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暫しの離別
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停電が発生し、薄闇に包まれた研究所の内部を、男たちが先を争って走り抜ける。事情は不明が、何故か鬼気迫った様子で駆けていく彼らの後ろ姿を、戸惑った研究員たちが恐る恐る覗いていた。開いたドアの隙間から注がれる、好奇と恐怖の混じった視線を感じながら、ムーンは一心にセイガを追う。視界の前方には、結構な距離を過ぎても尚、速度を落とさずに進み続ける標的のシルエットがあった。どうにか捕まえられないものかと、試しに銃を発砲してみるが結果は芳しくない。銃弾は全て氷の魔法で受け止められ、それどころかかえって、反撃まで繰り出される有様であった。撒き散らされる氷片は、狙いこそおざなりだったが、鋭く尖っていて高い殺傷性を誇っている。硬い金属製の壁にすら平気で傷を付けるそれに備え、ムーンたちは身を屈めて攻撃を回避し、靴裏にも気を配っていなければならなかった。蹴飛ばされ、踏み付けられた薄氷の砕ける音が断続的に響く。
やがて何度目かも分からなくなった角を曲がり、階段を降りると、唐突に追跡は終了した。ムーンの手前、数メートル離れた位置に、息を切らせたセイガが佇んでいる。珍しくきちんと機能を果たしている非常灯が、毒々しい緑の光を彼の全身に浴びせていた。いくつも重なった彼の影が、本体に合わせて左右に揺れている。彼の正面には他のものよりも厚く、頑丈そうな扉が聳えていた。
追いついたムーンに一瞥もくれず、彼は携帯端末の画面を見つめ、表示されたパスコードをキーパッドに入力する。そして、巨大な舵輪型のノブを回し、閉ざされたドアを引き開けた。
「待て!」
反射的にムーンは叫び、セイガの腕を目掛けて銃を構えた。だが、先程の光景を思い出し、どうせ撃っても防がれるだろうと判断を下す。そこで即座に作戦を切り替え、武器を仕舞うと突進を試みた。急襲に気付いたセイガは、ノブから手を離して後退ったものの間に合わず、ムーンの体当たりを食らって扉に衝突することとなる。
「クソ、離せっ!」
「はぁ……もう逃げられないよ、セイガ」
悪態をつくセイガを押さえ、ムーンは挑戦的な微笑を浮かべた。激しく暴れる男の腕を掴み、力に任せて拘束すると、相手の口から苦悶の呻きが漏れる。それでもまだ悔しげにもがく彼を、ムーンはマフィアも顔負けの低い声色で脅し付けた。
「動くな。大人しくした方が身のためだぞ、セイガ」
「……チッ」
彼の懐から奪ったリボルバーを突き付け警告すると、セイガは舌打ちを一つして黙る。ようやく抵抗が止んだことに安堵し、ムーンは肩を上下させて乱れた息を整えた。この男の処遇については、ガイアモンドの到着を待って相談したいところだったが、生憎と望みが叶うことはない。何故なら、たった一瞬の隙を突いて、再びセイガが魔法を放ったからである。
「ぐっ!?」
爆発じみた勢いで華開いた氷が、ムーンの身体を軽々と吹き飛ばす。凄まじい威力で押し退けられた彼は、背中から壁に叩き付けられ思わず咳き込む。その間も、パキパキと音を立てて進攻してくる氷が、鋭く尖った爪で胴や喉元をきつく圧迫した。苦痛に足掻くムーンを無視し、セイガは戒められていた関節をほぐすと、扉を開ける作業に舞い戻る。
彼の力に合わせて、冷たい金属のノブが緩慢に回転し、程なく最後の一周を済ませた。重量のあるドアは油が足りていないのか、耳障りな軋みを上げて徐々に開いていく。気の早いセイガはまだ十分に開いていない扉に痩身を捩じ込むようにして、無理矢理奥へと入っていった。
「ムーン!」
「ムーンさん!!」
彼の踵がドアの陰に消えた直後、ムーンはやっと狭いスペースを見つけ、拳銃の角度を調整すると引き金を引く。銃弾が氷の檻を破壊すると同時に、グシオンとガイアモンドが彼のもとに合流した。グシオンの体を蝕む氷は、更に悪化して膝の辺りまで侵食している。辛そうに眉を寄せる彼と、全力疾走のせいで消耗しているガイアモンドに、休息を与えたいところだったがそんな暇はない。ムーンはそれぞれに小さな頷きを返すと、先頭に立って分厚い扉に手をかけ、室内へと踏み込んだ。
