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帰路
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外は冷たい雨が降っている。
吐く息が白く濁る。
手が冷たい。シャルロッテは寒いのがとことん苦手。
手足が氷のように冷たい。
――寒い。
シャルロッテはフロリーナと共に馬車に乗り込んだ。
送りに来てくれたのはトーマスただ1人。
「シャルロッテ様。トーマスめはシャルロッテ様の味方ですぞ。カルロス様とラニーニャ嬢は最低です」
「ありがとう、トーマス」
「さあ、出発しますよ」
と馬主のトレイン。
「「はい。宜しくお願いします」」
馬車は出発した。
ここ、ストーム家からシャルロッテの実家シュペルリンク家まではまる3日かかる。
「フロリーナ、ごめんね。あなたまで巻き込んで」
「良いですわ。悪いのはあきらかにカルロスとラニーニャなのですから」
カルロス……なぜ?
結婚式では二人の愛を誓ったではないか!!
偽りの愛だったのか?
八重歯が可愛いから。女子力があるから。無機物と話せるから。
それだけの理由でいとも簡単に不倫ができてしまうものなのか。
「フロリーナ。フロリーナはカルロスの事をどう思っているの?」
「私はカルロス様を紳士な方だと思っていました。でも、今回の件であっさり裏切られた気がします」
「そうだよね……」
「ラニーニャ様に関しては極悪非道というか……」
シャルロッテはラニーニャが生理的に受け付けない。
あんなド派手な女のどこが女子力なんだか。
「女子力ならわたくしはシャルロッテ様の方があると思いますわ」
「ありがとう、フロリーナ。そう言ってくれるのはフロリーナ、あなたしかいないわ」
「いいえ。客観的に見ても、ラニーニャ様が女子力あるだなんて思えません。貴族令嬢の割には下品過ぎます」
「あのド派手な毛皮。だから、犬をカルロスの部屋から避難させていたのね」
「ラニーニャ様は何でも動物を見ると何でも毛皮に結びつけるみたいですよ」
それもそうだろう。
噂に聞くに、タイパン領には絶滅寸前の動物が存在するという。
「恐ろしい女。動物が毛皮に見えるだなんて」
「わたくし、実は何度か見てしまったんです。カルロス様とラニーニャ様が密会しているところを」
「え!?」
「これは不味いと思いながらも、シャルロッテ様には黙っていた方が良いだろうと思い、内密にしていました」
「そうだったんだ」
シャルロッテはため息をついた。
★☆★☆
しばらくすると、空が次第に暗くなってくる。
やはり、冬は日の入りが早い。
しかも、雨だから、なおさら暗くなるのは早い。
「さあ、今日はこの宿に泊まろう」
と、トレイン。
「はい、そう致しましょう」
トレイン、フロリーナ、シャルロッテの順に馬車を降りた。
やはり、外は雨。
雪に変わりそうにもない。
明日は晴れるだろうか?
明日はアトポスの出るシフンド領内に入る。
アトポスは危険な生き物。
アトポスに睨まれると強烈な痒みに襲われ、また、アトポスの鳴き声を聞くと石にされる。
――アトポス……。
「フロリーナ」
「はい、シャルロッテ様」
「明日はアトポスのいるシフンド領に入るわね」
「大丈夫です。森に近寄らなければ良いのですから」
「それにしても……まさかとは思うんだけど」
「何ですか?」
「ラニーニャはアトポスの皮まで欲しがっていないかしら?」
「アトポスの皮。確かにレア物ですわ」
「アトポスの皮をなめしてカバンなんかにするんだわ」
「ラニーニャ様ならやりそうです」
あのけばけばしい女。
レア物が大好きだということは容易に想像がつく。
「アトポスを退治して欲しい。けど、ラニーニャの所有物にはなって欲しくないわ」
「本当ですわ」
二人が寝る部屋からは外の景色がよく見える。
「明日までには晴れていて欲しいわね」
★☆★☆
翌朝。
期待に反して空には鉛色の雲が広がっている。
日差しはない。
雨も雪も降っていない。
「今日も寒いわね」
「まだまだ真冬ですからね」とトレイン。
「では、出発しよう」
馬車はカラカラという音を立てて宿屋を出た。
「トレイン。今日はアトポスの出るシフンド領に入るのよね?」
「シャルロッテお嬢様、大丈夫です。森には近づきませんので」
実はトレインはアトポスに睨まれたことがあり、一時期湿疹が体中に広がっていた。
しかも、痒みと共にジュクジュクしてしまう。
中には熱が出る人も。
「魔物はそれでも減った方よ」
今でさえアトポス。その前まではゴーゴンやガーゴイルといった魔物が出ていた。
しかし、どれも『勇者様』と呼ばれる人たちが退治してきたのだ。
唯一今も残る魔物がアトポスだ。
アトポス退治には賞金が出ている。
しかし、余りに手強いため、なかなか討伐者が現れない。
アトポスは逃げ足もまた早い。
その前に痒みで戦闘どころではなくなる。
その間に石にされるか逃げられるかなのだ。
馬車はシフンド領に入った。
アトポスの出る森とは大分離れている。
シフンド領には湿疹で聖女の元に行く者が多いという。
知らず知らずのうちにアトポスに出会ってしまうのだろう。
と、その時だった。
見覚えのある顔がいた。
そう。ストーム家の遣いの人間だ。
「何なんだ!」
トレインがそう言うと、遣いの一人がこう言った。
「カルロス様からアトポス討伐の依頼を受けた」
何のため?
やはり、ラニーニャがアトポスの皮を欲しがっているのか?
タイパン家とシフンド家は親戚筋にある。
まさか!?
