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親子の和解
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カサブランカからムーンの自宅までは、三十分ほどで辿り着けた。無論、タクシーを使えばもっと早く戻ることも出来たのだが、アスカがそれを望まなかったため、二人は歩いて戻ってきたのである。そして、目的地ももうごく近く。すぐそこの角を曲がって直進すれば、家が左側に見えてくるというところで、突如アスカの歩みが止まった。数歩分後ろにいたムーンは、黙って立ち尽くす娘を訝り、隣へと並ぶ。
「アスカ?どうしたんだい?」
彼女の顔を覗き込むと、驚いたことに、彼女の大きな瞳からは無数の涙が溢れていた。呆気に取られて狼狽するムーンの腕に、彼女は弱々しく縋り付いてくる。
「父さん、あたし……騙されてた」
「……うん、そのようだね」
絞り出すように呻く彼女を、ムーンは優しく抱き寄せて曖昧に慰める。アスカはそれには答えず、拳を固く握り締めて懺悔を続けた。
「馬鹿だった……!自分の悩み、分かってもらえたって思って、いい気になって。あたしには友達が沢山いるんだって、自信になってた。でも、実際は、利用されてるだけだった。麻薬を売りつけるために」
ムーンは再び、無言で彼女を抱き締める。何と声をかけていいのか、言うべき事柄が見つからなかった。アスカの悲痛な訴えは何一つ間違っていなかったし、否定することの出来ない事実でもあったからだ。彼女はそのことを正しく認識したからこそ、自分自身に対する憤りに駆られているらしい。
「あたし、それが悔しいの!情けなさ過ぎるじゃん!笑われてるのにも気付かないで、一人だけカッコつけてさ。ダサいにも程があるよね」
「……そんなことはないさ。大事なのは、これからのことだよ」
足元に転がった石を蹴り、自虐的に笑う彼女の肩をムーンはぽんと軽く叩く。すると、アスカは弾かれたように顔を上げ、父の瞳を直視した。
「これからのことって、そんなの、決まってるよ。あたし、あいつらを見返したい!あたしのこと、馬鹿にして、見下してた奴らに、思い知らせてやりたいの!!あたしはそんな馬鹿じゃない。あんたらに、笑われるような女じゃないって!」
「そうか。それなら、どうする?彼らを見返すために、君は何がしたいんだ?」
強気に捲し立てる彼女に、ムーンはのんびりと問いかける。
「そのために……あたしは……?」
アスカは必死に悩んでいたが、すぐには思い付かないのだろう。自分の考えがまとまらないことに彼女は酷く気落ちして、悲しげな戸惑った表情を浮かべた。
「アスカ、僕は君に、隠していたことがあるんだ」
嘆息する彼女の背中に手を当て、ムーンは近くのバス停に置かれた、小さなベンチへと誘導する。落ち込んでいるアスカは、反抗することも忘れて大人しく腰を下ろした。ムーンも彼女の隣に座り、足を組んで話し始める。
「言っても君を怖がらせるだけだと思って、ずっと話していなかった……僕の、過去のことだ」
そういえば、とアスカは事情を思い出し、父の横顔を凝視した。彼女が問い詰めたとはいえ、父の隠し事について、当日中に打ち明けられるとは思ってもみなかったからだ。彼女の驚きに気付きつつも、ムーンは何食わぬ様子で先を続ける。
「僕は子供の頃、酷く貧乏していてね。学校に通うどころか、日々の食事にさえ困る始末だった。だから、大人になるまで、ろくに読み書きも出来なかったよ。大学なんて夢のまた夢。完全に、自分とは別の世界だと思っていた」
「それ……ホントの話?」
「本当だとも。君たちが生まれる前、オメガ社が今の三分の一以下の規模だった頃、この辺りはただの田舎町だったんだ」
彼は平然と喋っていたが、だからこそ、アスカには中々信じることが出来なかった。彼女にとっては今の豊かな生活が当たり前で、父の語る過去は映画かドラマの中にしか存在しないもののように感じられたのである。しかし、こんなことで彼が嘘をつく理由もない。アスカは無理矢理自分を納得させて、未だ若干困惑を残しながらも静かに耳を傾けていた。
