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忘れ去られた事件
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かつてのアメジストは、赤土の砂漠とサボテン、干からびた川の跡しか見当たらない寂れた土地だった。砂埃に塗れた道路沿いには、ガソリンスタンドと酒も提供するカフェ、錆びついたガレージだけが並び、町らしきものを構成していた。そこにいつの間にやら浮浪者や貧困層が移り住み、彼らの形成した住宅の隙間を縫って、ヤクザ者や反社会的勢力が蔓延り始める。するとたちまち、スラムやテロリストの拠点が大通り付近まで広がり、昼間でも気軽に外を歩くことが出来ないほど、町の治安状況は悪化した。至るところで凶悪犯や荒くれ者たちが徒党を組み、互いの権益を巡って争いを繰り返すようになったのだ。
起業したばかりのガイアモンドたちが、アメジストにオフィスを構えることになったのは、単なる成り行きに過ぎない。彼らは大学を卒業したばかりで、会社の資金繰りにも苦労してばかりいた。少しでも安い物件を借りるためには、周囲の環境を犠牲として支払う以外なかったのである。そして会社の設立から数週間後には、この犯罪の巣窟とも呼ぶべき、地獄の果てに足を踏み入れていた。
引っ越して数ヶ月も経たない内に、ガイアモンドは些細なきっかけからムーンと出会い、彼を雇うこととなった。以来二人は力を合わせて、安定期を迎えた会社を貪ろうと、際限なく群がってくる外道たちとの戦いに明け暮れていた。
特にデルバールは、屈指の難敵だったと言える。彼は数多くの侵略者の中でも、最も慈悲のない男だった。暴力に躊躇いがなく、下劣で、狡猾。同時に、実業家としての先見の明にも長けていた。だからこそ、オメガ社の将来性をいち早く看破し、ガイアモンドに近付こうとしたのだろう。社長に癒着し、事業の後押しをすることで、長期的に寄生するつもりだったようだ。
しかし、無論ながら、ガイアモンドが要求を飲むことはなかった。彼は誰の支援も受けず、独力で生き抜くと決めていたため、果敢にも全ての脅しを拒絶し続けていた。だが、冷酷なマフィアがその程度の抵抗に遭ったからとて、簡単に諦めるわけがない。デルバールの策略によって、彼の会社は徐々にすり潰され、ガイアモンド自身も追い詰められていった。やがて彼はついに、強い葛藤に悶えつつも、社員の命を守るため苛烈な闘争の道を選ぼうとした。
「ところが、僕らがいよいよ抵抗を始めようとした矢先、デルバールの死亡が報道されたんだ。深夜に突然自宅に押し入られて、妻子共々皆殺しにされたらしい。それはそれは、惨たらしい方法でね」
夜遅く、恐らく複数と思われる男たちが、デルバールとその一家を捕縛した。彼は数時間に及ぶ拷問をされた後、天井の梁を使って吊し上げられ、妻は性的暴行を加えられた末に夫の眼前で殺された。一人息子も、恐らく類似の手口で命を奪われたのだろう。彼らの最終的な死因は、恐らく頸動脈を切断されたことによる失血死。恐らくという単語が多いのは、犯人たちが家に火を放ったため、主だった証拠が悉く燃えてしまったせいである。だが、残骸から発見された黒焦げの遺体によって、事件の概要は大体突き止められた。殊に妻と思しき女性には、焼け爛れ原形を留めなくなっても尚ありありと分かるほど、深く首を切り裂かれた跡が刻まれていたという。
いきなり飛び込んできたニュースは、戦いに向けて息巻いていたムーンたちを、随分拍子抜けさせることとなった。厄介な相手から解放された喜びと、驚愕、無惨な最期への憐憫が一編に彼らの胸を満たした。今となっては、懐かしさすら感じられる出来事だ。
「あぁ~、いたな。デルバールか!」
ムーンの話を聞いていたグシオンが、唐突に手を打って声を上げた。アメジストで生まれ育った彼は、街で起きた過去の事件や著名人の情報をあらかた把握している。デルバールに関しても、最初はピンとこないでいたが、少し説明を聞けばすぐさま思い出せた。
「確か、質の悪ぃ麻薬入りタバコで、一時期荒稼ぎしてた奴だ。俺も何箱か盗んで転売してみたが、ヤクの量が少ねぇってんで、あんまり売れなかったんだよな~……なんて言ったっけ、童話の中の喋るタマゴみたいな、まん丸のデブだろ?」
「聞かないでヨ!その頃のワタシは、まだ軍政部門所属で、あちこちの戦地を飛び回ってたんだカラ!!」
彼は頭の後ろで手を組み、目を瞑ってのんびりと喋る。確認するようにネプチューンを見遣ったが、元々この街の出身ではない彼に、真偽の判断がつくはずもない。憤懣を表す彼を無視して、グシオンは引っ張り出した記憶を披露する作業に集中した。
「ガキの俺でも名前を知ってたくらいだ。相当の凄腕だったんだろうなぁ!見境なく悪事を繰り返して、莫大な額を貯め込んでたらしい。女子供を攫っては娼婦や鉄砲玉に仕立てちまう、な~んて噂もあった」
彼の語るデルバールの所業はあまりにも悪辣で、ネプチューンは思わず苛立つ。
「何なのヨ、それ……!文句のないクズ野郎じゃないの!!」
「その通りさ。多分、それで同業から恨みを買っちまったんだ。剛腕ではあったが、ちっとばかし先を急ぎ過ぎた」
デルバールは利益の追求を重んじる反面、周りとの関係を蔑ろにする人物であった。しかし、一つの土地で長く暮らしていくためには、最低限の信頼と評判とを勝ち取らなければならない。仲間でもある同業を出し抜き、当たり前の筋すら通さずに生きる彼に、従う者が少ないのはごく自然な流れだろう。それどころか、次第に反発心を覚える者が増加し、結託を開始した。
「だから、殺されたと……全く、自業自得ネ!!」
「犯人たちの動機は、概ねグシオンが推測した通りだろう。だが、この話にはまだ続きがあるんだよ」
ネプチューンの憤慨に言葉を被せて、ムーンが解説を再開する。ネプチューンとグシオンは、いつになく真剣な面持ちで耳を傾けた。
「懸命な捜査にも関わらず、犯人が捕まることはなかった。つまり、未解決事件だ。別にそのこと自体は、珍しくも何ともないんだけどね。当時の警察はいつも、形式的な対応すらまともにこなせない、無能集団だったから……僕らも最初は静観していた。だけどしばらくして、状況が変わったんだ。いつしか、一家を殺害したのはオメガ社だと、根も歯もない噂が飛び交うようになっていたんだよ」
根拠も何もない噂話を、一体誰が如何なる目的で広めたのかは分からない。だが、それはたちまち街中に拡大し、人々の間で実しやかに囁かれるようになった。役立たずの警察だって、鵜呑みにして事情聴取に来たくらいである。もちろん、社内には一人も有益な供述の出来る者はいなかったが。
「とはいえ、火のないところに煙は立たないとも言うからね……事実、僕らには動機があった。僕がガイアモンドの護衛として、後ろ暗い仕事に関わっていることもとっくに知れ渡っていただろう。疑われる理由としては、十分過ぎるくらいだ」
デルバールがターゲットにしているのは誰か、当時の市民は皆理解していた。標的となったオメガ社が、何か特殊な“武器”を持っていることも。だから彼らは、オメガ社の反撃こそがデルバールの死因と思い込んでしまったのだ。
「もっと言えば、僕は本当にデルバールを殺すつもりでいた。もちろん、その前に死んでしまったから、結局何もしていないが……それに、家族まで殺すのは僕のポリシーに反するしね」
「分かっているわ。じゃあ要するに、真犯人に上手いこと嵌められた、ってことかしらン?」
ムーンの人柄を熟知しているネプチューンは、微塵の疑念も抱くことなく頷く。直後、唸りを漏らしたグシオンが、あっけらかんとした調子で口を挟んだ。
「でも、何でだ?デルバールは、あんたら以外にも大勢敵を作ってた。奴を殺して自慢すりゃ、格好のネームバリューになったはずだ。ただでさえ事件のことは、残忍なやり口で話題になってたってのによ」
彼の指摘にも、確かに説得力のあるものであった。
かつてのアメジストでは、猟奇的な殺害方法を用いることで、報復の達成をアピールする事件が後を絶たなかった。特に、下した相手が大勢に妬まれる実力者であるほど、喧伝の度合いは強まる。にも関わらず、デルバールの殺害犯は一切の声明を発表せずに、無関係なオメガ社へと世間の注目を誘導した。
「何故そんなことをしたのか、理由は分からない。だが、噂が広まったことで、会社を食い物にしようと目論む輩も減った。僕らとしては、結果的に得をしたというわけさ」
噂を信じ込んだ市民は、デルバールほどの大物を黙らせたオメガ社に畏怖の念を抱き始めた。あるいは、彼の卑劣な支配から解放されたことで、恩義を感じる者も現れたのかも知れない。何にせよ事件発生以後は、会社は誰にも搾取されることなく順調に成長し続けた。殺人を犯したのではないかという悪評も、時の流れと共に風化し、今では当事者たちですら忘れかけていたくらいだ。
その過去がまさか、現在こんな時になって蒸し返されるとは。セイガとデルバールに一体どんな繋がりがあるのだろうと、ムーンは訝しむ。しかし、彼のそばにいたガイアモンドは、ゆっくりと立ち上がって首を振った。
「いや……違うんだ、ムーン」
起業したばかりのガイアモンドたちが、アメジストにオフィスを構えることになったのは、単なる成り行きに過ぎない。彼らは大学を卒業したばかりで、会社の資金繰りにも苦労してばかりいた。少しでも安い物件を借りるためには、周囲の環境を犠牲として支払う以外なかったのである。そして会社の設立から数週間後には、この犯罪の巣窟とも呼ぶべき、地獄の果てに足を踏み入れていた。
引っ越して数ヶ月も経たない内に、ガイアモンドは些細なきっかけからムーンと出会い、彼を雇うこととなった。以来二人は力を合わせて、安定期を迎えた会社を貪ろうと、際限なく群がってくる外道たちとの戦いに明け暮れていた。
特にデルバールは、屈指の難敵だったと言える。彼は数多くの侵略者の中でも、最も慈悲のない男だった。暴力に躊躇いがなく、下劣で、狡猾。同時に、実業家としての先見の明にも長けていた。だからこそ、オメガ社の将来性をいち早く看破し、ガイアモンドに近付こうとしたのだろう。社長に癒着し、事業の後押しをすることで、長期的に寄生するつもりだったようだ。
しかし、無論ながら、ガイアモンドが要求を飲むことはなかった。彼は誰の支援も受けず、独力で生き抜くと決めていたため、果敢にも全ての脅しを拒絶し続けていた。だが、冷酷なマフィアがその程度の抵抗に遭ったからとて、簡単に諦めるわけがない。デルバールの策略によって、彼の会社は徐々にすり潰され、ガイアモンド自身も追い詰められていった。やがて彼はついに、強い葛藤に悶えつつも、社員の命を守るため苛烈な闘争の道を選ぼうとした。
「ところが、僕らがいよいよ抵抗を始めようとした矢先、デルバールの死亡が報道されたんだ。深夜に突然自宅に押し入られて、妻子共々皆殺しにされたらしい。それはそれは、惨たらしい方法でね」
夜遅く、恐らく複数と思われる男たちが、デルバールとその一家を捕縛した。彼は数時間に及ぶ拷問をされた後、天井の梁を使って吊し上げられ、妻は性的暴行を加えられた末に夫の眼前で殺された。一人息子も、恐らく類似の手口で命を奪われたのだろう。彼らの最終的な死因は、恐らく頸動脈を切断されたことによる失血死。恐らくという単語が多いのは、犯人たちが家に火を放ったため、主だった証拠が悉く燃えてしまったせいである。だが、残骸から発見された黒焦げの遺体によって、事件の概要は大体突き止められた。殊に妻と思しき女性には、焼け爛れ原形を留めなくなっても尚ありありと分かるほど、深く首を切り裂かれた跡が刻まれていたという。
いきなり飛び込んできたニュースは、戦いに向けて息巻いていたムーンたちを、随分拍子抜けさせることとなった。厄介な相手から解放された喜びと、驚愕、無惨な最期への憐憫が一編に彼らの胸を満たした。今となっては、懐かしさすら感じられる出来事だ。
「あぁ~、いたな。デルバールか!」
ムーンの話を聞いていたグシオンが、唐突に手を打って声を上げた。アメジストで生まれ育った彼は、街で起きた過去の事件や著名人の情報をあらかた把握している。デルバールに関しても、最初はピンとこないでいたが、少し説明を聞けばすぐさま思い出せた。
「確か、質の悪ぃ麻薬入りタバコで、一時期荒稼ぎしてた奴だ。俺も何箱か盗んで転売してみたが、ヤクの量が少ねぇってんで、あんまり売れなかったんだよな~……なんて言ったっけ、童話の中の喋るタマゴみたいな、まん丸のデブだろ?」
「聞かないでヨ!その頃のワタシは、まだ軍政部門所属で、あちこちの戦地を飛び回ってたんだカラ!!」
彼は頭の後ろで手を組み、目を瞑ってのんびりと喋る。確認するようにネプチューンを見遣ったが、元々この街の出身ではない彼に、真偽の判断がつくはずもない。憤懣を表す彼を無視して、グシオンは引っ張り出した記憶を披露する作業に集中した。
「ガキの俺でも名前を知ってたくらいだ。相当の凄腕だったんだろうなぁ!見境なく悪事を繰り返して、莫大な額を貯め込んでたらしい。女子供を攫っては娼婦や鉄砲玉に仕立てちまう、な~んて噂もあった」
彼の語るデルバールの所業はあまりにも悪辣で、ネプチューンは思わず苛立つ。
「何なのヨ、それ……!文句のないクズ野郎じゃないの!!」
「その通りさ。多分、それで同業から恨みを買っちまったんだ。剛腕ではあったが、ちっとばかし先を急ぎ過ぎた」
デルバールは利益の追求を重んじる反面、周りとの関係を蔑ろにする人物であった。しかし、一つの土地で長く暮らしていくためには、最低限の信頼と評判とを勝ち取らなければならない。仲間でもある同業を出し抜き、当たり前の筋すら通さずに生きる彼に、従う者が少ないのはごく自然な流れだろう。それどころか、次第に反発心を覚える者が増加し、結託を開始した。
「だから、殺されたと……全く、自業自得ネ!!」
「犯人たちの動機は、概ねグシオンが推測した通りだろう。だが、この話にはまだ続きがあるんだよ」
ネプチューンの憤慨に言葉を被せて、ムーンが解説を再開する。ネプチューンとグシオンは、いつになく真剣な面持ちで耳を傾けた。
「懸命な捜査にも関わらず、犯人が捕まることはなかった。つまり、未解決事件だ。別にそのこと自体は、珍しくも何ともないんだけどね。当時の警察はいつも、形式的な対応すらまともにこなせない、無能集団だったから……僕らも最初は静観していた。だけどしばらくして、状況が変わったんだ。いつしか、一家を殺害したのはオメガ社だと、根も歯もない噂が飛び交うようになっていたんだよ」
根拠も何もない噂話を、一体誰が如何なる目的で広めたのかは分からない。だが、それはたちまち街中に拡大し、人々の間で実しやかに囁かれるようになった。役立たずの警察だって、鵜呑みにして事情聴取に来たくらいである。もちろん、社内には一人も有益な供述の出来る者はいなかったが。
「とはいえ、火のないところに煙は立たないとも言うからね……事実、僕らには動機があった。僕がガイアモンドの護衛として、後ろ暗い仕事に関わっていることもとっくに知れ渡っていただろう。疑われる理由としては、十分過ぎるくらいだ」
デルバールがターゲットにしているのは誰か、当時の市民は皆理解していた。標的となったオメガ社が、何か特殊な“武器”を持っていることも。だから彼らは、オメガ社の反撃こそがデルバールの死因と思い込んでしまったのだ。
「もっと言えば、僕は本当にデルバールを殺すつもりでいた。もちろん、その前に死んでしまったから、結局何もしていないが……それに、家族まで殺すのは僕のポリシーに反するしね」
「分かっているわ。じゃあ要するに、真犯人に上手いこと嵌められた、ってことかしらン?」
ムーンの人柄を熟知しているネプチューンは、微塵の疑念も抱くことなく頷く。直後、唸りを漏らしたグシオンが、あっけらかんとした調子で口を挟んだ。
「でも、何でだ?デルバールは、あんたら以外にも大勢敵を作ってた。奴を殺して自慢すりゃ、格好のネームバリューになったはずだ。ただでさえ事件のことは、残忍なやり口で話題になってたってのによ」
彼の指摘にも、確かに説得力のあるものであった。
かつてのアメジストでは、猟奇的な殺害方法を用いることで、報復の達成をアピールする事件が後を絶たなかった。特に、下した相手が大勢に妬まれる実力者であるほど、喧伝の度合いは強まる。にも関わらず、デルバールの殺害犯は一切の声明を発表せずに、無関係なオメガ社へと世間の注目を誘導した。
「何故そんなことをしたのか、理由は分からない。だが、噂が広まったことで、会社を食い物にしようと目論む輩も減った。僕らとしては、結果的に得をしたというわけさ」
噂を信じ込んだ市民は、デルバールほどの大物を黙らせたオメガ社に畏怖の念を抱き始めた。あるいは、彼の卑劣な支配から解放されたことで、恩義を感じる者も現れたのかも知れない。何にせよ事件発生以後は、会社は誰にも搾取されることなく順調に成長し続けた。殺人を犯したのではないかという悪評も、時の流れと共に風化し、今では当事者たちですら忘れかけていたくらいだ。
その過去がまさか、現在こんな時になって蒸し返されるとは。セイガとデルバールに一体どんな繋がりがあるのだろうと、ムーンは訝しむ。しかし、彼のそばにいたガイアモンドは、ゆっくりと立ち上がって首を振った。
「いや……違うんだ、ムーン」
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