【完結】あなたと婚約破棄をしたお陰で竜の国の王子に愛されました。あなたはどうぞ浮気相手とお幸せに

hikari

文字の大きさ
14 / 18

アレクシス王子殿下と共に

しおりを挟む
「しかし、なぜわたくしを王宮に招いて下さったんですの?」

わたくしは不思議に思いました。

初対面のわたくしが、ならず者に絡まれているところを助けて下さったついでに。


「それはきみが余りにも無防備過ぎたからだよ。貴族令嬢なんだよね?」

「はい、そうですが」

「ラファエル王国のカーネギー家。聞いた事があります。カーネギー伯爵は手術が上手。実はラファエル王国よりカーネギー伯爵を招いて手術を行った事があります」

「え!? 本当ですか?」

「腕の良い医師として、我が国では有名ですよ」

「そう……だったんですね」

まさか、お父様がアルディール王国でも執刀していたとは!?


でも、お父様は度々家を留守にする事がありました。

それがアルディールへ行った事だったのですね?


わたくしはお父様が誇らしくなりました。


「ラファエル王国とは貿易も盛んだからね」

「あと、それからきみが危なかっしくて。アルディールで嫌な思い出を作って欲しくなかったからね。ちょっとしたお節介かな。 迷惑だった?」

「いいえ」

わたくしは首を左右に振りました。

迷惑だなんてとんでもない。



「あっ……そうだ。忘れていた」


アレクシス王子殿下は何かを思い出していました。

「甘いものは好きかい?」

「あ……はい」

勿論、甘いものは大好き。

レーズンサンドはわたくしの大好物です。


「サリサ」

「はい」

サリサが部屋に入ってきました。


「すっかり忘れていたよ。例のもの持ってきて頂戴。で、紅茶のおかわりを」


例のもの?

わたくしの頭の上にはクエスチョンマークが乗っかっています。

「はい、アレクシス王子殿下」

「それからね。夕飯の支度もついでに頼む。そして、部屋を用意してくれ。ついでに着替えもね」

「はい、かしこまりました」


サリサは一礼し、踵を返しました。


「夕食……着替え……部屋。どういう事なのですか?」

「ああ。今晩はここに泊まって行くといい」

「良い……のですか?」

「勿論だよ。遠慮はいらないよ。まして、カーネギー伯爵のご令嬢ともなれば、それなりにもてなして頂きたい」

「あ……はい」


暫くしてサリサがやってきました。

サリサはお盆の上にケーキを載せていました。


「さあ、食べて欲しい」

サリサはテーブルの上にケーキを載せました。

そして、紅茶をなみなみとカップに注ぎました。


「では、失礼いたします」

サリサは再び踵を返しました。


「これね、美味しいんだ」

見た目は普通のミルフィーユケーキといった感じ。

中にイチゴが挟まっている。

でも、なぜ冬にイチゴ?


「僕はこのミルフィーユケーキが大好きなんだ。で、どうして冬にイチゴなんだろう? って顔をしていたよね」

アレクシス王子殿下はケーキにフォークを入れました。

「そうだよ。この国は魔法でケーキを育てている人がいるんだ」

「ま……魔法ですか? どんな魔法なんですか?」


「それはね、イチゴの苗の周りだけ暖かくする魔法さ。その魔法のお陰で季節を早める事ができるんだ。そしてね、魔法を応用すると、一年中イチゴを栽培する事ができるんだ」

そう……だったんですか。


「魔法でできたイチゴ。さあ、お食べ」

「あ、はい。頂きます」

わたくしはミルフィーユにフォークを入れました。

そして、イチゴを口の中に入れました。


ほんのり甘く、スイーティー。

「美味しいですわ」

「そうでしょう?」

アレクシス王子殿下の笑顔が輝いて見えました。


「これは自慢のケーキさ」

アルディール王国にこんな美味しい食べ物があったなんて!!


わたくしは手を止めず、ケーキを完食しました。

「ごちそうさまでした」

「アルディールは他にも色々美味しいものがあるよ。私が明日案内するよ」

「あ、はい」

わたくしは紅茶を口に含みました。

甘いものと紅茶はよく合っています。


「アルディール王国の何が見たいんだい?」

「そう……ですよね」

わたくしは漠然とした気持ちでアルディール王国に来ました。


そう。婚約者を探すため。

特に見たいものとか全く決めていませんでした。


ただ、街を歩いていれば出会いがあるかな? 位にしか思っていなかったのです。


「街中も良いけれど、田園風景も良いよ。この国の農家は皆魔法が仕える。だから、農作物は本当に美味しいんだ」

「そうだったんですか」

ラファエル王国の農民は勿論魔法はできない。


だから、あの女……にっくきヴィヴィアンは魔法を使う事ができなかった。


「この国は魔法だけじゃない。錬金術にも長けた人がいる」

さすがは竜の国ですわ。

何でも進歩していますわ。


「ちょっと……カルチャーショック受けましたわ」

「そうかな?」

「文明が進化していますわ」

それとも、ラファエルが遅れているのかしら?


