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アッシュの正体
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夏休みが明け、それでも残暑は厳しい。
「ディアドラが王太子殿下と共にリンデンロームに行ったみたいよ」
教室の中はやけに騒がしい。
話はディアドラの事で持ちきりだ。
「え!? ディアドラがリンデンロームに?」
「なんだかそうみたいよ」
サマンサは続けた。
「何でもね、王太子殿下がカジノで借金作っていたみたいよ」
「ひど……。王太子殿下が借金!?」
サウルがカジノへ行っていた事は知っていたが、借金をしていた事は知らなかった。
「アレクサンドラ」
「うん?」
「王太子殿下と別れて良かったわよね」
「そうね。まさか借金作っているとは知らなかったわ」
国から追放されるのだから、借金もかなりの額をしていたのだろう。
「もし、アレクサンドラが王太子殿下と結婚していたら、アレクサンドラがリンデンロームに行っていたわね」
「そう……なるわね」
それを考えるとぞっとする。
リンデンロームなんか行きたくない。
あんな後進国。
(そう言えば……リンデンロームに行くなんてそんなの原作にはなかった。そのままディアドラとくっついてディアドラが王太子妃になるんだっけ……。風向きが変わった!! もしかすると宿命転換できるかもしれない!! 絶対にチャールズなんかと一緒にならずに済むかもしれない!! チャンス!!)
「どうしたの? アレクサンドラ」
サマンサだけには話した方が良いかもしれない。無二の親友なのだから。
「実はね……」
「え?」
「私、転生者なの」
「転生者?」
「そう。この世界、私が転生する前に読んでいた小説の世界なの。作者は堀井伽沙凛という人なんだけど」
「小説の世界? 堀井伽沙凛? よくわからないけど」
サマンサは怪訝な顔をしている。
それも、そのはず。
異世界に転生しただなんてにわかに受け入れられる話ではないから。
「大丈夫。よくわからなくて普通だから」
「う~ん」
「まあ、簡単に言ってしまえば私は宇宙人みたいなものよ」
「そうなん……だ」
「でね。私は物語の中でも王太子殿下と婚約破棄して、ディアドラに婚約者奪われるの。で、チャールズに根負けして結婚してしまうシナリオなの」
「そうなんだ。チャールズと結婚は嫌よね」
「そう。でもね、王太子殿下とディアドラがリンデンロームに行くというのは原作に無いの。ってことはね原作の内容と違うということは私はチャールズと結婚しなくて済むかもしれないの」
「そうね。それに、アレクサンドラは今はアッシュと良い関係だものね」
同じ平民でもアッシュの方が数倍マシ。
「でも……最近アッシュが学園に来ていないの」
「そうよね。アッシュ、見ないわよね」
そこへまた違う噂が聞こえた。
「エルディーヌ王国の内乱が収束したみたいだよ」
え!? と思った。
隣国情勢だった。
「聞いた? 今の」と、サマンサ。
「聞いたわ。ついに収束したのね」
さらに、耳は情報を拾った。
「サミュエル王子が生きていたって話よ」
「え!?」
「サマンサ。サミュエル王子、生きていたの?」
「そうみたいよ」
「通りで。遺体が見つからないなんてどう考えても不自然だものね」
「サミュエル王子、無事で良かったわ」
サミュエル王子はイケメンで有名。
あらゆうる国の王侯貴族から人気がある。
「サミュエル王子は現国王の一人息子だっていうものね」
「ねえ。サマンサはサミュエル王子みたいな人、好き?」
「私は……。王族は似合わないわ」
「そうなんだ……。どうして?」
「王族は憧れよ。やっぱり王族と一緒になれるのは侯爵以上よ」
それはない。なぜなら、オヴァーン王国の現王妃が伯爵家の人間だからだ。
それに、サマンサも伯爵。
「でも、現王妃殿下が伯爵家の出自よ!」
「たまたまうよ。基本、侯爵以上だわ」
「じゃあ、サマンサは貴族との結婚を望んでいるのね?」
「できれば……ね」
「それにしても、なぜアッシュは来なくなったのだろう?」
考えてみれば、なぜアッシュは来なくなったのだろうか?
謎の多いアッシュなだけに、突如学園に来なくなったのもなんだか隠された謎のような気がしてきた。
朝の会が始まった。
「えへん。朝の会を始めます。今日は二点お知らせがあります」
一体なんなのだろうか。教室中が騒然とする。
「まずはディアドラ・ワルサ嬢だ」
先生は続けた。
「ディアドラはサウル王太子殿下と結婚をしました」
すると、教室中が歓声に沸いた。
「王太子殿下と?」
「ねぇジェフ。やっぱり王太子殿下とディアドラはお似合いだったでしょ?」
と、リリーナの声がする。
「これはめでたい。とうとう結婚したか、あの二人」
「しかし、王太子殿下の不祥事により、ディアドラは王太子殿下と共に隣国、リンデンロームに行きました」
「「「「「「「「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」」」」」」」
「そんな……ディアドラ」
「そしてもう一点! アッシュはもう学園には来ません」
アレクサンドラは心を撃ち抜かれたような気がした。
ショックだった。
アッシュがチャールズから守ってくれたからだ。
(もう頼れる人がいない……)
「何でですか?」
と、リリーナ。
「実は。リンデンロームではない隣国、エルディーヌ王国の内乱が収束したのはご存知の通り。それと関連しています」
まさか……と思った。
「はい。実はアッシュはエルディーヌ王国の王子、サミュエル王子だったのです」
「ディアドラが王太子殿下と共にリンデンロームに行ったみたいよ」
教室の中はやけに騒がしい。
話はディアドラの事で持ちきりだ。
「え!? ディアドラがリンデンロームに?」
「なんだかそうみたいよ」
サマンサは続けた。
「何でもね、王太子殿下がカジノで借金作っていたみたいよ」
「ひど……。王太子殿下が借金!?」
サウルがカジノへ行っていた事は知っていたが、借金をしていた事は知らなかった。
「アレクサンドラ」
「うん?」
「王太子殿下と別れて良かったわよね」
「そうね。まさか借金作っているとは知らなかったわ」
国から追放されるのだから、借金もかなりの額をしていたのだろう。
「もし、アレクサンドラが王太子殿下と結婚していたら、アレクサンドラがリンデンロームに行っていたわね」
「そう……なるわね」
それを考えるとぞっとする。
リンデンロームなんか行きたくない。
あんな後進国。
(そう言えば……リンデンロームに行くなんてそんなの原作にはなかった。そのままディアドラとくっついてディアドラが王太子妃になるんだっけ……。風向きが変わった!! もしかすると宿命転換できるかもしれない!! 絶対にチャールズなんかと一緒にならずに済むかもしれない!! チャンス!!)
