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セイガという男
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突如として、悪態と共に部下を殴打したセイガ。完全に油断していたところを襲われて、黒服の男は呆気なく仰け反りアスファルトの地面に尻餅をつく。痛む頬を押さえてセイガを見上げる瞳には、困惑とかすかな恐怖とが映っていた。
「こんな小市民に報復だと?正気か?能無しのグズ共が。寝言をほざくのも大概にしろ」
セイガは無表情のまま男を睥睨し、冷酷な声音と口調で罵倒する。
「し、しかし、ボス。オーウェンはウチで一番の武闘派です。奴が手も足も出ねぇなんざ、これまでで初めてのことで」
「だから何だ?そいつが弱く、役立たずだっただけだろう。自己責任だ」
男は懸命に反駁を試みるものの、セイガはぴしゃりと遮った。相手が黙っているのをいいことに、彼はますます流暢に酷い言葉を吐き続ける。
「全く……たった一人にわざわざ組織を挙げて報復するなど、馬鹿馬鹿しいにも程がある。かえって名誉を損なうだけだと、何故分からない?」
「ですが!」
彼はもはや何を返されても、全く相手の意見を聞こうとはしなかった。それでも躍起になって、黒服は食い下がる。その時のことだった。
「もういい。黙れ」
セイガが呟いた瞬間、彼の指先から小さな物体が放たれる。それは凄まじい速度で空中を飛翔し、道路に跪いていた男の額の中心を貫いた。
「ひっ……!」
アスカが引き攣った悲鳴を漏らし、ムーンは彼女を背後に庇う。頭部に穴を穿たれた男は、しばし間の抜けた面持ちで呆然としていたが、やがて音もなくうつ伏せに倒れた。傷口から流れた赤黒い体液が路面に溜まり、パキパキと白っぽい霜を浮かべて凍っていく。
「氷……?」
「貴重な時間を無駄にさせたな。この男に代わって、詫びるよ」
思わず喋ったムーンの声を聞いていたのか否か、セイガがくるりと振り返った。彼はわざとらしく頭を下げた後、唇の端を片方だけ意味ありげに持ち上げる。
「だがあんたなら、愚鈍な下請けに悩まされる気持ちを、十分理解してくれると思うが?」
彼の機械的な瞳を、ムーンはたっぷり数秒間凝視し、それから口を開いた。
「どういう意味だ?」
「そこのガキ、あんたの娘だろ」
途端に、セイガはムーンの陰に隠れている娘のアスカを指差す。標的にされたと分かった彼女は、心底居心地が悪そうにたじろいだ。セイガは彼女を鋭く見据えながら、憚りもせずに嘲笑う。
「彼女、店で散々泣いてたよ。母親がウザいとか、父親が帰ってこないとか。自分が世界で一番不幸だと言わんばかりだった。バカな奴だ……餌にされてるとも知らずにな。同情するよ。受験に失敗したくらいで喚き散らす軟弱な娘なら、あんたも不要だろう?いっそ俺が殺して楽にしてやろうか?」
実の父親の前で痛烈にこき下ろされ、殺すとまで脅されて、アスカは感情が掻き乱されるような思いを味わう。赤面したり青褪めたりと目まぐるしく反応を変え、終いには涙ぐんでしまう彼女を、セイガは面白がって眺めていた。
「結構。彼女を殺すというのなら、僕が君に報復しなきゃいけなくなる」
彼の視線からアスカを守ったムーンは、一歩足を踏み出して相手に近寄った。
「……面白い男だ」
セイガも応じて前に進み、両者の距離はわずかに縮まる。
「ま、待って」
アスカは咄嗟に引き留めようとしたが、どちらの耳にも届かなかった。二人の間には既に、緊張した険悪な空気が張り詰めていたからである。目視出来ない透明な火花を散らせる父と青髪の男とを、彼女は混乱した頭で交互に見比べた。
「ねーぇ、もう終わった?」
セイガが降りてきた車の中から、新たな人物の声音が放たれる。開けっ放しのドアを押し広げて、誰もが注目するであろう真っ赤なドレスを身に付けた、美しい女性が現れた。
「あっ……あの人!」
