【完結】気づいたら異世界に転生。読んでいた小説の脇役令嬢に。原作通りの人生は歩まないと決めたら隣国の王子様に愛されました

hikari

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帰路 巨大な魔物アトポスに注意

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帰りはばけつをひっくり返したような雨が降っている。

(仕方ないわ。だって大陸の海沿いだから)

雷鳴轟く中、トビーとアレクサンドラは走るように馬車に乗り込んだ。

「では、いきますよ」

御者が馬を走らせた。


王宮からグラタナ邸までは丸3日かかる。

その間は平地を走ったり、廃墟の村を走ったりする。

廃墟は勿論、魔物によって滅ぼされた村だ。

魔物、なかんずくアトポスは厄介で睨まれると痒みを起こすらしいのだ。

咆哮を聞くと石にまでされるという。


そう。堀井さんの作品はいつもアトポスという堀井さんオリジナルの魔物が出てくる。

アトポスとはアトピーの語源。奇妙なという意味があるらしい。


堀井さん自身もアトピーで痒みに悩まされているという。

堀井さんは皮膚科に通っているらしいが、田舎に住んでいるため、地元に皮膚科が無いらしい。

だから、電車で通っているという。


本当は車で通えば良いのだが、堀井さんはADHDゆえ車に乗るのが怖いらしい。


アトピー。それはアレクサンドラ自身も悩まされていた。

転生して、ようやく痒みから解放された。

ジュクジュクいっていつも身体のどこかしらか血を出していた。


その度につけ薬をつけていた。


飲み薬も飲んでいた。抗アレルギー剤と抗ヒスタミン剤だった。

もう、それらの薬とも縁を切っている。


小学校4年制位の時に寛解したけれど、高校時代になぜか再発。

以来、大人アトピーとして付き合う事になった。


だから、アレクサンドラはアトピーの辛さを人一倍わかっている。


で、アトピーとくればチャールズだ。

チャールズはいつも顔から血を出している。

そして、身体中掻きむしっている。


人前でズボンに手を突っ込んで掻いていた時には軽蔑の眼差しを向けた。

さらに、掻いた手の匂いを嗅いでいるのだ。


人前ではないけれど、自分一人でいる時はズボンに手を突っ込み掻いた事はある。

しかし、流石に人前では掻かない。

しかも、匂いを嗅ぐとは……。


堀井さん自身が皮膚科でそういう患者を見ていたのだろう。


アレクサンドラも前世では色々なアトピー患者を見ている。


特に赤ちゃんのアトピーは見ていて切なくなってしまった。


ちなみにアレクサンドラは最初は近所の皮膚クリニックに通っていた。

しかし、その皮膚クリニックが医師の体調不良で閉院になり、別の総合病院の皮膚科に通うようになった。

堀井さんの場合は電車で、アレクサンドラの場合はバスで通っていた。

皮膚科が変わる時に、アレクサンドラは大学病院への紹介状を書いてもらうように医師に懇願した。

というのは自分のアトピーは大人アトピーゆえ、難治性だと悟っていたからだった。

大学病院なら、大人アトピーを研究している先生に当たれるかもしれない、と思ったからだ。


しかし、断られた。

大学病院はがんのような重大な疾患の人が行く場所であり、大人アトピー程度では診てくれないという。


しかも、最後に一言、こう言われた。

「一宮さんのアトピーはまだ軽い方ですよ」と。

本当に軽いのだろうか?

甚だ疑問に感じていた。


軽いなら、一箇所に集中しているはず?


アレクサンドラの場合、全身に広がっていたのだ。


だが、夜痒くて眠れないという事は無かった。

それだけが唯一の救いだった。



魔物、アトポスが出ても、アレクサンドラは魔法が使える。

魔法を使えばアトポスなど怖くはない。

ちなみに、チャールズがなぜアトピーなのかと言えば、アトポスと町中で出会い、逃げようとしたらアトピーになってしまった……という設定。


一度アトポスにアトピーにされるとなかなか治らない。

そこは普通のアトピーと同じ。



このオヴァーン王国には皮膚科がある。

アトポスに毒された国民は大勢いる。

魔物といえばゴーゴンやガーゴイルだけではないのだ。


アトポス対策はしてあった。


アトポスに睨まれないように、アトポスと目を合わせないようにする事。

アトポスは蛇のような魔物で凶暴。


蛇と言えばこの辺で主に出るのはバジリスク。

バジリスクよりも厄介なのがやはりアトポスなのだ。


(もうアトピーなんかにはなりたくない)

「トビーはアトポスは怖い?」

「いや、大丈夫です。アトポス対策に私も魔法を習得していますから」

トビーは優秀な人材だ。

文武両道で、魔法も使えれば武術もできる。

そこを見込まれて王室に仕えていた。


道は次第に狭くなっていく。

雨は止んできた。


いわゆる、『ゲリラ豪雨』だった。


そう。物語の中でもゲリラ豪雨の中、自宅へ帰る話だった。


話は小説の中で既に❝予習❞している。


このあとどうなるのか……など先が読めている。


堀井ワールドではアトポスには遭遇しない話になっている。


それでも抜かりなく。


「カイエン!!」

すると御者が後ろを向いた。

「はい、アレクサンドラ様」

「アトポスには気をつけて下さい。カイエンがアトポスに倒れてしまったら、私達、グラタナへ戻れなくなるわ」

「はい。気をつけて」

馬もまたアトポスによってアトピーのような症状になる。


この世界では『アトピー』とは言わずにアトポスからとって 『アトック』と呼ばれている。

このアトポス由来の皮膚病はアトックと呼ばれ、人々の苦悩の対象になっている。
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