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アデレードの過去
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アデレードは、デルバールと彼の組織が所有する奴隷だった。生まれた場所も、両親の顔も彼女の記憶には一切残っていない。物心ついた時には既に、組織のために尽くす生きた道具として、過酷な訓練と洗脳とで教化されていた。組織の者たちは手中に収めた子供に、いかなる状況でも仕事を済ませるよう繰り返し叩き込んだ。そしてある者は傭兵に、ある者は運び屋に、または女であることも利用した凄腕の暗殺者となり、皆の役に立つことを命じられた。
殊に、美しく成長しそうな人材がいれば、“特別指導”と称して気紛れに乱暴されることもあった。反抗や逃亡を試みても、必ず阻止されて拷問の後に殺される。生き残るためには、耐えるしかなかった。心を閉ざし、思考を麻痺させて、他の全てのことは黙ってやり過ごす。自分は人形であり、持ち主の思惑に従って動くしかないのだと、強く思い込む以外方法はない。だから、アデレードはひたすら忍んだ。同胞が次々と任務の失敗や栄養失調による病気、上役からの暴力によって命を落としていく間も、静かに我慢し続けた。そうすれば、いつかきっと決定的な好機が訪れると信じていた。ある日突然救世主が現れて、彼女をこの地獄から解放してくれる。デルバールと仲間たちに、死をもって制裁を下してくれると願っていた。そして、とうとう望みが叶えられる時が来たのだ。
仕事を通じて知り合った、デルバールの対抗勢力。規模は小さいが武闘派として知られる彼らに、アデレードは少しずつ密かに近付いていった。別に何も、最初から具体的な案があったわけではない。だが投げかけられる質問に漫然と答える内、いつしか希望でしかなかったものが、詳細な作戦に変わっているのを知ったのである。
彼らは商売敵のデルバールを恨むと同時に、最低限の筋さえ通さない振る舞いに義憤を抱いてもいた。彼らの企みを今更止めることは不可能に思えたし、アデレード自身もその必要性を感じていなかった。彼女はもうとっくに、卑劣な仕事内容やなす術なく弄ばれる生き方そのものに、うんざりしていたのだ。だから『死んでいった皆も絶対に同じことを求めていただろう』、『自分はかつての友人の代弁をしているに過ぎない』と自己弁護を重ねて、デルバールらの殺害を正式に依頼した。それが後日、どんな結果と責任を生み出すのか考えもしないままに。
決行の前日になって、彼女はいきなり計画の変更を男たちに願い出ていた。一人だけ殺さずに、見逃してほしい人物がいると訴えたのだ。その相手こそが、セイガ。デルバールの実子にも関わらず、邪険にされ殴られてばかりいた不憫な少年である。
彼女は日々、彼に対して格別の愛情と憐憫とを感じていた。だからこそ、彼の幸せを壊したくなかったし、同時に真実を知られたくないとも思った。この悲劇は身内に、アデレードに裏切られた結果だということを聞かせたくなかった。彼女は決して自覚していなかったが、それは実質、彼のためと銘打った利己的な思考に過ぎない。これ以上誰かに憎まれ、蔑まれ、嫌われたくないという鮮烈なエゴの塊であった。
彼女の本心に気付かないマフィアたちは、渋々頼みを聞き入れてくれた。彼らは犯行声明を出す代わりに、ヘリオス・ラムダに全ての罪をなすりつけ、まんまとデルバールの持っていた利権を奪い取った。何故彼らがガイアモンドたちを選んだのかは、アデレードにも分からない。ともかく彼女は事件当日の夜、セイガを安全な場所に連れ出し、マフィアの襲撃から守り抜くことに成功したのである。そして、家族を亡くし絶望する少年と共に、生きていくと決めた。
尤も、互いの他に知人のいない二人が、協力関係を築くのは自然な成り行きかも知れない。だが、アデレードの精神は少しずつ、着実に蝕まれていった。無垢な少年から父を奪った罪悪感と、次第に強まる相互依存とが幾重にも彼女を縛り付けた。両親を惨殺されたせいで歪んでいくセイガを、目の当たりにしつつも止めることが出来なかった。彼の闇と怒りをぶつけられるのが怖くて、また自らの罪禍を暴かれるのが恐ろしくて、行動を起こせなかったのだ。やがて、真実を打ち明けられない後ろめたさは、尚更彼から離れられない悪循環を生んだ。
