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告白
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「珍しいじゃないか。彼女が会社に来るなんて。用件は何だったんだ?」
ミヤに別れを告げた後、ムーンは携帯に届いたメッセージによって、社長室に呼び戻されていた。扉を開けるなり即座に、ガイアモンドからの質問が飛んでくる。
「おや、体調はもう回復したのかい?ガイア」
「一応のところはな。だが、今日はこれで切り上げるよ。流石に、仕事を詰め過ぎた」
ムーンが問い返すと、彼は毛布を跳ね除け、ソファに座ったまま伸びをした。その顔色はまだ若干青褪めているものの、多少は元気になったように思える。急激な感情の爆発も鎮まり、今の彼はまるで凪いだ海に似た冷静さを回復していた。
「え?うん、帰ればいいじゃないか。何故、僕をまたここに?」
「だから、その前に君と話をしておきたかったんだ」
困惑して応じるムーンに、彼は指を突き付け着席を命じる。ムーンはわずかに首を捻りながらも、彼の向かい側に置かれた一人用ソファに収まった。ガイアモンドは彼の眼前で、落ち着かない様子で口を開閉し、言うべき言葉を探している。
「それで、奥さんは何をしに来たんだ?まさか、ディナーの希望を聞きに来たわけではないだろう?」
彼は唐突に、足を組み替えムーンを一瞥した。彼らしくない、プライベートに踏み込んだ問いかけに、ムーンは再び呆気に取られる。
「えぇっと……それはつまり、心配してくれているってことかな?僕と、妻を」
「そうじゃない!」
思い切って直截な表現をすると、ガイアモンドはカッと頬に朱を昇らせて抗議した。そして、ボソボソとした声で補足する。
「ただ、君とは昨日今日知り合った仲でもないし、身内の顔も知っている……僕で力になれるのなら、話くらい……そう、雇用主として!従業員の面倒を見る義務がある!そういうことだ!」
熱のせいで頭が回らないのか、彼は随分と下手くそな弁解を、半ばやけになって捲し立てていた。だが、その台詞はやはり心配から紡がれたとしか思えない。ムーンはどう対応すべきか決めかねて、得意げにふんぞり返っている彼を凝視した。
「……大丈夫だよ。君の手を煩わせるようなことじゃない」
「そうか?」
ゆっくりと首を振って答えると、彼は意外そうに目を丸くして瞬く。ムーンは例の微笑みを口元に浮かべると、先程の会話を簡潔に伝えた。
「娘に反抗期が来たみたいなんだ。受験勉強は捨てて、働くと言い出した。それで、妻が困っている」
「へぇ、反抗期……あの子もそこまで成長したのか」
説明を耳にしたガイアモンドは、感心した素振りで顎に手を当てた。恐らく彼の中のアスカは未だに、かつて顔を合わせた時の幼い子供の姿なのだろう。親戚や友人の子の認識なんて、往々にしてそんなものだ。ムーンは更に続ける。
「酷い言葉を口にしたり、夜遊びしたりするらしい。何だか怪しげな仲間ともつるんでいるとか」
「それはまずいな。危険に巻き込まれる前に止めてやらないと」
わずかに眉を顰める彼に、ムーンは笑顔で頷いた。
「あぁ。だから僕も今日はさっさと帰るよ。何か話があるのなら、手短に頼む」
「分かってるさ……コホンッ」
さりげなく急かすと、彼はまたもや気難しげな面持ちになって中空を睨んだ。もったいつけて咳払いをし、重々しく口を開く。
「来てもらったのは、他でもない。さっきの君の質問に答えるためだ」
「質問?」
「まさか、忘れたんじゃないだろうな」
正直覚えていなかったので、ムーンは微笑みを保っておいた。幸い、ガイアモンドは返事を求めていたわけではないらしく、一方的に話を続ける。
「僕は君に、黙っていたことがある。君に隠して……調べていたことが」
その瞬間、ムーンはこのやり取りの重要性を感じ取り、赤い瞳をかすかに覗かせた。ガイアモンドが今語ろうとしているのは、彼を倒れるまで追い詰め、会社や組織の拡大を焦らせた原因。ムーンが深く興味を持ち、何よりも厭うている”隠し事”についてだと分かったからである。
「僕には昔、婚約者がいたことを知っているな?」
ガイアモンドは組んだ足を解き、太ももに腕を乗せてから、両手の指を絡み合わせた。そうやってようやく躊躇いを振り切り、顔を俯き気味に伏せて、目線だけでムーンを見る。
