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張り巡らされた罠
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昔々、まだ三つの世界が分たれていなかった頃。人間の国で戦争が起こった。人間たちの聡明な王ソロモンは、地上で遊んでいた悪魔たちを説得し、自分の国に加勢してくれるようにと頼み込んだ。賢いものと愚かなものが大好きな悪魔たちは、すぐにソロモンの誘いに乗り、彼の味方となることを確約。彼らの協力にソロモンは深く感謝し、力を貸してくれた悪魔たちの名を、本にして書き残した。その本は今でも大切に扱われ、記された72人の悪魔たちの名前は、伝説となって語り継がれている。
炎で出来た鳥の姿の悪魔も英雄の内の一人だった。彼は時を操る大魔導師で、ほぼ永遠にも等しい長い時間を生きていた。彼の涙はどんな傷も癒やし、彼の尾羽は死者をも蘇らせると言われていた。また、彼の外見と寿命がないというイメージが結び付き、人間たちの社会に“不死鳥信仰”をもたらした。死の終わりを迎えることのない彼を、彼らは酷く羨み、礼賛し、憧れの的として慕い続けた。しかし、彼らの厚い崇拝は、フェニックスにとっては悲劇でしかなかったのだ。
人間たちの盲信は、やがて地上の世界に新たな戦争を生むこととなった。彼らの炎を見たフェニックスは、己の持つ絶大な影響力に恐怖し、地底の世界へと逃げ帰った。そして、もう二度と誰も傷付けることがないよう、自分自身の命と引き換えに大事な魔法を封印した……
「……どういうことだ?」
ムーンは資料を雑に捲り、発見した資料を最後のページまでくまなく検める。
そこに書かれていたのは、ソロモンの悪魔が一人、フェニックスにまつわる物語だった。ムーンもかつて、童話として子供たちに読み聞かせたことがある。特に、彼が残したと言われる古代遺物の伝説は、現代でも多くの悪魔たちに信じられていた。
名付けて、“不死鳥の心臓”。実しやかに実在を囁かれる一方で、未だ誰にも探し出されていない秘宝である。古代遺物の種類や研究の進捗は、メレフとの騒動の後で詳細に調べたから、ムーンもよく覚えていた。要するに、あくまで伝説の一つでしかない怪しげな代物というわけだ。にも関わらず、この物語が今もなお市民の心を惹きつける理由は、遺物の持つ特別な効果にある。
「何故、こんなものを……?」
思わず呟いた直後、ムーンは背後に何者かの気配を感じ取った、パンと乾いた音が鳴り、左腕に鋭い痛みが走る。焼けるような熱さと同時に、撃たれたことに気付いた。傷口を押さえた掌が、ぬるりと生温かい血で濡れる。
次弾が放たれる前に、彼は急いで物陰に回り込んだ。キッチンとリビングを隔てる壁に、背中をつけて身を隠す。咄嗟に汚れた手を懐に突っ込み、銃を掴もうとするも、滑ってしまって上手くいかない。
(……嵌められたか)
直感的に、頭の中で声が響く。
彼は恐らく、罠にかけられたのだ。仕掛けたのはセイガと、そしてグシオンの二人だろう。グシオンは初めからセイガと結託しており、邪魔なムーンを排除するために、あえて彼の居場所を教えた。そのことを報告されたセイガは、手下と共に身を潜め、侵入者を襲う瞬間を待ち侘びていたに違いない。であれば、あのフェンリルという女も、グシオンまたはセイガに雇われた協力者だったのか。彼女の出現は、確かにあまりにも都合が良かった。けれど、セイガのアジトに侵入出来るならと、危険を承知で信じ込んでしまったのだ。
あるいは、単にセイガの知能が並み外れていて、起こる出来事全てを把握していただけなのかも知れないが。彼はヘリオス・ラムダに狙われていることも、グシオンが情報を吐くことも予期していて、返り討ちにする計画を立てていた。どちらにしろ、ムーンが敵の掌でまんまと踊らされたことには変わりがない。
「ふぅ……」
彼は暗がりに紛れたまま、静かに息を吐いた。ズボンの生地で血に濡れた手を拭い、再びグリップを握り直した。