「だけど、ミヤさんに出会って、君とケンタロウが生まれて、僕の前には新しい世界が開けた。君たちと、家族という世界が。まさに、夢のような体験だったよ。絶対に、何があっても守ろうと誓った」
父の瞳や顔付きからは、これまで全く見たことのない知らない感情がこぼれ出ていた。慈しみなのか、愛情と言うべきか。己を常に思っていてくれる、親という存在の偉大さをアスカはほぼ生まれて初めて理解した気がした。知らぬ間に、彼女の瞳から新たな涙が流れ落ちる。
「君には、幸せになってほしい、アスカ。少しでも長く、楽しく、君の人生を謳歌してほしいんだ。別に、勉強が心底嫌なら、止めたっていい。生きるか死ぬかの瀬戸際にあっては、学歴なんてクソの役にも立たないものだからね」
極め付けとばかりにムーンが悪戯っぽく微笑むと、彼女は潤んだ瞳を笑いに歪めて聞き返す。
「……クソの役にも?」
「そうだ。トイレットペーパーの方が何倍もマシだね」
「ふふっ、何それ」
真面目な調子で付け加えられて、アスカはとうとう吹き出してしまった。ムーンも少しだけ肩を揺らしてから、真剣な声音に戻り話の軌道を修正する。
「僕は本気で言ってるんだよ。君には君のやりたいことを、君の夢を、見つけて叶えてほしいんだ。だからもう一度、自分と向き合ってみないか?アスカ。大丈夫。辛いことがあっても、僕が支える。何たって僕は、君の父親なんだから」
彼が真摯に訴えかけると、再び不安が募ってきたのか、アスカは表情を曇らせた。
「で、でも!父さん、仕事忙しいんでしょ?あたし、ママとは大喧嘩しちゃったし……記憶にはないけど。きっとママは怒ってる。それに、あたしは麻薬依存症かも知れない!」
「もちろん、病院と警察には行くさ。だけど、ミヤさんは話せば必ず分かってくれるよ。君が、きちんと伝えさえすればね」
「……分かってる。でも……」
「自信がない?」
俯く彼女の横顔に問いかけると、アスカはたった一回、首を縦に振ることで肯定を返した。そして、おもむろに口を開く。
「……あたし、今まで散々逃げてたから。勉強だって、最後にいつまともにテキスト開いたかも覚えてない。それくらい、ずっと逃げてた。だから、今は良くても、その内また駄目になっちゃう気がする。あたし、一人で何か頑張るっていうの、凄く苦手で……苦しくなる!息が詰まるっていうか、誰かのサポートが、ほしくなると思う」
彼女は訥々と、時には考え込みながら喋っていたが、ムーンはその全てを丁寧に受け入れた。彼はしばし間を開けた後、ゆっくりと返答を紡ぐ。
「分かっているよ、アスカ。誰だって、生まれた時から完璧なわけじゃない。少しずつ、成長していくんだ。皆と力を合わせて、一緒に……だから君も、もっと周りを頼っていい。助けてと、声を上げて泣きついてもいいんだ。なんて、仕事にばかりかまけていた僕に、アドバイスする資格はないんだけどね」
彼の言葉を聞く度、アスカは目から大粒の涙をこぼして、小さくしゃくり上げていた。ムーンは彼女の頬を撫でて、己も深い反省に浸る。
彼らは多分、子供たちに対してどこか線を引いていたのだ。過干渉になるくらいならと、大人と同じ付き合い方でいることを選んだ。そのことが、かえって子供たちを孤独にし、心細くさせていたのだろう。個人を尊重するために置いていた距離が、彼らの苦しみの原因となった。自分の問題は一人で解決しなければならないのだと、思わせてしまっていた。当然、まだ子供の彼らには不可能なことだ。だからアスカも、背伸びした振る舞いを続けてきた結果、反動を受けて分別を失った。つまり今回の騒動の原因は、元を辿ればムーンにあることになる。彼はその事実を、非常に深刻なものとして受け止めていた。
「君に信じてもらえるよう、僕たちも努力する。だから君も、もう少しだけ、前に進んでみないかい?」
かといって、娘の世話を放棄して自己嫌悪に陥っていては意味がない。彼は気を取り直すと、父親らしく娘を導いた。尋ねられたアスカは、目尻に溜まった雫を拭ってから勢いよく顔を上げる。
