11 / 18
アルディール王国への旅路
しおりを挟む
初冬ともなれば、流石に少し肌寒いです。
辛うじて晴れているので、少しは寒さも和らいでいます。
わたくしは隣国で竜の国と言われるアルディール王国に旅行に行くことにしました。
ラストリデアンと迷いましたが、アルディールに決めました。
そう。わたくしの結婚相手は人間では無いのですから。
ちょっとした気晴らしです。
わたくしは邸を出て、これから汽車に乗ります。
大陸横断鉄道は邸より少し離れた場所にあります。
鉄道があるだけまだ便利で良いですね。
わたくしは鉄道に感謝しています。
ラストリデアンとは行き先が異なりますので、乗り間違いがないようにしなければなりません。
でも、わたくしは鉄道の乗り間違いだなんて、滅多にやらかしません。
「はい、お嬢さん。どちらへ行かれますか?」
「アルディールですわ」
「アルディールですね。わかりました」
わたくしは切符を受け取りました。
改札口を出て、駅の構内に入りました。
きちんと行き先をよく調べて。
4番線からアルディール行きが出ています。
ちなみに、ラストリデアン行きは8番線でした。
時刻表は……と。
9時12分。
今は8時56分。
まだ間に合いますわ。
プラットフォームには既に汽車が止まっていました。
あれに乗れば良いのね。
わたくしは汽車に乗りました。
車内は葉巻の匂いが充満しています。
わたくしは葉巻は吸わないので、葉巻の匂いはよくわかります。
わたくしは最後尾の車両に乗りました。
事故が怖いからです。
つい最近。
大陸横断鉄道で事故がありました。
脱線事故でした。
運転士の速度超過によるものでした。
多数の死者が出たのです。
先頭車両と2両目は運河に突っ込み、3両目は宙づりになり、かなりの大事故だったようです。
最後尾の車両なら、事故に巻き込まれる必要はありませんわ。
前の車両に乗るのも自己責任ですからね。
わたくしはバスケットの中からおにぎりを取り出しました。
汽車に乗ったら、もはや定番。
おにぎりは自分で作ったもの。
メイドたちが作ってくれるのも美味しいですが、やはり自作が一番美味しいですわ。
汽車はフォーという物凄い汽笛を鳴らし、出発しました。
いよいよ鉄道の旅。
わたくしは勿論ワクワクしていますわ。
「お嬢ちゃん、貴族の娘さんかい?」
突如、目の前に初老の男性が現れました。
「あ……はい、そうですが」
「貴族のお嬢さんが汽車に乗るなんて珍しいね」
「あ……はい」
男性はお弁当を取り出し、食べ始めました。
「お嬢さん。この前にマディルの街で占い屋を訪ねていなかったかね?」
「な……なぜご存知ですの?」
「わてはな、占い屋の奥にいたんじゃ」
占い屋さんには占い師とわたくしだけしかいなかった筈だけど。
「あの占い師はわての弟子でな」
「あ……はい」
「わてにもわかるんだ。嬢ちゃんは人間ではない誰かを愛するとな」
「それで、アルディール王国を訪ねるのかい?」
「あ……はい。アルディール王国には少し興味がありまして」
「アルディール王国には竜が住んでいる。竜は猛々しい外見とはうらはらに、温厚な種族じゃ。きっともてなしてくれるであろう」
「あ……はい」
竜が温厚な種族というのは周知の如く。
女王様が治める国として有名です。
「対してだな」
「は、はい」
「ラストリデアン王国は獣人が住んでいる。見た目は猫みたいだが、賢い」
しかし、目の前の初老の男はよく食べながら話ができるものだ、と思いますわ。
わたくしは食べるときは黙って食べなさい、と躾けられている。
ま、占い師とて市井にいたのだから平民に間違いはないのだろうけど。
「そうだ」
「はい」
「アルディール王国の名の由来を知っているかな?」
「いいえ」
「そうか」
「アルディール王国はアルディールという海賊から国を守った男の名前に由来している」
「そう……なんですか」
アルディール王国の建国の歴史は知っていましたが、流石に国の名前の由来までは知りませんでした。
「彼は英雄だ」
「それで、ラストリデア王国はラスとリディアという夫婦の名前が由来だ」
それは聞いた事がありますわ。
ラスという獣人の村長が建国したという。
ラスも勿論英雄。
国が弱者を虐げていたところ、ホームレスだったラスという男性が立ち上がり、クーデタを起こしたという。
ラストリデアの元の国名はマダカス。
マダカス王国を変えたい、という思いからラスは立ち上がった。
マダカスの国王はホームレスたちの反逆に破れ、捕らえられたのです。
そして、リディアという女性ホームレスと結婚し、国名をラストリデアと改名したのです。
なんとも素晴らしい。
ホームレスの逆転劇です。
そして、ラスの有名な言葉。
「政治は弱者のためにある」
何とも格好いい。
見た目は猫。
でも、人間並みの知能のある種族なのです。
チャイムが鳴りました。
「今日もご利用いただき、ありがとうございます。この列車はアルディール行きの列車です。次はバド、バドです」
バド。
バド公爵が治める領地です。
バド公爵はこの国を仕切る裁判官を務めるエリートです。
本当ならば、婚約を破棄せざるを得なくしたクルト様も裁判にかけたかったですがね。
バド公爵の二女、クララがわたくしと学園時代の同級生。
姉のステラは病弱でとても法律の学習をする気力が無いとかで、妹のクララが法律を一生懸命に学んでいました。
クララは私がクルト様と婚約を交わしていたのを勿論、知っていました。
クララの結婚相手は12侯爵家筆頭のご令息。
クルトのような女たらしではありません。
誠実なお方でした。
目の前の男はようやく黙って食べ始めました。
窓の景色は初冬そのもの。
