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才女フェンリル
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フェンリルという女性は、どこか浮いたところのある人物だった。まるで平面の絵画に過ぎない空間で、彼女一人だけが立体として存在しているかのようだ。背は決して高くなく、華奢でメリハリのある体型をしているが、肉感的な気配はない。むしろ非常にサッパリとしていて、生半可な男の誘いなど頑として撥ね付けそうな雰囲気を持っていた。体のラインを強調した銀のミニドレスを、颯爽とスポーティーに着こなすところも変わっている。恐らく水商売に従事しているのだろうが、彼女の言葉遣いや振る舞いからは、風俗嬢やホステス特有の爛れた色気などは微塵も感じられなかった。
「君にはとても感謝しているよ、フェンリル」
二階フロアのバーカウンターにて、ムーンは彼女と並んで座り、親しげに酒を嗜んでいた。
「ここには友人の紹介で来たんだが、中々勝手が分からなくてね。困っていたんだ」
「いいって、気にしないでよ。オジサン、ほんと義理堅いね」
彼の紳士的な誠意は、彼女にとっては滑稽なものにしか映らないらしい。フェンリルは先程からやけに肩を震わせて笑いを漏らし、彼の態度を揶揄っていた。彼女が何か一言放つ度に、緑のメッシュを入れたミドルショートの金髪がふわふわと揺れる。
「あたしもさ、今夜は暇してたんだ。連れてきた客に上手いこと逃げられちゃってさ。あれはホント、しくじった」
彼女は俯くと、濃いグリーンのネイルをした爪で、カンパリソーダのグラスについた水滴をなぞった。“客”という単語を用いるくらいなのだから、やはり夜の商売をしているのだろうか。ムーンは深く追及したい思いも抱いたが、結局黙ってウィスキーを飲んだ。何しろこの店には、一人でいる客を決して放っておかないという、無言の圧力が充満しているからだ。自らの好奇心を優先しフェンリルを怒らせてしまえば、彼はたちまち孤独になり、名も知らない誰かによるセクハラを受ける羽目になる。それだけは、どうあっても避けたい事態であった。ましてや、営業行為もなしに接してくれる彼女は非常に貴重な存在なのだから、絶対に失うわけにはいかない。
「この店にはよく来るの?」
「あー、どうかな……状況による」
「そうか」
意図的に話題を切り替えると、フェンリルは再びグラスをなぞって、曖昧にはぐらかした。仕方なく、ムーンは適当に調子を合わせてやるが、頭の中には疑問符がいくつも飛び交っている。
本当に話すつもりがないのなら、上手い言い訳を設けて逃げ出せばいいだけだろう。にも関わらず、ずるずると居残る彼女の目的が、ムーンには今一つ掴めていなかった。彼は眼鏡を押し上げると、わずかに瞳を覗かせ彼女の真意を測ろうとする。フェンリルは彼の横に座ったまま、グラスを持ち上げて残りのカクテルを一気に飲み干した。
「もう一杯頼むかい?」
尋ねても、返事はない。かと思えば、彼女は突然グラスを置き、ムーンの方に膝を向けた。
「いいけど……あんたの目的を教えて」
彼女は鋭い視線でムーンを睨め上げ、低い声音で問いかける。その姿からは、先程までの淡白さが綺麗さっぱり消えていた。唐突な変化にムーンは困惑し、視線を左右に泳がせる。
「これだけ一緒にいるのに、何もしてこないってことは、あたしを口説きたいわけでもないんでしょ?他の客とイチャつきたいなら、あたしを追い払えばいいだけだし。あんたほど外面のいい男なら、いくらでも出来たはずだよ。でも、あんたはどっちもしなかった。じゃあ、何のためにここに来たの?」
フェンリルは棘のある口調で、淡々と畳み掛ける。どうやら彼女は、こちらの想像以上に頭の良い人物らしい。彼女の指摘は的を射ていたが、しかし同時に謎を孕んでもいた。
「……君こそ、それを探って、何がしたい?」