「あたし、やっぱり、大学行く!どんなに大変でも、絶対頑張って勉強して、研究職になる!それで、誰もが驚くような大発見をして、あたしのこと見下してた奴らをギャフンと言わせるんだ!!」
彼女はムーンの目をキッと見据え、力強く宣言した。迷いなく言い切るその態度に、ムーンは愛する妻と娘の姿が重なるのを感じ、ふと口元を綻ばせる。
「流石、僕の愛する女性の娘だよ、君は」
「アスカ?どうしたんだい?」
彼女の顔を覗き込むと、驚いたことに、彼女の大きな瞳からは無数の涙が溢れていた。呆気に取られて狼狽するムーンの腕に、彼女は弱々しく縋り付いてくる。
「父さん、あたし……騙されてた」
「……うん、そのようだね」
絞り出すように呻く彼女を、ムーンは優しく抱き寄せて曖昧に慰める。アスカはそれには答えず、拳を固く握り締めて懺悔を続けた。
「馬鹿だった……!自分の悩み、分かってもらえたって思って、いい気になって。あたしには友達が沢山いるんだって、自信になってた。でも、実際は、利用されてるだけだった。麻薬を売りつけるために」
ムーンは再び、無言で彼女を抱き締める。何と声をかけていいのか、言うべき事柄が見つからなかった。アスカの悲痛な訴えは何一つ間違っていなかったし、否定することの出来ない事実でもあったからだ。彼女はそのことを正しく認識したからこそ、自分自身に対する憤りに駆られているらしい。
「あたし、それが悔しいの!情けなさ過ぎるじゃん!笑われてるのにも気付かないで、一人だけカッコつけてさ。ダサいにも程があるよね」
「……そんなことはないさ。大事なのは、これからのことだよ」
足元に転がった石を蹴り、自虐的に笑う彼女の肩をムーンはぽんと軽く叩く。すると、アスカは弾かれたように顔を上げ、父の瞳を直視した。
「これからのことって、そんなの、決まってるよ。あたし、あいつらを見返したい!あたしのこと、馬鹿にして、見下してた奴らに、思い知らせてやりたいの!!あたしはそんな馬鹿じゃない。あんたらに、笑われるような女じゃないって!」
「そうか。それなら、どうする?彼らを見返すために、君は何がしたいんだ?」
強気に捲し立てる彼女に、ムーンはのんびりと問いかける。
「そのために……あたしは……?」
アスカは必死に悩んでいたが、すぐには思い付かないのだろう。自分の考えがまとまらないことに彼女は酷く気落ちして、悲しげな戸惑った表情を浮かべた。
「アスカ、僕は君に、隠していたことがあるんだ」
嘆息する彼女の背中に手を当て、ムーンは近くのバス停に置かれた、小さなベンチへと誘導する。落ち込んでいるアスカは、反抗することも忘れて大人しく腰を下ろした。ムーンも彼女の隣に座り、足を組んで話し始める。
「言っても君を怖がらせるだけだと思って、ずっと話していなかった……僕の、過去のことだ」
そういえば、とアスカは事情を思い出し、父の横顔を凝視した。彼女が問い詰めたとはいえ、父の隠し事について、当日中に打ち明けられるとは思ってもみなかったからだ。彼女の驚きに気付きつつも、ムーンは何食わぬ様子で先を続ける。
「僕は子供の頃、酷く貧乏していてね。学校に通うどころか、日々の食事にさえ困る始末だった。だから、大人になるまで、ろくに読み書きも出来なかったよ。大学なんて夢のまた夢。完全に、自分とは別の世界だと思っていた」
「それ……ホントの話?」
「本当だとも。君たちが生まれる前、オメガ社が今の三分の一以下の規模だった頃、この辺りはただの田舎町だったんだ」
彼は平然と喋っていたが、だからこそ、アスカには中々信じることが出来なかった。彼女にとっては今の豊かな生活が当たり前で、父の語る過去は映画かドラマの中にしか存在しないもののように感じられたのである。しかし、こんなことで彼が嘘をつく理由もない。アスカは無理矢理自分を納得させて、未だ若干困惑を残しながらも静かに耳を傾けていた。
「だけど、ミヤさんに出会って、君とケンタロウが生まれて、僕の前には新しい世界が開けた。君たちと、家族という世界が。まさに、夢のような体験だったよ。絶対に、何があっても守ろうと誓った」