彼女の顔を確かめたアスカは、反射的に叫びかけて慌てて口を押さえる。これまで友人として仲良くしてくれ、昨夜は家に泊めることも許してくれた人物が、まさかこれほどの美貌の持ち主だったとは想像もしていなかった。確かに、初対面時からオーラがあるなと思ってはいたが、現実は彼女の抱いた感想を遥かに上回っている。あまりの美しさに、同じ女性であっても胸の高鳴りを抑えきれないほどだった。彼女の顔のそばで眩く光っているのは、ブランド物のアクセサリーか、それとも彼女自身の輝きなのか。ふんわりと羽織ったケープのファーや、シニヨンからこぼれた金色の髪がなびく光景すら、無二の宝石に思われる。
彼女はヒールを履いた足で真っ直ぐに立つと、やけに緩慢な動きでじっと周囲を検めた。そうすることで他人が己に見惚れる機会を設け、また自らの虚栄心を満たすことが出来ると、本気で思い込んでいるらしい。だが、いくら大仰で芝居がかった行動を取っても、彼女の魅力は削がれるどころか、むしろ余計に華々しく豪奢になっていった。
「誰なの?この人たち」
彼女は引き締まった足でアスファルトを踏み締め、セイガの隣に歩み寄る。一度は友と呼んだ相手に素知らぬふりをされ、アスカは我知らず強いショックに襲われた。
「大したことじゃない。ちょっとした誤解があっただけだ」
セイガは彼女に頷くと、冷淡な声音で鷹揚に応じる。女は彼の腕に自分の腕を絡め、親密さのアピールのつもりなのか、ぴったりと寄り添った。
「なら、もう行きましょうよ。予約の時間を過ぎちゃうわよ」
「分かっている……おい、お前」
彼女の腕をさりげなく解いて、セイガは唐突にアスカへと指を突き付ける。話しかけられるとは予想していなかった彼女は、思い切り肩を跳ねさせてしまった。怯えた様子を隠すことも出来ない彼女に、セイガは淡々と忠告を述べる。
「死にたくなければ、二度とここには来ないことだ。お前のような甘ったれに生き抜けるほど、こちらの世界は楽じゃない。せいぜいぬるま湯に浸かったような、平和な暮らしを楽しむといい。言っておくが、これは脅しじゃない。純粋な親切心からの言葉だ。無視をしたらどうなるかなんて、俺の知ったことではないからな」
彼は一体何様のつもりなのか、随分と横柄な口の利き方をしたが、アスカにそれを疑問視する余裕はなかった。彼女はもうほとんど放心状態に陥っていて、誰に何を言われても素直な頷きを返すだけになっていたのだ。ただひたすら首を縦に振っている娘を、ムーンは心配そうな眼差しで窺う。とはいえ、これで娘と不良たちとの関係が途切れるのならば、あまり悪い結果でもないのかも知れない。むしろ、説得の手間が軽減さえした様子だが、流石のムーンにもセイガの行いをありがたがる意思はなかった。
「それじゃあ親父さん、帰り道には気を付けることだ。もしあんたがもっと懸命で、俺たちとビジネスをしたいというのなら、ここに連絡しろ」
セイガは次にムーンに矛先を向け、懐から名刺を取り出した。眼前に差し出されたそれを、ムーンはやや迷ってから、もらっておくことに決める。彼にも一応オメガ社の名刺があったから渡そうとしたが、セイガは片手を振って拒否した。
「必要ない。オメガなんて、下らない会社だ。すぐに潰れる……いや、潰すつもりだ」
「何だって?」
ムーンが聞き返した頃には、セイガは早々と身を翻し、車の中へと引っ込んでいくところであった。金髪の美人も、彼のすぐ後を追いかけて後部座席に乗り込む。数人の黒服が慌てて他の車から駆けてきて、転がった死体を回収し、血溜まりを水で流して犯罪を隠蔽した。そして、新たな運転手がどこかから出てきて、セイガの車のエンジンをかける。数秒後、彼らは来た時と同じ素早さと乱暴な運転で、店の前からいなくなっていた。残されたのは、わずかなヘモグロビンと排気ガスの香り。エンジンが回転する音も、次第に夜のしじまに紛れていく。
「行っちゃった……」
