【完結】公爵と婚約破棄をしたら、この国の第一王子に溺愛されました。

hikari

文字の大きさ
8 / 15

王宮へ

しおりを挟む
秋の空は晴れの日が珍しい。

生憎の雨。

王宮へ馬車で向かう。


縁談なんて……ある筈……無いよね。

まあ、いいや。コンスタンチン王子殿下が配慮下さるのだから。


そして、王宮にはアメリア王女もいる。

アメリア王女も隣国、イシュタル王国の王太子と婚約している。


入り口にコンスタンチンとアナスタシアが待っていた。

燃え盛る炎のような赤い髪に、ルビー色の瞳。厚い唇の下にはホクロがあった。

「お待たせいたしましたわ、コンスタンチン王子殿下、アナスタシア」

「ああ、待っていたよ。さあ、こちらへ」

案内されたのは応接間だった。


応接間にはコンスタンチン同様、腰まである赤い髪にルビー色の瞳をした足の長い男性がソファーに腰掛けていた。

彼こそがコンスタンチンの兄であり、この国の第一王子のレオニードだ。

どういうことなのだろう?


「こんにちは、レオニード王子殿下」

「ああ、こんにち……」

レオニードが言葉に詰まった。

「ジュリアン……きみなんだね!?」

「あ……兄上?」


ジュリアン!?

一瞬何のことかよくわからなかった。

「わたくしはヴァレンティーナ・ワトソンですわ」

「いや……彼女の面影を思い出してしまった……。すまない」

「いえいえ。大切な方を亡くされたのだから、面影をわたくしに投影するのも無理はありませんわ」

「そうなんだ。兄上は婚約者を亡くした。隣国、ポックス王国のジュリアン王女殿下だ」

ポックス王国の王女が亡くなったのは有名な話。

「今、服喪されているとか……で」


しかし、なぜここにいるのだろう?

公務は?


「他愛ない会話をしたかったら、兄上も同伴してもらうことにしたんだ。さあ、座って」

「はい。失礼します」

ヴァレンティーナは一礼してソファーに腰を下ろした。


「そうか……。ハムネット公爵の令息、ジョージに婚約破棄されたのか。余りにも身勝手というか一方的っていうか」

コンスタンチンはパイプを咥えた。そして続けた。

「あ、そうそう。パイプ蒸していいかな?」

「はい。お父様もパイプ蒸していますので大丈夫です」

「本当、パイプは嫌う人いるからな。兄上とかそうだし。じゃあ、遠慮なく……」

コンスタンチンはパイプに火をつけた。

煙が辺り一面に立ち込める。

本当は不快だけれども、仕方がない。


「しかも? 相手がソルト侯爵令嬢か……。うん。知っていたよ。エカテリーナだろ? エカテリーナにも婚約者はいたよ」


え!? と思った。

まさか、婚約者のいる人に自分の婚約者を略奪されるなんて……。

「かわいそうにな」

横にいるレオニードが間に入った。


「ヴァレンティーナ。君とは直接話したい。すまないがコンスタンチン。自室に行ってくれ」

「はい、兄上」

コンスタンチンとアナスタシアは踵を返した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

離婚するはずの旦那様を、なぜか看病しています

鍛高譚
恋愛
「結婚とは、貴族の義務。そこに愛など不要――」 そう割り切っていた公爵令嬢アルタイは、王命により辺境伯ベガと契約結婚することに。 お互い深入りしない仮面夫婦として過ごすはずが、ある日ベガが戦地へ赴くことになり、彼はアルタイにこう告げる。 「俺は生きて帰れる自信がない。……だから、お前を自由にしてやりたい」 あっさりと“離婚”を申し出る彼に、アルタイは皮肉めいた笑みを浮かべる。 「では、戦争が終わり、貴方が帰るまで離婚は待ちましょう。   戦地で女でも作ってきてください。そうすれば、心置きなく別れられます」 ――しかし、戦争は長引き、何年も経ったのちにようやく帰還したベガは、深い傷を負っていた。 彼を看病しながら、アルタイは自分の心が変化していることに気づく。 「早く元気になってもらわないと、離婚できませんね?」 「……本当に、離婚したいのか?」 最初は“義務”だったはずの結婚。しかし、夫婦として過ごすうちに、仮面は次第に剥がれていく。 やがて、二人の離婚を巡る噂が王宮を騒がせる中、ベガは決意を固める――。

無能な悪役令嬢は静かに暮らしたいだけなのに、超有能な側近たちの勘違いで救国の聖女になってしまいました

黒崎隼人
ファンタジー
乙女ゲームの悪役令嬢イザベラに転生した私の夢は、破滅フラグを回避して「悠々自適なニート生活」を送ること!そのために王太子との婚約を破棄しようとしただけなのに…「疲れたわ」と呟けば政敵が消え、「甘いものが食べたい」と言えば新商品が国を潤し、「虫が嫌」と漏らせば魔物の巣が消滅!? 私は何もしていないのに、超有能な側近たちの暴走(という名の忠誠心)が止まらない!やめて!私は聖女でも策略家でもない、ただの無能な怠け者なのよ!本人の意思とは裏腹に、勘違いで国を救ってしまう悪役令嬢の、全力で何もしない救国ファンタジー、ここに開幕!

「君は悪役令嬢だ」と離婚されたけど、追放先で伝説の力をゲット!最強の女王になって国を建てたら、後悔した元夫が求婚してきました

黒崎隼人
ファンタジー
「君は悪役令嬢だ」――冷酷な皇太子だった夫から一方的に離婚を告げられ、すべての地位と財産を奪われたアリシア。悪役の汚名を着せられ、魔物がはびこる辺境の地へ追放された彼女が見つけたのは、古代文明の遺跡と自らが「失われた王家の末裔」であるという衝撃の真実だった。 古代魔法の力に覚醒し、心優しき領民たちと共に荒れ地を切り拓くアリシア。 一方、彼女を陥れた偽りの聖女の陰謀に気づき始めた元夫は、後悔と焦燥に駆られていく。 追放された令嬢が運命に抗い、最強の女王へと成り上がる。 愛と裏切り、そして再生の痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。

かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。 謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇! ※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

【完結】辺境伯の溺愛が重すぎます~追放された薬師見習いは、領主様に囲われています~

深山きらら
恋愛
王都の薬師ギルドで見習いとして働いていたアディは、先輩の陰謀により濡れ衣を着せられ追放される。絶望の中、辺境の森で魔獣に襲われた彼女を救ったのは、「氷の辺境伯」と呼ばれるルーファスだった。彼女の才能を見抜いたルーファスは、アディを専属薬師として雇用する。

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

婚約破棄された悪役令嬢の私、前世の記憶を頼りに辺境で農業始めます。~美味しい野菜で国を救ったら聖女と呼ばれました~

黒崎隼人
ファンタジー
王太子アルベルトから「悪役令嬢」の濡れ衣を着せられ、辺境へ追放された公爵令嬢エリザベート。しかし彼女は動じない。なぜなら彼女には、前世で日本の農業研究者だった記憶があったから! 痩せた土地、疲弊した人々――「ならば私が、この地を楽園に変えてみせる!」 持ち前の知識と行動力で、次々と農業改革を成功させていくエリザベート。やがて彼女の噂は王都にも届き、離婚を告げたはずの王太子が、後悔と疑問を胸に辺境を訪れる。 「離婚した元夫婦」が、王国を揺るがす大きな運命の歯車を回し始める――。これは、復縁しない二人が、最高のパートナーとして未来を築く、新しい関係の物語。

処理中です...