そんな中、彼女はガイアモンドという男と知り合った。長年悪夢のような人生を送ってきた彼女にとって、彼は初めて見つけた本物の幸福だった。彼は強く、聡明な人物で、思いやりと良心に満ち溢れていた。だからこそ、彼女は彼に惹かれ、強い恋慕の気持ちを抱くようになったのだ。同時に彼もまた自分を想い、信頼してくれていると勘付き、かつてない嬉しさを覚えた。
もちろん、二人の出会いはセイガによって仕組まれたものだった。彼から与えられた仕事を、いずれ果たさなければならない時が来るとも分かっていた。実際、ガイアモンドの心は掌握しやすかったから、尋ねさえすればどんな情報でも立ちどころに聞き出せただろう。しかし、彼女は結局何も行動せず、口実を設けてセイガのもとへと帰る決断をした。それは当然、ガイアモンドを守るための、ひいては自分自身の精神を守るための行為でもあった。愛する者を己の手で殺め、あるいは苦しめるなど、彼女にはとても出来なかったのだ。
彼女を使った計画が失敗したセイガは、しばらくの間は彼女の望み通り潜伏する道を選んだ。恐らく、当時はまだ会社の経営や資金力に不安があったためであろう。いずれにせよ、彼女はどうにかガイアモンドの無事を守ることが出来たのだった。
だが、平穏もすぐに終わった。セイガの営む<ブルー・ローズ・キャピタル>に、ある有力な顧客が現れたのだ。彼の名は、メレフ。音を用いた魔法の力で、世界の滅亡と再生を行うという、荒唐無稽な野望を抱いていた。しかし実際の効果は、せいぜい中規模の都市を破壊する程度でしかなく、メレフはどこにでもいる厄介な犯罪者の一人に思われた。とはいえ、せっかくの好機をセイガが逃すはずはない。その頃の彼はガイアモンドを追い落とすために、躍起になって犯罪組織に金を提供し、その度に損失ばかりを増やしていた。けれどメレフならば、街全体に過去とは比べ物にならない被害をもたらすことが出来る。たとえ、彼の目論見自体が潰えたとしても、必ずガイアモンドにも何らかのダメージを与えられるはずだった。そして、傷付いた街の隙間を掻い潜って、自分たちがアメジストの内側へ入り込む。
セイガの企みは、結果としてほとんど完璧に実現された。彼と彼の組織は上手いことアメジストに浸透し、各種犯罪率の上昇や汚い金の流通を促進させる活動に邁進した。ムーンの娘アスカが握らされた麻薬も、彼らが手がけた事業の一つである。アデレードの懸命な試みにも関わらず、セイガの脳に宿る復讐心は尽きるどころか、より激しく燃え盛っていたのだろう。
「アデル……やはり、君は」
だが、彼女が努力した事実までもが消えてなくなるわけではない。むしろ、己のために奮闘してくれていたと知って、ガイアモンドは熱い思いに胸を打たれていた。彼は思わず言葉を詰まらせながら、彼女に何事かを話しかける。
「セイガのそばから離れることは出来ないわ。彼を壊したのは私……彼の両親を殺害するよう、依頼したのは私なの」
ところが、アデレードはきっぱりと冷たい態度で、彼の接近を拒絶した。唐突に真実を打ち明けられ、ガイアモンドとグシオンは揃って戸惑いの表情を浮かべる。彼女は構わず、無感情な調子で語り続けた。
「ついでに、ヘリオス・ラムダに罪をなすりつけたのも私よ。これで分かったでしょ?あなたたちが今追い詰められているのは、全て私が原因だって」
「そんなことはどうでもいい!僕が言いたいのは、ただ……ただ、僕はまた、君とやり直したいと」
「無理よ!!絶対に出来るわけない!!」
淡々と言い募る彼女に、ガイアモンドは語気を荒げて反論したが、アデレードは耳を貸さない。彼女は体の横で両の拳を握り締め、甲高い叫びを迸らせた。彼女の暗く沈んだ声音には、確かな不条理に対する憤激と、何よりも強い諦念とが含まれている。