山の木々は葉を落とし、寂しい感じがします。
わたくしは冬が大好き。
なぜなら、冬は人肌のぬくもりを感じるから。
ファッションを楽しむ事ができるから。
わたくしが今首に巻いているマフラーは自前。
おにぎりもそうですが、やはり自前が一番ですわ。
わたくしは手芸が得意。
特に編み物は得意中の得意です。
手芸が得意でも、クルト様は「そんなの魅力に入らない!」と突っぱねました。
列車はバドに到着。
人が大勢乗ってきました。
辛うじて晴れているので、少しは寒さも和らいでいます。
わたくしは隣国で竜の国と言われるアルディール王国に旅行に行くことにしました。
ラストリデアンと迷いましたが、アルディールに決めました。
そう。わたくしの結婚相手は人間では無いのですから。
ちょっとした気晴らしです。
わたくしは邸を出て、これから汽車に乗ります。
大陸横断鉄道は邸より少し離れた場所にあります。
鉄道があるだけまだ便利で良いですね。
わたくしは鉄道に感謝しています。
ラストリデアンとは行き先が異なりますので、乗り間違いがないようにしなければなりません。
でも、わたくしは鉄道の乗り間違いだなんて、滅多にやらかしません。
「はい、お嬢さん。どちらへ行かれますか?」
「アルディールですわ」
「アルディールですね。わかりました」
わたくしは切符を受け取りました。
改札口を出て、駅の構内に入りました。
きちんと行き先をよく調べて。
4番線からアルディール行きが出ています。
ちなみに、ラストリデアン行きは8番線でした。
時刻表は……と。
9時12分。
今は8時56分。
まだ間に合いますわ。
プラットフォームには既に汽車が止まっていました。
あれに乗れば良いのね。
わたくしは汽車に乗りました。
車内は葉巻の匂いが充満しています。
わたくしは葉巻は吸わないので、葉巻の匂いはよくわかります。
わたくしは最後尾の車両に乗りました。
事故が怖いからです。
つい最近。
大陸横断鉄道で事故がありました。
脱線事故でした。
運転士の速度超過によるものでした。
多数の死者が出たのです。
先頭車両と2両目は運河に突っ込み、3両目は宙づりになり、かなりの大事故だったようです。
最後尾の車両なら、事故に巻き込まれる必要はありませんわ。
前の車両に乗るのも自己責任ですからね。
わたくしはバスケットの中からおにぎりを取り出しました。
汽車に乗ったら、もはや定番。
おにぎりは自分で作ったもの。
メイドたちが作ってくれるのも美味しいですが、やはり自作が一番美味しいですわ。
汽車はフォーという物凄い汽笛を鳴らし、出発しました。
いよいよ鉄道の旅。
わたくしは勿論ワクワクしていますわ。
「お嬢ちゃん、貴族の娘さんかい?」
突如、目の前に初老の男性が現れました。
「あ……はい、そうですが」
「貴族のお嬢さんが汽車に乗るなんて珍しいね」
「あ……はい」
男性はお弁当を取り出し、食べ始めました。
「お嬢さん。この前にマディルの街で占い屋を訪ねていなかったかね?」
「な……なぜご存知ですの?」
「わてはな、占い屋の奥にいたんじゃ」
占い屋さんには占い師とわたくしだけしかいなかった筈だけど。
「あの占い師はわての弟子でな」
「あ……はい」
「わてにもわかるんだ。嬢ちゃんは人間ではない誰かを愛するとな」
「それで、アルディール王国を訪ねるのかい?」
「あ……はい。アルディール王国には少し興味がありまして」
「アルディール王国には竜が住んでいる。竜は猛々しい外見とはうらはらに、温厚な種族じゃ。きっともてなしてくれるであろう」
「あ……はい」
竜が温厚な種族というのは周知の如く。
女王様が治める国として有名です。
「対してだな」
「は、はい」
「ラストリデアン王国は獣人が住んでいる。見た目は猫みたいだが、賢い」
しかし、目の前の初老の男はよく食べながら話ができるものだ、と思いますわ。
わたくしは食べるときは黙って食べなさい、と躾けられている。
ま、占い師とて市井にいたのだから平民に間違いはないのだろうけど。
「そうだ」
「はい」
「アルディール王国の名の由来を知っているかな?」
「いいえ」
「そうか」
「アルディール王国はアルディールという海賊から国を守った男の名前に由来している」
「そう……なんですか」
アルディール王国の建国の歴史は知っていましたが、流石に国の名前の由来までは知りませんでした。
「彼は英雄だ」
「それで、ラストリデア王国はラスとリディアという夫婦の名前が由来だ」
それは聞いた事がありますわ。
ラスという獣人の村長が建国したという。
ラスも勿論英雄。
国が弱者を虐げていたところ、ホームレスだったラスという男性が立ち上がり、クーデタを起こしたという。
ラストリデアの元の国名はマダカス。
マダカス王国を変えたい、という思いからラスは立ち上がった。
マダカスの国王はホームレスたちの反逆に破れ、捕らえられたのです。
そして、リディアという女性ホームレスと結婚し、国名をラストリデアと改名したのです。
なんとも素晴らしい。
ホームレスの逆転劇です。
そして、ラスの有名な言葉。
「政治は弱者のためにある」
何とも格好いい。
見た目は猫。
でも、人間並みの知能のある種族なのです。
チャイムが鳴りました。
「今日もご利用いただき、ありがとうございます。この列車はアルディール行きの列車です。次はバド、バドです」
バド。
バド公爵が治める領地です。
バド公爵はこの国を仕切る裁判官を務めるエリートです。
本当ならば、婚約を破棄せざるを得なくしたクルト様も裁判にかけたかったですがね。
バド公爵の二女、クララがわたくしと学園時代の同級生。
姉のステラは病弱でとても法律の学習をする気力が無いとかで、妹のクララが法律を一生懸命に学んでいました。