「ッ!?」
ところが、最初の一歩が着くか否かというタイミングで、彼は謎の物体に足を払われその場に転倒した。眼前にはセイガがいて、氷を細長く伸ばして作った槍状の武器を携えている。ムーンは咄嗟に受け身を取り、銃把を握ったが今度は姿勢が安定しない。靴裏がツルツルと床を滑って、体を真っ直ぐに保つことも難しい状態になっていた。
彼らが立ち入ったのは、部屋と呼ぶのも躊躇われる奇妙な場所だった。天井の高い四角形の空間には、家具調度の類がほとんど置かれず、がらんとした虚しさだけが漂っている。それどころか、床さえもが抜け落ちて、ぽっかりと口を開けた奈落が室内の大半を占めていた。足場になりそうなものは、ただ一本の細い通路のみ。それもまた中央付近で不自然に途切れ、暗闇にダイブする者を眈々と待ち侘びている。壁に沿って埋め込まれた照明が、人工的な乏しい光を無感動に投げかけていた。
通路を構成する金属の板は、刻まれた縞模様が隠れるほど氷でコーティングされ、摩擦力を失っていた。スケート用のシューズでも履いていない限り、この上を自由に移動することは不可能だろう。ただの革靴を履いていたムーンは、案の定あっさりとバランスを崩し、セイガの一撃を胴に受けてしまった。
「ぐぁあっ!」
鋭い刃で右の脇腹を刺し貫かれ、彼はまたもや床に倒れる。飛び散った鮮血が、白い床に点々と赤い染みを作った。槍を引き抜いたセイガは、ムーンが落とした拳銃を拾い上げ、額の中央を狙って照準を定める。
「く……っ」
「不死鳥の心臓を手に入れる前に、お前をここで始末する」
慌てて横に転がって避けたムーンは、傷の痛みと切迫感に奥歯を噛み締めた。セイガは彼をつまらなさそうに睥睨し、もう一度槍状の得物を掲げる。だが、それが振り下ろされるよりも早く、何者かの影がセイガの背後に現れた。
「カカカッ、あんたの相手は“俺たち”だっつーの!」
昂った笑いを爆ぜさせ、グシオンがわざとらしく挑発する。彼はムーンから“借りて”いた銃を抜くと、何発か弾を射出してセイガの武器を木っ端微塵に破壊した。
ムーンを仕留め損なった怒りか、あるいは妨害を受けて苛立ったのか、セイガは喉奥で唸りを上げて闖入者に躍りかかる。新たに生み出された槍による猛攻を、グシオンは素早く見切っては機敏な動作で次々とかわしていった。体を蝕む氷の存在など感じさせない軽快さで、通路の上を駆け回り、セイガを巧みに翻弄する。
グシオンが時間を稼いでいる隙にと、ガイアモンドは覚束ない足取りでムーンに近寄り、彼を助け起こした。支えを借りて立ち上がったムーンは、ふと刺された腹に違和感があると気付く。どうやら、グシオンが苛まれているのと同じ、人体凍結が発生しているらしい。彼の傷口の周囲は青白く変色し、ほのかな冷気を燻らせ始めていた。自らが生きたまま氷と化す光景を想像し、ムーンは無意識に唾を飲む。一方で、グシオンもまた窮地に陥っていた。
「どけッ!掏摸風情が!!」
「ぐぁっ!」
セイガの振るった槍が左の頬を掠め、抉り取られた氷の欠片と皮膚片が宙を舞う。肉が裂け、異常に温もりを失った血液が顎まで垂れてくるのを、グシオンは平然とした面持ちで拭った。とはいえ、それが強がりに過ぎないことは、二人とも既に承知している。いくら身体能力が高くとも、グシオンには格闘の技術や経験がなく、魔法を受けたせいで衰弱してもいたからだ。対するセイガはと言えば、先程こそムーンに不意を突かれたものの、大抵の相手となら互角に渡り合える腕前を持っている。彼は器用な手捌きと武器の長さを活かして、グシオンを追い詰め、ついにその手から銃を弾き飛ばした。ついでに柄で鳩尾を打つと、グシオンは耐えきれずに膝を折って崩れ落ちる。鳩尾の辺りを押さえ横向きに倒れる彼の肩を、セイガは憤怒を込めて見下ろし、思い切り蹴り付けた。
「ぅぐ……っ!」
足で押し出されたグシオンは、氷の張った足場の上を右から左に滑っていく。両脇には一応、転落防止用の手すりが設けられていたが、如何せん子柱の間隙が広過ぎて何の役にも立っていない。けれどもどうにか、グシオンは最後の力を振り絞って柱の一本を掴もうとする。だが、その瞬間、強烈な痛みが彼の指先から腕全体にかけてを貫いた。凍結が芯まで侵食したせいで、彼の指は自身の握力と体重を担いきれず、粉々に砕け散ったのだ。
「グシオンッ!!」
事態に気付いたガイアモンドが、慌てて駆け寄るも既に遅かった。グシオンから剥離した氷は、キラキラと輝きを放ちながら宙を舞う。それは逼迫した現状にあまりにも似合わない、美しく煌びやかな余光を残して、ゆっくりと落ちていった。
やがて何度目かも分からなくなった角を曲がり、階段を降りると、唐突に追跡は終了した。ムーンの手前、数メートル離れた位置に、息を切らせたセイガが佇んでいる。珍しくきちんと機能を果たしている非常灯が、毒々しい緑の光を彼の全身に浴びせていた。いくつも重なった彼の影が、本体に合わせて左右に揺れている。彼の正面には他のものよりも厚く、頑丈そうな扉が聳えていた。
追いついたムーンに一瞥もくれず、彼は携帯端末の画面を見つめ、表示されたパスコードをキーパッドに入力する。そして、巨大な舵輪型のノブを回し、閉ざされたドアを引き開けた。
「待て!」
反射的にムーンは叫び、セイガの腕を目掛けて銃を構えた。だが、先程の光景を思い出し、どうせ撃っても防がれるだろうと判断を下す。そこで即座に作戦を切り替え、武器を仕舞うと突進を試みた。急襲に気付いたセイガは、ノブから手を離して後退ったものの間に合わず、ムーンの体当たりを食らって扉に衝突することとなる。
「クソ、離せっ!」
「はぁ……もう逃げられないよ、セイガ」
悪態をつくセイガを押さえ、ムーンは挑戦的な微笑を浮かべた。激しく暴れる男の腕を掴み、力に任せて拘束すると、相手の口から苦悶の呻きが漏れる。それでもまだ悔しげにもがく彼を、ムーンはマフィアも顔負けの低い声色で脅し付けた。
「動くな。大人しくした方が身のためだぞ、セイガ」
「……チッ」
彼の懐から奪ったリボルバーを突き付け警告すると、セイガは舌打ちを一つして黙る。ようやく抵抗が止んだことに安堵し、ムーンは肩を上下させて乱れた息を整えた。この男の処遇については、ガイアモンドの到着を待って相談したいところだったが、生憎と望みが叶うことはない。何故なら、たった一瞬の隙を突いて、再びセイガが魔法を放ったからである。
「ぐっ!?」
爆発じみた勢いで華開いた氷が、ムーンの身体を軽々と吹き飛ばす。凄まじい威力で押し退けられた彼は、背中から壁に叩き付けられ思わず咳き込む。その間も、パキパキと音を立てて進攻してくる氷が、鋭く尖った爪で胴や喉元をきつく圧迫した。苦痛に足掻くムーンを無視し、セイガは戒められていた関節をほぐすと、扉を開ける作業に舞い戻る。
彼の力に合わせて、冷たい金属のノブが緩慢に回転し、程なく最後の一周を済ませた。重量のあるドアは油が足りていないのか、耳障りな軋みを上げて徐々に開いていく。気の早いセイガはまだ十分に開いていない扉に痩身を捩じ込むようにして、無理矢理奥へと入っていった。
「ムーン!」
「ムーンさん!!」
彼の踵がドアの陰に消えた直後、ムーンはやっと狭いスペースを見つけ、拳銃の角度を調整すると引き金を引く。銃弾が氷の檻を破壊すると同時に、グシオンとガイアモンドが彼のもとに合流した。グシオンの体を蝕む氷は、更に悪化して膝の辺りまで侵食している。辛そうに眉を寄せる彼と、全力疾走のせいで消耗しているガイアモンドに、休息を与えたいところだったがそんな暇はない。ムーンはそれぞれに小さな頷きを返すと、先頭に立って分厚い扉に手をかけ、室内へと踏み込んだ。
「ッ!?」
ところが、最初の一歩が着くか否かというタイミングで、彼は謎の物体に足を払われその場に転倒した。眼前にはセイガがいて、氷を細長く伸ばして作った槍状の武器を携えている。ムーンは咄嗟に受け身を取り、銃把を握ったが今度は姿勢が安定しない。靴裏がツルツルと床を滑って、体を真っ直ぐに保つことも難しい状態になっていた。
彼らが立ち入ったのは、部屋と呼ぶのも躊躇われる奇妙な場所だった。天井の高い四角形の空間には、家具調度の類がほとんど置かれず、がらんとした虚しさだけが漂っている。それどころか、床さえもが抜け落ちて、ぽっかりと口を開けた奈落が室内の大半を占めていた。足場になりそうなものは、ただ一本の細い通路のみ。それもまた中央付近で不自然に途切れ、暗闇にダイブする者を眈々と待ち侘びている。壁に沿って埋め込まれた照明が、人工的な乏しい光を無感動に投げかけていた。
通路を構成する金属の板は、刻まれた縞模様が隠れるほど氷でコーティングされ、摩擦力を失っていた。スケート用のシューズでも履いていない限り、この上を自由に移動することは不可能だろう。ただの革靴を履いていたムーンは、案の定あっさりとバランスを崩し、セイガの一撃を胴に受けてしまった。
「ぐぁあっ!」
鋭い刃で右の脇腹を刺し貫かれ、彼はまたもや床に倒れる。飛び散った鮮血が、白い床に点々と赤い染みを作った。槍を引き抜いたセイガは、ムーンが落とした拳銃を拾い上げ、額の中央を狙って照準を定める。
「く……っ」
「不死鳥の心臓を手に入れる前に、お前をここで始末する」
慌てて横に転がって避けたムーンは、傷の痛みと切迫感に奥歯を噛み締めた。セイガは彼をつまらなさそうに睥睨し、もう一度槍状の得物を掲げる。だが、それが振り下ろされるよりも早く、何者かの影がセイガの背後に現れた。
「カカカッ、あんたの相手は“俺たち”だっつーの!」
昂った笑いを爆ぜさせ、グシオンがわざとらしく挑発する。彼はムーンから“借りて”いた銃を抜くと、何発か弾を射出してセイガの武器を木っ端微塵に破壊した。
ムーンを仕留め損なった怒りか、あるいは妨害を受けて苛立ったのか、セイガは喉奥で唸りを上げて闖入者に躍りかかる。新たに生み出された槍による猛攻を、グシオンは素早く見切っては機敏な動作で次々とかわしていった。体を蝕む氷の存在など感じさせない軽快さで、通路の上を駆け回り、セイガを巧みに翻弄する。
グシオンが時間を稼いでいる隙にと、ガイアモンドは覚束ない足取りでムーンに近寄り、彼を助け起こした。支えを借りて立ち上がったムーンは、ふと刺された腹に違和感があると気付く。どうやら、グシオンが苛まれているのと同じ、人体凍結が発生しているらしい。彼の傷口の周囲は青白く変色し、ほのかな冷気を燻らせ始めていた。自らが生きたまま氷と化す光景を想像し、ムーンは無意識に唾を飲む。一方で、グシオンもまた窮地に陥っていた。
「どけッ!掏摸風情が!!」
「ぐぁっ!」
セイガの振るった槍が左の頬を掠め、抉り取られた氷の欠片と皮膚片が宙を舞う。肉が裂け、異常に温もりを失った血液が顎まで垂れてくるのを、グシオンは平然とした面持ちで拭った。とはいえ、それが強がりに過ぎないことは、二人とも既に承知している。いくら身体能力が高くとも、グシオンには格闘の技術や経験がなく、魔法を受けたせいで衰弱してもいたからだ。対するセイガはと言えば、先程こそムーンに不意を突かれたものの、大抵の相手となら互角に渡り合える腕前を持っている。彼は器用な手捌きと武器の長さを活かして、グシオンを追い詰め、ついにその手から銃を弾き飛ばした。ついでに柄で鳩尾を打つと、グシオンは耐えきれずに膝を折って崩れ落ちる。鳩尾の辺りを押さえ横向きに倒れる彼の肩を、セイガは憤怒を込めて見下ろし、思い切り蹴り付けた。
「ぅぐ……っ!」
足で押し出されたグシオンは、氷の張った足場の上を右から左に滑っていく。両脇には一応、転落防止用の手すりが設けられていたが、如何せん子柱の間隙が広過ぎて何の役にも立っていない。けれどもどうにか、グシオンは最後の力を振り絞って柱の一本を掴もうとする。だが、その瞬間、強烈な痛みが彼の指先から腕全体にかけてを貫いた。凍結が芯まで侵食したせいで、彼の指は自身の握力と体重を担いきれず、粉々に砕け散ったのだ。
「グシオンッ!!」
事態に気付いたガイアモンドが、慌てて駆け寄るも既に遅かった。グシオンから剥離した氷は、キラキラと輝きを放ちながら宙を舞う。それは逼迫した現状にあまりにも似合わない、美しく煌びやかな余光を残して、ゆっくりと落ちていった。
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