「……通り一遍のことはね」
予想とは大いに異なる導入に、彼は少々驚きつつも頷いた。朧げにではあるが、脳裏にガイアモンドのかつての恋人の容貌が蘇る。
「ある日突然、いなくなったんだっけ?」
「そうだ。借りていた部屋を引き払い、荷物を全てまとめて、伝言一つ残さずに消えた。まさか、夢でも見ていたんじゃないかと焦ったよ。あまりに綺麗な……呆気ない終わり方だったから」
ムーンの問いに、ガイアモンドは小さく唇を歪めることで答えた。それは早速笑顔などというものではなく、無理をして作っていることが明白な表情だ。全く、痛々しいことこの上ない。
そこで一旦口をつぐんでしまう彼に、ムーンは何と声をかけるべきか迷った。彼とは古くからの付き合いだが、これほどまでに傷心したところは見たことがない。否、本当はずっと、抱え込んでいたのだろう。ただ社長という立場や、街の指導者という責務が、それを表に出すことを阻んでいたに過ぎない。彼の周りには常に、他者の弱みに付け込む連中しかいなかったのだから。
「……彼女、確か名前は」
「アデレード」
何気ない風を装って言いかけると、すかさず彼の言葉が重なった。ガイアモンドは溜め息を吐き、ソファのアームに肘をつくと、物憂い眼差しで虚空を眺める。彼の目は何もない空間を音もなく滑り、ここにはいない女性の美しい顔立ちや全体の輪郭をなぞっているようだった。ムーンも合わせて記憶を手繰るが、何度試しても詳細を思い出せない。かろうじて想起出来るのは、艶やかに伸びた金髪と、すらりとしたシルエットのみであった。
「彼女が自分の意思で去ったのなら、尊重すべきだと思っていた。だが、万が一、何か危険なことに巻き込まれていたとしたら……せめて、無事に生きているかだけでも知りたくて、ずっと調査をさせていたんだ。レジーナに」
「レジーナが?」
初めて耳にする情報に、ムーンは瞠目しガイアモンドの顔をじっと見つめた。彼は頑なにこちらを向かず、自身の親指の爪を観察している。
「彼女がそんな仕事をしていたとは、知らなかった」
「プライベートに関わることだからな。僕が厳命した。特別な許可がない限り、誰にも話してはならないとね」
要するに彼女は、都合良く使われたということだろう。今までは誰も、彼女の秘密裏の調査について触れなかったから、見過ごされていただけだ。面と向かって問い詰められていたら、難儀な立場に置かれたに違いない。無論、起こってもいない出来事を論じるのは、些か無意味ではあるが。
「それで、見つかったのかい?アデレードは」
「いいや、全く。掠りもしなかった……おかしいと思わないか?」
ガイアモンドは首を振ると、ようやく顔を上げてムーンの瞳を見据える。彼もまた、もったいぶって眼鏡の位置を修正すると思案げに息を吐いた。
「ふむ……何か、きな臭いってことか?」
社長付きの秘書であり、ヘリオス・ラムダのメンバーでもあるレジーナは、独自に築き上げた高性能な情報網を持っている。その広さや精度は信じ難い程で、もはやアメジスト中のどんな情報も、彼女の下に届かないものはないくらいだった。ましてや、アデレードの職業はモデル。オメガ・クリスタル・コーポレーションのゲームに出演し、話題になったこともある人物である。当然、外出すればどこかで目撃され、レジーナのもとまで伝わってくることだろう。だが実際は、失踪当日の足取りさえ、ろくに掴むことが出来なかった。数日後、所属事務所から突如引退宣言が発表され、事態は強引に幕を閉ざされてしまったのだ。
かといって、これだけで事件性を疑うのは難しい。何らかの偶然かも知れないし、心身の不調など、個人的な事由によるものかも知れなかった。確かに、前置きもなく婚約を破棄、モデル業も放棄して消えるのは、節度ある大人の振る舞いではない。しかし、たったその程度で独立諜報機関が動いていたら、たちまち人手不足になってしまう。そのことはガイアモンドが一番よく分かっているはずであった。にも関わらず、彼はレジーナに調査を続けさせ、ついにはムーンにまで打ち明けた。理由は考えるまでもないが、それにしても何故、今なのか。ムーンは納得しかねて、ソファにもたれかかり腕を組む。彼の疑念を察知したガイアモンドは、尤もだと言わんばかりに頷き、懐の手帳から一枚の写真を抜き取った。
