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38.今日も元気に迷走します
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「…………なんで」
アレンの父であるレンロードの口から言葉が零れ落ちる。
ライラは一瞬レンロードと視線を合わせたもののすぐに下を向き口を開く。
「……だって、アナスタシア様に何かあったら…………あなたは…悲しいでしょ……?」
「…それは…………………」
もちろん悲しい。だがとても苦しそうな表情の彼女にはっきりとそう告げることはできなかった。
「嫌がるあなたの愛妾になって、あなたにとっては私は迷惑な存在だってことはわかってた。……でも、それでも私はあなたを想う気持ちがなくならなかった」
馬鹿よね……と呟く彼女に言葉をかけられるものはいなかった。
「アナスタシア様のことは嫌いよ」
その言葉にアナスタシアは一瞬唇を噛み締めたが、すぐになんでもない表情に戻った。当然だと言わんばかりに。
「でも、愛妾にしてくださったし、スタンのことも大事にしてくださる。本当に優しい方だっていうのはわかってる。あなたが心奪われた気持ちも理解できる」
レンロードの気持ち、アナスタシアの人柄、色々と考えていたら身体が動いていたのだ。
「ライラさん、助けてくれてありがとう」
ライラの手が温かい手に包まれた。ふわりと微笑みながらそう言ったのはアナスタシアだった。ライラは少し気まずそうにいえ、と下を向く。
「…………ライラ、ありがとう。そして、すまなかった」
レンロードがとても小さな声で呟いた。
それは何に対して?
心変わりしたこと?
捨てようとしたこと?
愛妾になってから冷遇したこと?
でも、なんかどうでも良くなってしまった。
ライラの瞳から一筋の涙が流れた。
~~~~~~~~~~
とりあえずこの場にいてもということで室内にいたものは各自部屋に戻った。室内に残ったのはアレンとリカルド。
魔王をどうしようかと思っていると子供の姿をした神様が現れた。
「いやーアレン、お疲れちゃん」
倒れる魔王の身体に縄をぐるぐると巻きながらいい笑みを浮かべている。
「神様、何もしてないんですけど……」
「ああ、意外だったよねぇ。まさかライラが魔王を倒しちゃうなんてさ。いやはや、だから人生は面白いってもんだよね」
あの特訓の日々は一体なんだったのか。
「じゃ、魔王はもらっていくから」
「ちょい待て。これ最初から神様が捕まえれば良かったんじゃないですか?」
「そうだけど、それだとつまらないだろう?」
つ、つまらない。
「人間が魔王をどうにかする。それこそロマンというものだろ?」
そう言ってロープを持ち消える神様。
えー……そんなフランクな感じで良いのか。
「リカルド、なんか何もしてないのに疲れたな」
脱力しながら言うアレン。
「えーそうか?とりあえず被害が何もなくて良かったじゃないか。それに修行は無駄にはならないぞ?それに…………運命の相手にも……」
ポジティブなこの思考見習いたい。というか神様が目の前に現れたというのに完全スルーとは図太い神経である。
なにはともあれ、無事?魔王退治ができて良かったと思おう。
~~~~~~~~~~
翌日、アレンは公爵邸にいた。
「もっふん、機嫌直してくれよ」
『いやもふ。仲間はずれにするとかひどいもふ』
魔王出現の際にいつもっふんを呼べばよかったと言うのだろうか。呼んだとしても何もやることなどなかっただろうに。
『魔王見たかったもふ~』
「あー……それはすまなかった」
もふもふとアレンの胸にグリグリと身体を押し付けてくるもっふん。攻撃をしているつもりのようだが、とても愛くるしい。
その身体を撫でようとしたとき、
「アレン様!助けてください!」
うおっ、その声と同時に背後から肩をがしっと掴まれ、回れ右させられる。
「どけよアレン」
目の前にいるのはリカルド。
「駄目ですアレン様」
背後にいるのはライラ。
ライラはあとはよろしくと言い、猛ダッシュで自室に駆けていった。それを追いかけようとするリカルドを羽交い締めにして止める。
「離してくれアレン」
「いいや、離さない」
「離してくれ!」
「いや、絶対に離さない!」
あ、なんかどこぞのバカップルのやり取りみたいでゾッとする。思わず手を離してしまったが、とりあえずリカルドはこちらの話を聞く気になってくれたようだ。
「ライラさんは親父の愛妾だぞ?それに年齢も母親でもおかしくないくらいだ。いい加減正気に戻れ」
「美人だし年齢なんて何の問題もない。妻ならまだしも愛妾ならいける。しかもレンロード様はアナスタシア様を第一に想っていらっしゃるんだろう?俺の一番はライラ様だ」
そう言って胸を張るリカルドに呆れてしまうアレン。
「今までのは愛じゃなかった、恋だった。ライラ様への気持ちは愛だ!」
何を言っているんだこいつは?
「ライラ様、今行きますからねー」
「あ、こら!」
ライラの部屋に全速力で向かうリカルドとそれを追うアレン。
アレンはつくづく思う。こいつは変わり者だと。
だがこんな彼が好きだとも思う。もちろん友人として。
なんやかんや言って楽しいのだ彼に振り回されるのは。
アレンは走りながら笑いが溢れた。
今日も今日とて迷走する勇者の曾孫様に。
アレンの父であるレンロードの口から言葉が零れ落ちる。
ライラは一瞬レンロードと視線を合わせたもののすぐに下を向き口を開く。
「……だって、アナスタシア様に何かあったら…………あなたは…悲しいでしょ……?」
「…それは…………………」
もちろん悲しい。だがとても苦しそうな表情の彼女にはっきりとそう告げることはできなかった。
「嫌がるあなたの愛妾になって、あなたにとっては私は迷惑な存在だってことはわかってた。……でも、それでも私はあなたを想う気持ちがなくならなかった」
馬鹿よね……と呟く彼女に言葉をかけられるものはいなかった。
「アナスタシア様のことは嫌いよ」
その言葉にアナスタシアは一瞬唇を噛み締めたが、すぐになんでもない表情に戻った。当然だと言わんばかりに。
「でも、愛妾にしてくださったし、スタンのことも大事にしてくださる。本当に優しい方だっていうのはわかってる。あなたが心奪われた気持ちも理解できる」
レンロードの気持ち、アナスタシアの人柄、色々と考えていたら身体が動いていたのだ。
「ライラさん、助けてくれてありがとう」
ライラの手が温かい手に包まれた。ふわりと微笑みながらそう言ったのはアナスタシアだった。ライラは少し気まずそうにいえ、と下を向く。
「…………ライラ、ありがとう。そして、すまなかった」
レンロードがとても小さな声で呟いた。
それは何に対して?
心変わりしたこと?
捨てようとしたこと?
愛妾になってから冷遇したこと?
でも、なんかどうでも良くなってしまった。
ライラの瞳から一筋の涙が流れた。
~~~~~~~~~~
とりあえずこの場にいてもということで室内にいたものは各自部屋に戻った。室内に残ったのはアレンとリカルド。
魔王をどうしようかと思っていると子供の姿をした神様が現れた。
「いやーアレン、お疲れちゃん」
倒れる魔王の身体に縄をぐるぐると巻きながらいい笑みを浮かべている。
「神様、何もしてないんですけど……」
「ああ、意外だったよねぇ。まさかライラが魔王を倒しちゃうなんてさ。いやはや、だから人生は面白いってもんだよね」
あの特訓の日々は一体なんだったのか。
「じゃ、魔王はもらっていくから」
「ちょい待て。これ最初から神様が捕まえれば良かったんじゃないですか?」
「そうだけど、それだとつまらないだろう?」
つ、つまらない。
「人間が魔王をどうにかする。それこそロマンというものだろ?」
そう言ってロープを持ち消える神様。
えー……そんなフランクな感じで良いのか。
「リカルド、なんか何もしてないのに疲れたな」
脱力しながら言うアレン。
「えーそうか?とりあえず被害が何もなくて良かったじゃないか。それに修行は無駄にはならないぞ?それに…………運命の相手にも……」
ポジティブなこの思考見習いたい。というか神様が目の前に現れたというのに完全スルーとは図太い神経である。
なにはともあれ、無事?魔王退治ができて良かったと思おう。
~~~~~~~~~~
翌日、アレンは公爵邸にいた。
「もっふん、機嫌直してくれよ」
『いやもふ。仲間はずれにするとかひどいもふ』
魔王出現の際にいつもっふんを呼べばよかったと言うのだろうか。呼んだとしても何もやることなどなかっただろうに。
『魔王見たかったもふ~』
「あー……それはすまなかった」
もふもふとアレンの胸にグリグリと身体を押し付けてくるもっふん。攻撃をしているつもりのようだが、とても愛くるしい。
その身体を撫でようとしたとき、
「アレン様!助けてください!」
うおっ、その声と同時に背後から肩をがしっと掴まれ、回れ右させられる。
「どけよアレン」
目の前にいるのはリカルド。
「駄目ですアレン様」
背後にいるのはライラ。
ライラはあとはよろしくと言い、猛ダッシュで自室に駆けていった。それを追いかけようとするリカルドを羽交い締めにして止める。
「離してくれアレン」
「いいや、離さない」
「離してくれ!」
「いや、絶対に離さない!」
あ、なんかどこぞのバカップルのやり取りみたいでゾッとする。思わず手を離してしまったが、とりあえずリカルドはこちらの話を聞く気になってくれたようだ。
「ライラさんは親父の愛妾だぞ?それに年齢も母親でもおかしくないくらいだ。いい加減正気に戻れ」
「美人だし年齢なんて何の問題もない。妻ならまだしも愛妾ならいける。しかもレンロード様はアナスタシア様を第一に想っていらっしゃるんだろう?俺の一番はライラ様だ」
そう言って胸を張るリカルドに呆れてしまうアレン。
「今までのは愛じゃなかった、恋だった。ライラ様への気持ちは愛だ!」
何を言っているんだこいつは?
「ライラ様、今行きますからねー」
「あ、こら!」
ライラの部屋に全速力で向かうリカルドとそれを追うアレン。
アレンはつくづく思う。こいつは変わり者だと。
だがこんな彼が好きだとも思う。もちろん友人として。
なんやかんや言って楽しいのだ彼に振り回されるのは。
アレンは走りながら笑いが溢れた。
今日も今日とて迷走する勇者の曾孫様に。
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