タイミングのいいことに、敵の銃声は止んでいる。再装填が行われているわずかな隙をついて、ムーンは口を開いた。
「待ってくれ!」
意図的に焦燥で上擦った声を作ってみたものの、応答はない。とはいえ、再び発砲されることもなかったため、とりあえずは交渉の余地があると判断した。ムーンは慎重に相手の出方を窺いつつ、言葉を選んで質問を投げかける。
「侵入者が誰かも調べずに、殺してしまうのは惜しいだろう?」
「……殺してからでも、いくらでも調べはつく」
数秒の沈黙の後、返ってきたのは冷酷で無慈悲な答えであった。尤も、こちらは勝手に部屋に忍び込んでいるのだから、すげなく扱われるのは当然の帰結だったが。
「そうかな?面倒じゃないか?それとも、口頭での尋問に自信がないのかい?」
「黙れ。その程度の挑発で、俺が冷静さを欠くと思ったのか?」
ムーンは辛抱強く会話の糸口を探るが、彼の対応は軟化しない。だが、少なくともその声音から正体を掴むことは出来た。
「ははっ、まさか。君ほど警戒心の強い男が、軽はずみなことをするとは思っていないよ。だから、驚いているんだ。わざわざボス自らが出向いてくれるなんてね……光栄だと言うべきかな?セイガ」
彼は緩慢に首を振り、半ば苦笑さえこぼしてから男の名を呼ぶ。セイガはその不敵な態度にも動じず、ただ軽く鼻を鳴らして嘲笑った。
「ふん……なら、姿を見せろ。隠れたままじゃ、“お話”も出来ないだろ?」
皮肉げな口調に、ムーンは大人しく従う。
「銃を捨てろ。こっちに寄越せ。両手を挙げろ……そうだ。そのまま、こっちへ来い」
指示される通りに、体を回転させて声のする方に振り向いた。銃を彼のもとへ蹴ってやり、そろそろと壁の陰から半身を覗かせると、ブルーグレーの色をした冷徹な眼差しとぶつかる。
リビングの入り口に立っていたのは、案の定セイガだった。彼はリボルバー拳銃を手にして、屹然と彼を睨んでいる。意外なことに、周囲に手下や仲間の姿はなかった。
「君、一人か?」
「あぁ。このアイテムで姿を隠せるのは、一人だけだからな」
確認のために問うと、彼は鷹揚に頷いて、首にかけたネックレスを外す。わざとらしくカーペットに投げられたそれは、黒いチェーンに知恵の輪のような飾りがついたアイテムであった。セイガが足で踏み付けると、複雑に絡み合った輪が壊れ、魔法の効果が消滅する。“不可知の魔法”でも込められていたのだろう。
「だが、それで十分だ。害虫駆除に、貴重な人手を割いている暇はない」
セイガは酷薄な無表情を崩し、唇の片方だけを器用に捻じ曲げた。銃の先端をピタリとムーンに突き付けたまま、特徴的な青い髪を指で払う。
「中々、賢そうな顔だ」
「覚えていないのかい?昨日、顔を合わせただろう」
彼の感想に、ムーンは間髪を容れず質問で返した。だが、セイガはすぐには思い出せないらしく、眉根を寄せて考え込む。そして、しばらく経ってから失笑を漏らした。
「あぁ、あの小娘の父親か。バカなガキを持つと、苦労するようだな」
「いや、君のおかげで大分落ち着いてきたところだ。反抗期も、じきに終わりそうだよ」
挑発的に放たれた雑言に、ムーンはあくまで沈着に応じる。娘を大切に思う気持ちは本当だったが、かといってあけすけな挑発に引っかかるほど、彼は愚かでもないのだから。
「なら、俺を憎んでいるわけでもないだろ?個人的な恨みでも、金をもらった殺し屋でもない……生きるための殺しなら、俺より殺りやすいゴミ共が山ほどいるはずだ」
ところが、セイガは予想が外れた様子など見せず、淡々と話を続けてきた。
「何のことだい?」
彼の非情な性格には構わず、ムーンはわざとらしい言動で白を切る。セイガはそれをぴしゃりと撥ね付け、ご丁寧に種明かしをしてくれた。
「惚ける必要はない。お前たちの正体も、目的も、俺には全て分かっている。そろそろ勘付かれる頃だと思っていた。だから、偽の情報をばら撒いた……食いついてくれて何よりだ」
「……そういうことか」
納得心を抱いたムーンは、思わず小さな声で呟く。彼は懸命に平静を装っていたが、シャツの下の肌は嫌な汗で湿っていた。