「私は、これまでに何人もの人を殺してきたの!組織のために、自分が生き残るために……初めて殺人を犯したのは、10歳の時よ。それからは、デルバール率いるマフィアたちの言いなりになるしかなかった。殺しも、売春も、拷問も、命令されたら何だってやったわ。奴隷だったの!私はデルバールと、そして今はセイガの奴隷。なのに今更、誰かと真っ当な関係を持つなんて、絶対に出来ない……私には全く、普通の人生は生きられない」
殊に、美しく成長しそうな人材がいれば、“特別指導”と称して気紛れに乱暴されることもあった。反抗や逃亡を試みても、必ず阻止されて拷問の後に殺される。生き残るためには、耐えるしかなかった。心を閉ざし、思考を麻痺させて、他の全てのことは黙ってやり過ごす。自分は人形であり、持ち主の思惑に従って動くしかないのだと、強く思い込む以外方法はない。だから、アデレードはひたすら忍んだ。同胞が次々と任務の失敗や栄養失調による病気、上役からの暴力によって命を落としていく間も、静かに我慢し続けた。そうすれば、いつかきっと決定的な好機が訪れると信じていた。ある日突然救世主が現れて、彼女をこの地獄から解放してくれる。デルバールと仲間たちに、死をもって制裁を下してくれると願っていた。そして、とうとう望みが叶えられる時が来たのだ。
仕事を通じて知り合った、デルバールの対抗勢力。規模は小さいが武闘派として知られる彼らに、アデレードは少しずつ密かに近付いていった。別に何も、最初から具体的な案があったわけではない。だが投げかけられる質問に漫然と答える内、いつしか希望でしかなかったものが、詳細な作戦に変わっているのを知ったのである。
彼らは商売敵のデルバールを恨むと同時に、最低限の筋さえ通さない振る舞いに義憤を抱いてもいた。彼らの企みを今更止めることは不可能に思えたし、アデレード自身もその必要性を感じていなかった。彼女はもうとっくに、卑劣な仕事内容やなす術なく弄ばれる生き方そのものに、うんざりしていたのだ。だから『死んでいった皆も絶対に同じことを求めていただろう』、『自分はかつての友人の代弁をしているに過ぎない』と自己弁護を重ねて、デルバールらの殺害を正式に依頼した。それが後日、どんな結果と責任を生み出すのか考えもしないままに。
決行の前日になって、彼女はいきなり計画の変更を男たちに願い出ていた。一人だけ殺さずに、見逃してほしい人物がいると訴えたのだ。その相手こそが、セイガ。デルバールの実子にも関わらず、邪険にされ殴られてばかりいた不憫な少年である。
彼女は日々、彼に対して格別の愛情と憐憫とを感じていた。だからこそ、彼の幸せを壊したくなかったし、同時に真実を知られたくないとも思った。この悲劇は身内に、アデレードに裏切られた結果だということを聞かせたくなかった。彼女は決して自覚していなかったが、それは実質、彼のためと銘打った利己的な思考に過ぎない。これ以上誰かに憎まれ、蔑まれ、嫌われたくないという鮮烈なエゴの塊であった。
彼女の本心に気付かないマフィアたちは、渋々頼みを聞き入れてくれた。彼らは犯行声明を出す代わりに、ヘリオス・ラムダに全ての罪をなすりつけ、まんまとデルバールの持っていた利権を奪い取った。何故彼らがガイアモンドたちを選んだのかは、アデレードにも分からない。ともかく彼女は事件当日の夜、セイガを安全な場所に連れ出し、マフィアの襲撃から守り抜くことに成功したのである。そして、家族を亡くし絶望する少年と共に、生きていくと決めた。
尤も、互いの他に知人のいない二人が、協力関係を築くのは自然な成り行きかも知れない。だが、アデレードの精神は少しずつ、着実に蝕まれていった。無垢な少年から父を奪った罪悪感と、次第に強まる相互依存とが幾重にも彼女を縛り付けた。両親を惨殺されたせいで歪んでいくセイガを、目の当たりにしつつも止めることが出来なかった。彼の闇と怒りをぶつけられるのが怖くて、また自らの罪禍を暴かれるのが恐ろしくて、行動を起こせなかったのだ。やがて、真実を打ち明けられない後ろめたさは、尚更彼から離れられない悪循環を生んだ。
そんな中、彼女はガイアモンドという男と知り合った。長年悪夢のような人生を送ってきた彼女にとって、彼は初めて見つけた本物の幸福だった。彼は強く、聡明な人物で、思いやりと良心に満ち溢れていた。だからこそ、彼女は彼に惹かれ、強い恋慕の気持ちを抱くようになったのだ。同時に彼もまた自分を想い、信頼してくれていると勘付き、かつてない嬉しさを覚えた。