父の瞳や顔付きからは、これまで全く見たことのない知らない感情がこぼれ出ていた。慈しみなのか、愛情と言うべきか。己を常に思っていてくれる、親という存在の偉大さをアスカはほぼ生まれて初めて理解した気がした。知らぬ間に、彼女の瞳から新たな涙が流れ落ちる。
「君には、幸せになってほしい、アスカ。少しでも長く、楽しく、君の人生を謳歌してほしいんだ。別に、勉強が心底嫌なら、止めたっていい。生きるか死ぬかの瀬戸際にあっては、学歴なんてクソの役にも立たないものだからね」
極め付けとばかりにムーンが悪戯っぽく微笑むと、彼女は潤んだ瞳を笑いに歪めて聞き返す。
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「そうだ。トイレットペーパーの方が何倍もマシだね」
「ふふっ、何それ」
真面目な調子で付け加えられて、アスカはとうとう吹き出してしまった。ムーンも少しだけ肩を揺らしてから、真剣な声音に戻り話の軌道を修正する。
「僕は本気で言ってるんだよ。君には君のやりたいことを、君の夢を、見つけて叶えてほしいんだ。だからもう一度、自分と向き合ってみないか?アスカ。大丈夫。辛いことがあっても、僕が支える。何たって僕は、君の父親なんだから」
彼が真摯に訴えかけると、再び不安が募ってきたのか、アスカは表情を曇らせた。
「で、でも!父さん、仕事忙しいんでしょ?あたし、ママとは大喧嘩しちゃったし……記憶にはないけど。きっとママは怒ってる。それに、あたしは麻薬依存症かも知れない!」
「もちろん、病院と警察には行くさ。だけど、ミヤさんは話せば必ず分かってくれるよ。君が、きちんと伝えさえすればね」
「……分かってる。でも……」
「自信がない?」
俯く彼女の横顔に問いかけると、アスカはたった一回、首を縦に振ることで肯定を返した。そして、おもむろに口を開く。
「……あたし、今まで散々逃げてたから。勉強だって、最後にいつまともにテキスト開いたかも覚えてない。それくらい、ずっと逃げてた。だから、今は良くても、その内また駄目になっちゃう気がする。あたし、一人で何か頑張るっていうの、凄く苦手で……苦しくなる!息が詰まるっていうか、誰かのサポートが、ほしくなると思う」
彼女は訥々と、時には考え込みながら喋っていたが、ムーンはその全てを丁寧に受け入れた。彼はしばし間を開けた後、ゆっくりと返答を紡ぐ。
「分かっているよ、アスカ。誰だって、生まれた時から完璧なわけじゃない。少しずつ、成長していくんだ。皆と力を合わせて、一緒に……だから君も、もっと周りを頼っていい。助けてと、声を上げて泣きついてもいいんだ。なんて、仕事にばかりかまけていた僕に、アドバイスする資格はないんだけどね」
彼の言葉を聞く度、アスカは目から大粒の涙をこぼして、小さくしゃくり上げていた。ムーンは彼女の頬を撫でて、己も深い反省に浸る。
彼らは多分、子供たちに対してどこか線を引いていたのだ。過干渉になるくらいならと、大人と同じ付き合い方でいることを選んだ。そのことが、かえって子供たちを孤独にし、心細くさせていたのだろう。個人を尊重するために置いていた距離が、彼らの苦しみの原因となった。自分の問題は一人で解決しなければならないのだと、思わせてしまっていた。当然、まだ子供の彼らには不可能なことだ。だからアスカも、背伸びした振る舞いを続けてきた結果、反動を受けて分別を失った。つまり今回の騒動の原因は、元を辿ればムーンにあることになる。彼はその事実を、非常に深刻なものとして受け止めていた。
「君に信じてもらえるよう、僕たちも努力する。だから君も、もう少しだけ、前に進んでみないかい?」
かといって、娘の世話を放棄して自己嫌悪に陥っていては意味がない。彼は気を取り直すと、父親らしく娘を導いた。尋ねられたアスカは、目尻に溜まった雫を拭ってから勢いよく顔を上げる。
「あたし、やっぱり、大学行く!どんなに大変でも、絶対頑張って勉強して、研究職になる!それで、誰もが驚くような大発見をして、あたしのこと見下してた奴らをギャフンと言わせるんだ!!」
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