いと高きところに

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拾六a 蜜の響き 前

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1.


(お目にかかれないまま、何日過ごした事でしょう? 中毒患者がここにおります)


 心と身体がじくじくと膿んでいる。自分の中心が「頭」から「心臓」に、そして「あそこ」に移ってしまった様だ。女になるとこれが当たり前なのだろうか?
 定期的にメールも交わす。時々、電話でも話す。でも、彼に触れられないまま1週間以上が過ぎている。身体は耐えられないのに、頭は耐えているのだろうか。合致しない体と心に悩まされる日が来るなんて考えた事もなかった。

 彼の事を考えるだけであそこが反応する。想像だけで、彼を迎える準備を無心に開始する自分の素直な身体に真由は呆れる。会いたい。あの身体に触りたい。あの指先で翻弄されたい。舐めたい。
 思いも寄らない欲望が心の表層に浮かび上がり、彼女はギョッとした。本当に自分はついこの間まで処女だったのかしらと自問する。たがが外れた我が身は思いの外強欲だ。敦の裸体を思い出す度にドキドキするこの胸の鼓動はどんなに言い繕っても性欲以外の何ものでも無いと、理性は冷静に判断している。
(敦さんはこんな私をご存知かしら?)
 あの不思議な男は気付いているかもしれない。気付いて、真由の欲望がどの様に育つのか観察しているのかもしれない。

 面白そうに煌くあの眼差しが好き。自分が気に入った物、興味を惹かれた事柄に向ける悪戯っぽい目付きが大好き。でも、何かが彼の癇に障り、一転して相手を蔑む様に見下す冷たい表情もやはり好き。それがもし自分に向けられたらきっと真由は絶望と恍惚の相反する二つの感情の間で引き裂かれてしまうかもしれない。

(もしそうなったら、私は耐えられるのかしら?)


「山辺さん? 何かこの案件についてご意見は?」
 真由はいきなり現実世界に引き戻された。思わず額を押さえる。会長の話を聞き漏らした様だ。
「申し訳ございません。今の案件のお話、聞き逃してしまいました」
「まあ?」
 会長が心配そうにこちらを窺う。
「珍しいのね。貴女のお顔、大層お疲れに見えるわ。急ぎの案件ではないから、明日にしましょう。明日なら皆様集まりますし。……、今日は早めに帰宅された方がいいわ」
「面目ございません。そうさせていただきますわ」
 1月の最後の週だった。明日は金曜日だから、会長が説明してくれた案件も明日にはまとめた方がいいだろう。今週は土曜の授業が無い。先週末、及び先々週末に実施された中等部と高等部の入学試験の採点やその関連の実務の為、学校運営側も多忙となってしまっている。時間がかかりそうな問題は早め、早めに対応していくべきだろう。

 情けない気分だが、どうにも今日は集中できない。明日には生徒会役員が揃うので、その場でまとめるしかないだろう。本来だったら前日迄に出来るところまで詰めておくべきだが、時には怠け者になってみるのも悪くはないかもしれない。珍しくも自暴自棄でその様に締めくくった真由は溜息をついて帰宅準備に取り掛かった。
 ノートや筆記器具など、生徒会の大きな会議用テーブルの上に広げられたアイテムを手早く片付けながら、窓の外を見る。今冬は非常に天気が良い。晴れマークばかりの天気予報を見る日が続いている。一応、冬だから少しは寒いが、本当の寒冷地にいらっしゃる皆様から見たら小春日和以外の何ものでもない生ぬるい空模様だ。

「お姉さま!」
 突然ドアが開き、会長と真由を少し驚かせた。先ほど「ごきげんよう、また明日」と見送った筈の後輩が戻ってきた上、後ろ手に締めたドアの前に佇み、肩で息をしている。この学校の生徒にしては珍しく、急いで歩いてきた様だ。いや、もしかしたら走って来たのかもしれない。うるさがたのシスターに捕まると間違いなくお説教コースだろう。
「真澄さん、どうされたの? その様に息を乱して」
「あの方が」
「あの方?」
「お姉さまのトゥー・ソックス様がお待ちです」
 後輩を見る真由の表情が変化した。切羽詰った雰囲気で早口に尋ねる。
「どちらに?」
「校門前です」
「会長、ごきげんよう。それでは私はこれで失礼いたしますわ」
 真澄の言葉に頷くと、真由はあっという間に身を翻した。一切の躊躇も見せない流れる様な動きに驚かされた二人を残してドアの外に消えてしまった。
「お姉さま、正門です!」
 念の為にとドアに飛びついた後輩が廊下に顔を出して叫んだ。
「真澄さん、ありがとう」
 振り向いて微笑みと共に返答する。この学校には正門の他に西門と運動門という直接校外に出る事が可能な門がある。運動門は文字通り運動場に設置されているが普段施錠されているので、イベント時でない限り使用されない。しかし、西門は正門に比べれば頻度は低いがそれなりに使用されているのだ。

