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特級エージェント暴走
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「うぉっ!?」
いきなり背後から襟首を掴まれ、引っ張られてグシオンはベッドの上にうつ伏せに倒れる。驚いて声を上げる彼の背に、ムーンは素早く乗り上げ体重をかけて圧迫した。
「ちょ、ちょっとムーン!?」
「全て思い出したよ、グシオン……君が僕を、罠に嵌めたこともね」
突然の横暴にネプチューンが慌て、カラーコンタクトを入れた目を見開く。しかし、ムーンは彼に応えることなく、グシオンへの尋問を続行した。
「ずっとここで、僕が目覚めるのを待っていたのか?何のために?」
「ぐ……っ、な、何のことだよ、ムーンさん……いいから、離してくれ!」
グシオンはどうにか逃げ出そうと身を捩っているが、男一人を跳ね除けるほどの力があろうはずもない。もがく彼を無慈悲に睥睨し、ムーンはわざとらし過ぎる表情でにっこりと微笑んだ。
「惚けるな、グシオン。君は、セイガが嘘の情報を流していると知りながら、僕にそのまま伝えた。そうだろう?」
「ひ、人聞きが悪ぃぜ?ムーンさん。俺がそんな、詐欺師みたいなこと、すると思うのかよ?」
不気味な笑顔で詰められたグシオンは、精一杯の言い訳を紡ぐ。だが、彼の小手先だけの嘘偽りにムーンが欺かれるわけはない。
「君は最初から知っていたんだろう?セイガの人となりも、目的も……その上で僕を唆し、セイガと対立させる気だった。奴をダシにして、僕を始末するためにね。違うか?」
「まっ、待ってくれよ!俺は本当に、嘘なんかついてねぇ!!ほんとなんだよ!!信じてくれって!!」
彼の凄まじい殺気を間近で浴びせられたグシオンは、本気で死を予感したのか、早々と降参を叫んだ。
「俺だって、知らなかったんだ!!被害者だ!!騙されたんだよ!セイガの野郎に!!」
「いい加減にしろ、グシオン。いつまでもそうやって白を切っていられると思うな」
ところが、グシオンの懸命な訴えにもムーンは一切耳を貸さない。彼は相手の浅黒い腕を奇妙な方向に捻り、関節を外そうと締め上げた。激痛と圧迫感にグシオンは堪らず、惨めな叫びを迸らせる。
「イッテテテテ!痛ぇってムーンさん!離してくれよぉ!!」
ムーンはそれを無視し、肩の傷が痛むのも構わず一層強い力を込めた。彼の入院着に点々と赤い染みが表れていると気付き、ネプチューンが無理矢理仲裁に入る。
「やめなさい、ムーン!傷が開いてるッ!!」
彼は二人を強引に引き離そうとしたが、ムーンは無情にそれを振り払った。仕方がないので、ネプチューンは強硬手段を取ることを決意する。まずはムーンの片腕を掴み、足を引っ掛けてバランスを崩させると、軽い力で腹に掌底を当てた。本人としては手加減したつもりだったが、その衝撃は十分に強烈で、ムーンの体は呆気なく吹き飛ぶ。背中から壁に衝突し、気絶してずるずると頽れる彼を目の当たりにして、グシオンは戦慄した。
「アラ嫌だ!やり過ぎちゃったかしらン?」
狼狽したネプチューンが、テキパキと慣れた様子で彼を介抱する。一方、驚きを乗り越えたグシオンは、自由になった腕を大きく回した。服の袖から覗く彼の手首には、ムーンの指の跡がくっきりと刻まれている。
「あぁ……ったく、酷ぇ目に遭ったな」
「それにしても、ムーンがあんなに怒るなんて珍しいわネェ。あんた、彼に一体何したのヨ?嵌められたとか言ってたけど、どういうこと?」
「へへへ、それは……まぁ、ちょっとした行き違いがあったってことで」
「おい」
仰々しく嘆く彼に、ネプチューンは訝しげな眼差しを注いだが、グシオンは取り合わない。へらりと笑って呑気にはぐらかそうとする彼を、ネプチューンは冷たい声色で黙らせた。
「あんまりワタシのことを舐めてると、今以上の痛い目に遭わせるぞ、チビ」
「あ?んだと、デカブ……い、いや、わ、分かったよ。落ち着けって、センセェ」
軍隊出身者らしい傲岸な態度と大柄な肉体で威圧され、グシオンの頬を新たな冷や汗が伝う。先程のムーン以上の気迫を放つ彼を怒らせたら、絶対にまずいことになると彼の動物的本能が警鐘を鳴らしていた。
「ほら、だったら手伝いなサイ、グシオン!そっちを持ってちょうだい!」
屈辱を耐え忍び再度降伏宣言をする彼を、ネプチューンはいつもの口調に戻って促す。あまりの変貌ぶりにグシオンは混乱したが、また脅し付けられても困るので触れないでおくことにした。それから、彼はネプチューンと協力して、失神したままのムーンをベッドに運ぶ。主治医は手早くムーンの傷口を調べ、処置を済ませると包帯を巻き直した。最後に、血の滲んでいない綺麗な入院着に着替えさせてやれば、二人の仕事は完了だ。
「ムーン!ムーン、起きなサイ!!」
「うぅ……ん」
使い終わった消毒液を棚に片付けてから、ネプチューンが一つ手を叩く。パンという破裂音に刺激され、ムーンはゆっくりと瞼を上げると赤い瞳を覗かせた。そして、寝起き特有のぼんやりとした表情で、頻りに首を傾げている。
「あれ……?おかしいな。ネプチューン、さっきまで、僕は何を?」
「いきなり俺に掴みかかってきたんだよ。全く、殺されるかと思ったぜ」
「……あぁ、そうだったね」
その疑問に答えたのは、ネプチューンではなくグシオンだった。彼はどこからか引きずってきたスツールに座って、不満そうに太々しく腕を組んでいる。彼の憮然とした返事を聞いて、ムーンも苦々しい思いを抱いた。
「あんた、この男の腕をへし折ろうとしてたカラ、ちょっとワタシが引っぱたいたのヨ。そしたら、いきなり倒れちゃって!多分、貧血のせいで目眩でも起こしたのかしらネ?」
「嘘つけよ。あんだけ派手にぶっ飛んで……イテテテッ!!わーったよ!あんたの言う通りだって!!そう言やいいんだろ!!」
そばに控えていたネプチューンが、医者らしい口調で説明を試みるが、すかさずグシオンに邪魔をされる。ところが、彼も対抗してヒール靴でグシオンの足先を踏み付け、強制的に発言を撤回させていた。二人の会話をムーンはしばらくの間傍観していたが、やがて唐突に、自分の胃が空腹で悲鳴を上げていると気付く。
「ネプチューン、何か食べるものはあるかな?」
問いかけられた医師は、グシオンとの茶番を止め、ハッと鋭く息を飲んだ。
「アラ、それもそうだわ!そうヨ!点滴してたとはいえ、三日も眠ってたんだカラ、何か食べなきゃ駄目に決まってるわヨネ!!嫌だわぁ~、ワタシったらどうしてもっと早く思い出さなかったのかしら!ワタシのおバカさん!ま、そんなとこも可愛くてキュートなんだケド……あぁ、待っててネ、ムーン!今すぐ、胃の弱ってるあんたでも食べられる、体に優し~いお料理を作ってきてあげるカラ!!アディオ~ス!」
などと訳の分からないことをペラペラと喋り立て、屈強な肉体で品を作ろうと躍起になって悶える。その後、白衣の裾を翻し駆け足で病室を出て行った。
忙しない彼の姿を見送った後、ムーンはベッドに座ったままくつろいだ姿勢を取る。隣の椅子の上では、グシオンが未だ不機嫌に押し黙っていた。気詰まりな沈黙を破るべく、ムーンは彼に話しかけようとしたが、相応しい話題を思い付かない。すると意外なことに、グシオンの方から質問を投げてきた。
「……なぁ」
「うん」
「あんたらんとこのエージェントって、皆あんな変わりモンなのか?」
「……うん」
あくまで淡々とした調子で発された問いに、ムーンもやや躊躇ってから、同じく平坦な声音で返す。その何とも言えない謎の間が空いたことからも、グシオンは彼の心を巧みに察し、万感のこもった呟きを漏らした。
「……そうかぁ……」
いきなり背後から襟首を掴まれ、引っ張られてグシオンはベッドの上にうつ伏せに倒れる。驚いて声を上げる彼の背に、ムーンは素早く乗り上げ体重をかけて圧迫した。
「ちょ、ちょっとムーン!?」
「全て思い出したよ、グシオン……君が僕を、罠に嵌めたこともね」
突然の横暴にネプチューンが慌て、カラーコンタクトを入れた目を見開く。しかし、ムーンは彼に応えることなく、グシオンへの尋問を続行した。
「ずっとここで、僕が目覚めるのを待っていたのか?何のために?」
「ぐ……っ、な、何のことだよ、ムーンさん……いいから、離してくれ!」
グシオンはどうにか逃げ出そうと身を捩っているが、男一人を跳ね除けるほどの力があろうはずもない。もがく彼を無慈悲に睥睨し、ムーンはわざとらし過ぎる表情でにっこりと微笑んだ。
「惚けるな、グシオン。君は、セイガが嘘の情報を流していると知りながら、僕にそのまま伝えた。そうだろう?」
「ひ、人聞きが悪ぃぜ?ムーンさん。俺がそんな、詐欺師みたいなこと、すると思うのかよ?」
不気味な笑顔で詰められたグシオンは、精一杯の言い訳を紡ぐ。だが、彼の小手先だけの嘘偽りにムーンが欺かれるわけはない。
「君は最初から知っていたんだろう?セイガの人となりも、目的も……その上で僕を唆し、セイガと対立させる気だった。奴をダシにして、僕を始末するためにね。違うか?」
「まっ、待ってくれよ!俺は本当に、嘘なんかついてねぇ!!ほんとなんだよ!!信じてくれって!!」
彼の凄まじい殺気を間近で浴びせられたグシオンは、本気で死を予感したのか、早々と降参を叫んだ。
「俺だって、知らなかったんだ!!被害者だ!!騙されたんだよ!セイガの野郎に!!」
「いい加減にしろ、グシオン。いつまでもそうやって白を切っていられると思うな」
ところが、グシオンの懸命な訴えにもムーンは一切耳を貸さない。彼は相手の浅黒い腕を奇妙な方向に捻り、関節を外そうと締め上げた。激痛と圧迫感にグシオンは堪らず、惨めな叫びを迸らせる。
「イッテテテテ!痛ぇってムーンさん!離してくれよぉ!!」
ムーンはそれを無視し、肩の傷が痛むのも構わず一層強い力を込めた。彼の入院着に点々と赤い染みが表れていると気付き、ネプチューンが無理矢理仲裁に入る。
「やめなさい、ムーン!傷が開いてるッ!!」
彼は二人を強引に引き離そうとしたが、ムーンは無情にそれを振り払った。仕方がないので、ネプチューンは強硬手段を取ることを決意する。まずはムーンの片腕を掴み、足を引っ掛けてバランスを崩させると、軽い力で腹に掌底を当てた。本人としては手加減したつもりだったが、その衝撃は十分に強烈で、ムーンの体は呆気なく吹き飛ぶ。背中から壁に衝突し、気絶してずるずると頽れる彼を目の当たりにして、グシオンは戦慄した。
「アラ嫌だ!やり過ぎちゃったかしらン?」
狼狽したネプチューンが、テキパキと慣れた様子で彼を介抱する。一方、驚きを乗り越えたグシオンは、自由になった腕を大きく回した。服の袖から覗く彼の手首には、ムーンの指の跡がくっきりと刻まれている。
「あぁ……ったく、酷ぇ目に遭ったな」
「それにしても、ムーンがあんなに怒るなんて珍しいわネェ。あんた、彼に一体何したのヨ?嵌められたとか言ってたけど、どういうこと?」
「へへへ、それは……まぁ、ちょっとした行き違いがあったってことで」
「おい」
仰々しく嘆く彼に、ネプチューンは訝しげな眼差しを注いだが、グシオンは取り合わない。へらりと笑って呑気にはぐらかそうとする彼を、ネプチューンは冷たい声色で黙らせた。
「あんまりワタシのことを舐めてると、今以上の痛い目に遭わせるぞ、チビ」
「あ?んだと、デカブ……い、いや、わ、分かったよ。落ち着けって、センセェ」
軍隊出身者らしい傲岸な態度と大柄な肉体で威圧され、グシオンの頬を新たな冷や汗が伝う。先程のムーン以上の気迫を放つ彼を怒らせたら、絶対にまずいことになると彼の動物的本能が警鐘を鳴らしていた。
「ほら、だったら手伝いなサイ、グシオン!そっちを持ってちょうだい!」
屈辱を耐え忍び再度降伏宣言をする彼を、ネプチューンはいつもの口調に戻って促す。あまりの変貌ぶりにグシオンは混乱したが、また脅し付けられても困るので触れないでおくことにした。それから、彼はネプチューンと協力して、失神したままのムーンをベッドに運ぶ。主治医は手早くムーンの傷口を調べ、処置を済ませると包帯を巻き直した。最後に、血の滲んでいない綺麗な入院着に着替えさせてやれば、二人の仕事は完了だ。
「ムーン!ムーン、起きなサイ!!」
「うぅ……ん」
使い終わった消毒液を棚に片付けてから、ネプチューンが一つ手を叩く。パンという破裂音に刺激され、ムーンはゆっくりと瞼を上げると赤い瞳を覗かせた。そして、寝起き特有のぼんやりとした表情で、頻りに首を傾げている。
「あれ……?おかしいな。ネプチューン、さっきまで、僕は何を?」
「いきなり俺に掴みかかってきたんだよ。全く、殺されるかと思ったぜ」
「……あぁ、そうだったね」
その疑問に答えたのは、ネプチューンではなくグシオンだった。彼はどこからか引きずってきたスツールに座って、不満そうに太々しく腕を組んでいる。彼の憮然とした返事を聞いて、ムーンも苦々しい思いを抱いた。
「あんた、この男の腕をへし折ろうとしてたカラ、ちょっとワタシが引っぱたいたのヨ。そしたら、いきなり倒れちゃって!多分、貧血のせいで目眩でも起こしたのかしらネ?」
「嘘つけよ。あんだけ派手にぶっ飛んで……イテテテッ!!わーったよ!あんたの言う通りだって!!そう言やいいんだろ!!」
そばに控えていたネプチューンが、医者らしい口調で説明を試みるが、すかさずグシオンに邪魔をされる。ところが、彼も対抗してヒール靴でグシオンの足先を踏み付け、強制的に発言を撤回させていた。二人の会話をムーンはしばらくの間傍観していたが、やがて唐突に、自分の胃が空腹で悲鳴を上げていると気付く。
「ネプチューン、何か食べるものはあるかな?」
問いかけられた医師は、グシオンとの茶番を止め、ハッと鋭く息を飲んだ。
「アラ、それもそうだわ!そうヨ!点滴してたとはいえ、三日も眠ってたんだカラ、何か食べなきゃ駄目に決まってるわヨネ!!嫌だわぁ~、ワタシったらどうしてもっと早く思い出さなかったのかしら!ワタシのおバカさん!ま、そんなとこも可愛くてキュートなんだケド……あぁ、待っててネ、ムーン!今すぐ、胃の弱ってるあんたでも食べられる、体に優し~いお料理を作ってきてあげるカラ!!アディオ~ス!」
などと訳の分からないことをペラペラと喋り立て、屈強な肉体で品を作ろうと躍起になって悶える。その後、白衣の裾を翻し駆け足で病室を出て行った。
忙しない彼の姿を見送った後、ムーンはベッドに座ったままくつろいだ姿勢を取る。隣の椅子の上では、グシオンが未だ不機嫌に押し黙っていた。気詰まりな沈黙を破るべく、ムーンは彼に話しかけようとしたが、相応しい話題を思い付かない。すると意外なことに、グシオンの方から質問を投げてきた。
「……なぁ」
「うん」
「あんたらんとこのエージェントって、皆あんな変わりモンなのか?」
「……うん」
あくまで淡々とした調子で発された問いに、ムーンもやや躊躇ってから、同じく平坦な声音で返す。その何とも言えない謎の間が空いたことからも、グシオンは彼の心を巧みに察し、万感のこもった呟きを漏らした。
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