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開業医ネプチューン
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「う……」
窓から差し込む日差しによって、ムーンの意識は浮上する。小さく呻きを上げ、瞼を擦ると、微睡みに浸っていた思考が一気に回転を始めた。
「っ……イタタタ」
慎重に上体を起こすと、左肩の傷がズキリと痛む。無意識に伸ばした指先に、包帯の乾いた感触が触れた。眠っている間に、誰かが手当をしてくれたらしい。
「アラ、起きたのネ、ムーン!」
その人物の正体は、呆気なく判明した。ベッドの前に垂れ下がるカーテンを、ゴツゴツした大きな手が無造作に引き開ける。白い薄手の生地の奥から、小麦色の肌をした大男が姿を覗かせた。彫りの深い顔には濃い髭と厚化粧が同時に存在し、タイトなデザインのミニスカートからは、鍛え上げられた太い足がはみ出している。
「随分寝坊すけだったじゃなぁい?御伽話みたいに、キスで起こしてあげれば良かったかしらン♡」
男はムーンの全身をじろじろと眺めると、大胆に距離を縮めてウィンクを飛ばしてきた。長いつけまつ毛がはためき、アイシャドウのラメが散る。低く野太い声から、甘ったるい口調が紡がれるのがアンバランス極まりない。
「おはよう、ネプチューン……キスを踏み留まってくれて助かるよ」
「いやン、もう、失礼しちゃうわネ!」
だが、既に慣れきっているムーンは、今更違和感を覚えることもなく軽口で返した。ネプチューンはわざとらしく腰をくねらせ、拗ねた演技を披露してから、ヒールの音を鳴らしてもう一つのベッドに向かう。その間に、ムーンは室内を見回した。
彼がいるのは、いかにも病室といった雰囲気の部屋だった。狭いが清潔感のある空間に、特有のアルコール臭がほんのりと漂っている。壁際には薬の入った戸棚が並び、扉には人体の構造が記された絵図などが貼られていた。記憶にあるものと変わらない光景に、ムーンは若干の懐かしさを覚える。
ネプチューンは、ムーンと同じヘリオス・ラムダの特級エージェントだ。一方で、彼はアレキサ地区の片隅で小児科クリニックを営む、優秀な医者でもある。筋骨隆々とした、身長200センチを超える巨漢だが、趣味は日常的にドラァグクイーンのような派手な女装で暮らすこと。今日の服装も気合いが入ったもので、水玉柄のブラウスとターコイズグリーンのタイトスカートを纏っていた。紫に染めた長髪をポニーテールに縛り、手足は同じ色のヒールとマニキュアで飾られている。耳には大きな金のフープピアスが揺れて、揃いのデザインのブレスレットが身動ぐ度に煌めいた。唇に引かれたルージュだけが、情熱的で鮮やかな赤を放っている。だが彼の自己申告によれば、“女装が好きなだけの男”であって、ゲイやトランスジェンダーではないらしい。
「ほら、いつまで寝てるの!起きなサイ!!」
「ぐぅ……んぁ?」
彼は勢いよく隣のカーテンも引き開け、横たわっていた男に大声を浴びせる。すると、奇怪な寝相でいびきをかいていた人物は、くぐもった声音で応じた。短髪の頭が、緩慢な動きで持ち上がる。
「何だよ~……せっかく、いい夢見てたってのに」
「グシオン!」
「おー……起きたのか、ムーンさん……」
ムーンが驚いて名前を口にすると、グシオンは寝ぼけた調子でおざなりな返事をした。座った姿勢で再び寝入りそうになる彼の背を、ネプチューンがバシンと叩く。
「ちょっと!あんた、また寝酒したの!?シーツにシミがつくじゃないの!!」
「イッテェ!何すんだよ!」
「それはこっちの台詞ヨ!!」
彼が枕元に放置したビールの空き缶を拾い、ネプチューンは眉を吊り上げる。グシオンは打たれた背中の痛みに呻いたものの、すぐに負けじと反駁した。しかし、相手もそれで引き下がる人物ではない。
「大体ネ!あんたときたら、いつまでも患者用のベッドに我が物顔で居座って!ここはワタシのクリニックなのヨ!?いい加減、出ていってもらうカラネッ!!」
指を突き付けて叱責され、グシオンはさも面倒臭そうに眉根を寄せる。渋々と起き上がる彼の身体は、毒々しい虹色に輝く菊柄のパジャマに包まれていた。
「堅ぇこと言うなって。俺はもう三日もここに寝泊まりしてんだぜ?もう家の一つみたいなもんだろうが」
「絶ッ対に違うカラ!!」
「待て!待ってくれ……僕は、三日も寝てたのか?」
小競り合いを繰り広げる彼らのやり取りから、聞き捨てならない単語を見つけ出し、ムーンは割って入る。激しく争っていたネプチューンとグシオンは、途端に驚きの表情を揃って浮かべ、彼を凝視した。
「えぇ、そうヨ?」
「そうだぜ?俺が、助けてやったんだ」
同じ速度で頷く彼らの言葉に、ムーンは思わず衝撃を受けて絶句する。せいぜい数時間寝過ごしただけと考えていたのに、まさか三日間も眠っていたとは。愕然とする以外他にない事実だった。
「三日前の深夜に、いきなりこの男があんたを担いで現れたのヨ。あんたは出血が酷くて、も~大変だったんだカラ!あと少しでオダブツだったわヨ!」
「ムーンさん、ほんとに覚えてねぇのか?あんたがここに行けって言ったんだぜ?」
不思議そうに互いを見交わしたネプチューンとグシオンが、それぞれ三日前のあらましを語る。彼らの説明を聞いていると、ムーンの脳内に漠然とではあるが少しずつ、過去の記憶が蘇ってきた。
『一発で、頼む』
『カカッ、了解!』
グシオンが放った弾丸は、本当に一発でムーンを貫く氷柱を粉砕した。支えを失った彼の体は崩れ落ち、急いで駆け寄ったグシオンの手で、残りの氷塊の中から救い出されることとなった。だがちょうどその時、停電していた電力が復旧してしまったのだ。室内は煌々と明かりに照らし出され、稼働を再開したエレベーターから、騒ぎを聞き付けた従業員たちが流れ込んできた。しかし、グシオンは既にムーンを背負って脱出していたため、二人は誰にも目撃されず逃亡することが出来たのであった。
グシオンはそれから、身軽な動きで隣のビルに飛び移り、用意しておいた清掃用ゴンドラに乗って地上まで一気に降下。携帯で救急車を呼ぼうとする彼を、ムーンは必死に制止して掠れた声で指示を出した。近所に“同業”がやっている病院があるから、そこまで連れて行ってほしいと。そして住所を伝えると、グシオンはすぐさま彼の頼みを聞き入れた。
『おい、ムーンさん!しっかりしろ!!』
盗んだ車で目的地へ走る途中、助手席に座って震えているムーンに、グシオンは何度も懸命な呼びかけを続けていた。止血のために肩に触れた彼の手は、瞬く間に真っ赤に染まった。やがて指定された場所に辿り着くと、グシオンはムーンを背負って玄関のドアを蹴破り、建物の中に飛び込んだ。夜中にいきなり押し入られて、襲撃かと警戒を強めたネプチューンだったが、怪我人の存在を知るとすぐに敵意を引っ込めた。剰え患者がムーンと分かるや否や、彼は尚更熱意に駆られて、グシオンを助手につけて処置を開始したのだった。
「あぁ……思い出した」
傷口を縫われる時の痛みを、ムーンは朧げに思い出して首を振る。それを見たネプチューンが、安堵の表情で嬉しそうに両手を合わせた。
「それは良かった。記憶も正常みたいネ。まぁ、しばらくは混乱もあるでしょうケド……それよりムーン!このちんちくりんに何か言ってやってヨ!」
ところが、感激したのも束の間、彼の話題は即座にグシオンへの不満に変わる。
「こいつったらもう、真面目な話は何もしないくせに、部屋から離れようとしないの!患者の物は盗むし、ワタシのカードでピザとか勝手に頼むし、スマートフォンのパスワードだって卑猥なのに変えられたし!!」
「よせやい。そんなに褒められたら照れるじゃねぇか」
「褒めてないケド!?」
「カカカカッ!」
ほとんど絶叫に近い調子で非難されても、グシオンは芝居がかったはにかみ顔でネプチューンを嘲弄する。いつ親しくなったのか、コミカルな会話を展開している彼らの片方を、ムーンは油断のない眼差しで射抜いた。
