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聖女として生きる
薬の匂い
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多種多様の薬草に囲まれて、部屋は独特な匂いがする。
ティナは乾燥した植物を手に取り説明を始めた。
「ローサ。この薬草は風邪に効果があるの。これから季節の変わり目。風邪をひくことがあるから、重宝して」
ローサは薬草の特徴を覚えた。
なるほど。これは風邪をひいた時に用いる薬。と心のノートに記した。
ティナは次に左右の手に乾燥した植物を手に取った。
「この薬草が胃薬。胃が痛い時に飲む薬ね」と右腕を降振った。「それでこっちは吐き気がある時の薬」と言って左腕を振った。「吐き気の時と痛みの時は違うから気をつけてね」
「次に」と言って下を指差した。
「こちらの薬草は下痢どめ。お腹が緩い時に飲むの。お腹を冷やした時なんかに飲む薬ね」
ティナは壺を指差した。そして、壺の蓋を開けた。
「そうそう。この壺見て。この壺の中にある薬草は吐き気用の薬草。食中毒ね。食中毒には万全の注意をしているけれど、万が一という時のためにここに貯蔵してあるの」
「それから」と言って別の壺を開けた。「この薬は頭痛薬。頭が痛い時に飲む薬ね」と言い、また別の壺を開けた。「この薬は滋養強壮の薬。薬草だけでなく、ミツバチが作ったロイヤルゼリーやプロポリスなんかも入っているのよ。元気が出るわよ。あ、なんだったら今舐めてみる?」と言ってティナがスプーンに掬ってみせた。「いいよ」。ローサは促されるまま、スプーンに指をつけ、舐めてみた。ほんのり甘いやさしい味だった。
「美味しいでしょう? この薬は先程言った風邪の時の滋養強壮の薬なんだ」
ティナは目の前の戸棚を開けた。そこにはいくつかの瓶詰めがあった。
「この薬草は怪我をした時に使う外用薬。擦りむいたり転んだりした時に使う薬よ」
そしてまた別の瓶詰めを持ち出し「これは痒いところに塗る薬。いわゆる虫刺されね」
「そーれで」と言ってまたティナは他の瓶詰めを取り出した。
「これは蜂に刺された時に使う薬よ」蜂。
「蜂って今しがた言ったミツバチのロイヤルゼリーやプロポリスを採取するときに刺された時のため?」
「それもあるかな? たまに大きな蜂が入ってきてそれで怪我をしてしまう事があるの。だから」
それは危険だ、と思った。
「他にも色々な薬草があるけれど、主要な薬草を説明してみたわ」
ローサは中々どれがどの薬草なのかうまく飲み込めていない。
「最初のうちはわからない事だらけだけど、そのうち慣れてくるわ」
ティナにそう教わった。
と、すると部屋をノックする音がした。
ティナが開けるとそこにはソフィアが立っていた。
「ローサに用があるの。ローサ、聞いて。たった今入った情報なんだけど、リサが王太子殿下と結婚するみたいよ」
ティナは乾燥した植物を手に取り説明を始めた。
「ローサ。この薬草は風邪に効果があるの。これから季節の変わり目。風邪をひくことがあるから、重宝して」
ローサは薬草の特徴を覚えた。
なるほど。これは風邪をひいた時に用いる薬。と心のノートに記した。
ティナは次に左右の手に乾燥した植物を手に取った。
「この薬草が胃薬。胃が痛い時に飲む薬ね」と右腕を降振った。「それでこっちは吐き気がある時の薬」と言って左腕を振った。「吐き気の時と痛みの時は違うから気をつけてね」
「次に」と言って下を指差した。
「こちらの薬草は下痢どめ。お腹が緩い時に飲むの。お腹を冷やした時なんかに飲む薬ね」
ティナは壺を指差した。そして、壺の蓋を開けた。
「そうそう。この壺見て。この壺の中にある薬草は吐き気用の薬草。食中毒ね。食中毒には万全の注意をしているけれど、万が一という時のためにここに貯蔵してあるの」
「それから」と言って別の壺を開けた。「この薬は頭痛薬。頭が痛い時に飲む薬ね」と言い、また別の壺を開けた。「この薬は滋養強壮の薬。薬草だけでなく、ミツバチが作ったロイヤルゼリーやプロポリスなんかも入っているのよ。元気が出るわよ。あ、なんだったら今舐めてみる?」と言ってティナがスプーンに掬ってみせた。「いいよ」。ローサは促されるまま、スプーンに指をつけ、舐めてみた。ほんのり甘いやさしい味だった。
「美味しいでしょう? この薬は先程言った風邪の時の滋養強壮の薬なんだ」
ティナは目の前の戸棚を開けた。そこにはいくつかの瓶詰めがあった。
「この薬草は怪我をした時に使う外用薬。擦りむいたり転んだりした時に使う薬よ」
そしてまた別の瓶詰めを持ち出し「これは痒いところに塗る薬。いわゆる虫刺されね」
「そーれで」と言ってまたティナは他の瓶詰めを取り出した。
「これは蜂に刺された時に使う薬よ」蜂。
「蜂って今しがた言ったミツバチのロイヤルゼリーやプロポリスを採取するときに刺された時のため?」
「それもあるかな? たまに大きな蜂が入ってきてそれで怪我をしてしまう事があるの。だから」
それは危険だ、と思った。
「他にも色々な薬草があるけれど、主要な薬草を説明してみたわ」
ローサは中々どれがどの薬草なのかうまく飲み込めていない。
「最初のうちはわからない事だらけだけど、そのうち慣れてくるわ」
ティナにそう教わった。
と、すると部屋をノックする音がした。
ティナが開けるとそこにはソフィアが立っていた。
「ローサに用があるの。ローサ、聞いて。たった今入った情報なんだけど、リサが王太子殿下と結婚するみたいよ」
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