 伝えるべき相手に無事に伝言を伝えられた真澄はホッと息を抜いた。その彼女に背後から静かな声が掛かる。
「真澄さん、随分と慌てていらっしゃったようですわね」
「あ、会長、ごきげんよう……、これはですね」
 もう1人部屋に居た事を思い出し、狼狽えて言い淀む後輩を眺めながら、手早く退去の準備を済ませた会長は部屋の鍵を手にしながら言葉を続けた。
「さ、私達もここを出ますわよ」
「会長?」
「早くしなさい。正門ですわね。絶対、ご紹介に預かりたいですわ」
「ええ?」
 さーーっと蒼褪める後輩を急かして外に出ると、生徒会室に鍵を掛け、真澄の腕を引きながら会長は足を速めた。この際、多少のはしたなさは仕方ないだろう。

2.


 話は遡る。

「井上さん?」
「はい?」
 その日の午後、真澄は下校の為に校門から出たところで級友に呼び止められた。
「何か御用ですか? 栗田さん」
「あそこの方、貴女をお待ちのようですわ」
 級友が指し示した校門脇に男子が3人佇んでいる。少し離れた地域にある同系列のミッション系男子校の制服である。真澄は、(またか)と考えた。目当ては真由だろうけれど、「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」の馬代わりにされる真澄としてはムカつく話である。
 本人に直接ぶつかっていけない時点で既に真由の好みから大きく外れていると思われるのに、お友達まで引き連れてくる気の弱さは大きなマイナス評価である。

 とにかく、そちらへ歩み寄り、口を開く。彼女が歩み寄るのを待っている彼らの受身な態度もよろしくないだろう。
「ごきげんよう、井上真澄と申します。失礼ですが、はじめましてと挨拶した方が宜しいのでしょうか?」
「はじめまして」
 真ん中にいる可愛い系の男子が返答した。
「僕、東林の奥田と申します。2年生です」
(なるほど、甘めのジャニーズ系で、お姉さまと同じお年なんですね)と真澄は心の中でフムフムと頷いた。
「私は井上と申します。この学校の高等部1年生です。早速ですが、ご用件をお伺いします」
 廻りの野次馬、いや、ご学友の方々が「しっかりしてるな」とか「可愛い子だね」とか囀っているが、そんなものは無視して真澄は奥田某君の次の言葉を待つ。恋文ならさっさと寄越せ、用件があるならさっさと話せという気分で彼を見上げる。

「あのね、君の先輩である山辺さんの件だけど」
 内心、やれやれだ。せめて、山辺先輩を真澄が知っているかの正否をまずは尋ねて欲しかった。時間を無駄にしたくない気持ちはわかるが、物事には避けてはいけない順序が存在する。正式な手順をすっ飛ばして自分が話したい箇所しか口にしないデリカシーの無さはいただけない。
「それは当校の生徒会副会長を務める高等部2年A組に所属する山辺真由先輩のお話でしょうか?」
「あ、そうそう。ハキハキしてるね、井上さん」
「確認させていただいたまでです。それでは山辺先輩についてのお話をお伺い致します。どの様なご用件でしょう?」
 彼は少し焦った様にポケットから取り出したハンカチで額の汗を拭った。少し戸惑った様に振舞う姿を見ながら、真澄は考える。この方は決して悪くは無い。お顔も綺麗だし、背丈もある。通っている学校の偏差値を考えると、頭もそれなりに良い筈だし、家柄も悪くない筈だ。
 しかし、真澄の目から見ても精神的に幼稚な部分がある様に思える。お姉さまの隣に立つ姿は想像さえも出来ない。決定的に何かが足りない。役者不足だ。あり得ない。

 その様に真澄の中で判断してしまうと、この場に留まるのがどんどん嫌になる。そもそも、真由は既に恋しいお方をお持ちなのだ。それを考えるとこの方の話を聞く事自体、無意味に思えてくる。但し、お付き合いしている彼氏さんの情報は真由自身から口止めされている未公開情報となるので、それを理由に話をこの場で勝手に断ってしまう事は真澄には出来ない相談だった。

