聖なる幼女のお仕事、それは…

咲狛洋々

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第二章 盾と剣

16.5 皇太子の乱心 1

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 「はっはっはっ……!」

 私は何を目にしている?
ここは戦場だ。こんな事ある筈ないではないか。つい先程まで、私は第二師団が聖戦宣言する奉納の儀をしているのを見ていた。なのに今、目の前で起きているこれは一体何なのだ。

「うっ……」

「殿下!これは一体」

「わか……らぬ」

 魔力壁が押し合っている中、急に熱波が空より押し寄せて騎士達のマントを靡かせている。空は雲を霧散させ、太陽を現したかと思うと、そこから炎の塊の様な物が降ってきた。いや、舞い降りたと言うべきか。

「あれは何なのだ」

 右辺の岩壁の上、聖騎士団司令官と第一師団の分隊が号令を出している場所にそれは降り立った。私達は遊撃部隊の攻撃を合図に騎獣で飛翔する筈だったが、それも出来ず隊後方で成り行きを見守っていた。

「女神」

 誰かが呟いた。
私にはその姿が見えない。どこだっ?どこに女神がいる!
しかし、私の場所から見えるのは光が煌々こうこうと輝いている光景だけで、そこに何がいるのかまでは伺い知る事は出来なかった。

「チューザ、み、見てこい」

「殿下っ、わ、私に行けと⁉︎」

「お前が行かずして誰が行くのだっ!其方は黒騎士の参謀であろうがっ!」

「そ、そんなぁ」

「情けない声を出すでない!行けっ、またアルバートに手柄を取られるだろうがっ!」

「殿下ぁ、まだ張り合っていらっしゃるのですか?」

 張り合うだと?そもそも私の手柄をあいつがいつも横取りして行くのだ!忌々しい奴だ。今回はもしかしたら天仕てんしユーグレオーブ達による天啓かも知れぬではないか。

 ユーグレオーブ。それは神からの先触れや、天啓、警告を人間に伝える伝令係の様な存在で、加護を得る際などに良く現れる天の使いであった。皇太子オルヴェーンはあの火の塊はきっとそれに違いないと鼻息を荒くしていた。

「ユーグレオーブであったら何とする?皇太子である私が天啓をうけるべきであろう!」

「はぁ。分かりました」

 チューザは嫌々騎獣の手綱を引くと、あぶみを履いていた右足で、騎獣の横腹を叩いた。騎獣はくるりと方向を変えて飛び立った。

「ユンカー、私も行くべきか?」

「あれがユーグレオーブで無かった場合、呪いを受ける可能性もありますから、殿下はこちらでお待ちになった方が宜しいかと」

 うむ。確かにそうだな。万が一にも魔の物の襲撃であれば汚染される事もある。ならば犠牲は部下だけで良い。

「しかし、こうも息苦しいのは何故だ」

 オルヴェーンが呟くのと時を同じくして急にドンっと何かが彼等の身体を地面に押し付けた。

バタバタッ!

 目の前には敵味方関係なく地面にめり込むかの様に平伏す戦士達。オルヴェーンも、強引に頭を押さえつけられる様な圧に「うぐっ!」と声を上げた。

 何だっ!何が起きている?従軍祭祀が何かしたのかっ。

「うぅっ、かはっ!」

 圧を増す状況に、誰もが混乱し成す術もなく平伏す形となりどうする事も出来ずにいた。

「だれ……かっ」

 酸素が脳に巡らず、まるで逆さ吊りになって頭に血が集まり思考を奪って行くかの様な状況にオルヴェーンは踠いている。だが、それは彼だけではなく全ての者がそうであった。しかし、視界の隅に映るハリィ•トルソンだけが平然とその光景を見ていた。

「ハリィ……な、ぜっ」

 忌々しい名無しの分際で、何故ああも平然としていられるのだっ!お前は私の妹の夫であろうがっ!助けに来いっ!

「まさか、フロー……」

 フロー?フローとは何だ。あいつも崖上を見ているが、あそこに知り合いでもいると言うのか?まさか、女神の加護を得るつもりか?今度は譲らんぞ!