先程と変わらぬ位置に棒立ちし、アスカがぽつりとこぼした。ムーンもまたテールランプの消えた先を見据えて、無言で彼女に寄り添っている。そろそろ帰ろうと娘の背中に手を伸ばしかけた瞬間、続くアスカの声を聞き咎め、彼は大きく瞠目した。
「綺麗だったな、アデレードさん」
「こんな小市民に報復だと?正気か?能無しのグズ共が。寝言をほざくのも大概にしろ」
セイガは無表情のまま男を睥睨し、冷酷な声音と口調で罵倒する。
「し、しかし、ボス。オーウェンはウチで一番の武闘派です。奴が手も足も出ねぇなんざ、これまでで初めてのことで」
「だから何だ?そいつが弱く、役立たずだっただけだろう。自己責任だ」
男は懸命に反駁を試みるものの、セイガはぴしゃりと遮った。相手が黙っているのをいいことに、彼はますます流暢に酷い言葉を吐き続ける。
「全く……たった一人にわざわざ組織を挙げて報復するなど、馬鹿馬鹿しいにも程がある。かえって名誉を損なうだけだと、何故分からない?」
「ですが!」
彼はもはや何を返されても、全く相手の意見を聞こうとはしなかった。それでも躍起になって、黒服は食い下がる。その時のことだった。
「もういい。黙れ」
セイガが呟いた瞬間、彼の指先から小さな物体が放たれる。それは凄まじい速度で空中を飛翔し、道路に跪いていた男の額の中心を貫いた。
「ひっ……!」
アスカが引き攣った悲鳴を漏らし、ムーンは彼女を背後に庇う。頭部に穴を穿たれた男は、しばし間の抜けた面持ちで呆然としていたが、やがて音もなくうつ伏せに倒れた。傷口から流れた赤黒い体液が路面に溜まり、パキパキと白っぽい霜を浮かべて凍っていく。
「氷……?」
「貴重な時間を無駄にさせたな。この男に代わって、詫びるよ」
思わず喋ったムーンの声を聞いていたのか否か、セイガがくるりと振り返った。彼はわざとらしく頭を下げた後、唇の端を片方だけ意味ありげに持ち上げる。
「だがあんたなら、愚鈍な下請けに悩まされる気持ちを、十分理解してくれると思うが?」
彼の機械的な瞳を、ムーンはたっぷり数秒間凝視し、それから口を開いた。
「どういう意味だ?」
「そこのガキ、あんたの娘だろ」
途端に、セイガはムーンの陰に隠れている娘のアスカを指差す。標的にされたと分かった彼女は、心底居心地が悪そうにたじろいだ。セイガは彼女を鋭く見据えながら、憚りもせずに嘲笑う。
「彼女、店で散々泣いてたよ。母親がウザいとか、父親が帰ってこないとか。自分が世界で一番不幸だと言わんばかりだった。バカな奴だ……餌にされてるとも知らずにな。同情するよ。受験に失敗したくらいで喚き散らす軟弱な娘なら、あんたも不要だろう?いっそ俺が殺して楽にしてやろうか?」
実の父親の前で痛烈にこき下ろされ、殺すとまで脅されて、アスカは感情が掻き乱されるような思いを味わう。赤面したり青褪めたりと目まぐるしく反応を変え、終いには涙ぐんでしまう彼女を、セイガは面白がって眺めていた。
「結構。彼女を殺すというのなら、僕が君に報復しなきゃいけなくなる」
彼の視線からアスカを守ったムーンは、一歩足を踏み出して相手に近寄った。
「……面白い男だ」
セイガも応じて前に進み、両者の距離はわずかに縮まる。
「ま、待って」
アスカは咄嗟に引き留めようとしたが、どちらの耳にも届かなかった。二人の間には既に、緊張した険悪な空気が張り詰めていたからである。目視出来ない透明な火花を散らせる父と青髪の男とを、彼女は混乱した頭で交互に見比べた。
「ねーぇ、もう終わった?」
セイガが降りてきた車の中から、新たな人物の声音が放たれる。開けっ放しのドアを押し広げて、誰もが注目するであろう真っ赤なドレスを身に付けた、美しい女性が現れた。
「あっ……あの人!」