「えっとね。その山辺さんと話をしたいんだけど」
「山辺先輩はまだ生徒会のお仕事中です。いつ終わられるかは存じあげません」
「そう? 君ね、井上さんだっけ? 携番教えてよ。それで彼女の情報、流してほしーんだけど」
「私は一介の後輩に過ぎません。その様なご提案を私の方で勝手にお受けする事は出来かねます。奥田様の方で何か山辺先輩に渡して欲しいものなどございましたら承りますが」
 だらだらした押し問答をしたくないので、真澄の方からオファーを提案した。
「何だか固いね。仲が良いって聞いたからわざわざ君を呼び止めたんだけど?」
 真澄の杓子定規な対応が気に食わないらしく、奥田は少々ムッとした表情で返答してきた。もはや、他人に頼み事をする態度ではない。彼の容姿を考えたら、女子から素っ気無い対応をされた経験は少ないのだろう。
「山辺さんと会える様セットアップしてよ。いいだろ? その位?」
 口調が少々崩れてきた。元々、堪え性がないのだろう彼は強引に話を進めようとしている。
 中等部からこの学校に通うせいで、同じ年代の男子慣れをしていない真澄は機嫌が悪くなり始めた奥田に内心ギクッとした。少し怖い。彼女の不安に気付いた2人のご学友はニヤニヤ笑いながら「怖がらせるなよ、奥田ー」とか「こいつ切れやすいから気をつけてね」などと言葉の上だけで牽制してきた。完全に面白がっているのは歴然としている。

 彼らの気持ちを敏感に察した真澄がムッとした時、彼女の救い手は思ってもみなかった方向から現れた。歩いて校門に近づいてきた男が真澄に気付いて歩み寄ってきたのだ。
「おおっ。日頃の行いのせいかな。一発でみっけるなんて、俺ってば、ラッキー君だわ。真澄ちゃんだったっけ?」
「え?」
 突然掛けられた朗らかな声に真澄は恐る恐る振り向いた。そして心臓が止まりそうになる。彼女の背後にはあの忘れもしない男がニコニコしながら立っていた。今日は黒い革のジャケットを着ている。
「あ……広田様? お久しぶりです」
「敦でいいって。会話中? ごめんね。すぐ済むから俺の用件いいかな?」
「はい」
 奥田達は黙り込んだ。言葉遣いも口調も穏やかそうだが、見るからに凶悪そうな悪人面の見知らぬ男だ。真澄と穏やかそうに話しながら、チラリと自分達に投げかけてきた視線が「お前らは当然、俺の後で文句ないよな」と言わんばかりに傲慢で物騒だった。

「時間できたからマユに会いたいんだ。携帯に掛けても電源入ってないから、まだ学校にいると思うんだけど、俺が待ってるってちょいと伝えてきてくれる? 彼女の居場所知ってるかな?」
「はい。直ちにお伝え致します」
 ちらっと奥田達を盗み見ると、彼らは奇妙な表情で真澄達の会話を聞いている。文句を言われるかと思ったが、黙っているので少しホッとした。真由の下の名前を敦が言った事に気付いていないのだろうか?
 とにかく、この男の扱いが奥田と違うのは見逃して頂きたい。真澄としては、真由が心待ちにしている相手なのだから丁重に扱って当たり前。贔屓と思われては心外だ。

「あれ、そっちの兄ちゃん達はもういいの?」
 すぐさま、走り出そうとする真澄を呼び止めて敦がわざとらしく尋ねる。横目で彼に眺められた奥田達は固まった。内心、(怖いんですけど……何、この人?)と考えている。
「あ、僕達の事ならお気にしないで下さい。出直してきます」
「そう? わりーね」
 敦は人懐こい笑顔を作って、礼を言う。彼らは「いえいえ」と愛想笑いを浮かべながら、その場から何気なく歩き出した。どう見ても「やばい人」に見える。同じ場所に居ると、話しかけられそうで怖い。何でこのようなお嬢様学校の外にこんな危なそうな人が出没するのかわからない。
 彼らは敦が自分達同様に真由目当てでこの場所に来た事に気付いていない。ひたすら存在感があり、妙な圧力を発するこの男に気圧されていたので、会話の内容も細かいところ迄は気付かなかった。もし、彼らがこの先、この場に留まっていたら面白いものを目撃できたかもしれないが、彼らは一時撤退を選択して速やかにその場から立ち去った。

 そこまで見届けて真澄はダッシュした。今日は例のヤクザ達は引き連れていないが、この男自身が生粋の極道に見えるから怖い。真由の名誉の為にも、彼が校門付近に滞在する時間は出来るだけ短縮したい。それと同時に、真澄は真由がどれほど彼を待ちわびているのか知っている。早く知らせてあげたい。

「落ち着け。急ぎすぎて転ぶなよー!」
(心配はご無用ですわ)

 恥ずかしいコメントを背後から叫ぶ男を無視して真澄は急ぐ。校内に入れば、早足に切り替えねばいけないのだ。自分が出せる可能な限りのトップスピードで彼女は生徒会室を目指したのだった。


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