ムーンはしばし逡巡したものの、意を決して反問する。それは彼女の推理が当たっていると認める行為でもあったが、他に選択肢もないのだからやむを得ない。下手にはぐらかすよりも、彼女の狙いを突き止めることの方が今は重要だった。
「何って、そんなの決まってるでしょ」
警戒心を露わにするムーンだが、フェンリルはさも当たり前のように、片手の指を擦り合わせて答えた。そのジェスチャーの意味は、考えるまでもない。
「……金か」
「あたしはこの店の常連じゃない。だから、たとえあんたが摘発に来た刑事でも、あたしは何にも困らないんだ。逆にもし協力者が必要なら、お金次第で考えてあげてもいい」
かすかな軽蔑を滲ませて呟くと、フェンリルはカウンターに肘をつき小首を傾げて微笑んだ。可愛げのある仕草だが、振る舞いは露骨極まりない。しかし彼女の艶やかな青い瞳と、期待と興奮の入り混じった表情は、かつてないほど輝いていた。
「いいやり口だ」
堂々とした交渉に、ムーンは素直な賞賛を紡ぐ。そして一瞬の沈黙の後、彼女を見つめて頷いた。
「君の言う通りだ。僕は性欲の発散が目的で、この店に来たんじゃない」
彼はおもむろに眼鏡を外し、赤い瞳を露わにして彼女を眺める。大抵の者なら怯むはずの鋭い眼光にも、フェンリルは動じなかった。それどころか、悪戯っぽく冗談さえ返してくる。
「オジサンなら、こんなとこ来なくても、遊び相手ぐらいいくらでも見つけられそうだもんね」
「僕はここに、仕事を探しに来たんだ」
「仕事?バーテンダーでもやるっていうの?」
ムーンの告白に、彼女は更に首を捻り訝しげに唸る。彼女のそばに慎重に体を寄せ、ムーンは小声で囁いた。
「それも一つの手だけど……もっと手っ取り早く稼ぎたい」
「……え?」
彼の声色に含まれた、怪しい気配に気付いたのだろう。フェンリルは目を丸くして、疑いの眼差しをムーンに注いだ。ムーンは彼女の心情を手に取るように把握しつつ、表面上の平静を装って告げる。
「僕はちょっとばかり、特殊な仕事についているんだ。まぁ、ある種の専門職というか、ニッチな技術を売りにしている……だが、こういうタイプにはありがちなことだけど、肝心の勤め口がなくてね。腕には多少自信があるから、気は進まないけど顔を売って、人脈を広げておこうかと思ったのさ」
あえてぼかした言い方で話すと、彼女はすぐに引き込まれて彼の顔を見上げていた。もはや場の主導権は、完全にムーンに渡っている。
「要は、誰かに仕事を紹介してほしいってこと?」
「そうだ」
「こんなところで?」
「そうだ」
立て続けに放たれる疑問に、彼は淡々と首肯で応じる。フェンリルは未だ核心を掴みかねてぼんやりしていたが、ムーンはすかさず次の手を打った。
「ここでなら、業界の大物とお近付きになれると聞いた。君も知っているんじゃないのか?特別な人物だけが入れる、特別な部屋があると……」
カウンターに両腕を投げ出し、一層潜めた低音でボソボソと呟く。カマをかけたつもりだったが、全てを察したフェンリルはわずかに息を飲んだ。やはり、グシオンの情報は真実だったようだ。
「……あんた、マジで何なわけ?殺し屋?」
返答次第では今すぐ逃げると言いたげな調子だが、ムーンはひたすら沈黙を貫く。ただ片眉を上げて視線を遣ると、フェンリルの方から会話を補ってくれた。
「“向こう”に行けるのは、性癖のイカれた金持ちか、本物の犯罪者だけ。そんなのと知り合いになりたいとか、あんたも相当下半身がイカれてるか、法律なんてどうでもいいと思ってるか。どっちかでしょ」
「僕は変態じゃないよ。少なくとも、こんな場所で昂るタイプではない。これ以上は、知らない方が身のためさ」
彼女が言葉を切ったタイミングで口を開くと、フェンリルは表情を強張らせ、若干の恐怖を表す。
「言わなくていい。知りたくない」
彼女は両手で頭を抱えて、ふるふると首を横に振った。恐ろしいというよりも、単に面倒なことに関わりたくないのだろう。だが、せっかく提案を持ちかけた以上、稼げるはずの金をみすみす逃がすことにも抵抗があるらしかった。