彼女の顔を確かめたアスカは、反射的に叫びかけて慌てて口を押さえる。これまで友人として仲良くしてくれ、昨夜は家に泊めることも許してくれた人物が、まさかこれほどの美貌の持ち主だったとは想像もしていなかった。確かに、初対面時からオーラがあるなと思ってはいたが、現実は彼女の抱いた感想を遥かに上回っている。あまりの美しさに、同じ女性であっても胸の高鳴りを抑えきれないほどだった。彼女の顔のそばで眩く光っているのは、ブランド物のアクセサリーか、それとも彼女自身の輝きなのか。ふんわりと羽織ったケープのファーや、シニヨンからこぼれた金色の髪がなびく光景すら、無二の宝石に思われる。
彼女はヒールを履いた足で真っ直ぐに立つと、やけに緩慢な動きでじっと周囲を検めた。そうすることで他人が己に見惚れる機会を設け、また自らの虚栄心を満たすことが出来ると、本気で思い込んでいるらしい。だが、いくら大仰で芝居がかった行動を取っても、彼女の魅力は削がれるどころか、むしろ余計に華々しく豪奢になっていった。
「誰なの?この人たち」
彼女は引き締まった足でアスファルトを踏み締め、セイガの隣に歩み寄る。一度は友と呼んだ相手に素知らぬふりをされ、アスカは我知らず強いショックに襲われた。
「大したことじゃない。ちょっとした誤解があっただけだ」
セイガは彼女に頷くと、冷淡な声音で鷹揚に応じる。女は彼の腕に自分の腕を絡め、親密さのアピールのつもりなのか、ぴったりと寄り添った。
「なら、もう行きましょうよ。予約の時間を過ぎちゃうわよ」
「分かっている……おい、お前」
彼女の腕をさりげなく解いて、セイガは唐突にアスカへと指を突き付ける。話しかけられるとは予想していなかった彼女は、思い切り肩を跳ねさせてしまった。怯えた様子を隠すことも出来ない彼女に、セイガは淡々と忠告を述べる。
「死にたくなければ、二度とここには来ないことだ。お前のような甘ったれに生き抜けるほど、こちらの世界は楽じゃない。せいぜいぬるま湯に浸かったような、平和な暮らしを楽しむといい。言っておくが、これは脅しじゃない。純粋な親切心からの言葉だ。無視をしたらどうなるかなんて、俺の知ったことではないからな」
彼は一体何様のつもりなのか、随分と横柄な口の利き方をしたが、アスカにそれを疑問視する余裕はなかった。彼女はもうほとんど放心状態に陥っていて、誰に何を言われても素直な頷きを返すだけになっていたのだ。ただひたすら首を縦に振っている娘を、ムーンは心配そうな眼差しで窺う。とはいえ、これで娘と不良たちとの関係が途切れるのならば、あまり悪い結果でもないのかも知れない。むしろ、説得の手間が軽減さえした様子だが、流石のムーンにもセイガの行いをありがたがる意思はなかった。
「それじゃあ親父さん、帰り道には気を付けることだ。もしあんたがもっと懸命で、俺たちとビジネスをしたいというのなら、ここに連絡しろ」
セイガは次にムーンに矛先を向け、懐から名刺を取り出した。眼前に差し出されたそれを、ムーンはやや迷ってから、もらっておくことに決める。彼にも一応オメガ社の名刺があったから渡そうとしたが、セイガは片手を振って拒否した。
「必要ない。オメガなんて、下らない会社だ。すぐに潰れる……いや、潰すつもりだ」
「何だって?」
ムーンが聞き返した頃には、セイガは早々と身を翻し、車の中へと引っ込んでいくところであった。金髪の美人も、彼のすぐ後を追いかけて後部座席に乗り込む。数人の黒服が慌てて他の車から駆けてきて、転がった死体を回収し、血溜まりを水で流して犯罪を隠蔽した。そして、新たな運転手がどこかから出てきて、セイガの車のエンジンをかける。数秒後、彼らは来た時と同じ素早さと乱暴な運転で、店の前からいなくなっていた。残されたのは、わずかなヘモグロビンと排気ガスの香り。エンジンが回転する音も、次第に夜のしじまに紛れていく。
「行っちゃった……」
先程と変わらぬ位置に棒立ちし、アスカがぽつりとこぼした。ムーンもまたテールランプの消えた先を見据えて、無言で彼女に寄り添っている。そろそろ帰ろうと娘の背中に手を伸ばしかけた瞬間、続くアスカの声を聞き咎め、彼は大きく瞠目した。
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