 遡る事16年前。オーフェンタールの季節、その加護が一層強くなる10月のある雨の日に、皇太子オルヴェーンはリットールナ本教会の大聖堂にいた。

「殿下、誠にフェリラーデ神のご加護をお望みなのですか?」

「チューザ、しつこいぞ?私の主護しゅごはオーフェンタール神だからな。女神同士の加護ならば受け易かろうし、なにより相性が良い。それに、皇太子となればクローヴェル神の加護を受ける事にもなるだろうからな。フェリラーデ神の加護は絶対必要だ」

 歴代国王直系子孫には試練があった。それは、王族ならば必ず与えられる誕生月を守護する神から授かる加護とは別に、最低でも2つ加護を得なくてはならないという物だ。現国王ヒルトは誕生月の加護に加えて、クローヴェル神、ザザナーム神、レネベント神、計4つの加護を得ていて、オルヴェーンはそれを越えるためにはフェリラーデの加護が絶対に必要だと息巻いた。

「確かに、5形威けいいはフェリラーデ神の眷属とも言える神々ですから、その加護を持てば得やすいかも知れませんが……その」

「分かっておる。最も得やすい加護だが、神査しんさが最も厳しいのもフェリラーデ神の加護だ。それに、神査はいつでも受けられるが一生に一度しかこの加護の神査しんさは受けられぬ。しかも貴族からは年3名しか選ばれぬと聞く。今年はまだ1名しか得られておらぬから大丈夫だとは思うが、ここで得られなければ……」
 
 そうオルヴェーンと側仕えのチューザが話していると、奥から大司教ウルネリスが現れた。

「殿下、準備が整いました。奥の泉の間へどうぞ」

「あぁ、よろしく頼む大司教」

 泉の間には、天上界と繋がっていると言われる源泉があり、そこには中央にトルトレス神像を祀り、その両サイドには各神の像が見下ろす様に建っている。

「では、お召し物を全て脱いで頂き泉へとお入り下さい」

 オルヴェーンは言われるがまま泉へと入って行く。そしてトルトレス神の像を見上げ聖願せいがんを行った。男らしく雄々しい聖願を終え、彼はまるで女性に言い寄るがごとく愛を乞うた。

「命の女神フェリラーデ神よ、我が永遠の愛を女神に捧げる!是非とも女神の情人の1人に加え賜え。しもべとして女神に代わり民の安寧を約束する!命を共に守ろうではないか!」

 泉の間に控えていたチューザは、流石にその聖願せいがん後の宣言は頂けない、これでは人間の女性相手でも首を縦に振るまいと思った。そして、案の定その聖願せいがんに3神5形威は応えなかった。

「ウルネリス大司教、何故だ……何が悪かったと言うのだ」

「……先程の加護卸かごおろしにて、フェリラーデ神が加護をお与えになったのかもしれません。知っての通り、フェリラーデ神の加護は魔力属性に関係無く誰にでも取得機会のある加護ですが、神査しんさは厳しく、取得人数に制限がある加護です。もしかしたら今年の人数を変更なさったのかもしれません」

「何故それを先に言わない!まだ1名しか取得していないと聞いから安心していたのだぞ?」

「殿下、我々は神のしもべでございます。制限があると言えども、それを覆すのも神の意思。我々に神々の御心を推し量る事は出来ません」

「私がっ、フェリラーデ神には相応しく無いと言うのか?」

「いいえ、そうでは御座いません。フェリラーデ神は慈悲深い女神ですから、満たされぬ者、命を慈しむ事への願い強き者を選ぶ傾向にある様です」

「私以上にフェリラーデ神を求めておる者がいるものか!誰だっ、先程加護卸を受けたのは!」

「確か、セボン男爵令嬢と、カルカートレー辺境伯の御子息であったかと」

「セボンにカルカートレーだと?あの風見鶏の底辺貴族共めっ!忌々しいっ」

 オルヴェーンは泉から上がると、ワナワナと震え泉の間の壁をドンッと叩き、このままでは帰れぬとウルネリスに再度聖願を行える様準備をしろと叫んだ。

「殿下、加護卸はそう何度も行う物ではありませんよ。それを神のご意志への反意と捉えられれば、2度と加護を頂けぬ場合もあるのです!それ故に貴族には加護卸の儀は年2回と定められているのです。殿下は今年、今日も含め2回行っておいでです。前回は加護卸も聖願も受け付けぬアルケシュナー神へ無理やり聖願を行ったではありませんか!お忘れで御座いますか?」

 その言葉を聞いて、オルヴェーンは舌打ちすると「もう良い」と言ってローブを羽織ると控えの間に戻って行った。泉の間に残されたウルネリスは溜息と共にフェリラーデ神像を見上げた。

「殿下には言えませんね。あれ程の加護をカルカートレーのご子息にお与えになったのです。ここ10年は誰もフェリラーデ神の加護は得られないかも知れませんね」

 今朝方突然運ばれてきた1人の少年。その身体中には痛々しい無数の打撲痕、そして魔力を極限まで抜き取られ死の淵を彷徨っていた。その命を救う為に、命名の儀よりも先に加護卸をしてはどうかと、フェルダーン家次期当主様と我々がお話をしている途中の事でした。

 突然溢れ出した光と鈴の音、花々の香りがこの間に満ちて、我々は戸惑いました。神の先触れ、もしくは神託かと身構えた物です。いつもの様に女神の化身は現れませんでしたが、突然与えられた奇跡でした。少年の胸に、膨大な魔力と神力が一本の光の糸となり結ばれて行くのです。その糸がどこに繋がっているのかは分かりませんが、ピンと張り詰めたまま色を赤に変えて消えました。加護では無い何かだと思いましたが、その後すぐにフェリラーデ神の魔力の化身である聖蝶せいじょうが舞い降りたのです。神が自ら進んで加護を与えるのは誕生月の命にだけだと聞いていましたから、その光景に私は感動したのです。殿下には失礼ですが、この少年を女神はその伴侶、もしくは神子と選んだのでは無いでしょうか?

 我々神のしもべに、そのご意志を図る事は許されざる行為ではありますが、私にはそう思えてなりません。叶うのならば、あの少年がどの様に成長するのか、この目で見たいと思うのです。残りわずかな私の命で見守れるのならば、どれ程幸福な事でしょうか。



 全てを押さえつけていた力。それがふっと解かれた時、オルヴェーンは目も眩む様な光景に腰を抜かし、恐怖で震え暴れる騎獣から転げ落ちた。

「3神5形威けいい⁉︎」

 フェリラーデ神の姿は無いが、上空にははっきりとトルトレス神、クローヴェル神、ザザナーム、アルケシュナー、オーフェンタール、シャナアムト神達の姿と真っ白に発光するが如しの少女の姿が在った。

 意識はあるが、まるで時が止まっていた。身体と感覚が分離していて、頭が、心が手を伸ばしたのに遅れてこの手が空を切る。空中で舞う砂煙の一粒一粒が光を反射しているのが見える。ブンッという緩い紐を弾いた様な音が身体に響いた。

—世界の融和を望む

—剣を捨てよ

 何が起きたのか分からない。しかし、反論も否定する気も起きない。それが当然なのだと、すっと身体が、心が理解した。聖戦は起こしてはならない、起きてはならない。神が否定した。

 この感覚は私だけでは無い様で、ヤーリスの兵達も同様に感じたのだろう、神々の姿に涙を流し、水を掬った手を掲げる様に手を翳し祈りの言葉を呟いている。

「フローー!」

 突如として左辺に配されていたハリィが声をあげた。私はその声に苛立ちつつ目を向ける。義弟であるあいつの前には、ドクンと胸が高鳴る程の見目麗しい神が居る。そう、あれはきっと風であり時の神であるシャナアムト神に違いなかった。そのシャナアムト神が何かハリィと話をしている。一体何を話している?何故其方なのだ。

「殿下、あれは……何をしているのでしょうか」

「抱擁だろうが……そう、神の抱擁」

 妬ましい。何故、あの様な穢れた名無しを神はその腕に抱く。何故私では無いのだ。神に認められた血族は我々ではないか!あいつにあれ以上奪われてたまるものか。加護も、名声も、女共の歓心も奪われた。あいつがシャナアムト神に気が逸れている間に、何とかトルトレス神に拝謁せねば。

