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聖女として生きる

これからの聖女生活

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「リサはなぜローサの婚約者を奪ったの?」ソフィアは眉根を寄せながら訊ねてきた。

「それが。私が王太子殿下と交際していることを知りながら王太子殿下と知らぬ間に」

「そうだったんだ。リサがそんな事をするなんてに俄には信じられなくて」ソフィアは視線を落とした。

ローサは食事をしながら、ソフィアの質問に答えている感じだった。

「リサといったら、いつも朗らかで快活な性格というイメージがあったから。人ってわからないものね」とソフィア。

「でも、いいの。王太子殿下が私なんかよりリサと結婚した方が幸せなら私は祝福するわ」 

嘘だった。あいつらなんか奈落の底に落ちてしまえばいい、そう思っている。

ソフィアは「そんな!」と言って続けた「婚約者を奪われておいて祝福だなんて聖人君子じゃないんだから」

確かに。本当にそんなこと考えられるなら、もはや神様の域だ。

「ソフィア。私、今後どうしたらいいだろう?」

訊ねてみた。

「焦らなくて大丈夫じゃないの? 王太子殿下よりもっといい人に出会えるって。ね?」

ソフィアは前向きだ。

「本当にそう思う?」

「勿論よ」

そう言って二人で微笑んだ。

「ねぇ。ソフィアは結婚考えているの?」

次期コーンウォール家の当主になるのはソフィアの夫になる人物だ。やはり、そこは気になるところだ。

「私は……いい人が見つかれば……の話だけど。今は特に考えてないかな?」

ソフィアの表情が曇った。ソフィアは今の段階では結婚を考えてはいないようだ。

「そうなんだ。じゃあやっぱり焦らずじっくり、なのね?」

「そう。そういう事」

と言ってソフィアはウインクした。

ソフィアはいつも明るくて良い。ソフィアならきっと良い人が見つかる、そう確信した。


「ごちそうさまでした」

そう言うとソフィアが

「じゃあお父様がお呼びだから、一緒にお父様のいる応接間にいきましょ♪」と言って腕を引っ張った。

「ねぇー。強く引っ張らないでよ~。腕がちぎれちゃう」

しかし、ソフィアは笑顔で「早く、早く」と促す。


「ソフィア。ありがとう。ローサ。きみに聖女になる事を勧めよう。コーンウォール家の健康管理を任せる」

「はい、叔父様」

聖女になる。聖女の任務は重い。何分、健康に関わる仕事だからだ。

「ローサ。いかなる理由があろうとも、姉がきみの味方をしなくても、私は味方だ。コーンウォール家を有効に利用してくれ」

コーンウォール伯爵の言葉はありがたかった。

「ではソフィア。聖女の部屋に案内してやってくれ」

ローサは聖女の部屋に案内された。

「ここが聖女の部屋です」

部屋には沢山の薬草が植えられていた。

任務の重さをまじまじと感じた。
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