もちろん、二人の出会いはセイガによって仕組まれたものだった。彼から与えられた仕事を、いずれ果たさなければならない時が来るとも分かっていた。実際、ガイアモンドの心は掌握しやすかったから、尋ねさえすればどんな情報でも立ちどころに聞き出せただろう。しかし、彼女は結局何も行動せず、口実を設けてセイガのもとへと帰る決断をした。それは当然、ガイアモンドを守るための、ひいては自分自身の精神を守るための行為でもあった。愛する者を己の手で殺め、あるいは苦しめるなど、彼女にはとても出来なかったのだ。
彼女を使った計画が失敗したセイガは、しばらくの間は彼女の望み通り潜伏する道を選んだ。恐らく、当時はまだ会社の経営や資金力に不安があったためであろう。いずれにせよ、彼女はどうにかガイアモンドの無事を守ることが出来たのだった。
だが、平穏もすぐに終わった。セイガの営む<ブルー・ローズ・キャピタル>に、ある有力な顧客が現れたのだ。彼の名は、メレフ。音を用いた魔法の力で、世界の滅亡と再生を行うという、荒唐無稽な野望を抱いていた。しかし実際の効果は、せいぜい中規模の都市を破壊する程度でしかなく、メレフはどこにでもいる厄介な犯罪者の一人に思われた。とはいえ、せっかくの好機をセイガが逃すはずはない。その頃の彼はガイアモンドを追い落とすために、躍起になって犯罪組織に金を提供し、その度に損失ばかりを増やしていた。けれどメレフならば、街全体に過去とは比べ物にならない被害をもたらすことが出来る。たとえ、彼の目論見自体が潰えたとしても、必ずガイアモンドにも何らかのダメージを与えられるはずだった。そして、傷付いた街の隙間を掻い潜って、自分たちがアメジストの内側へ入り込む。
セイガの企みは、結果としてほとんど完璧に実現された。彼と彼の組織は上手いことアメジストに浸透し、各種犯罪率の上昇や汚い金の流通を促進させる活動に邁進した。ムーンの娘アスカが握らされた麻薬も、彼らが手がけた事業の一つである。アデレードの懸命な試みにも関わらず、セイガの脳に宿る復讐心は尽きるどころか、より激しく燃え盛っていたのだろう。
「アデル……やはり、君は」
だが、彼女が努力した事実までもが消えてなくなるわけではない。むしろ、己のために奮闘してくれていたと知って、ガイアモンドは熱い思いに胸を打たれていた。彼は思わず言葉を詰まらせながら、彼女に何事かを話しかける。
「セイガのそばから離れることは出来ないわ。彼を壊したのは私……彼の両親を殺害するよう、依頼したのは私なの」
ところが、アデレードはきっぱりと冷たい態度で、彼の接近を拒絶した。唐突に真実を打ち明けられ、ガイアモンドとグシオンは揃って戸惑いの表情を浮かべる。彼女は構わず、無感情な調子で語り続けた。
「ついでに、ヘリオス・ラムダに罪をなすりつけたのも私よ。これで分かったでしょ?あなたたちが今追い詰められているのは、全て私が原因だって」
「そんなことはどうでもいい!僕が言いたいのは、ただ……ただ、僕はまた、君とやり直したいと」
「無理よ!!絶対に出来るわけない!!」
淡々と言い募る彼女に、ガイアモンドは語気を荒げて反論したが、アデレードは耳を貸さない。彼女は体の横で両の拳を握り締め、甲高い叫びを迸らせた。彼女の暗く沈んだ声音には、確かな不条理に対する憤激と、何よりも強い諦念とが含まれている。
「私は、これまでに何人もの人を殺してきたの!組織のために、自分が生き残るために……初めて殺人を犯したのは、10歳の時よ。それからは、デルバール率いるマフィアたちの言いなりになるしかなかった。殺しも、売春も、拷問も、命令されたら何だってやったわ。奴隷だったの!私はデルバールと、そして今はセイガの奴隷。なのに今更、誰かと真っ当な関係を持つなんて、絶対に出来ない……私には全く、普通の人生は生きられない」
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