「でも、どうやって近付く気なの?特別室には、専用のカードがないと入れない。カードを買うには、凄い額のお金が必要なんだよ?」
彼女はとうとう、抑えきれない好奇心に負けてムーンの顔色を窺う。恐々とした様子でこちらを窺ってくる彼女の目を、彼は臆すことなく凝視した。そして、キッパリと断言する。
「ないのなら、奪えばいい。誰か、カードを持っている人物を知らないかい?」
「君にはとても感謝しているよ、フェンリル」
二階フロアのバーカウンターにて、ムーンは彼女と並んで座り、親しげに酒を嗜んでいた。
「ここには友人の紹介で来たんだが、中々勝手が分からなくてね。困っていたんだ」
「いいって、気にしないでよ。オジサン、ほんと義理堅いね」
彼の紳士的な誠意は、彼女にとっては滑稽なものにしか映らないらしい。フェンリルは先程からやけに肩を震わせて笑いを漏らし、彼の態度を揶揄っていた。彼女が何か一言放つ度に、緑のメッシュを入れたミドルショートの金髪がふわふわと揺れる。
「あたしもさ、今夜は暇してたんだ。連れてきた客に上手いこと逃げられちゃってさ。あれはホント、しくじった」
彼女は俯くと、濃いグリーンのネイルをした爪で、カンパリソーダのグラスについた水滴をなぞった。“客”という単語を用いるくらいなのだから、やはり夜の商売をしているのだろうか。ムーンは深く追及したい思いも抱いたが、結局黙ってウィスキーを飲んだ。何しろこの店には、一人でいる客を決して放っておかないという、無言の圧力が充満しているからだ。自らの好奇心を優先しフェンリルを怒らせてしまえば、彼はたちまち孤独になり、名も知らない誰かによるセクハラを受ける羽目になる。それだけは、どうあっても避けたい事態であった。ましてや、営業行為もなしに接してくれる彼女は非常に貴重な存在なのだから、絶対に失うわけにはいかない。
「この店にはよく来るの?」
「あー、どうかな……状況による」
「そうか」
意図的に話題を切り替えると、フェンリルは再びグラスをなぞって、曖昧にはぐらかした。仕方なく、ムーンは適当に調子を合わせてやるが、頭の中には疑問符がいくつも飛び交っている。
本当に話すつもりがないのなら、上手い言い訳を設けて逃げ出せばいいだけだろう。にも関わらず、ずるずると居残る彼女の目的が、ムーンには今一つ掴めていなかった。彼は眼鏡を押し上げると、わずかに瞳を覗かせ彼女の真意を測ろうとする。フェンリルは彼の横に座ったまま、グラスを持ち上げて残りのカクテルを一気に飲み干した。
「もう一杯頼むかい?」
尋ねても、返事はない。かと思えば、彼女は突然グラスを置き、ムーンの方に膝を向けた。
「いいけど……あんたの目的を教えて」
彼女は鋭い視線でムーンを睨め上げ、低い声音で問いかける。その姿からは、先程までの淡白さが綺麗さっぱり消えていた。唐突な変化にムーンは困惑し、視線を左右に泳がせる。
「これだけ一緒にいるのに、何もしてこないってことは、あたしを口説きたいわけでもないんでしょ?他の客とイチャつきたいなら、あたしを追い払えばいいだけだし。あんたほど外面のいい男なら、いくらでも出来たはずだよ。でも、あんたはどっちもしなかった。じゃあ、何のためにここに来たの?」
フェンリルは棘のある口調で、淡々と畳み掛ける。どうやら彼女は、こちらの想像以上に頭の良い人物らしい。彼女の指摘は的を射ていたが、しかし同時に謎を孕んでもいた。
「……君こそ、それを探って、何がしたい?」
ムーンはしばし逡巡したものの、意を決して反問する。それは彼女の推理が当たっていると認める行為でもあったが、他に選択肢もないのだからやむを得ない。下手にはぐらかすよりも、彼女の狙いを突き止めることの方が今は重要だった。
「何って、そんなの決まってるでしょ」
警戒心を露わにするムーンだが、フェンリルはさも当たり前のように、片手の指を擦り合わせて答えた。そのジェスチャーの意味は、考えるまでもない。
「……金か」
