出して」
「は……はい」
サウルは指輪を装着させた。
宝石はまばゆいばかりに光を放っていた。
3
あなたにおすすめの小説
婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた
鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。
幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。
焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。
このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。
エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。
「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」
「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」
「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」
ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。
※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。
※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。
死を回避するために筋トレをすることにした侯爵令嬢は、学園のパーフェクトな王子さまとして男爵令嬢な美男子を慈しむ。
石河 翠
恋愛
かつて男爵令嬢ダナに学園で階段から突き落とされ、死亡した侯爵令嬢アントニア。死に戻ったアントニアは男爵令嬢と自分が助かる道を考え、筋トレを始めることにした。
騎士である父に弟子入りし、鍛練にいそしんだ結果、アントニアは見目麗しい男装の麗人に。かつての婚約者である王太子を圧倒する学園の王子さまになったのだ。
前回の人生で死亡した因縁の階段で、アントニアは再びダナに出会う。転落しかけたダナを助けたアントニアは、ダナの秘密に気がつき……。
乙女ゲームのヒロインをやらされているダナを助けるために筋トレに打ち込んだ男装令嬢と、男前な彼女に惚れてしまった男爵令嬢な令息の恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。表紙は、写真ACよりチョコラテさまの作品(作品写真ID:23786147)をお借りしております。
婚約破棄されて自由になったので、辺境で薬師になったら最強騎士に溺愛されました
有賀冬馬
恋愛
「愛想がないから妹と結婚する」と言われ、理不尽に婚約破棄されたクラリス。
貴族のしがらみも愛想笑いもこりごりです!
失意どころか自由を手にした彼女は、辺境の地で薬師として新たな人生を始めます。
辺境で薬師として働く中で出会ったのは、強くて優しい無骨な騎士・オリヴァー。誠実で不器用な彼にどんどん惹かれていき……
「お前が笑ってくれるなら、それだけでいい」
不器用なふたりの、やさしくて甘い恋が始まります。
彼とのあたたかい結婚生活が始まった頃、没落した元婚約者と妹が涙目で擦り寄ってきて――
「お断りします。今さら、遅いわよ」
料理大好き子爵令嬢は、憧れの侯爵令息の胃袋を掴みたい
柴野
恋愛
子爵令嬢のソフィーには、憧れの人がいた。
それは、侯爵令息であるテオドール。『氷の貴公子』と呼ばれ大勢の女子に迫られる彼が自分にとって高嶺の花と知りつつも、遠くから見つめるだけでは満足できなかった。
そこで選んだのは、実家の子爵家が貧乏だったために身につけた料理という武器。料理大好きな彼女は、手作り料理で侯爵令息と距離を詰めようと奮闘する……!
※小説家になろうに重複投稿しています。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
気がついたら婚約者アリの後輩魔導師(王子)と結婚していたんですが。
三谷朱花
恋愛
「おめでとう!」
朝、職場である王城に着くと、リサ・ムースは、魔導士仲間になぜか祝われた。
「何が?」
リサは祝われた理由に心当たりがなかった。
どうやら、リサは結婚したらしい。
……婚約者がいたはずの、ディランと。
【完結・短編】婚約破棄された悪役令嬢は、隣国でもふもふの息子と旦那様を手に入れる
未知香
恋愛
フィリーナは、婚約者の護衛に突き飛ばされここが前世の乙女ゲームの世界であることに気が付いた。
……そして、今まさに断罪されている悪役令嬢だった。
婚約者は憎しみを込めた目でフィリーナを見て、婚約破棄を告げた。
ヒロインであろう彼女は、おびえるように婚約者の腕に顔をくっつけて、勝ち誇ったように唇をゆがめた。
……ああ、はめられた。
断罪された悪役令嬢が、婚約破棄され嫁がされた獣人の国で、可愛い息子に気に入られ、素敵な旦那様と家族みなで幸せになる話です。
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる