【完結】ニセ聖女と呼ばれ、婚約破棄されました。しかし、若い宰相さんが私を拾ってくれました

hikari

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孤児院へ

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そこにいたのは黒い衣装に身を包んだ緑の瞳をした初老の男性でした。

修道士のジョナサン先生です。

わたくしは孤児院を離れても、何度か孤児院に訪れていました。

ジョナサン先生は孤児院時代によくお世話になっていた人でした。


「ジョナサン先生」

「誰かと思えば、ターニアではないか。どうしたんだい? 馬車なんかで来て」

「はい。わたくし、ウラ家を出ました」

「なんでまた?」

「わたくし……アンドレイ様と婚約破棄しました。で、わたくし、もうウラ家にいられなくなってこちらに来ました。わたくし……自分と同じ孤児になってしまった子たちの支援がしたくて」

「そうか……そういう事情だったか」

「修道院にいさせてもらえないでしょうか?」

わたくしは深々と頭を下げました。


ジョナサン先生はわたくしがアンドレイ様と婚約したことは知っていました。


「うーん。そうだなぁ……」

ジョナサン先生は言葉に詰まったようです。

「駄目……なのでしょうか?」

「私の一存ではなかなか難しいものがあるなぁ。でも、事情が事情だしな」

「お願いします。何でも致しますわ」

「では、司祭に話をしてみます。ちょっと待っててくれ。ああ、時間かかりそうだから、談話室でお茶でも飲んで待っているといい」

わたくしは談話室に案内されました。



間もなくして、お茶とお菓子が運ばれてきました。

「さあ、召し上がってください」

見知った人ではない修道女が来ました。

「ありがとうございます。いただきます」

わたくしはお茶を口に運びました。


小一時間が経ち。

トントン。

ドアをノックする音が聞こえてきました。

わたくしは朗報であることを祈りました。


ジョナサン先生と司祭のアレン先生が部屋に入ってきました。

アレン先生もまた、孤児院時代にお世話になった人の一人です。


「ターニア。事情はジョナサンより聞いた。そうか、そうか。ウラ家にいられなくなったか」

「はい、そうです」

「それは気の毒だな」

アレン先生は肩の高さまで伸びた白いあご髭を触りながらそう言いました。

「うん。即決だ。ターニア・ウラ。きみを当孤児院の職員として採用しよう」

「わあ。ありがとうございますわ、アレン先生」

「当孤児院のスローガンを覚えているかね?」

「勿論、覚えています。『来るもの拒まず、去る者追わず』ですよね?」

「そうだ。その通りだ。誰でも受け入れることが当孤児院のスタンスだ。それは職員とて同じだ」

アレン先生は笑顔を見せました。

わたくしは胸の中でタップダンスを踊りました。
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