「俺はお前たちを探していた。十一番目の太陽……俺はお前たちに、宣戦布告をしに来た」
彼に向かって、セイガは歯切れのいい口調で断言した。拳銃の安全装置が外される、硬い金属質な音が響く。ムーンの内心に不愉快なさざなみが立つのを、セイガは手に取るように察知して笑みを深めた。
炎で出来た鳥の姿の悪魔も英雄の内の一人だった。彼は時を操る大魔導師で、ほぼ永遠にも等しい長い時間を生きていた。彼の涙はどんな傷も癒やし、彼の尾羽は死者をも蘇らせると言われていた。また、彼の外見と寿命がないというイメージが結び付き、人間たちの社会に“不死鳥信仰”をもたらした。死の終わりを迎えることのない彼を、彼らは酷く羨み、礼賛し、憧れの的として慕い続けた。しかし、彼らの厚い崇拝は、フェニックスにとっては悲劇でしかなかったのだ。
人間たちの盲信は、やがて地上の世界に新たな戦争を生むこととなった。彼らの炎を見たフェニックスは、己の持つ絶大な影響力に恐怖し、地底の世界へと逃げ帰った。そして、もう二度と誰も傷付けることがないよう、自分自身の命と引き換えに大事な魔法を封印した……
「……どういうことだ?」
ムーンは資料を雑に捲り、発見した資料を最後のページまでくまなく検める。
そこに書かれていたのは、ソロモンの悪魔が一人、フェニックスにまつわる物語だった。ムーンもかつて、童話として子供たちに読み聞かせたことがある。特に、彼が残したと言われる古代遺物の伝説は、現代でも多くの悪魔たちに信じられていた。
名付けて、“不死鳥の心臓”。実しやかに実在を囁かれる一方で、未だ誰にも探し出されていない秘宝である。古代遺物の種類や研究の進捗は、メレフとの騒動の後で詳細に調べたから、ムーンもよく覚えていた。要するに、あくまで伝説の一つでしかない怪しげな代物というわけだ。にも関わらず、この物語が今もなお市民の心を惹きつける理由は、遺物の持つ特別な効果にある。
「何故、こんなものを……?」
思わず呟いた直後、ムーンは背後に何者かの気配を感じ取った、パンと乾いた音が鳴り、左腕に鋭い痛みが走る。焼けるような熱さと同時に、撃たれたことに気付いた。傷口を押さえた掌が、ぬるりと生温かい血で濡れる。
次弾が放たれる前に、彼は急いで物陰に回り込んだ。キッチンとリビングを隔てる壁に、背中をつけて身を隠す。咄嗟に汚れた手を懐に突っ込み、銃を掴もうとするも、滑ってしまって上手くいかない。
(……嵌められたか)
直感的に、頭の中で声が響く。
彼は恐らく、罠にかけられたのだ。仕掛けたのはセイガと、そしてグシオンの二人だろう。グシオンは初めからセイガと結託しており、邪魔なムーンを排除するために、あえて彼の居場所を教えた。そのことを報告されたセイガは、手下と共に身を潜め、侵入者を襲う瞬間を待ち侘びていたに違いない。であれば、あのフェンリルという女も、グシオンまたはセイガに雇われた協力者だったのか。彼女の出現は、確かにあまりにも都合が良かった。けれど、セイガのアジトに侵入出来るならと、危険を承知で信じ込んでしまったのだ。
あるいは、単にセイガの知能が並み外れていて、起こる出来事全てを把握していただけなのかも知れないが。彼はヘリオス・ラムダに狙われていることも、グシオンが情報を吐くことも予期していて、返り討ちにする計画を立てていた。どちらにしろ、ムーンが敵の掌でまんまと踊らされたことには変わりがない。
「ふぅ……」
彼は暗がりに紛れたまま、静かに息を吐いた。ズボンの生地で血に濡れた手を拭い、再びグリップを握り直した。
タイミングのいいことに、敵の銃声は止んでいる。再装填が行われているわずかな隙をついて、ムーンは口を開いた。
「待ってくれ!」
意図的に焦燥で上擦った声を作ってみたものの、応答はない。とはいえ、再び発砲されることもなかったため、とりあえずは交渉の余地があると判断した。ムーンは慎重に相手の出方を窺いつつ、言葉を選んで質問を投げかける。
「侵入者が誰かも調べずに、殺してしまうのは惜しいだろう?」
「……殺してからでも、いくらでも調べはつく」
