後発オメガの幸せな初恋 You're gonna be fine.

大島Q太

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7.初めての交流会 3日目

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交流会3日目はテーブルやソファが適度な距離が置いてあってパーテーションなんかもある。

なんか気恥ずかしい感じだ。

俺は両手でキャストカードを持って待っていた。まず会ったら挨拶をして、昨日言えなかったことを伝えよう。それからお礼も言ってと頭でうるさくシミュレーションを繰り返した。

「透君、おはよう」

俺はハッと見上げると彼は今日も笑顔でこちらを見ていた。
心臓が跳ねた、笑顔を見ただけで体温が上がる。

「おはようございます」

つい目が合うのが怖くて深々と頭を下げて挨拶してしまった。ふっと笑い声が聞こえて顔を上げると彼が大きな手のひらを俺の方に出した、思わずそこに手を置いた。彼の目元が優しげに緩む。

そのまま手をつないで二人掛けのソファに座った。

「昨日、透君かっこよかったね。そのまま帰ってこなかったから寂しかったけど」
座ったのに彼は僕の手を握ったまま離そうとしない。手汗が気になる。

「ヒートのフェロモンを浴びちゃったので先生に戻らない方が良いって言われました」

近くに座る彼は森林浴みたいな水分を含んだ清々しい匂いがした。そうだ、出会った時も夏の夕方で花に水やりをしていた時だったな。

「昨日さ、何か言いかけてたよね」

握っていた手を彼の太ももにのせられた。硬い感触に恥ずかしくて赤くなる。

「あの、俺も…一月ぶりに会えて…うれ…うれしかったです」

彼を見上げると彼はこちらをじっと見ていた。

「俺は嫌われてるのかと思ってた。バイトの時も名前すら聞かれなかったし。キャストカードを贈ったけど来なかったらどうしようって…昨日だって見かけてもすぐに声を掛けられなくて。嬉しいって言ってもらえて俺も嬉しい」

嫌うなんてとんでもない、俺はぶんぶんと頭を振った。その誤解は解いておきたい。

「嫌われてるなんてないです。ただ、張ヶ谷さん…「いたる」至君いつもケーキ二つ買ってたからもしかしたら他に一緒に食べる人がいて…俺は男だけどオメガだって言ってなかったし。男同士でそう言う事って言わないものだから」

今どさくさに紛れて至君って呼んだぞ。

「嫌われてなくてよかった、二つ買ってたのは俺とばあちゃんにだよ、うちのばあちゃん甘いものが好きなんだ。あと、俺にそういう人はいないよ。いたらここに来ないからね?」

優しい声とは裏腹につないだ手を指を絡めるように握りなおされて逃げなくされた。

「張ヶ谷さ…「いたる」至君、すごかったってアルファの人を抑えたってすごいこと…なんですよね…なかなかできることじゃないって友達も言ってた、大学生だって俺には想像もできない大人だ」

言葉がつかえて恥ずかしい。ちゃんと考えてたのに何一つうまくいってない気がする。

「透君には大人に見えてんのか。俺はだいぶみっともないよ。アルバイト先で逢った時だって、あんなに話したのに君のこと何一つ聞けなかったし。昨日だって透君を守るためにいっぱいいっぱいだった」

困ったように眉を寄せて笑っている。俺は頬にまた熱がこもる。

「守って…俺を?ありがとうございます」

ペコリと頭を下げたまま膝を見つめていると。握られた手をぶんぶんと振られた。見上げると彼はニヤリと笑った。

「ありがとうって思ってくれるなら、お礼はさ…来月誕生日なんだ、祝ってよ」


俺はまじまじと彼を見た。彼は賢し気に笑っている。
だめだ、強引でこじつけだ、だけど俺はこの人が好きだ。どうしよう…怖い。でもそれ以上に、この人と仲良くなりたいと思った。繋がれている方の手がひどく熱かった。意を決して俺も握り返した。

「俺でよければ…」

口から言葉がこぼれた。彼を見たらひどくうれしそうな顔をしてくれた。またふわっと体温が上がる。それから、お互いの連絡先を交換して好きなものを教え合った。彼はイメージ通り緑色が好きだった。僕はオレンジ色が好きだと言うと、あぁって俺のスマホカバーを指した。確かにオレンジだった。


散会の合図まではあっという間だった。

立ち上がりまたねって手を振って別れた。座っていると気付かなかったけどやっぱり彼の背は大きかった。彼の「またね」が頭の中でリフレインする。

交流棟を出ようとしたところで、追いかけてきた至君が忘れてたって大きな声で俺を呼び止めた。

何事かと呼ばれるまま近づくと「写真、撮ろう?」とスマホを出した。

膝から崩れ落ちるかと思ったが踏ん張った。コクコクとうなずくと、俺の肩に手を置いて二人の写真を何枚か撮った。画角に入るため寄せあった体は近くてドキドキした。

向こうでヒナタが扉から顔半分だけ出してニヤついてたのは見ないふりをした。
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