「僕も半信半疑だった……だが、ちょうど数ヶ月前、メレフの事件が収束した直後。見つけたんだ。彼女が、ある男といるところを」
ミヤに別れを告げた後、ムーンは携帯に届いたメッセージによって、社長室に呼び戻されていた。扉を開けるなり即座に、ガイアモンドからの質問が飛んでくる。
「おや、体調はもう回復したのかい?ガイア」
「一応のところはな。だが、今日はこれで切り上げるよ。流石に、仕事を詰め過ぎた」
ムーンが問い返すと、彼は毛布を跳ね除け、ソファに座ったまま伸びをした。その顔色はまだ若干青褪めているものの、多少は元気になったように思える。急激な感情の爆発も鎮まり、今の彼はまるで凪いだ海に似た冷静さを回復していた。
「え?うん、帰ればいいじゃないか。何故、僕をまたここに?」
「だから、その前に君と話をしておきたかったんだ」
困惑して応じるムーンに、彼は指を突き付け着席を命じる。ムーンはわずかに首を捻りながらも、彼の向かい側に置かれた一人用ソファに収まった。ガイアモンドは彼の眼前で、落ち着かない様子で口を開閉し、言うべき言葉を探している。
「それで、奥さんは何をしに来たんだ?まさか、ディナーの希望を聞きに来たわけではないだろう?」
彼は唐突に、足を組み替えムーンを一瞥した。彼らしくない、プライベートに踏み込んだ問いかけに、ムーンは再び呆気に取られる。
「えぇっと……それはつまり、心配してくれているってことかな?僕と、妻を」
「そうじゃない!」
思い切って直截な表現をすると、ガイアモンドはカッと頬に朱を昇らせて抗議した。そして、ボソボソとした声で補足する。
「ただ、君とは昨日今日知り合った仲でもないし、身内の顔も知っている……僕で力になれるのなら、話くらい……そう、雇用主として!従業員の面倒を見る義務がある!そういうことだ!」
熱のせいで頭が回らないのか、彼は随分と下手くそな弁解を、半ばやけになって捲し立てていた。だが、その台詞はやはり心配から紡がれたとしか思えない。ムーンはどう対応すべきか決めかねて、得意げにふんぞり返っている彼を凝視した。
「……大丈夫だよ。君の手を煩わせるようなことじゃない」
「そうか?」
ゆっくりと首を振って答えると、彼は意外そうに目を丸くして瞬く。ムーンは例の微笑みを口元に浮かべると、先程の会話を簡潔に伝えた。
「娘に反抗期が来たみたいなんだ。受験勉強は捨てて、働くと言い出した。それで、妻が困っている」
「へぇ、反抗期……あの子もそこまで成長したのか」
説明を耳にしたガイアモンドは、感心した素振りで顎に手を当てた。恐らく彼の中のアスカは未だに、かつて顔を合わせた時の幼い子供の姿なのだろう。親戚や友人の子の認識なんて、往々にしてそんなものだ。ムーンは更に続ける。
「酷い言葉を口にしたり、夜遊びしたりするらしい。何だか怪しげな仲間ともつるんでいるとか」
「それはまずいな。危険に巻き込まれる前に止めてやらないと」
わずかに眉を顰める彼に、ムーンは笑顔で頷いた。
「あぁ。だから僕も今日はさっさと帰るよ。何か話があるのなら、手短に頼む」
「分かってるさ……コホンッ」
さりげなく急かすと、彼はまたもや気難しげな面持ちになって中空を睨んだ。もったいつけて咳払いをし、重々しく口を開く。
「来てもらったのは、他でもない。さっきの君の質問に答えるためだ」
「質問?」
「まさか、忘れたんじゃないだろうな」
正直覚えていなかったので、ムーンは微笑みを保っておいた。幸い、ガイアモンドは返事を求めていたわけではないらしく、一方的に話を続ける。
「僕は君に、黙っていたことがある。君に隠して……調べていたことが」
その瞬間、ムーンはこのやり取りの重要性を感じ取り、赤い瞳をかすかに覗かせた。ガイアモンドが今語ろうとしているのは、彼を倒れるまで追い詰め、会社や組織の拡大を焦らせた原因。ムーンが深く興味を持ち、何よりも厭うている”隠し事”についてだと分かったからである。
「僕には昔、婚約者がいたことを知っているな?」
ガイアモンドは組んだ足を解き、太ももに腕を乗せてから、両手の指を絡み合わせた。そうやってようやく躊躇いを振り切り、顔を俯き気味に伏せて、目線だけでムーンを見る。
「……通り一遍のことはね」
予想とは大いに異なる導入に、彼は少々驚きつつも頷いた。朧げにではあるが、脳裏にガイアモンドのかつての恋人の容貌が蘇る。