「ユンカー、動けるか?」

「な、なんとかっ」

「行くぞ!」

「え?何処にですか」

「上に決まっておるだろうが!」

「は?はぁっ?え?神の元にですか?」

「この場の最高責任者は誰だ!」

「で、殿下でございますが……」

「だろうが!だ、ろうが!」

「……は、はぁ」
(何故2回言う?はぁ、いっその事第3王子に鞍替えしたい)

 オルヴェーンは騎獣に跨ると、手綱をバシンと鳴らし飛翔した。ユンカーも彼に続くと崖上へと登り切り、騎獣から降りると駆け出した。

「リットールナ主神ハカナームト様、並びに5形威けいいの神々にご挨拶申し上げます。我が名はっ!」

 突然現れた皇太子に、アルバートとダダフォンは慌てたが、聖琰せいえんがその首をぐっと魔力で掴み、ドサッとアルバートの足元に転がした。

「ぐほっ!ごっ、ごほっ、かっ」

「殿下!大丈夫でございますかっ?せ、聖琰せいえん殿!やりすぎだっ!」

『はんっ、その様な不躾な者をどう扱おうと我の勝手ぞ。呼ばれてもおらぬ者が神の足元に這い上がって来るとは躾がなっておらぬのではないか?この国の教育はどうなっておるのじゃ。それとも何か?我々神が間違っておると言いたいのか?』

「い、いえ!だがっ、このお方は我が国の皇太子殿下です。もう少しお手柔らかにお願いできませんでしょうか?」

 アルバートよ!よ、よく言った。なんだこの奇怪な女はっ!鳥か?人間か?神では無いが、その眷属と言った所か?くそっ、この様な半端者に投げ飛ばされるとはっ!

『貴様、今何と言った。もう一度言うが良い……我が法炎を馬鹿にしたな?』

「はっ?え?私は何も」

『愚かな人の子だ』

 戦神レネベントは、神や眷属達の中でも神階しんかい(神の位を示す物) 武位勲2等ぶいくん2とうであるが、その勲位を上げるためには眷属を全て服従させ、その神魂を捧げさせる必要があった。数万と存在する炎の眷属を、レネベント神は戦い屈服させ、時にはその眷属の為に盾となり戦った。故に、炎の上位霊神(上神前の精霊)である法炎ほうえん一族はレネベントにその身を捧げた。彼等が居なければ、レネベントが5形威けいいで、その地位を保つ事は困難であっただろう。

「えっ?いやっ、しかしこの眷属がっ!」

『名を何という』

「‼︎は、はいっ。私は皇太子オルヴェーン•リュ•」

 皇太子が名を言い切るか否か、その時フロリアが声を上げた。

「レネベントさん。名前を縛るの?」

 その言葉に、オルヴェーンやアルバート達はハッとしてフロリアを見た。フロリアの目は金色に染まっていて、無意識なのか神眼を使っている様だった。

『……ほぅ、愛し子は神眼を使える様になっておったか』

「神眼?なにそれっ、どうやって使うの?」

『ふむ。無意識か、まだまだ先は長そうだの』

「急にレネベントさんのしたい事が見えた……のかな」

『そうだ。この様な者は後顧の憂いでしかない。王族でこれならば先は知れておる故な、今のうちに縛ってやろうと思ったのよ』

「レネベントさん。後でフローがめっ!ってしておくからごめんなさいで許して?」

 両手を合わせ、ぺこりとフロリアは頭を下げた。そして未だ怒りが冷めやらぬ聖琰せいえんにポケットに入っていた魔石の埋め込まれたミサンガを渡した。

「パパにあげるつもりで急拵えしたけど、間に合わなかったからえんちゃん食べていいよ?だからもう怒らないでよ」

『……はぁ。仕方ない、今回はそれで手を打ってやろう』

「わーい!よかったね王子様っ!あのね、神様の前でお名前は簡単に言わない方がいいよ?王族の人は真名縛りされてないから、縛られたら神罰下されちゃうからさ。せっかく聖戦止めたんだもん、命だいじに!だよ?」

 この子は一体?何と愛くるしい子であろうか。白金の髪に……ウォーターオパールの瞳?まさかっ、父上の隠し子⁉︎













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