「どうしたの? アレクサンドラ」
サマンサだけには話した方が良いかもしれない。無二の親友なのだから。
「実はね……」
「え?」
「私、転生者なの」
「転生者?」
「そう。この世界、私が転生する前に読んでいた小説の世界なの。作者は堀井伽沙凛という人なんだけど」
「小説の世界? 堀井伽沙凛? よくわからないけど」
サマンサは怪訝な顔をしている。
それも、そのはず。
異世界に転生しただなんてにわかに受け入れられる話ではないから。
「大丈夫。よくわからなくて普通だから」
「う~ん」
「まあ、簡単に言ってしまえば私は宇宙人みたいなものよ」
「そうなん……だ」
「でね。私は物語の中でも王太子殿下と婚約破棄して、ディアドラに婚約者奪われるの。で、チャールズに根負けして結婚してしまうシナリオなの」
「そうなんだ。チャールズと結婚は嫌よね」
「そう。でもね、王太子殿下とディアドラがリンデンロームに行くというのは原作に無いの。ってことはね原作の内容と違うということは私はチャールズと結婚しなくて済むかもしれないの」
「そうね。それに、アレクサンドラは今はアッシュと良い関係だものね」
同じ平民でもアッシュの方が数倍マシ。
「でも……最近アッシュが学園に来ていないの」
「そうよね。アッシュ、見ないわよね」
そこへまた違う噂が聞こえた。
「エルディーヌ王国の内乱が収束したみたいだよ」
え!? と思った。
隣国情勢だった。
「聞いた? 今の」と、サマンサ。
「聞いたわ。ついに収束したのね」
さらに、耳は情報を拾った。
「サミュエル王子が生きていたって話よ」
「え!?」
「サマンサ。サミュエル王子、生きていたの?」
「そうみたいよ」
「通りで。遺体が見つからないなんてどう考えても不自然だものね」
「サミュエル王子、無事で良かったわ」
サミュエル王子はイケメンで有名。
あらゆうる国の王侯貴族から人気がある。
「サミュエル王子は現国王の一人息子だっていうものね」
「ねえ。サマンサはサミュエル王子みたいな人、好き?」
「私は……。王族は似合わないわ」
「そうなんだ……。どうして?」
「王族は憧れよ。やっぱり王族と一緒になれるのは侯爵以上よ」
それはない。なぜなら、オヴァーン王国の現王妃が伯爵家の人間だからだ。
それに、サマンサも伯爵。
「でも、現王妃殿下が伯爵家の出自よ!」
「たまたまうよ。基本、侯爵以上だわ」
「じゃあ、サマンサは貴族との結婚を望んでいるのね?」
「できれば……ね」
「それにしても、なぜアッシュは来なくなったのだろう?」
考えてみれば、なぜアッシュは来なくなったのだろうか?
謎の多いアッシュなだけに、突如学園に来なくなったのもなんだか隠された謎のような気がしてきた。
朝の会が始まった。
「えへん。朝の会を始めます。今日は二点お知らせがあります」
一体なんなのだろうか。教室中が騒然とする。
「まずはディアドラ・ワルサ嬢だ」
先生は続けた。
「ディアドラはサウル王太子殿下と結婚をしました」
すると、教室中が歓声に沸いた。
「王太子殿下と?」
「ねぇジェフ。やっぱり王太子殿下とディアドラはお似合いだったでしょ?」
と、リリーナの声がする。
「これはめでたい。とうとう結婚したか、あの二人」
「しかし、王太子殿下の不祥事により、ディアドラは王太子殿下と共に隣国、リンデンロームに行きました」
「「「「「「「「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」」」」」」」
「そんな……ディアドラ」
「そしてもう一点! アッシュはもう学園には来ません」
アレクサンドラは心を撃ち抜かれたような気がした。
ショックだった。
アッシュがチャールズから守ってくれたからだ。
(もう頼れる人がいない……)
「何でですか?」
と、リリーナ。
「実は。リンデンロームではない隣国、エルディーヌ王国の内乱が収束したのはご存知の通り。それと関連しています」
まさか……と思った。
「はい。実はアッシュはエルディーヌ王国の王子、サミュエル王子だったのです」
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2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
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