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聖女暗殺編
第54話 魔術大典
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部屋に戻ろうと、やはり疑問は解消されない。
彼の正体は何なのか。
あれから図書館でそれらしき本を何冊か読んだが、タクトについて書いてあるものはなかった。そもそも、魔王について書かれている本が少なかった。
歴史書では有名な通り、以前魔王が代替わりしたのは300年前。
それ以前の魔王の情報は多いのだが、変わった後の魔王の情報は少ない。
人類に対して侵攻行為を行っていないのが理由らしいが、それならば300年あそこから出ていないタクトは条件的に当てはまる。
容姿や能力に関する説明があるものは何もなかった為、確証とまでは行かない。
図書館に隠れ住んでいるとも言える彼が、情報を統制した可能性も捨てきれなかった。
続いて、転移する直前に持っていた本の話だ。
転移されたあとに持っていなかったことから薄々気付いているかもしれないが、消滅していた。
『女神について』は正直気になっていたので残念だが、今更どうこう言っても仕方ない。
ちなみにそれに伴い、本の裏にあったボタンも無くなっていた。
俺の記憶が読み取られ、同じ手段でタクトの元へ行かれるのを防ぐためだろう。
次にタクトに会おうと思っても会えないのかと思ったが、それは仕方のないことだ。
割り切ろう。
タクトの正体についての疑問は依然として残り続けるが、それは解決のしようがない。
今最も気になっているのかこれ、『魔術大典』だ。
名前からして、魔法が多く書いてあるのかと思ったが、本がそもそも開かなかった。
糊付けされてるのか?というくらい、本が開かないのだ。
これじゃあ意味ないじゃん、と思った上、タクトからの嫌がらせなのでは無いかと思ったが、どうやらそうではないようで、
>『魔術大典[黒]』の使用条件を満たしません。
と、頭の中に声が響いた。
魔術大典とやらに種類があることにも驚きだが、手に持っているボロボロの本から”黒”という要素を1つも見つけられないことにツッコみたい。
どこが黒なんだ、と。
ただの茶色い本じゃないか、と。
それはともかく、タクトの冷やかしでなかったことは知れた。
使用用途は未だ分からないが、やはり魔法がすべて書いてあるとかではないだろうか?
黒、という色がついていることから、魔術大典は各属性に分かれていることも考えられる。
残念ながら、魔術大典についてはガーベラも知らないようだし、どうしようもないだろう。
───ガーベラの知らない魔法関連の書物ってなんだ?そもそも使用条件とは?
>使用条件「魂10000の獲得」
なんというか、意外と素直に聞けば教えてくれることが多い気がする。
経験値の時もそうだが、どういうシステムなのだろう。
頭の中に直接声を流し込むような感覚。さり気なく受け入れていたが、これは異世界人でも感じるものなのだろうか?
それとも転移した人のみなのだろうか?
図書館で大抵のことは知れると思っていたが、少しばかり過信し過ぎていたようだった。
重要な情報は統制されているかのように、手に入らない。
単純に前例が少なく、まとめ手が居ない可能性もあるのだが。
それにしても、魂10000とは物騒だ。
魂が何かは分からないが、想像するに10000人殺せということだろう。
魔獣でも良いのであれば10000匹か。
莫大な数字だが、不可能では無いと思う。
問題は、10000殺して手に入る『魔術大典』の意義なのだ。
ぶっちゃけ、魔法についてまとめてあるだけの本ならばそこまで価値は感じない。
前もって言ってくれなかったタクトを恨む気持ちだ。
魔獣で可能なのであれば1万は容易かもしれない。
ガーベラに手伝ってもらう必要はあるかもしれないが、それでもやる価値はあるだろう。
実際の価値というより、気になるから確かめたいという気持ちが強いのだが。
もしかしたら魔法に適正のない俺でも、魔法を使う方法が書いてあるかもしれない。あまりに夢を見過ぎかもしれないが、桃原愛美を殺す手段が現状思い付かないので、それを確かめるのも良いかもしれない。
桃原愛美の処理だが、ガーベラにスクロールを貰うことも考えたが、それは辞めることにした。
というのも、彼女はガーベラの元で訓練を受けていたらしく、魔法に対する知識や、もしかしたらガーベラに辿り着かれるかもしれないという気持ちからだ。
とは言え、戦士長を連れていくわけにもいかない。
処理したい気持ちに反して、その手段が浮かばないのであった。
考えるべきは『魔術大典』に頼ってみるか、<生殺与奪>のスキルレベル上げ。
前者は運要素が強く、最悪の場合役に立たない可能性もある。
タクトに貰ったものとしては、他に例の指輪があるが、あれで勇者を直接殺せるかは不明だ。
後者はそもそも上げ方が分からない。
今までの感じ、スキルレベルの上昇は条件によるものだと思う。
その条件が分からない以上、むやみやたらに<支配>を使い続けるわけにもいかない。
他の強者を<支配>したり、聖女──ラテラあたりを<支配>することも視野には入っていた。
他の強者については──冒険者ギルドで冒険者を使う方法が考えられるが、強力な冒険者は中々王都に帰ってこないと言う。ガーベラのように<支配>が通じなかった場合、ガーベラのように命を保証してくれる可能性は低いだろうと考えたゆえだ。
聖女や他の聖職者を<支配>するのは辞めておきたかった。女神自身に<支配>が通じない以上、それと密接な関わりがある聖職者に<支配>が通じるという保証は無いからだ。
───まずはガーベラを通して魔術師ギルドから何人か派遣してもらうか?そもそも魂1万って俺が殺さなくちゃ駄目なのか?
そこにも不安要素が残る以上、自分の手で殺すのが確実か。
ここまで来て、魔法に適正がないことが悔やまれる。
ガーベラに貰ったスクロールの残りは7個。攻撃魔法は6個だ。
とてもじゃないが、6個で1万の軍勢を狩り尽くせるとは思わない。
───一度『魔術大典』は諦めて別の手段を考えるか?
タクトがこのタイミングで『魔術大典』を渡してきた理由も引っかかる。
まさかこれで最後だとは思わないし、何か考えがあるのだろう。
それを考えれば、今『魔術大典』を使用しておくべきなのだろう。
ただ、それをする手段が無い。
堂々巡りだ。
今考えてもどうにもならないだろう。
取り敢えず、この問題は未来に丸投げだ。
───そういえば…悪魔の石についてガーベラに聞いておけば良かったな。アレの使い道も気になる。
悪魔の石、願いの結晶が嵌め込まれた指輪、『魔術大典』。3つの希少な道具が手に入っている。
使い道がわかるのは指輪だけだが、手に入れたからには有効活用したい。
少しずつ、情報収集を行っていくか。
ふと時計を見ると、昼の2時を過ぎた頃だった。
この後特にすることもない。
───少し出かけるか…。
考えが詰まった時は、気分転換に出かけるに限る。
俺は宿屋を出て、街にでも行こうと決意した。
彼の正体は何なのか。
あれから図書館でそれらしき本を何冊か読んだが、タクトについて書いてあるものはなかった。そもそも、魔王について書かれている本が少なかった。
歴史書では有名な通り、以前魔王が代替わりしたのは300年前。
それ以前の魔王の情報は多いのだが、変わった後の魔王の情報は少ない。
人類に対して侵攻行為を行っていないのが理由らしいが、それならば300年あそこから出ていないタクトは条件的に当てはまる。
容姿や能力に関する説明があるものは何もなかった為、確証とまでは行かない。
図書館に隠れ住んでいるとも言える彼が、情報を統制した可能性も捨てきれなかった。
続いて、転移する直前に持っていた本の話だ。
転移されたあとに持っていなかったことから薄々気付いているかもしれないが、消滅していた。
『女神について』は正直気になっていたので残念だが、今更どうこう言っても仕方ない。
ちなみにそれに伴い、本の裏にあったボタンも無くなっていた。
俺の記憶が読み取られ、同じ手段でタクトの元へ行かれるのを防ぐためだろう。
次にタクトに会おうと思っても会えないのかと思ったが、それは仕方のないことだ。
割り切ろう。
タクトの正体についての疑問は依然として残り続けるが、それは解決のしようがない。
今最も気になっているのかこれ、『魔術大典』だ。
名前からして、魔法が多く書いてあるのかと思ったが、本がそもそも開かなかった。
糊付けされてるのか?というくらい、本が開かないのだ。
これじゃあ意味ないじゃん、と思った上、タクトからの嫌がらせなのでは無いかと思ったが、どうやらそうではないようで、
>『魔術大典[黒]』の使用条件を満たしません。
と、頭の中に声が響いた。
魔術大典とやらに種類があることにも驚きだが、手に持っているボロボロの本から”黒”という要素を1つも見つけられないことにツッコみたい。
どこが黒なんだ、と。
ただの茶色い本じゃないか、と。
それはともかく、タクトの冷やかしでなかったことは知れた。
使用用途は未だ分からないが、やはり魔法がすべて書いてあるとかではないだろうか?
黒、という色がついていることから、魔術大典は各属性に分かれていることも考えられる。
残念ながら、魔術大典についてはガーベラも知らないようだし、どうしようもないだろう。
───ガーベラの知らない魔法関連の書物ってなんだ?そもそも使用条件とは?
>使用条件「魂10000の獲得」
なんというか、意外と素直に聞けば教えてくれることが多い気がする。
経験値の時もそうだが、どういうシステムなのだろう。
頭の中に直接声を流し込むような感覚。さり気なく受け入れていたが、これは異世界人でも感じるものなのだろうか?
それとも転移した人のみなのだろうか?
図書館で大抵のことは知れると思っていたが、少しばかり過信し過ぎていたようだった。
重要な情報は統制されているかのように、手に入らない。
単純に前例が少なく、まとめ手が居ない可能性もあるのだが。
それにしても、魂10000とは物騒だ。
魂が何かは分からないが、想像するに10000人殺せということだろう。
魔獣でも良いのであれば10000匹か。
莫大な数字だが、不可能では無いと思う。
問題は、10000殺して手に入る『魔術大典』の意義なのだ。
ぶっちゃけ、魔法についてまとめてあるだけの本ならばそこまで価値は感じない。
前もって言ってくれなかったタクトを恨む気持ちだ。
魔獣で可能なのであれば1万は容易かもしれない。
ガーベラに手伝ってもらう必要はあるかもしれないが、それでもやる価値はあるだろう。
実際の価値というより、気になるから確かめたいという気持ちが強いのだが。
もしかしたら魔法に適正のない俺でも、魔法を使う方法が書いてあるかもしれない。あまりに夢を見過ぎかもしれないが、桃原愛美を殺す手段が現状思い付かないので、それを確かめるのも良いかもしれない。
桃原愛美の処理だが、ガーベラにスクロールを貰うことも考えたが、それは辞めることにした。
というのも、彼女はガーベラの元で訓練を受けていたらしく、魔法に対する知識や、もしかしたらガーベラに辿り着かれるかもしれないという気持ちからだ。
とは言え、戦士長を連れていくわけにもいかない。
処理したい気持ちに反して、その手段が浮かばないのであった。
考えるべきは『魔術大典』に頼ってみるか、<生殺与奪>のスキルレベル上げ。
前者は運要素が強く、最悪の場合役に立たない可能性もある。
タクトに貰ったものとしては、他に例の指輪があるが、あれで勇者を直接殺せるかは不明だ。
後者はそもそも上げ方が分からない。
今までの感じ、スキルレベルの上昇は条件によるものだと思う。
その条件が分からない以上、むやみやたらに<支配>を使い続けるわけにもいかない。
他の強者を<支配>したり、聖女──ラテラあたりを<支配>することも視野には入っていた。
他の強者については──冒険者ギルドで冒険者を使う方法が考えられるが、強力な冒険者は中々王都に帰ってこないと言う。ガーベラのように<支配>が通じなかった場合、ガーベラのように命を保証してくれる可能性は低いだろうと考えたゆえだ。
聖女や他の聖職者を<支配>するのは辞めておきたかった。女神自身に<支配>が通じない以上、それと密接な関わりがある聖職者に<支配>が通じるという保証は無いからだ。
───まずはガーベラを通して魔術師ギルドから何人か派遣してもらうか?そもそも魂1万って俺が殺さなくちゃ駄目なのか?
そこにも不安要素が残る以上、自分の手で殺すのが確実か。
ここまで来て、魔法に適正がないことが悔やまれる。
ガーベラに貰ったスクロールの残りは7個。攻撃魔法は6個だ。
とてもじゃないが、6個で1万の軍勢を狩り尽くせるとは思わない。
───一度『魔術大典』は諦めて別の手段を考えるか?
タクトがこのタイミングで『魔術大典』を渡してきた理由も引っかかる。
まさかこれで最後だとは思わないし、何か考えがあるのだろう。
それを考えれば、今『魔術大典』を使用しておくべきなのだろう。
ただ、それをする手段が無い。
堂々巡りだ。
今考えてもどうにもならないだろう。
取り敢えず、この問題は未来に丸投げだ。
───そういえば…悪魔の石についてガーベラに聞いておけば良かったな。アレの使い道も気になる。
悪魔の石、願いの結晶が嵌め込まれた指輪、『魔術大典』。3つの希少な道具が手に入っている。
使い道がわかるのは指輪だけだが、手に入れたからには有効活用したい。
少しずつ、情報収集を行っていくか。
ふと時計を見ると、昼の2時を過ぎた頃だった。
この後特にすることもない。
───少し出かけるか…。
考えが詰まった時は、気分転換に出かけるに限る。
俺は宿屋を出て、街にでも行こうと決意した。
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