窓から差し込む日差しによって、ムーンの意識は浮上する。小さく呻きを上げ、瞼を擦ると、微睡みに浸っていた思考が一気に回転を始めた。
「っ……イタタタ」
慎重に上体を起こすと、左肩の傷がズキリと痛む。無意識に伸ばした指先に、包帯の乾いた感触が触れた。眠っている間に、誰かが手当をしてくれたらしい。
「アラ、起きたのネ、ムーン!」
その人物の正体は、呆気なく判明した。ベッドの前に垂れ下がるカーテンを、ゴツゴツした大きな手が無造作に引き開ける。白い薄手の生地の奥から、小麦色の肌をした大男が姿を覗かせた。彫りの深い顔には濃い髭と厚化粧が同時に存在し、タイトなデザインのミニスカートからは、鍛え上げられた太い足がはみ出している。
「随分寝坊すけだったじゃなぁい?御伽話みたいに、キスで起こしてあげれば良かったかしらン♡」
男はムーンの全身をじろじろと眺めると、大胆に距離を縮めてウィンクを飛ばしてきた。長いつけまつ毛がはためき、アイシャドウのラメが散る。低く野太い声から、甘ったるい口調が紡がれるのがアンバランス極まりない。
「おはよう、ネプチューン……キスを踏み留まってくれて助かるよ」
「いやン、もう、失礼しちゃうわネ!」
だが、既に慣れきっているムーンは、今更違和感を覚えることもなく軽口で返した。ネプチューンはわざとらしく腰をくねらせ、拗ねた演技を披露してから、ヒールの音を鳴らしてもう一つのベッドに向かう。その間に、ムーンは室内を見回した。
彼がいるのは、いかにも病室といった雰囲気の部屋だった。狭いが清潔感のある空間に、特有のアルコール臭がほんのりと漂っている。壁際には薬の入った戸棚が並び、扉には人体の構造が記された絵図などが貼られていた。記憶にあるものと変わらない光景に、ムーンは若干の懐かしさを覚える。
ネプチューンは、ムーンと同じヘリオス・ラムダの特級エージェントだ。一方で、彼はアレキサ地区の片隅で小児科クリニックを営む、優秀な医者でもある。筋骨隆々とした、身長200センチを超える巨漢だが、趣味は日常的にドラァグクイーンのような派手な女装で暮らすこと。今日の服装も気合いが入ったもので、水玉柄のブラウスとターコイズグリーンのタイトスカートを纏っていた。紫に染めた長髪をポニーテールに縛り、手足は同じ色のヒールとマニキュアで飾られている。耳には大きな金のフープピアスが揺れて、揃いのデザインのブレスレットが身動ぐ度に煌めいた。唇に引かれたルージュだけが、情熱的で鮮やかな赤を放っている。だが彼の自己申告によれば、“女装が好きなだけの男”であって、ゲイやトランスジェンダーではないらしい。
「ほら、いつまで寝てるの!起きなサイ!!」
「ぐぅ……んぁ?」
彼は勢いよく隣のカーテンも引き開け、横たわっていた男に大声を浴びせる。すると、奇怪な寝相でいびきをかいていた人物は、くぐもった声音で応じた。短髪の頭が、緩慢な動きで持ち上がる。
「何だよ~……せっかく、いい夢見てたってのに」
「グシオン!」
「おー……起きたのか、ムーンさん……」
ムーンが驚いて名前を口にすると、グシオンは寝ぼけた調子でおざなりな返事をした。座った姿勢で再び寝入りそうになる彼の背を、ネプチューンがバシンと叩く。
「ちょっと!あんた、また寝酒したの!?シーツにシミがつくじゃないの!!」
「イッテェ!何すんだよ!」
「それはこっちの台詞ヨ!!」
彼が枕元に放置したビールの空き缶を拾い、ネプチューンは眉を吊り上げる。グシオンは打たれた背中の痛みに呻いたものの、すぐに負けじと反駁した。しかし、相手もそれで引き下がる人物ではない。
「大体ネ!あんたときたら、いつまでも患者用のベッドに我が物顔で居座って!ここはワタシのクリニックなのヨ!?いい加減、出ていってもらうカラネッ!!」
指を突き付けて叱責され、グシオンはさも面倒臭そうに眉根を寄せる。渋々と起き上がる彼の身体は、毒々しい虹色に輝く菊柄のパジャマに包まれていた。