「文明が進化しているように見えてもまだまだだよ」


「わたくし、アルディール王国が気に入りましたわ」

「そうかい?」

そう思いました。

わたくしはアルディール王国を心底気に入ったのです。


そう。移住できるものなら、今すぐしたい。


でも、そこには壁があります。


わたくしは人間。

人間はかつて竜たちを迫害した悲しい歴史があります。

それを根に持った竜たちは未だに人間を受け入れないのです。


かと言ってわたくしはラファエルを嫌になった訳ではありません。

ラファエルにはラファエルの魅力があります。


アルファイド山の麓の温泉郷での癒し。

食べ物も勿論美味しいです。


魚もお肉も野菜も美味しいです。


カーネギー伯爵領は漁師町。

新鮮な魚が食べられるのが何よりもの魅力ですわ。


そして、国王夫妻はお優しい方ですし、王太子殿下もとても温厚な方。

王太子妃はわたくしの幼なじみのエリカ。


戦争も内乱もなく、また治安の良い国です。

文句のつけどころもない国です。


強いて文句を言うなれば、筆頭公爵の令息が無類の女好きという事。

モテモテと言えば聞こえは良いですが、タダの女たらし。タダのヤサ男。


ヴィヴィアンもヴィヴィアンでわきまえない女性。

貴族の人間関係が嫌なだけです。


それを除けば、ラファエルは世界一の国と言っても過言では無いでしょう。


「では明日、アルディールの魅力をきみに紹介するよ」

「本当ですか!?」

「ああ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎ 倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。 栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。 「責任、取って?」 噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。 手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。 けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。 看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。 それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。

『婚約破棄されたので玉座から降りました。――理で王国をざまあします

ふわふわ
恋愛
王太子から突然の婚約破棄を告げられた公爵令嬢。 社交界の中心で恥をかかされ、次期王妃の座を奪われた――はずだった。 けれど彼女は泣かなかった。怒鳴らなかった。復讐を誓いもしなかった。 「玉座は、座るより設計したほうが面白いですわ」 そう言って一歩退いた彼女は、王妃教育制度を立ち上げ、王と王妃を“育てる側”へと回る。 感情で動く王太子は、やがて理を学び始める。 新たに選ばれた王妃候補は、責任と孤独を知りながら成長していく。 武力でも陰謀でもない。 透明性と制度、そして対話で国を立て直していく静かな逆転劇。 婚約破棄で笑った者たちは、気づけば彼女の作った仕組みの中で頭を下げていた。 これは復讐ではない。 これは成熟。 選ばれなかった令嬢が、王国そのものを進化させる物語。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜

白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。  私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。  けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?  関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。  竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。 『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』 ❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。 *乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。 *表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。 *いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。 *他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。

魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

謹んで、婚約破棄をお受けいたします。

パリパリかぷちーの
恋愛
きつい目つきと素直でない性格から『悪役令嬢』と噂される公爵令嬢マーブル。彼女は、王太子ジュリアンの婚約者であったが、王子の新たな恋人である男爵令嬢クララの策略により、夜会の場で大勢の貴族たちの前で婚約を破棄されてしまう。

選ばれなかった令嬢は、均衡で世界を削り直す

しおしお
恋愛
「価値なし」と断じられ、王都から遠ざけられた公爵令嬢。 王家直属顧問の座も、名誉も、像も――すべて拒み、彼女が選んだのは北の地での研究と沈黙だった。 だが彼女は、ただ退いたのではない。 王都の魔術制度に潜む“偏り”を見抜き、世界を安定させる新理論《均衡》を打ち立てる。 それは敵を打ち倒す力ではない。 支配する力でもない。 ただ、偏りを削り、依存を断ち、世界を自立させる理論。 王家は彼女に頼ろうとし、研究局は彼女を中心に据えようとし、市民は像を建てようとする。 だが彼女は言う。 「中心は不要です」 制度は分散され、権力は削られ、世界は静かに書き換わっていく。 ざまぁは派手ではない。 失脚も断罪もない。 あるのは、依存を断たれた者たちが自ら立つという“静かな逆転”。 選ばれなかった令嬢は、誰の上にも立たない。 だからこそ、世界は初めて安定する。 これは、中心にならなかった令嬢が、 世界そのものを変えてしまう物語。

結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤

凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。 幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。 でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです! ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?

処理中です...