「あたしはこの店の常連じゃない。だから、たとえあんたが摘発に来た刑事でも、あたしは何にも困らないんだ。逆にもし協力者が必要なら、お金次第で考えてあげてもいい」
かすかな軽蔑を滲ませて呟くと、フェンリルはカウンターに肘をつき小首を傾げて微笑んだ。可愛げのある仕草だが、振る舞いは露骨極まりない。しかし彼女の艶やかな青い瞳と、期待と興奮の入り混じった表情は、かつてないほど輝いていた。
「いいやり口だ」
堂々とした交渉に、ムーンは素直な賞賛を紡ぐ。そして一瞬の沈黙の後、彼女を見つめて頷いた。
「君の言う通りだ。僕は性欲の発散が目的で、この店に来たんじゃない」
彼はおもむろに眼鏡を外し、赤い瞳を露わにして彼女を眺める。大抵の者なら怯むはずの鋭い眼光にも、フェンリルは動じなかった。それどころか、悪戯っぽく冗談さえ返してくる。
「オジサンなら、こんなとこ来なくても、遊び相手ぐらいいくらでも見つけられそうだもんね」
「僕はここに、仕事を探しに来たんだ」
「仕事?バーテンダーでもやるっていうの?」
ムーンの告白に、彼女は更に首を捻り訝しげに唸る。彼女のそばに慎重に体を寄せ、ムーンは小声で囁いた。
「それも一つの手だけど……もっと手っ取り早く稼ぎたい」
「……え?」
彼の声色に含まれた、怪しい気配に気付いたのだろう。フェンリルは目を丸くして、疑いの眼差しをムーンに注いだ。ムーンは彼女の心情を手に取るように把握しつつ、表面上の平静を装って告げる。
「僕はちょっとばかり、特殊な仕事についているんだ。まぁ、ある種の専門職というか、ニッチな技術を売りにしている……だが、こういうタイプにはありがちなことだけど、肝心の勤め口がなくてね。腕には多少自信があるから、気は進まないけど顔を売って、人脈を広げておこうかと思ったのさ」
あえてぼかした言い方で話すと、彼女はすぐに引き込まれて彼の顔を見上げていた。もはや場の主導権は、完全にムーンに渡っている。
「要は、誰かに仕事を紹介してほしいってこと?」
「そうだ」
「こんなところで?」
「そうだ」
立て続けに放たれる疑問に、彼は淡々と首肯で応じる。フェンリルは未だ核心を掴みかねてぼんやりしていたが、ムーンはすかさず次の手を打った。
「ここでなら、業界の大物とお近付きになれると聞いた。君も知っているんじゃないのか?特別な人物だけが入れる、特別な部屋があると……」
カウンターに両腕を投げ出し、一層潜めた低音でボソボソと呟く。カマをかけたつもりだったが、全てを察したフェンリルはわずかに息を飲んだ。やはり、グシオンの情報は真実だったようだ。
「……あんた、マジで何なわけ?殺し屋?」
返答次第では今すぐ逃げると言いたげな調子だが、ムーンはひたすら沈黙を貫く。ただ片眉を上げて視線を遣ると、フェンリルの方から会話を補ってくれた。
「“向こう”に行けるのは、性癖のイカれた金持ちか、本物の犯罪者だけ。そんなのと知り合いになりたいとか、あんたも相当下半身がイカれてるか、法律なんてどうでもいいと思ってるか。どっちかでしょ」
「僕は変態じゃないよ。少なくとも、こんな場所で昂るタイプではない。これ以上は、知らない方が身のためさ」
彼女が言葉を切ったタイミングで口を開くと、フェンリルは表情を強張らせ、若干の恐怖を表す。
「言わなくていい。知りたくない」
彼女は両手で頭を抱えて、ふるふると首を横に振った。恐ろしいというよりも、単に面倒なことに関わりたくないのだろう。だが、せっかく提案を持ちかけた以上、稼げるはずの金をみすみす逃がすことにも抵抗があるらしかった。
「でも、どうやって近付く気なの?特別室には、専用のカードがないと入れない。カードを買うには、凄い額のお金が必要なんだよ?」
彼女はとうとう、抑えきれない好奇心に負けてムーンの顔色を窺う。恐々とした様子でこちらを窺ってくる彼女の目を、彼は臆すことなく凝視した。そして、キッパリと断言する。
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