「ある日突然、いなくなったんだっけ?」
「そうだ。借りていた部屋を引き払い、荷物を全てまとめて、伝言一つ残さずに消えた。まさか、夢でも見ていたんじゃないかと焦ったよ。あまりに綺麗な……呆気ない終わり方だったから」
ムーンの問いに、ガイアモンドは小さく唇を歪めることで答えた。それは早速笑顔などというものではなく、無理をして作っていることが明白な表情だ。全く、痛々しいことこの上ない。
そこで一旦口をつぐんでしまう彼に、ムーンは何と声をかけるべきか迷った。彼とは古くからの付き合いだが、これほどまでに傷心したところは見たことがない。否、本当はずっと、抱え込んでいたのだろう。ただ社長という立場や、街の指導者という責務が、それを表に出すことを阻んでいたに過ぎない。彼の周りには常に、他者の弱みに付け込む連中しかいなかったのだから。
「……彼女、確か名前は」
「アデレード」
何気ない風を装って言いかけると、すかさず彼の言葉が重なった。ガイアモンドは溜め息を吐き、ソファのアームに肘をつくと、物憂い眼差しで虚空を眺める。彼の目は何もない空間を音もなく滑り、ここにはいない女性の美しい顔立ちや全体の輪郭をなぞっているようだった。ムーンも合わせて記憶を手繰るが、何度試しても詳細を思い出せない。かろうじて想起出来るのは、艶やかに伸びた金髪と、すらりとしたシルエットのみであった。
「彼女が自分の意思で去ったのなら、尊重すべきだと思っていた。だが、万が一、何か危険なことに巻き込まれていたとしたら……せめて、無事に生きているかだけでも知りたくて、ずっと調査をさせていたんだ。レジーナに」
「レジーナが?」
初めて耳にする情報に、ムーンは瞠目しガイアモンドの顔をじっと見つめた。彼は頑なにこちらを向かず、自身の親指の爪を観察している。
「彼女がそんな仕事をしていたとは、知らなかった」
「プライベートに関わることだからな。僕が厳命した。特別な許可がない限り、誰にも話してはならないとね」
要するに彼女は、都合良く使われたということだろう。今までは誰も、彼女の秘密裏の調査について触れなかったから、見過ごされていただけだ。面と向かって問い詰められていたら、難儀な立場に置かれたに違いない。無論、起こってもいない出来事を論じるのは、些か無意味ではあるが。
「それで、見つかったのかい?アデレードは」
「いいや、全く。掠りもしなかった……おかしいと思わないか?」
ガイアモンドは首を振ると、ようやく顔を上げてムーンの瞳を見据える。彼もまた、もったいぶって眼鏡の位置を修正すると思案げに息を吐いた。
「ふむ……何か、きな臭いってことか?」
社長付きの秘書であり、ヘリオス・ラムダのメンバーでもあるレジーナは、独自に築き上げた高性能な情報網を持っている。その広さや精度は信じ難い程で、もはやアメジスト中のどんな情報も、彼女の下に届かないものはないくらいだった。ましてや、アデレードの職業はモデル。オメガ・クリスタル・コーポレーションのゲームに出演し、話題になったこともある人物である。当然、外出すればどこかで目撃され、レジーナのもとまで伝わってくることだろう。だが実際は、失踪当日の足取りさえ、ろくに掴むことが出来なかった。数日後、所属事務所から突如引退宣言が発表され、事態は強引に幕を閉ざされてしまったのだ。
かといって、これだけで事件性を疑うのは難しい。何らかの偶然かも知れないし、心身の不調など、個人的な事由によるものかも知れなかった。確かに、前置きもなく婚約を破棄、モデル業も放棄して消えるのは、節度ある大人の振る舞いではない。しかし、たったその程度で独立諜報機関が動いていたら、たちまち人手不足になってしまう。そのことはガイアモンドが一番よく分かっているはずであった。にも関わらず、彼はレジーナに調査を続けさせ、ついにはムーンにまで打ち明けた。理由は考えるまでもないが、それにしても何故、今なのか。ムーンは納得しかねて、ソファにもたれかかり腕を組む。彼の疑念を察知したガイアモンドは、尤もだと言わんばかりに頷き、懐の手帳から一枚の写真を抜き取った。
「僕も半信半疑だった……だが、ちょうど数ヶ月前、メレフの事件が収束した直後。見つけたんだ。彼女が、ある男といるところを」
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