数秒の沈黙の後、返ってきたのは冷酷で無慈悲な答えであった。尤も、こちらは勝手に部屋に忍び込んでいるのだから、すげなく扱われるのは当然の帰結だったが。
「そうかな?面倒じゃないか?それとも、口頭での尋問に自信がないのかい?」
「黙れ。その程度の挑発で、俺が冷静さを欠くと思ったのか?」
ムーンは辛抱強く会話の糸口を探るが、彼の対応は軟化しない。だが、少なくともその声音から正体を掴むことは出来た。
「ははっ、まさか。君ほど警戒心の強い男が、軽はずみなことをするとは思っていないよ。だから、驚いているんだ。わざわざボス自らが出向いてくれるなんてね……光栄だと言うべきかな?セイガ」
彼は緩慢に首を振り、半ば苦笑さえこぼしてから男の名を呼ぶ。セイガはその不敵な態度にも動じず、ただ軽く鼻を鳴らして嘲笑った。
「ふん……なら、姿を見せろ。隠れたままじゃ、“お話”も出来ないだろ?」
皮肉げな口調に、ムーンは大人しく従う。
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指示される通りに、体を回転させて声のする方に振り向いた。銃を彼のもとへ蹴ってやり、そろそろと壁の陰から半身を覗かせると、ブルーグレーの色をした冷徹な眼差しとぶつかる。
リビングの入り口に立っていたのは、案の定セイガだった。彼はリボルバー拳銃を手にして、屹然と彼を睨んでいる。意外なことに、周囲に手下や仲間の姿はなかった。
「君、一人か?」
「あぁ。このアイテムで姿を隠せるのは、一人だけだからな」
確認のために問うと、彼は鷹揚に頷いて、首にかけたネックレスを外す。わざとらしくカーペットに投げられたそれは、黒いチェーンに知恵の輪のような飾りがついたアイテムであった。セイガが足で踏み付けると、複雑に絡み合った輪が壊れ、魔法の効果が消滅する。“不可知の魔法”でも込められていたのだろう。
「だが、それで十分だ。害虫駆除に、貴重な人手を割いている暇はない」
セイガは酷薄な無表情を崩し、唇の片方だけを器用に捻じ曲げた。銃の先端をピタリとムーンに突き付けたまま、特徴的な青い髪を指で払う。
「中々、賢そうな顔だ」
「覚えていないのかい?昨日、顔を合わせただろう」
彼の感想に、ムーンは間髪を容れず質問で返した。だが、セイガはすぐには思い出せないらしく、眉根を寄せて考え込む。そして、しばらく経ってから失笑を漏らした。
「あぁ、あの小娘の父親か。バカなガキを持つと、苦労するようだな」
「いや、君のおかげで大分落ち着いてきたところだ。反抗期も、じきに終わりそうだよ」
挑発的に放たれた雑言に、ムーンはあくまで沈着に応じる。娘を大切に思う気持ちは本当だったが、かといってあけすけな挑発に引っかかるほど、彼は愚かでもないのだから。
「なら、俺を憎んでいるわけでもないだろ?個人的な恨みでも、金をもらった殺し屋でもない……生きるための殺しなら、俺より殺りやすいゴミ共が山ほどいるはずだ」
ところが、セイガは予想が外れた様子など見せず、淡々と話を続けてきた。
「何のことだい?」
彼の非情な性格には構わず、ムーンはわざとらしい言動で白を切る。セイガはそれをぴしゃりと撥ね付け、ご丁寧に種明かしをしてくれた。
「惚ける必要はない。お前たちの正体も、目的も、俺には全て分かっている。そろそろ勘付かれる頃だと思っていた。だから、偽の情報をばら撒いた……食いついてくれて何よりだ」
「……そういうことか」
納得心を抱いたムーンは、思わず小さな声で呟く。彼は懸命に平静を装っていたが、シャツの下の肌は嫌な汗で湿っていた。
「俺はお前たちを探していた。十一番目の太陽……俺はお前たちに、宣戦布告をしに来た」
彼に向かって、セイガは歯切れのいい口調で断言した。拳銃の安全装置が外される、硬い金属質な音が響く。ムーンの内心に不愉快なさざなみが立つのを、セイガは手に取るように察知して笑みを深めた。
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