吐く息が白く濁る。
手が冷たい。シャルロッテは寒いのがとことん苦手。
手足が氷のように冷たい。
――寒い。
シャルロッテはフロリーナと共に馬車に乗り込んだ。
送りに来てくれたのはトーマスただ1人。
「シャルロッテ様。トーマスめはシャルロッテ様の味方ですぞ。カルロス様とラニーニャ嬢は最低です」
「ありがとう、トーマス」
「さあ、出発しますよ」
と馬主のトレイン。
「「はい。宜しくお願いします」」
馬車は出発した。
ここ、ストーム家からシャルロッテの実家シュペルリンク家まではまる3日かかる。
「フロリーナ、ごめんね。あなたまで巻き込んで」
「良いですわ。悪いのはあきらかにカルロスとラニーニャなのですから」
カルロス……なぜ?
結婚式では二人の愛を誓ったではないか!!
偽りの愛だったのか?
八重歯が可愛いから。女子力があるから。無機物と話せるから。
それだけの理由でいとも簡単に不倫ができてしまうものなのか。
「フロリーナ。フロリーナはカルロスの事をどう思っているの?」
「私はカルロス様を紳士な方だと思っていました。でも、今回の件であっさり裏切られた気がします」
「そうだよね……」
「ラニーニャ様に関しては極悪非道というか……」
シャルロッテはラニーニャが生理的に受け付けない。
あんなド派手な女のどこが女子力なんだか。
「女子力ならわたくしはシャルロッテ様の方があると思いますわ」
「ありがとう、フロリーナ。そう言ってくれるのはフロリーナ、あなたしかいないわ」
「いいえ。客観的に見ても、ラニーニャ様が女子力あるだなんて思えません。貴族令嬢の割には下品過ぎます」
「あのド派手な毛皮。だから、犬をカルロスの部屋から避難させていたのね」
「ラニーニャ様は何でも動物を見ると何でも毛皮に結びつけるみたいですよ」
それもそうだろう。
噂に聞くに、タイパン領には絶滅寸前の動物が存在するという。
「恐ろしい女。動物が毛皮に見えるだなんて」
「わたくし、実は何度か見てしまったんです。カルロス様とラニーニャ様が密会しているところを」
「え!?」
「これは不味いと思いながらも、シャルロッテ様には黙っていた方が良いだろうと思い、内密にしていました」
「そうだったんだ」
シャルロッテはため息をついた。
★☆★☆
しばらくすると、空が次第に暗くなってくる。
やはり、冬は日の入りが早い。
しかも、雨だから、なおさら暗くなるのは早い。
「さあ、今日はこの宿に泊まろう」
と、トレイン。
「はい、そう致しましょう」
トレイン、フロリーナ、シャルロッテの順に馬車を降りた。
やはり、外は雨。
雪に変わりそうにもない。
明日は晴れるだろうか?
明日はアトポスの出るシフンド領内に入る。
アトポスは危険な生き物。
アトポスに睨まれると強烈な痒みに襲われ、また、アトポスの鳴き声を聞くと石にされる。
――アトポス……。
「フロリーナ」
「はい、シャルロッテ様」
「明日はアトポスのいるシフンド領に入るわね」
「大丈夫です。森に近寄らなければ良いのですから」
「それにしても……まさかとは思うんだけど」
「何ですか?」
「ラニーニャはアトポスの皮まで欲しがっていないかしら?」
「アトポスの皮。確かにレア物ですわ」
「アトポスの皮をなめしてカバンなんかにするんだわ」
「ラニーニャ様ならやりそうです」
あのけばけばしい女。
レア物が大好きだということは容易に想像がつく。
「アトポスを退治して欲しい。けど、ラニーニャの所有物にはなって欲しくないわ」
「本当ですわ」
二人が寝る部屋からは外の景色がよく見える。
「明日までには晴れていて欲しいわね」
★☆★☆
翌朝。
期待に反して空には鉛色の雲が広がっている。
日差しはない。
雨も雪も降っていない。
「今日も寒いわね」
「まだまだ真冬ですからね」とトレイン。
「では、出発しよう」
馬車はカラカラという音を立てて宿屋を出た。
「トレイン。今日はアトポスの出るシフンド領に入るのよね?」
「シャルロッテお嬢様、大丈夫です。森には近づきませんので」
実はトレインはアトポスに睨まれたことがあり、一時期湿疹が体中に広がっていた。
しかも、痒みと共にジュクジュクしてしまう。
中には熱が出る人も。
「魔物はそれでも減った方よ」
今でさえアトポス。その前まではゴーゴンやガーゴイルといった魔物が出ていた。
しかし、どれも『勇者様』と呼ばれる人たちが退治してきたのだ。
唯一今も残る魔物がアトポスだ。
アトポス退治には賞金が出ている。
しかし、余りに手強いため、なかなか討伐者が現れない。
アトポスは逃げ足もまた早い。
その前に痒みで戦闘どころではなくなる。
その間に石にされるか逃げられるかなのだ。
馬車はシフンド領に入った。
アトポスの出る森とは大分離れている。
シフンド領には湿疹で聖女の元に行く者が多いという。
知らず知らずのうちにアトポスに出会ってしまうのだろう。
と、その時だった。
見覚えのある顔がいた。
そう。ストーム家の遣いの人間だ。
「何なんだ!」
トレインがそう言うと、遣いの一人がこう言った。
「カルロス様からアトポス討伐の依頼を受けた」
何のため?
やはり、ラニーニャがアトポスの皮を欲しがっているのか?
タイパン家とシフンド家は親戚筋にある。
まさか!?
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