クララは私がクルト様と婚約を交わしていたのを勿論、知っていました。
クララの結婚相手は12侯爵家筆頭のご令息。
クルトのような女たらしではありません。
誠実なお方でした。
目の前の男はようやく黙って食べ始めました。
窓の景色は初冬そのもの。
山の木々は葉を落とし、寂しい感じがします。
わたくしは冬が大好き。
なぜなら、冬は人肌のぬくもりを感じるから。
ファッションを楽しむ事ができるから。
わたくしが今首に巻いているマフラーは自前。
おにぎりもそうですが、やはり自前が一番ですわ。
わたくしは手芸が得意。
特に編み物は得意中の得意です。
手芸が得意でも、クルト様は「そんなの魅力に入らない!」と突っぱねました。
列車はバドに到着。
人が大勢乗ってきました。
0
あなたにおすすめの小説
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
『婚約破棄されたので玉座から降りました。――理で王国をざまあします
ふわふわ
恋愛
王太子から突然の婚約破棄を告げられた公爵令嬢。
社交界の中心で恥をかかされ、次期王妃の座を奪われた――はずだった。
けれど彼女は泣かなかった。怒鳴らなかった。復讐を誓いもしなかった。
「玉座は、座るより設計したほうが面白いですわ」
そう言って一歩退いた彼女は、王妃教育制度を立ち上げ、王と王妃を“育てる側”へと回る。
感情で動く王太子は、やがて理を学び始める。
新たに選ばれた王妃候補は、責任と孤独を知りながら成長していく。
武力でも陰謀でもない。
透明性と制度、そして対話で国を立て直していく静かな逆転劇。
婚約破棄で笑った者たちは、気づけば彼女の作った仕組みの中で頭を下げていた。
これは復讐ではない。
これは成熟。
選ばれなかった令嬢が、王国そのものを進化させる物語。
断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜
白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。
私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。
けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?
関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。
竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。
『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』
❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。
*乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。
*表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。
*いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。
*他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤
凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。
幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。
でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです!
ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?
魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
謹んで、婚約破棄をお受けいたします。
パリパリかぷちーの
恋愛
きつい目つきと素直でない性格から『悪役令嬢』と噂される公爵令嬢マーブル。彼女は、王太子ジュリアンの婚約者であったが、王子の新たな恋人である男爵令嬢クララの策略により、夜会の場で大勢の貴族たちの前で婚約を破棄されてしまう。
選ばれなかった令嬢は、均衡で世界を削り直す
しおしお
恋愛
「価値なし」と断じられ、王都から遠ざけられた公爵令嬢。
王家直属顧問の座も、名誉も、像も――すべて拒み、彼女が選んだのは北の地での研究と沈黙だった。
だが彼女は、ただ退いたのではない。
王都の魔術制度に潜む“偏り”を見抜き、世界を安定させる新理論《均衡》を打ち立てる。
それは敵を打ち倒す力ではない。
支配する力でもない。
ただ、偏りを削り、依存を断ち、世界を自立させる理論。
王家は彼女に頼ろうとし、研究局は彼女を中心に据えようとし、市民は像を建てようとする。
だが彼女は言う。
「中心は不要です」
制度は分散され、権力は削られ、世界は静かに書き換わっていく。
ざまぁは派手ではない。
失脚も断罪もない。
あるのは、依存を断たれた者たちが自ら立つという“静かな逆転”。
選ばれなかった令嬢は、誰の上にも立たない。
だからこそ、世界は初めて安定する。
これは、中心にならなかった令嬢が、 世界そのものを変えてしまう物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる