本音を言えない臆病者

SMILE TRIP

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夢見る少女

本音を言えない臆病者

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嫌だ。その一言が言えない。
そのせいで、沢山傷ついた。今でも心の片隅にあって多分一生忘れない。

4月。
ピカピカのランドセルを小さな体に背負って小学校へ向かう私、中瀬杏。
友達が出来るかな、勉強はどんな事するんだろう、期待と不安が入り混じる。

1年生、2年生、3年生と低学年から高学年までは至って普通の生活。勉強も、それなりに出来ていた。

早速、苦手意識が芽生えたのは6年生の算数。10数枚のプリントが手渡され、解けた人から先生に採点してもらうスタイル。皆が順調に進める中、2枚目でつまづく私。
 
考えても、考えても分からない。周りからは、『よっしゃー!後○枚』、『簡単だー』と言う言葉が聞こえてくる。段々と追い詰められていく。ますます、解けなくなってくる。
 
無言で机に突っ伏す私に見かねたのか、『杏!拓海に教えてもらえ』と先生からの一言。
 
拓海とは、算数が得意で優しいスポーツ万能のクラス1のモテ男。
 
私は恥ずかしさのあまり、小さく頷く事しかできなかった。そんな私に拓海は優しく、丁寧に教えてくれる。先生よりも分かりやすい説明と、少し声変わりした低い声に心地よさを覚える。
 
なんとか、半分まで進めた所で授業が終わる。『ありがとう』と拓海に伝える。『頑張ったな!また教えてやるからな』と去っていく拓海の後ろ姿は、やはり、格好いい。

やっと算数プリントから解放された。安堵感でいっぱいだった。
 
苦手もあれば得意な事もあるのが人間。国語の授業は楽しくて仕方なかった。
 
物語を読み説く、漢字はそれほど得意ではなかったが、100点に近い点数が採れる事、母に褒められる事が嬉しかった。

段々とそれが自信に繋がり、積極的に、委員会活動、読書感想文コンクール、硬筆、毛筆、学芸会、自分なりに頑張り、全校生徒の前で賞状を貰える喜びを知っていった。
 
小学校は、友達との衝突もあったが、苦手と得意な物がはっきりとしたり、口下手ではあったが、司会など任せられる事が多く、自信に満ち溢れていた。

将来は、アナウンサーになるんだ!と張り切って、放送委員会で下校のナレーションを進んでやっていた。





 
こんな私が、自信を失い、発言する事すら許されない、地獄の日々を送るはめになるとは、誰が想像しただろう。
 
4つの小学校から集まって出来る中学校。今までより何倍にも人が増える事、教科が増える事に、また期待と不安でいっぱいで、引きつった顔で制服を身にまとう。
 
通学バスで、友達の顔を見てやっと笑顔になれる。仲良しの友達とクラスも一緒、そして、拓海とも同じクラス。言葉にはしないが嬉しくて仕方がなかった。

拓海の側には常に人が集まってくるから、席が近い私にも自然と友達が増える。交流を深める為のキャンプや運動会、友達とワイワイ、女子が集まれば恋話に花が咲く。キャンプでは、拓海と二人きりにされたが、何も進展はなく、友達はガッカリしてたが、私は、このキャピキャピしたやり取りが楽しくて仕方なかった。


中学校になると部活動を選ばなくてはならない、小学校からの友達、沙耶が入ってみようかなと言うテニス部。私も見学について行き一緒に入部届を出す。気の知れた友達と一緒、一人では何も行動出来ない自分に薄々気がついたのはこの頃だっただろうか。

2年生になり仲良しグループも出来上がってくる。女子は群れたがる。一人が好きという人も居るが、私にとって仲間しグループはとても大切だ。何故なら、心の拠り所であったから。


沙耶は私と違い、友達が自然に集まってくるタイプ。沙耶と、テニス部で出来た友達、美亜、しっかり者の真帆の4人と一緒に居る事が多くなる。

特に美亜とは、価値観が似ていて移動教室、休み時間、トイレに行くのも一緒というくらい仲良くなった。毎日顔を合わせているけど、2人で毎日手紙交換をしているほど。

そんな仲良し4人を恨めしく思っていたのであろう一人の女の子。

その女の子との出会いは、2年生になり新しい席に着いた日。『ねぇねぇ、これから宜しくね。』と後ろを振り返る彼女こそが菜々。くっきり二重で小柄な彼女は可愛いらしかった。『うん。宜しくね』と控えめに挨拶する。まだこの時は彼女がどんな人なのか知る由もなかった。

ピンクをこよなく愛し、英語が得意だと自慢げで、こんなに、自信ある人ってすごいなとまで思っていた私だったのだ。

その彼女が一変したのは、英語のテストが返ってきた日、好きな事には、とことん向き合う自分だったので、好きな英語が、90点代という高得点ににんまりしてると。
『ねぇねぇ何点だった?』声の調子からして、菜々も良い点数をとったのであろう、しかし私は、躊躇した。いくら良い点数を取ったとしても、人に点数を見せる事ほど嫌なものはなかった。そんな私に気づいたのか、半ば強引に、『ねぇ!見せて!』と折り曲げてた点数部分を広げる。

菜々の顔色が変わる。『え?95点?ふーん。』後ろからのぞき込むと89点。よし、勝った!と少し嬉しくなった。

何とか、5教科で平均をとりホッとしていると、またやってきた、『ねぇ!5教科合わせて何点だった?』菜々だ。

これはさすがに、見せたくなくて、躊躇していると、『みて~これ~!』と見せてくる。私の平均より低い。また、私はとまどう。『同じくらい~』と何とか誤魔化す。中間テストは乗り切った。


はい、テスト回収してくださーいとともに、後ろから英語の答案用紙が回ってくる。そう、期末テストがやってきた。

菜々に渡そうとすると、『ねぇ!問5と問6何て書いた?』私はあっけにとられた。『え?』聞き返すのが精一杯。
『だから!問5と問6だってば!』

『はい、早く回収してー』と先生の声に助けられる。

舌打ちする菜々が見える。
それから、菜々の攻撃が始まった。

ピンクで揃えた文房具、いつもの用に取り出し机に並べていると。『ねぇ、何でピンクで揃えて使ってんの?』一瞬意味が分からず『えっ!?』と返すと、『私の色なんだけど!そうやって真似してピンク使わないで!』と一方的に怒り、前を向く菜々。

これには我慢ならず、真帆に話す。しっかり者の真帆は、私の代わりに菜々に怒りをぶつけてくれた。私にはこれが精一杯だったのだ。

しかし、菜々の攻撃は日々エスカレートしていく。英語のテストが私に負ける事が悔しいのか、必ず点数を見るようになったり、私が言い返そうとすれば、倍になって返ってくるので、関わらないようにしようと壁を作った。それは私なりの反撃。




さぁ、修学旅行の斑決めするぞー。
私達は仲良し4人でグループを組み、早々にどこ回る-?とウキウキしていた。


グループ決めからの2日後、真帆が走ってくる。『聞いて-!菜々が、どこのグループにも入れないからこのグループに入れてって頼まれたんだけど無理!って断った』と言うのだ。
皆、ホッとする。

私には勿論、他の人にも、ふてぶてしい態度を取っていた報いだと思った。

結局、菜々は、心優しい人達のグループに入れてもらっていた。

これで、態度も改まるかと思ったがエスカレート。その標的は私だった。
嫌気が差した私は、休み時間のチャイムとともに、美亜と一緒に図書室へ隠れる様に通うようになった。そんなある日、
『美亜-!美亜-!』
菜々だ。

美亜は、ずっと隠れていたが余りにもしつこいので、出て行く。
『ねぇ!美亜、何であんなバカと居るの-?』美亜を強引に連れていく。

バカ、バ、バ、バカ。
図書室に響き渡る。
視線を向けられ耐えれなくてトイレに駆け込む。

何で私ばっかり。何で、何で、菜々なんて居なければいいのに。何も言い返せない自分が悔しくて、涙が溢れる。


追い打ちをかけたのは盗み。

私と美亜の手紙交換していた物を誰かが取って、教壇に置いたというのだ。

血相を変えて真帆が走ってくる!
『杏!大変だよ!手紙がばらまかれてれる。』教室へ行くと本当にあった、内容が内容なだけに、気が引けた。美亜と私にしか通じない暗号みたいなものを使っていたが、悪口と分かる手紙の数々。

『ちょっとベランダ来て。』これを企んだであろう人物と仲が良い、華に呼び出される。美亜は、泣きじゃくっている。『これさ、悪口じゃんか、謝った方がいいよ。』私は内心、悔しさでいっぱいだった。この手紙を盗んだ奴が悪い!と怒りで手が震えていた。
華が続ける『美亜は、泣いて反省してるじゃん。杏は?ちゃんと反省してる?悪い事してるって自覚ちゃんとある?この手紙に書いた人全員に謝らないとだよ。』

私は口をキュッと結んだまま拳を握り締める。泣いて謝る事を期待してるのだ。
絶対、泣かない、自分は悪くないと言い聞かせ、手紙を全部、自分の机に乗っけた。

何で。何で私だけ。
強烈な悲しみが襲ってくる。
と同時に怒りも襲ってくる。

ハッと気づいた時には、涙が流れ、手紙を破っていた。先生も見て見ぬふりだった。


私はそれから、自分の殻にこもり偽るようになっていった。まだ、沙耶、美亜、真帆が居たから不登校にならずに済んだが、学校に行く事が、億劫になっていた。




そんな中、弁論大会の出場が決まり、忙しい毎日を送るようになり、傷も癒えていった。
弁論大会に向けて、何回も書き直し、先生と話し合い納得が出来る物になって、達成感に満ち溢れていた。校内から選ばれるのは1人。亡き祖父の事を書いたので感情が高ぶり涙ながらに読み上げる。ステージから近い所に居た友人達がもらい泣きしてる。拍手に包まれて、良い気分だった。自分が認められたんだと嬉しくなった。更に嬉しさが重なる。校内弁論大会で優勝。沢山の中学校が集まる大会に出られるというのだ。

思った事を口にする事が下手な私にとって文章にしたものを感情のままに人に向かってなげかける事は、快感だった。


2度目の大会では、落選したが、他校での2度目の拍手に鳥肌が立った。
人の前に立ちたい、漠然としていたが、物を読む仕事、そういう仕事に就きたいと思い始めていた。






いよいよ進路を決める3年生
クラス替えで仲が良かった2人とは離れ離れになり、クラスは、私があまり得意ではない人達の集まりになってしまい、ますます憂鬱だった。学校での、偽りの自分に疲れ、家に帰れば妹に八つ当たりし喧嘩する毎日だった。母や父に当たる事が多くなっていた。
思っている事を上手く言葉に出来ないが為に、
段々と出来上がるグループについていけない。
休み時間の度に孤独を感じる毎日、まだまだ携帯が出始めた頃であり、持っている子が居なかった時代。携帯を持ってたら、そんな孤独を味あわないで済んだのではないか。どっちにしろ、殻に閉じこもり、暗い毎日を送っていた。休み時間は、漫画を持って来ている子から何冊か借りて、漫画の世界に逃げ込むしかなかった。


テストも思うように点数が上がらず、塾に行く事になった。自分から何かしようとしたのは、とても久しぶりに感じた。そこで、七海と出会う。同じ中学校同士すぐ仲良くなった。同じ時、もう一人に出会う。私の一目惚れだった。彼は、ムードメーカー的存在、『功』と呼ばれる彼はキラキラして見えた。

コの字型に組まれたテーブルの私の向かい側に功くん。『わぁー新しい子だ!よろしくね!』と気さくに話しかけられ、照れてしまう。
授業中に良く目が合ったり、先生の癖を真似して、私だけに合図してくれたり、可愛い洋服だねと誉めてくれたり、塾が終わってから、じゃーねー!って手をヒラヒラする、いつも明るい功くんが好きになっていった。


塾も後1週間で終わる頃、早めに終わって迎えを待っていると、功くんの友達、直人くんが足早に私に駆け寄ってきた。『俺ね、初めてあった時から、杏ちゃん可愛いなと思っててね。良かったら付き合ってくれない?』

初めての告白。ドキドキして、心臓の音がうるさい。でも答えは決まってた。勇気を振り絞って、『ごめんね。好きな人が居るんだ。じ、実は、功くんがね好きなの。』余計な事まで口走ってしまった。
直人くんは驚いて、笑いながら、『そっか。そっか。残念。功が好きなんだ。じゃあーねー!』って手を振って帰っていく。

言ってしまった。隠してた気持ち、本人に伝えれなかった気持ちを功くんの友達に。


次の週の塾の帰り道、『杏ちゃん!』功くんに呼び止められる。『ねぇ。杏ちゃん、俺に何か言う事ある?』ってイタズラっぽく言う。ズルイ。『えぇー何もないよ。』ってイジワルして返すと『ふぅーん。そっかー』って帰ろうとするから、またまた勇気を振り絞って、『好き。功くんが好き』って伝えた。

少しの沈黙。『嬉しい-!杏ちゃん、付き合おう。』嬉しくて、嬉しくて泣きそうだった。『ねぇ功くん、写真撮ろう』付き合った記念に写真を撮った。


学校が違う功くんとは、中々会えなかったけど、電話で話したり毎日が楽しかった。やっと充実してきたと思える頃、クラスを仕切っていた香と蘭から、『杏ちゃんさー、功くんと付き合ってるのー??』と聞かれた。どこから仕入れてきた情報なのだと、怖かったが、『うん、そうだよー』と去ろうとすると、『功くん格好いいもんね~、私はね、功くんの友達の健くんと仲良いんだよー』と香。
『そ、そっか。』まだ続きそうだったが足早にそこから離れる。香は、私の苦手な人の1人だったから。何か言われるのが怖かった。















            
 
 
      
    
   
 
 
 
      
    
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