神々にもてあそばれて転生したら神様扱いされました。

咲狛洋々

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神話編

いつまでも貴方を想う(1)

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 ゆらゆらと水面を揺らしたのは半身に反応した大蛇であった。

水面を押さえつけていた白虎の結界は、ビシビシとヒビを入れながら

割れ始め、大蛇の首が抜け出せる程の穴を作る。

「何百年振りか、誰ぞ淀みを癒す者が現れたのか?」

大蛇は空を眺め、大きく体を揺すった。

「おぉ、我が半身よ。久方振りよ」

四聖獣は大蛇を前に、腕を伸ばして永き別離からの再会を喜び一つに

なろうとしている。

「さぁ、我等と共に神と一つになりに行くぞ。」

大蛇が四聖獣に触れようと首を湖の淵に乗せた時、上空から龍が

大蛇の首を押さえつけて水中へと押し戻した。

「何者ぞ!我が半身を押さえつけるとは許せん。」

「悪ぃだな!今あんた等を一つにさせるわけにはいかねぇす!」

「使徒のラファエラ殿からの伝言だで!聞いてけろ!」

足元でバシャバシャと暴れる大蛇を必死に押さえつけ、ソレスは

ビクトラ達の作戦を伝えた。

「ほぉ。人の子もやっと腰を上げたかの。仕方無し、我が片割れよ。
今暫くの辛抱じゃ。後いく日か、我慢してくれぬかの?」

ソレスの足元から首だけを出した大蛇は、ハァハァと息を切らして

ソレスをその長い尾で弾き飛ばすと、やれやれと首を窄めて水中へと

戻って行った。

「おい、そこの麒麟の末裔よ。こっちへこい。」

「オラの事分かるだか?」

ソレスは依代を戻すとトテトテと四聖獣の足元に歩み寄った。

「ふん、神核は残さなかったか。アイツらしいわ。」

「オラの先祖の事知っとるだがね?」

「あぁ、愛い奴だったわ。我が加護もここまで残るとはの。」

「?なしてオラ達に玄武様は加護を下さっただ?」

ソレスの瞳に何かを思い出した様な玄武は、ソレスの背中を

そっと撫でながら笑った。

「愛、故かの。こんなにも永き時を経てもまだ、我はあの者を忘れられぬのだな。口惜しや」

「麒麟様と恋仲だったがね?」

「あぁ、違う。そうではない、我がただ想いを寄せただけよ。」

「あやつが愛したのはただ一人。カイリだけだったな。」

「天帝の正妃様だな?」

「あぁ、憐れな奴だった。全てを奪われて穢されて。この地に縛られて…我等が天界からこの地に降りたのはカイリの為だった。」

そうだったんだな、オラ達はなんも知らねだな。この世界の事も、

何もかんも知らねで都様に背負わせとる。あん方もカイリ様とおんなじ

でねぇか?ただ、でーじな双葉様を守りたがっただけだべ。

「都様も、カイリ様と同じ世界の生まれだって言ってただ。」

「きっと日本人?だって言ってただ。」

四聖獣はその瞳を少し細めて何かを考えていたが、一言『そうか』と

だけ言って歩き出した。

「オイ、お前名は?」

「ソレスだ。オラは何と呼べばいいだ?」

「ふん、なんとでも呼べば良い。」

「んなら、四神様と呼ぶべ。四神様、ジジの家さ急ぐだ!」

ジジの名を聞くと、四聖獣はくわっと目を見開き叫んだ。

「ジジだと⁉︎アイツまだ生きておるのか⁉︎」

「んだよ。この村の知恵袋だ。」

「あいつ、どんどけ執着してやがる!建国から生きてる事になるぞ?あいつはな、カイリの義弟だ。」

「ウェ!?カイリ様の義弟⁉︎皇族だったのけ⁉︎」

「いや、ジジの親は皇族ではない。だが、アイツはカイリに執着して死ぬまで離れなかった。」

「まさか、アイツ…おい!ジジの家に急ぐぞ」

早足で歩く四聖獣に追いつけずソレスは転びながらジジの家へ

向かった。







































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