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潜んでいた者
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「こっちだ、社長さん!」
ロバートから借りたIDカードを、リーダーに叩き付けてグシオンが叫ぶ。彼の導きに従い、ガイアモンドは素早く開いたドアを潜った。スライド式の扉は二人が通った後すぐに閉まり、迫り来る追手たちの足音から彼らを遠ざけてくれる。
「はぁっ……はぁ……全く、何でこんなことになったんだ!」
膝に両手をついて息を切らしながら、ガイアモンドが声高に訴えた。しばらくの間全力で走っていたせいで、彼の前髪はすっかり乱れてしまっている。
「俺にだって分からねぇよー。いきなり、目の前がグワーってなって気持ち悪くなったと思ったら、いつの間にか全然知らねぇ場所にいたんだ。そんで、例の兵士共に追っかけられて、走って逃げてたら、たまたまあんたとぶつかった、ってぇわけよ。社長さんも同じじゃねぇのか?」
比較的元気の残っているグシオンは、のんびりとした調子で彼の疑問に答えた。その適当な説明を聞き、ガイアモンドは忌々しげに眉根を寄せる。
「あぁ、完全に同じだ。だが、どうしてそんなことが出来る!?短距離とはいえ、転移魔法だぞ!繰り返し使用するには、大量の魔力が必要になる……一体どこからそれだけの魔力を手に入れているというんだ!?この、枯渇地帯で!!」」
先程まで彼らは、確かにロバートに案内された、小さな部屋に隠れていたはずだった。しかし、突如謎の魔法に襲われ、室内にいた者たちは皆別々の場所へと飛ばされてしまったのだ。結果、他の仲間とははぐれ、ガイアモンドとグシオンの二人は何度も連続して転移させられる混乱を植え付けられた。幸い、数分以内に合流することが出来たものの、不安と疑念が消えることはない。それどころか、ますます強まるばかりであった。
「なぁ、おい、今その話必要か?早く行こうぜ、社長さん。ここにいたら、早晩見つかっちまうよ。あの狂犬たちにさ」
だが、ガイアモンドの熱弁にグシオンはまるで耳を貸さない。彼は凝り固まった関節を音を立ててほぐしてから、つまらなさそうに切り出した。彼の指す“狂犬たち”は、きっと現在でも逃げた獲物を追い求めて、執拗に探し回っているのだろう。施設内のどこにでも蔓延っている彼らの存在は、ガイアモンドの頭痛を更に悪化させる要因となっていた。
「分かっている……!しかし、逃げると言ってもどこへだ?僕らはたった二人、現在地も掴めないでいるんだぞ!!通信魔法も繋がらないし、武器もない!この建物で何が起こっているのか、把握することすら出来ないんだ!!」
指摘を受けた彼は、つい自分を抑えきれなくなって怒りを爆発させる。凄まじい剣幕にグシオンは思わず気圧され、両手を挙げて彼を宥めた。
「わーった、わーった!ちょっと落ち着けよ……そりゃ俺だって、細けぇことは知りようがないさ。だが、こんなとこで突っ立ってたってどうしようもねぇだろ?」
「それは」
「まぁ待てって。最後まで聞けよ」
当たり前のことを言うなと食ってかかるガイアモンドを、グシオンは巧みに制する。そして、おもむろに人差し指を立ててみせた。
「俺に一つ、アイディアがあるんだ、社長さん。とりあえず、このまま行けるとこまで進んでみようや。多分、そんなに手間はかからねぇからさ」
「どういうことだ?グシオン」
ポンと軽々しく肩を叩く彼を、ガイアモンドは訝しげに見遣る。しかし、グシオンは構うことなく話を続けている。
「それに、武器もないって話は間違いだぜ?ま、大したモンじゃないがな~」
彼は突然、懐から一丁のハンドガンを出すと、黒い銃身を丁寧に撫でた。どこか見覚えのあるデザインに、ガイアモンドは反射で声を上げる。
「ムーンの銃だ。まさか君、盗んだのか!?」
「借りたんだよ。いつか役に立つと思ってな~」
「ふざけるな、この泥棒!!」
「カカッ、別にどっちでもいいだろ~?武器には違いねぇんだから、さ」
平然と言い訳するグシオンを、ガイアモンドは厳しい口調で叱責した。ところが、いくら怒鳴り付けても彼の態度は変わらない。むしろ薄笑いをより深めて、揶揄うような眼差しを注いできた。仕方なく、ガイアモンドは諦めて話題を元の軌道に戻す。
「……君、銃なんか使えるのか?命中率は?」
「さぁてね。バラすのは得意だが、撃った経験はろくにねぇ。この前、いっぺん試してはみたけど、それっきりだな。つまり、可能性は無限大ってこった!」
「なっ!?それじゃ、何の頼りにもならないじゃないか!!」
彼のあまりにもおざなりな返答に、ガイアモンドは今度こそ憤った。だが、グシオンはさも楽しくて堪らないと言いたげな表情で、肩を竦めてばかりいる。
「カカカカッ!あんたんとこのエージェント様と一緒にされちゃ困るよー。俺ぁしがない泥棒だ。他人様のタマ取るような仕事とは、これまで無縁でいられたものでねぇ」
グシオンは乾いた笑いを爆ぜさせ、黄金の瞳をわざとらしく細めた。しかし、そこに込められた皮肉的な意味を、思考に没頭しているガイアモンドは聞き逃してしまう。
「はぁ……せめて、ムーンかネプチューンがいれば、状況も変わるはずなのに。どうにかして、二人を見つけ出すぞ、グシオン」
「ハイハイ。仰せのままに、お坊ちゃん?」
威厳を持って指示を出す彼に、グシオンは愉快そうに従う。軽口の減らない男をガイアモンドは一睨みしたが、途中で面倒になって勝手に歩き出した。流石に、身を守る手段のない彼が先頭を務めることに憂慮を覚えて、グシオンは小走りに駆けると彼と位置を代わる。
前方を塞ぐドアやシャッターをいくつか開けて進むと、やがて階段に辿り着いた。やけに埃っぽく黴臭い空間の中で、ひび割れた石の階段が真っ直ぐ下まで伸びている。幅は二人の人物が並んでギリギリ通れるかというほど狭く、光が乏しいためか十数段目以降は薄暗い闇に包まれていた。
「こ、これを降りるのか?」
明らかに怯えた様子のガイアモンドが、グシオンの背後から下を覗く。しばらく無言で耳を澄ませていたグシオンは、さらりと気楽な声音で提案した。
「聞こえねぇか?わずかだが、風の音がする。もしかしたら、外に繋がる道があるのかも知れねぇな」
全ては根拠のない推測に過ぎなかったが、期待を抱かせるには十分な効果を発揮した。この危険だらけの迷宮から、脱出出来る可能性があると示唆されただけで、ガイアモンドの胸にたちまち希望が立ち込める。
そこで、彼らは一列になって狭苦しい階段を降りることにした。数分後、銀に光るパイプやダクトが複雑に絡み合う、機械室のような場所に到着する。金網を張っただけの足元を恐々と見下ろし、ガイアモンドが独り言ちた。
「どこなんだ、ここは……?」
「さぁ?どうやら、出口じゃねぇってことだけは確かみたいだな。ほら」
首を捻ったグシオンが、簡素な手すりから身を乗り出して指を差す。その先には、壁に沿って取り付けられたダクトがあり、等間隔に空いた穴から不規則に蒸気を噴射していた。恐らく、風の音に聞こえたのはこれだったのだろう。
「ナントカの、正体見たり枯れ尾花、ってかー!まんまと踊らされたわけだ」
誤解したことを悪びれるでもなく、グシオンは何故か嬉しそうに手を叩いている。もはや反応を返す気力もなくなってきたガイアモンドは、彼を無視して来た道を戻ろうとした。
「引き返そう、グシオン。このまま進んでも余計に迷うだけだ。また別の道を探して」
「んー……おっ、ちょっと待て!あそこにも扉があるぜ」
ところが、相手は一切聞く耳を持たず、周囲の観察を続行している。彼はどこか斜め上の方向を示すと、最短ルートを探し出し迷いなく選択した。彼はひょいと身軽な動きで手すりを飛び越え、ぎっしりと空間を埋め尽くす機械を足場にして、細い隙間をすり抜けていく。
「おい、僕は通れないぞ、そんなところ!」
当然、彼の曲芸じみた振る舞いについていけないガイアモンドは、不満の声を漏らした。だが、グシオンは少しも止まることなく、スルスルと器用な身ごなしで上へ上へと進んでいく。彼のせいで舞い落ちてくる埃に辟易しつつ、ガイアモンドは出来る限りその姿を視線で追っていた。その時のことである。
「危ないっ!」
いきなり、何者かの足がダクトの陰からぬっと突き出てきた。ガイアモンドは焦って警告をするも、間に合わない。グシオンは思い切り肩を蹴られて、不安定な足場の上で大きくバランスを崩した。
「ぐぁっ!」
咄嗟に手を伸ばし、何かのハンドルを掴んだ彼の腕を、赤色のヒール靴が強く踏み付けた。
ロバートから借りたIDカードを、リーダーに叩き付けてグシオンが叫ぶ。彼の導きに従い、ガイアモンドは素早く開いたドアを潜った。スライド式の扉は二人が通った後すぐに閉まり、迫り来る追手たちの足音から彼らを遠ざけてくれる。
「はぁっ……はぁ……全く、何でこんなことになったんだ!」
膝に両手をついて息を切らしながら、ガイアモンドが声高に訴えた。しばらくの間全力で走っていたせいで、彼の前髪はすっかり乱れてしまっている。
「俺にだって分からねぇよー。いきなり、目の前がグワーってなって気持ち悪くなったと思ったら、いつの間にか全然知らねぇ場所にいたんだ。そんで、例の兵士共に追っかけられて、走って逃げてたら、たまたまあんたとぶつかった、ってぇわけよ。社長さんも同じじゃねぇのか?」
比較的元気の残っているグシオンは、のんびりとした調子で彼の疑問に答えた。その適当な説明を聞き、ガイアモンドは忌々しげに眉根を寄せる。
「あぁ、完全に同じだ。だが、どうしてそんなことが出来る!?短距離とはいえ、転移魔法だぞ!繰り返し使用するには、大量の魔力が必要になる……一体どこからそれだけの魔力を手に入れているというんだ!?この、枯渇地帯で!!」」
先程まで彼らは、確かにロバートに案内された、小さな部屋に隠れていたはずだった。しかし、突如謎の魔法に襲われ、室内にいた者たちは皆別々の場所へと飛ばされてしまったのだ。結果、他の仲間とははぐれ、ガイアモンドとグシオンの二人は何度も連続して転移させられる混乱を植え付けられた。幸い、数分以内に合流することが出来たものの、不安と疑念が消えることはない。それどころか、ますます強まるばかりであった。
「なぁ、おい、今その話必要か?早く行こうぜ、社長さん。ここにいたら、早晩見つかっちまうよ。あの狂犬たちにさ」
だが、ガイアモンドの熱弁にグシオンはまるで耳を貸さない。彼は凝り固まった関節を音を立ててほぐしてから、つまらなさそうに切り出した。彼の指す“狂犬たち”は、きっと現在でも逃げた獲物を追い求めて、執拗に探し回っているのだろう。施設内のどこにでも蔓延っている彼らの存在は、ガイアモンドの頭痛を更に悪化させる要因となっていた。
「分かっている……!しかし、逃げると言ってもどこへだ?僕らはたった二人、現在地も掴めないでいるんだぞ!!通信魔法も繋がらないし、武器もない!この建物で何が起こっているのか、把握することすら出来ないんだ!!」
指摘を受けた彼は、つい自分を抑えきれなくなって怒りを爆発させる。凄まじい剣幕にグシオンは思わず気圧され、両手を挙げて彼を宥めた。
「わーった、わーった!ちょっと落ち着けよ……そりゃ俺だって、細けぇことは知りようがないさ。だが、こんなとこで突っ立ってたってどうしようもねぇだろ?」
「それは」
「まぁ待てって。最後まで聞けよ」
当たり前のことを言うなと食ってかかるガイアモンドを、グシオンは巧みに制する。そして、おもむろに人差し指を立ててみせた。
「俺に一つ、アイディアがあるんだ、社長さん。とりあえず、このまま行けるとこまで進んでみようや。多分、そんなに手間はかからねぇからさ」
「どういうことだ?グシオン」
ポンと軽々しく肩を叩く彼を、ガイアモンドは訝しげに見遣る。しかし、グシオンは構うことなく話を続けている。
「それに、武器もないって話は間違いだぜ?ま、大したモンじゃないがな~」
彼は突然、懐から一丁のハンドガンを出すと、黒い銃身を丁寧に撫でた。どこか見覚えのあるデザインに、ガイアモンドは反射で声を上げる。
「ムーンの銃だ。まさか君、盗んだのか!?」
「借りたんだよ。いつか役に立つと思ってな~」
「ふざけるな、この泥棒!!」
「カカッ、別にどっちでもいいだろ~?武器には違いねぇんだから、さ」
平然と言い訳するグシオンを、ガイアモンドは厳しい口調で叱責した。ところが、いくら怒鳴り付けても彼の態度は変わらない。むしろ薄笑いをより深めて、揶揄うような眼差しを注いできた。仕方なく、ガイアモンドは諦めて話題を元の軌道に戻す。
「……君、銃なんか使えるのか?命中率は?」
「さぁてね。バラすのは得意だが、撃った経験はろくにねぇ。この前、いっぺん試してはみたけど、それっきりだな。つまり、可能性は無限大ってこった!」
「なっ!?それじゃ、何の頼りにもならないじゃないか!!」
彼のあまりにもおざなりな返答に、ガイアモンドは今度こそ憤った。だが、グシオンはさも楽しくて堪らないと言いたげな表情で、肩を竦めてばかりいる。
「カカカカッ!あんたんとこのエージェント様と一緒にされちゃ困るよー。俺ぁしがない泥棒だ。他人様のタマ取るような仕事とは、これまで無縁でいられたものでねぇ」
グシオンは乾いた笑いを爆ぜさせ、黄金の瞳をわざとらしく細めた。しかし、そこに込められた皮肉的な意味を、思考に没頭しているガイアモンドは聞き逃してしまう。
「はぁ……せめて、ムーンかネプチューンがいれば、状況も変わるはずなのに。どうにかして、二人を見つけ出すぞ、グシオン」
「ハイハイ。仰せのままに、お坊ちゃん?」
威厳を持って指示を出す彼に、グシオンは愉快そうに従う。軽口の減らない男をガイアモンドは一睨みしたが、途中で面倒になって勝手に歩き出した。流石に、身を守る手段のない彼が先頭を務めることに憂慮を覚えて、グシオンは小走りに駆けると彼と位置を代わる。
前方を塞ぐドアやシャッターをいくつか開けて進むと、やがて階段に辿り着いた。やけに埃っぽく黴臭い空間の中で、ひび割れた石の階段が真っ直ぐ下まで伸びている。幅は二人の人物が並んでギリギリ通れるかというほど狭く、光が乏しいためか十数段目以降は薄暗い闇に包まれていた。
「こ、これを降りるのか?」
明らかに怯えた様子のガイアモンドが、グシオンの背後から下を覗く。しばらく無言で耳を澄ませていたグシオンは、さらりと気楽な声音で提案した。
「聞こえねぇか?わずかだが、風の音がする。もしかしたら、外に繋がる道があるのかも知れねぇな」
全ては根拠のない推測に過ぎなかったが、期待を抱かせるには十分な効果を発揮した。この危険だらけの迷宮から、脱出出来る可能性があると示唆されただけで、ガイアモンドの胸にたちまち希望が立ち込める。
そこで、彼らは一列になって狭苦しい階段を降りることにした。数分後、銀に光るパイプやダクトが複雑に絡み合う、機械室のような場所に到着する。金網を張っただけの足元を恐々と見下ろし、ガイアモンドが独り言ちた。
「どこなんだ、ここは……?」
「さぁ?どうやら、出口じゃねぇってことだけは確かみたいだな。ほら」
首を捻ったグシオンが、簡素な手すりから身を乗り出して指を差す。その先には、壁に沿って取り付けられたダクトがあり、等間隔に空いた穴から不規則に蒸気を噴射していた。恐らく、風の音に聞こえたのはこれだったのだろう。
「ナントカの、正体見たり枯れ尾花、ってかー!まんまと踊らされたわけだ」
誤解したことを悪びれるでもなく、グシオンは何故か嬉しそうに手を叩いている。もはや反応を返す気力もなくなってきたガイアモンドは、彼を無視して来た道を戻ろうとした。
「引き返そう、グシオン。このまま進んでも余計に迷うだけだ。また別の道を探して」
「んー……おっ、ちょっと待て!あそこにも扉があるぜ」
ところが、相手は一切聞く耳を持たず、周囲の観察を続行している。彼はどこか斜め上の方向を示すと、最短ルートを探し出し迷いなく選択した。彼はひょいと身軽な動きで手すりを飛び越え、ぎっしりと空間を埋め尽くす機械を足場にして、細い隙間をすり抜けていく。
「おい、僕は通れないぞ、そんなところ!」
当然、彼の曲芸じみた振る舞いについていけないガイアモンドは、不満の声を漏らした。だが、グシオンは少しも止まることなく、スルスルと器用な身ごなしで上へ上へと進んでいく。彼のせいで舞い落ちてくる埃に辟易しつつ、ガイアモンドは出来る限りその姿を視線で追っていた。その時のことである。
「危ないっ!」
いきなり、何者かの足がダクトの陰からぬっと突き出てきた。ガイアモンドは焦って警告をするも、間に合わない。グシオンは思い切り肩を蹴られて、不安定な足場の上で大きくバランスを崩した。
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