「堅ぇこと言うなって。俺はもう三日もここに寝泊まりしてんだぜ?もう家の一つみたいなもんだろうが」
「絶ッ対に違うカラ!!」
「待て!待ってくれ……僕は、三日も寝てたのか?」
小競り合いを繰り広げる彼らのやり取りから、聞き捨てならない単語を見つけ出し、ムーンは割って入る。激しく争っていたネプチューンとグシオンは、途端に驚きの表情を揃って浮かべ、彼を凝視した。
「えぇ、そうヨ?」
「そうだぜ?俺が、助けてやったんだ」
同じ速度で頷く彼らの言葉に、ムーンは思わず衝撃を受けて絶句する。せいぜい数時間寝過ごしただけと考えていたのに、まさか三日間も眠っていたとは。愕然とする以外他にない事実だった。
「三日前の深夜に、いきなりこの男があんたを担いで現れたのヨ。あんたは出血が酷くて、も~大変だったんだカラ!あと少しでオダブツだったわヨ!」
「ムーンさん、ほんとに覚えてねぇのか?あんたがここに行けって言ったんだぜ?」
不思議そうに互いを見交わしたネプチューンとグシオンが、それぞれ三日前のあらましを語る。彼らの説明を聞いていると、ムーンの脳内に漠然とではあるが少しずつ、過去の記憶が蘇ってきた。
『一発で、頼む』
『カカッ、了解!』
グシオンが放った弾丸は、本当に一発でムーンを貫く氷柱を粉砕した。支えを失った彼の体は崩れ落ち、急いで駆け寄ったグシオンの手で、残りの氷塊の中から救い出されることとなった。だがちょうどその時、停電していた電力が復旧してしまったのだ。室内は煌々と明かりに照らし出され、稼働を再開したエレベーターから、騒ぎを聞き付けた従業員たちが流れ込んできた。しかし、グシオンは既にムーンを背負って脱出していたため、二人は誰にも目撃されず逃亡することが出来たのであった。
グシオンはそれから、身軽な動きで隣のビルに飛び移り、用意しておいた清掃用ゴンドラに乗って地上まで一気に降下。携帯で救急車を呼ぼうとする彼を、ムーンは必死に制止して掠れた声で指示を出した。近所に“同業”がやっている病院があるから、そこまで連れて行ってほしいと。そして住所を伝えると、グシオンはすぐさま彼の頼みを聞き入れた。
『おい、ムーンさん!しっかりしろ!!』
盗んだ車で目的地へ走る途中、助手席に座って震えているムーンに、グシオンは何度も懸命な呼びかけを続けていた。止血のために肩に触れた彼の手は、瞬く間に真っ赤に染まった。やがて指定された場所に辿り着くと、グシオンはムーンを背負って玄関のドアを蹴破り、建物の中に飛び込んだ。夜中にいきなり押し入られて、襲撃かと警戒を強めたネプチューンだったが、怪我人の存在を知るとすぐに敵意を引っ込めた。剰え患者がムーンと分かるや否や、彼は尚更熱意に駆られて、グシオンを助手につけて処置を開始したのだった。
「あぁ……思い出した」
傷口を縫われる時の痛みを、ムーンは朧げに思い出して首を振る。それを見たネプチューンが、安堵の表情で嬉しそうに両手を合わせた。
「それは良かった。記憶も正常みたいネ。まぁ、しばらくは混乱もあるでしょうケド……それよりムーン!このちんちくりんに何か言ってやってヨ!」
ところが、感激したのも束の間、彼の話題は即座にグシオンへの不満に変わる。
「こいつったらもう、真面目な話は何もしないくせに、部屋から離れようとしないの!患者の物は盗むし、ワタシのカードでピザとか勝手に頼むし、スマートフォンのパスワードだって卑猥なのに変えられたし!!」
「よせやい。そんなに褒められたら照れるじゃねぇか」
「褒めてないケド!?」
「カカカカッ!」
ほとんど絶叫に近い調子で非難されても、グシオンは芝居がかったはにかみ顔でネプチューンを嘲弄する。いつ親しくなったのか、コミカルな会話を展開している彼らの片方を、ムーンは油断のない眼差しで射抜いた。
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